【獣医師監修】愛犬が耳を痒がっている!!それって病気が原因?対処法は

2023.12.31

【獣医師監修】愛犬が耳を痒がっている!!それって病気が原因?対処法は

愛犬が耳を痒がるようなしぐさをしているのを、見たことのある飼い主さんは多いでしょう。犬にとって耳の病気は、決して珍しいものではありません。そこにはどのような原因が隠されているのか、事前に知識をもっておくことで早期発見に繋がる可能性があるでしょう。今回は耳の痒みに注目し、疑われる病気や耳のケア方法について解説していきます。万が一に備えて、しっかりチェックしていきましょう。

犬の耳を痒がってるけど大丈夫?

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犬の耳は、立ち耳や垂れ耳などバリエーション豊かで、各犬種の特徴でもありますよね。また、感情表現をする大切な部分でもあります。聴覚は人の4倍ともいわれており、日々の生活の中でも重要な役割を果たしているのです。
人間同様、犬にとっても大事な身体の一部分である耳。この耳の様子が普段と違う時、愛犬がしきりに耳を気にしていたり、痒みを感じる様子が見られる時は、注意が必要となります。
まずは、犬が耳を痒がる原因にはどのようなものがあるのか、紹介していきましょう。


犬の耳を痒がる原因と症状

普段より耳が赤い、耳を痒がることが多いなど、ちょっとした異変でも重度の病気に繋がるケースがある犬の耳の病気。
愛犬が耳を痒がっている場合、そういった病気の可能性を疑わなくてはいけません。しかし、病気だけが耳を痒がる原因ともいえないのです。
耳に痒みを感じるのは何故なのか、考えられる代表的な原因の一例をみていきましょう。

◆外耳炎

外耳炎とは、マラセチアなどの酵母様真菌感染・細菌感染・耳ダニなどが原因で発症する耳の病気です。過剰、または不適切な耳掃除や、クッシング症候群・甲状腺機能低下症などのホルモン分泌関連疾患が原因で起こることもあるでしょう。
主な症状は、耳垢の増加、臭い、耳の中の腫れや湿疹などです。
痒みを引き起こすので、耳を床に擦り付けたり、激しく頭を振るような仕草が愛犬にみられるようになります。
プードル・キャバリア・コッカー・レトリーバー系の垂れ耳犬種、フレンチブルドッグなどの皮膚が弱い犬種がかかりやすいといわれています。特に、湿気の多い梅雨の時期には注意が必要です。
ちなみに、外耳炎が進行して鼓膜に穴が開くと、炎症が中耳・内耳にまで波及することとなり、中耳炎や内耳炎を起こすこともあるので覚えておきましょう。

◆ストレス

耳を頻繁に引っ掻くような仕草をしているが、耳の中はキレイでニオイもしない場合、病気ではなくストレスが原因となっている可能性があります。
耳を引っ掻く以外に、欠伸をよくする・目を逸らす・身体をブルブル振る、などの他のストレス症状やサインがないかチェックしてみてください。
また、飼い主さんとのコミュニケーションが不足していないか、長時間の留守番で負担をかけていないか、引っ越しなどで環境の変化が起きたかなど、ストレスの原因となり得ることがなかったか思い返してみてください。
耳を引っ掻き続ければもちろん外傷となり、皮膚炎などの炎症や他の病気を併発する恐れがあります。
早めにストレスの原因を判断して、それを取り除くよう対策をたてましょう。

◆ダニ

犬の耳の中に寄生するダニには、「ミミヒゼンダニ」という耳ダニがいます。
外耳道に寄生して激しい痒みを引き起こすもので、血が固まったような黒っぽい耳垢が出るのが特徴的です。
炎症が悪化すると、異臭を放つようにもなります。
進行して中耳から内耳にまで炎症が及んだ場合、平衡感覚障害(前庭障害)などが起こることもあるため、早期に治療を開始することが重要です。
痒みが非常に強いために、爪で引っ掻いて傷を作ったり、酷ければ耳血種になってしまうこともあるでしょう。
ちなみに耳ダニは、他の犬や別の動物から感染します。感染力が強いため、同居犬・猫がいる場合は要注意ですよ。
また、マダニやノミなどの寄生虫が原因の場合もあるのですが、いずれも異物のように目視で確認できます。耳や顔周りのチェックを、日常的に行うよう習慣づけましょう。

◆アレルギー

アレルギーやアトピー性皮膚炎の症状でも、外耳炎を発症することがあります。
これらの原因は、植物・薬品・食品・カビやダニ・花粉やハウスダストなどと様々です。
皮膚のバリア機能が低下することで細菌・真菌感染をしやすいために、外耳炎を繰り返してしまうこともあるでしょう。
特に、両耳で外耳炎が何度も再発する場合は、アレルギーやアトピーが背景にある可能性が高くなります。
原因となっている物質を特定してそれを取り除くことが、予防方法として最も効果的でしょう。
動物病院でアレルギー検査を受けてみるのもおすすめですよ。


犬が耳を痒がってる時はどうしたらいい?

