1.総合栄養食とは?
1-1.総合栄養食のメリットやデメリット
2.総合栄養食以外の分類
2-1.間食
2-2.療法食
2-3.その他の目的食
3.犬の総合栄養食の選び方
3-1.原材料
3-2.ライフステージ
3-3.フードの種類
総合栄養食とは?
日本で販売されているペットフードは、ペットフード公正取引協議会の規約に従い、その目的から以下の4つに分類されています。
◎総合栄養食
◎間食
◎療法食
◎その他の目的食
この中で、毎日の主食として与えることを目的とするもので、フードと水分だけでそれぞれの成長段階において必要とする栄養素をきちんと摂取することができるフードが、総合栄養食なのです。
ちなみにペットフード公正取引協議会は、AAFCO(アメリカ飼料検査官協会)という飼料とペットフードの品質・安全性の基準を設定しているアメリカの組織のガイドラインに従って、総合栄養食の基準を定めています。
◆総合栄養食のメリットやデメリット
総合栄養食の主なメリットは、総合栄養食と水だけで健康に生きていける、とされる栄養基準を満たした食事であることでしょう。
一般食のみで栄養バランスを上手く摂ることは難しいため、総合栄養食を与えることで飼い主さんも安心感を得られますし、利便性も高いといえます。
反対にデメリットは、あくまで現段階で栄養基準の満たされたフードであるという事実です。フードに必要な栄養成分は満たされてはいますが、消化吸収できるかは別問題で完全な物ではないといえるでしょう。
また、栄養基準を満たすために添加物が使用されているため、その質には注意が必要だともいえます。
販売されているペットフードは多種多様ですが、製品パッケージに「総合栄養食」と表記されているので、判断が難しいと感じる飼い主さんは必ず確認するようにしてみてください。
総合栄養食以外の分類
前述したように、総合栄養食の他に分類されているペットフードが3種あります。それぞれのメリットやデメリットも紹介していきましょう。
◆間食
ご褒美やコミュニケーションの手段などが目的で与えるフードは、間食とされています。おやつ・スナック・トリーツなどが、これに当たるでしょう。
現代では、子犬やシニア用などと年齢別になっていたり、原材料や使用されている食材にも様々な種類があります。
新鮮素材で作られたものや、やエネルギー補給をサポートするもの、歯磨き効果のあるものなど、その種類は数えきれません。
個包装で持ち運びしやすいタイプもあるので、お出かけの際にも便利でおすすめです。
しかし、無添加で安心なタイプもあれば、保存料・着色料が使われているものももちろんありますので、その点はしっかりチェックしておきましょう。
ちなみに、主食のバランスに支障を与えないための、給与限度量を表示することが定められています。
間食は、総合栄養食よりも嗜好性・カロリーなどの高いものも多いので、与える量には十分注意することが大切です。
与え過ぎると肥満を助長したり、健康被害を招く可能性も十分あります。
パッケージに記載されている1日の給与量を、与える前に必ず確認してくださいね。
◆療法食
療法食とは、特定の病気や健康状態にあるワンちゃんの栄養学的なサポートを目的としたフードのことです。
それぞれの病気に対応しており、栄養成分の量・比率が調整されています。獣医師の指導の下で、食事療法に使用されるのです。
食事療法食の主な種類には、以下のタイプがあります。
●消化サポート用
●アレルギー性皮膚炎用
●腎臓病用
●糖尿病用
●肥満用
●歯周病用
●高齢犬用 …など
療法食の大きなメリットは、健康管理や特定の疾患の管理において重要な役割を果たすという点でしょう。
適切な栄養バランスや特定の成分制限が考慮されているため、健康を治療・予防・改善する効果があるのです。
ただし、獣医師の指導の下で愛犬に合った療法食を選んで、適切な摂取量を守ることが重要となります。飼い主さんの勝手な判断で与えることはしないでくださいね。
そして主なデメリットとして、特定の疾患に特化したフードのため一般のフードよりも価格が高いことが挙げられます。
療法食は特定の健康状態への対応を意図して設計されているため、一般的には長期間に渡って摂取する必要もあるのです。
また、味や香りも一般のフードと違い、食欲を減退させる可能性も考えられるでしょう。
しかし、病状の管理が進んで療法食が不要となれば、一般のドッグフードに切り替えられるケースもありますよ。