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愛犬が耳を痒がっている場合、そこには何らかの原因が潜んでいます。異常を放置して悪化する前に、早めに獣医師へ相談して診断を受けた方が良いでしょう。
耳が赤い状態である、いつもより搔いている、などの様子がみられたらまずは診療です。早期発見が何よりも大切だということを、頭に入れておいてくださいね、
参考までに、原因ごとの対処法・治療法の一例を紹介していきます。

◎外耳炎が原因の場合
外耳炎の場合、耳鏡検査・耳垢検査などが病院で行われます。耐性菌の感染が疑われる場合は、細菌培養・薬剤感受性検査などをして、感染因子を突き止めるでしょう。
耳の洗浄や点耳薬、炎症原因に合わせた抗生剤や抗真菌薬、消炎剤、痒み止めなどを使用した内服薬が、主な治療法となります。
成犬になってからの外耳炎の多くは慢性化してしまう傾向にありますし、重症化すると手術が必要となるケースもあるため、速やかに獣医師の診察を受けるようにしてくださいね。

◎ストレスが原因の場合
精神的なストレスが原因の場合は、まずそのストレスの原因となっている事柄を明確としなくてはいけません。
ストレス源を取り除くことで、この問題を解消することができるのです。
飼い主さんとのコミュニケーションの時間・頻度を増やしたり、散歩の時間を長くとってみる、運動量を増やしてみるなど、原因に沿った対策案を練りましょう。
ストレスは耳に痒みに収まらず、様々な健康被害をもたらす要因の一つとなります。いち早く愛犬のサインに気付き、ストレスを解消できるよう心掛けましょう。

◎寄生虫が原因の場合
寄生虫が原因と思われる症状がみられた場合は、すぐに動物病院を受診して耳垢検査を受けましょう。
耳ダニが寄生していると判明したら、耳の洗浄と抗寄生虫剤のスポット剤などで治療が施されます。
また目視でダニを確認し時は、無理矢理取ろうとするのはNG行為です。ダニの口だけが皮膚に残ってしまう可能性が高いので、不安な方は病院で除去してもらってください。
そして予防のためには、定期的に駆除薬を使用することが推奨されます。フィライリア予防とも同時に行える製剤もありますので、獣医師に相談してみてください。

◎アレルギーやアトピーが原因の場合
アレルギー・アトピーが原因の場合は、動物病院で診察を受けて、アレルギー・アトピーの治療と同時に外耳炎の治療が成されます。
アレルゲンが分かっていない場合は、検査でアレルゲンの特定をし、外耳炎治療と並行しながらフードを見直すなどの対処が行われるでしょう。


犬の耳のケア

耳の病気を予防する、また悪化させないためにも、適切な耳のケアをする必要があります。
愛犬の耳の健康を守るためにも、定期的なケアを行っていきましょう。

◆耳のチェック

耳を痒がる、頭をしきりに振るなど、普段の様子と比べて少しでも異変を感じた時は、皮膚の赤みや耳垢・臭いの有無を確認しましょう。
特に垂れ耳の犬種や耳道に毛が沢山生えている子の場合、耳道内が蒸れやすいため外耳炎を発症するリスクが高いです。
また、耳介の脱毛やかさぶたが出来ていないかも、併せてチェックしてくださいね。

◆耳掃除をする

清潔を保つために定期的な耳のケアは必要不可欠ですが、外耳炎を発症している時は、自宅での耳洗浄には注意が必要となります。
普段よりも耳の内部が傷つきやすくなっているため、獣医師と相談して頻度や汚れを取る方法を決めるようにしましょう。
外耳炎が治るまでは病院に耳洗浄を任せ、よくなってから自宅でのケアに切り替えるのも一つの方法ですね。

ちなみに耳の清潔を保つためには、1か月に1回程度の頻度で、定期的に自宅でのケアを行うことが推奨されます。
コットンやガーゼに市販のペット用イヤークリーナーを含ませ、指が届く範囲の外耳を優しく拭きとりましょう。綿棒を使用して耳の奥まで掃除すると、耳垢を奥に押し込んだり、傷つけて痛みを感じさせてしまう恐れがあるので、注意してくださいね。
また、シャンプーの際にも配慮が必要です。シャンプー前にはコットンなどで耳穴を塞いだり、シャンプー後には耳に残った水分の拭き取りも忘れないでくださいね。
ケア方法に関しては様々な解説記事もありますので、それらを参考にするのもおすすめですよ。
耳のケアを定期的に行っていれば、耳の異変にもいち早く気付けるようになります。予防のためにも、ぜひ習慣付けるようにしましょう。

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まとめ

犬が耳を痒がる仕草を見せるのは珍しいことではありません。しかしその頻度が高かったり、赤みやニオイがある場合は何らかの病気である可能性が高いでしょう。
治療が必要な場合、早期発見が重要なポイントとなります。普段から愛犬の様子を観察し、早めに異常に気付けるよう心掛けてくださいね。
ペット保険に加入している方は、事前に対象となる病気についてもチェックしておくとよいでしょう。
愛犬の健康を守るのは飼い主さんの努めです。日々のお世話をしっかり行い、適切なお手入れで病気の予防に努めていきましょう!

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!

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