愛犬の健康状態とのバランスを考えながら、最適なフードを選ぶことが大事です。
◆その他の目的食
総合栄養食・間食・療法食のいずれにも当てはまらないものが「その他の目的食」に分類されており、その中で、副食・おかずタイプと栄養補助食に分けられています。
副食・おかずタイプは、主に嗜好性を高める目的のものであり、一般食・副食・ふりかけなどがこれにあたります。
そして栄養補助食とは、特定の栄養素・カロリー補給などを目的としており、栄養補完食・カロリー補給食・動物用栄養補助食(動物用サプリメント)などのことをいいます。
ちなみに一般食とは、総合栄養食の栄養基準は全て満たされていないが、他の補助食等と摂取することで、より自然で健康的な主食となりえるフードのことをさします。
栄養制限のない食事で体調変化などに対応し、目的とする栄養を摂取することができ、タンパク質やリン等ミネラルの制限にも対応できるのです。高水準の一般食には、無添加(食品のみ)で作られているものもありますよ。
ただし、これだけを与えていればよいとメーカーが保証していないこと、栄養補助食が必要とされていることが問題として挙げられるでしょう。
手作り食と同じように栄養学などの知識が必要だったり、栄養バランスを上手に摂るのが難しいという点から、総合栄養食を与えるべきだという意見が多くあるのです。
犬の総合栄養食の選び方
一概に総合栄養食といっても、販売されているフードの種類は多種多様です。
では、そんな数あるフードの中から愛犬にピッタリのものを選ぶにはどうしたらよいのでしょうか。
メーカー・商品によって配合されている原材料や添加物にも違いがありますし、ライフステージによっても与えるフードは変えていかなくてはいけません。
さらに犬種や・体格・個性にも配慮し適切な量のフードを与えなくてはいけないのです。
そこで、総合栄養食を選ぶ上で重要となるポイントを紹介していきますので、しっかりチェックし参考にしてみてください。
◆原材料
現在、日本国内で製造・輸入・販売されているペットフードは、「ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)」の基準や規格によって規制されており、この法律の制定によって、安全性に問題のある原材料を使用したフードは流通しなくなっています。
このため以前に比べると、安心してフードを選べる環境になったといえるでしょう。
しかし、販売されているフードが全てのワンちゃんにとって、絶対に安全であるとは言い切れません。
個々の原材料の安全性については色々な議論があるため、飼い主さん自身が情報収集をしっかりして、安心して与えられるものを判断する必要があるのです。
原材料に関しては、以下の三つのポイントに注目して判断材料としてください。
●使用されている肉は?
ドッグフードには、鶏肉・牛肉・ラム肉・鹿肉などの様々な動物の肉が使用されています。肉の他にも、内臓・骨・皮などや、人の食用に適さない品質の肉が使われている可能性もあると考えられています。
獲物を丸ごと食べるイヌ科の動物の食性から食材の有効利用という観点では理にかなってはいますが、そのような原材料の中には安全面で不安なものもあるとの指摘も実際にあるようです。
安全性に不安のある材料が使用されていないかどうかは、パッケージ・メーカーHP・企業姿勢などを確認してチェックしておきましょう。
●穀類は使用されている?
米・麦・とうもろこしなど、主にイネ科の種子である穀類が、多くのドッグフードに使用されています。
しかし、肉食に近い食性の犬の食事には、穀類の入ったフードは適さないのでは?といった考えもあり、穀類を全く含まないグレインフリーのフードも販売されているのです。
穀類が食物アレルギーの原因になりやすい、身体の構造上で穀類の消化が苦手である、穀物を含むフードに糖質が多く太りやすい、といった理由もグレインフリーを選択する理由に含まれます。
実際に小麦グルテンに対するアレルギーを持つ子もおり、穀類と比べて牛肉・鶏肉などのアレルギーは少ないのです。
ただ、適切に調理された穀類(生ではない)であれば、消化し良質な栄養源として利用できるといわれているため、現在では穀類に対するアレルギーを持っていない犬については、グレインフリーのフードにしなくても問題ない、といった考えの方が主流ではあるでしょう。
メリット・デメリットをよく考慮して選択することをおすすめします。
●どのような添加物が入っている?
ペットフードには、主に以下の種類の添加物が使われています。
・品質を保つための添加物(保存料、保湿剤、酸化防止剤など)
・嗜好性や見栄えをよくするための添加物(着色料、発色剤、香料など)
このように様々な添加物が使用されている場合がありますが、ペットフード安全法の基準規格等で定められている量以下の使用しか認められていないため、安全性には基本的に問題はないといえます。
しかし、証明されているとはいえ不安を感じる飼い主さんも中にはいるでしょう。
そういった場合は、見栄えをよくする発色剤・着色料など、犬にとって不要な添加物がプラスされていないものを選ぶようにしてみてください。
ちなみに無添加のフードも人気ですが、完全に安心できるフードであるとは言い切れません。
保存料・酸化防止剤などは、フードの品質を保つために必要なものです。無添加の場合はカビが生えたり、酸化してしまうなどして、添加物の毒性の何倍もの健康被害をもたらす危険性がある、ということも覚えておいてくださいね。
無添加のフードを選択する場合は、品質保持や保存方法について考慮されているものを選ぶよう配慮しましょう。
◆ライフステージ
犬の成長段階によって、必要な栄養素は変わります。このため、成長段階に合ったフードを選ぶことが大切なのです。
子犬にはパピー用の、成犬にはアダルト用の、老犬にはシニア用の、といったように、愛犬の月齢や年齢を目安としてフードを選ぶ必要があります。
ちなみに、成長段階全てに適合した「全成長段階/オールステージ」用のフードも販売されていますよ。
総合栄養食のフードには、適用されるライフステージが表示されていますので、購入する前に必ず確認してくださいね。
◆フードの種類
ペットフードは、製品の水分含有量・製造方法によって以下の種類に分類されています。
ドライフード
水分含有量10%以下のフードをドライフードといいます。水分含有量が少ないことから傷みにくく、開封後も比較的長期間保存することが可能でしょう。
1食当たりのコストが安いのも、大きなメリットだといえますね。
ただし、ドライフードを与える場合は食事からの水分摂取量が少なくなるため、新鮮な水を十分に与えるよう気を付けてください。
ソフトドライフード/セミモイストフード
ソフトドライフード、セミモイストフードは、水分含有量25~35%程度の半生タイプのフードです。ソフトドライとセミモイストは加工方法が異なったもので、硬さ・質感にも若干違いがあります。
柔らかい食感で香りが強いためドライフードと比べると嗜好性は高く、水分が多く傷みやすいので、品質保持期限が短いものがほとんどでしょう。
そして、しっとりさを保つための保湿剤・防カビ剤・酸化防止剤などの添加物が多く使われている製品も多いといわれています。
ウェットフード
水分含有量75%程度のフードをウェットフードといいます。缶・アルミトレイ・パウチ等のパッケージで販売されている製品が多いです。
素材の風味が生かされており嗜好性が高いので、食欲の落ちている犬でも食べてくれる可能性が高まります。ドライフードでは食いつきが悪い子に、与えている飼い主さんも少なくないでしょう。
水分含有量が多いため、水をあまり飲まない場合や、尿石症・腎臓病などで水分摂取量を増やす必要のある病気の子にも適したフードだといえます。
未開封の状態であれば保存期間が長いというメリットがありますが、開封後は傷みやすいです。すぐに使い切る、もしくは冷蔵庫で保存するなどして、注意しましょう。
デメリットはやはり価格です。他のタイプに比べて1食当たりのコストは高くついてしまいます。
犬の総合栄養食の与え方
療法食を利用している場合を除いて、主食には総合栄養食を選び、1日のカロリー必要量の80%以上をそのフードから得られるようにしなくてはいけません。
しかし、正しい与え方をしなくては健康被害を招く可能性もあります。以下のポイントをしっかり頭に入れておきましょう。
◆給与量を守る
フードの与える量は、パッケージの側面・裏面などに記載されている給与量表記を目安として参考にしましょう。
さらに、カロリー摂取が上手くいっているかどうかは、愛犬の状態を確認しながら判断することが大切です。
ボディコンディションスコアという指標があるので、それを参考に愛犬の身体の状態を確認するのがおすすめです。ボディコンディションスコアの紹介記事もネット上にありますので、チェックしてみるとよいでしょう。
総合栄養食は様々な研究や分析試験を経て、犬にとっての必要な栄養バランスをとれるように作られています。しかし、量を与えすぎたり不足しすぎてしまうと、健康的な体作りのサポートは得られません。
個体差ももちろんありますので、給与量表記を参考にしつつ、きちんと愛犬の状態を観察しながら適切な量を判断するようにしましょう。
◆食いつきが悪い場合はトッピングしてあげる
食事は毎日摂るものなので、美味しく楽しく食べられるかは犬にとっても重要な問題となります。
特に総合栄養食は他のタイプのフードに比べると、嗜好性が劣る点があるので、途中で飽きてしまったり、食いつきが悪くなる個体も少なくないのです。
前述したように、総合栄養食の中でも嗜好性の高い水分含有量の多いフードを利用するのも一つの手ですが、普段のフードにトッピングなどをするのもおすすめの方法です。
さつまいもなど犬が食べても問題のない食材を選び、ドライフードにトッピングするだけでも愛犬の食いつきが回復するケースも多いのです。
犬にも個性があり好き嫌いがありますので、愛犬の好みの食べ物を見つけてあげるとよいでしょう。
ちなみに、必要な栄養バランスを崩さないために、トッピング・おやつなどのカロリーを、1日のカロリー必要量の20%以内に収めるよう注意してくださいね。
まとめ
総合栄養食は、栄養バランスのとれた犬の主食となる大切なペットフードです。紹介してきたメリット・デメリットを覚えておき、愛犬にとってぴったりのタイプを選んであげましょう。
犬用品が多種多様に販売されている現代では、フードの種類も様々です。それぞれに特徴も違いますし、粒の大きさや形状も異なります。原材料や添加物などにも注目して、フード選びをすることをおすすめします。
また、生後直ぐに与えてよいフードもあれば、成長維持期に与えるべきもの、シニア期に適したものなど、年齢別・目的別にもドッグフードは分類されています。定期的にフードを見直すことも忘れないでくださいね。
愛犬が末永く健康で元気に過ごしていけるように、飼い主さんが食事の面でもしっかりサポートしていきましょう。
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