1.犬の軟便の原因
1-1.食事
1-2.ストレスや環境の変化
1-3.寄生虫
1-4.内臓・消化器疾患
2.犬の軟便時の対処法
2-1.食事の見直し
2-2.水分補給や適度な運動
2-3.ストレスの原因を取り除く
2-4.動物病院に相談する
3.犬の軟便の予防法
3-1.バランスの良い食事
3-2.健康診断を受ける
犬の軟便の原因
毎日する犬の便は、犬の健康状態を教えてくれる重要な指標です。
犬は様々な理由で軟便になってしまいます。食事の影響や精神的な問題、寄生虫などの感染症や消化器の病気などが代表的な原因です。
以下では、犬の軟便の原因を解説します。
◆食事
犬も人間同様に食事の影響で便が変化します。
脂肪が多く消化の悪い食べ物を食べた場合や、食べすぎの場合によく軟便になります。また、いつもと違うドッグフードや人間の食べ物を与えた際にもお腹の調子が悪くなり軟便となることがあります。
また、犬によっては食物アレルギーを起こす個体がいて、アレルゲンとなる物質が含まれるフードを食べると消化不良を起こして軟便となります。食物アレルギーで消化不良を起こしている場合、ドッグフード自体が低脂肪で消化に優れたものであっても、軟便の原因となります。
フードの変更に伴って、長期間軟便を起こすようなら、フードが合っていない可能性が考えられるので、動物病院で相談することをお勧めします。
異物を食べてしまった場合も、軟便や食欲不振、嘔吐、下痢などを起こします。日頃食べないものを口にした場合は特に注意して便の様子を観察しましょう。
◆ストレスや環境の変化
これも人間と同様ですが、犬もストレスや環境の変化でお腹の調子が悪くなり、軟便となることが多いです。
ストレスの原因としては、引っ越しや留守番、外泊、慣れない来客や新しい家族などが代表的です。
慣れないイベント事や急な環境の変化が強いストレスの原因となります。
犬が怯えている場合はもちろんですが、犬が喜んで興奮している場合も、疲れが出て、後になって体調を崩すことがあります。
引っ越しや飼い主さんの勤務体系の変化が多くなる春先の時期や、お盆や正月などの外出や来客が多くなる時期によくみられます。
ストレスでどのくらい軟便を起こすのかは個体によって差があります。過去にストレスで軟便になったことがある犬は繰り返し起こしやすいので注意しましょう。
◆寄生虫
消化管内に寄生虫が感染している場合も、消化管の機能が落ちて軟便になることがあります。
代表的な消化管内寄生虫には以下のものがあります。
- 犬回虫
- 犬鞭虫
- 犬鉤虫
- マンソン烈頭条虫
- 瓜実条虫
- コクシジウム
- トリコモナス
- ジアルジア
これらの寄生虫は、母犬から胎盤感染や乳汁感染を起こすものや、不衛生な土壌から感染するもの、ノミやカエル・ヘビなどから感染を起こすものがあります。また、ペットショップやブリーダーの元で感染を起こしている例もあります。
犬が頻繁に軟便になる場合は、動物病院で感染をチェックしてもらいましょう。
また、飼育し始めた頃は、もともと寄生虫感染を起こしている可能性もある上、環境の変化で軟便になることも多いので、便の様子がおかしければ早めに一度動物病院で診てもらいましょう。
◆内臓・消化器疾患
内臓や消化器の病気も軟便の原因となります。
膵臓や肝臓など、食べ物の消化に欠かせない働きをしている臓器で病気が起こっている場合、正常な消化活動が出来ずに軟便になります。
もちろん消化管の疾患でも正常な消化が行えずに軟便となってしまいます。
ウイルスや細菌の感染によって消化管の機能が落ちてしまう場合や、炎症性腸疾患などの免疫異常で消化管の機能が落ちてしまう場合があります。消化管内に腫瘍やポリープなどが発生している場合も軟便や下痢を起こします。
犬の軟便時の対処法
ここからは犬が軟便になってしまった時の対処方法について解説します。
◆食事の見直し
「日頃と違うものを与えたら軟便になってしまった」「元気や食欲はあるが、軟便になることが多い」
このような場合は食事が犬に合っていない可能性があります。
消化の能力は犬によって個体差があり、他の犬が大丈夫な食事でもお家の子には合っていないことも。
また、食物アレルギーがある犬だと、アレルゲンとなる食物を摂取すると消化不良を起こして軟便になったり、嘔吐や下痢が見られたりします。
いつもと違うものを与えて軟便になってしまった場合は、その食物を今後与えないように注意しましょう。
日頃から軟便になりやすい犬は一度食事内容を見直すことをお勧めします。ドッグフードの中には低脂肪で消化に良いものもあります。ペットショップで紹介してもらうか、診察も兼ねて動物病院で相談してみましょう。
◆水分補給や適度な運動
運動不足で全身の循環が悪くなっていたり、ストレスが溜まっていたりすると、胃腸の動きも悪くなります。
適度に運動を行うことで、胃腸だけでなく、体と心の健康につながります。あまり運動が出来ていない場合は、お散歩やドッグラン、ボール遊びなどで適度な運動を促してあげてください。
◆ストレスの原因を取り除く
犬はストレスで胃腸の動きが悪くなることがあります。胃腸の働きが弱くなると、食べ物を消化・吸収する力が落ちて、軟便や下痢、食欲不振につながります。
また、ストレスによって免疫力が低下し、様々な疾患の原因となってしまうので、愛犬にかかるストレスはなるべく減らしてあげましょう。
例えば、来客や物音に敏感な犬は、休む場所を人があまり通らない位置にしてあげてください。お散歩に十分に行けていない場合や、お留守番があまりに長い場合は犬もストレスを強く感じます。十分な休息と適度な運動ができるように工夫してあげましょう。
犬のストレスを軽減する効果のあるフードやサプリメントもあるので、生活環境の改善に合わせて取り入れてみることもオススメです。
◆動物病院に相談する
犬の軟便がなかなか治らない場合や繰り返してしまう場合は、動物病院に相談してください。
軟便の原因として挙げたように、犬は様々な原因でお腹の調子が悪くなり、軟便や下痢をします。なかには感染症や腫瘍などの病気が原因となる場合もあるので、一度検査を受けると良いでしょう。
検査で異常が見つからなかった場合も、動物病院でドッグフードの相談やサプリメントの購入ができるので、その後の対応が行いやすいです。
犬の軟便の予防法
愛犬のためにできる軟便の予防法について解説します。
◆バランスの良い食事
食事が軟便の原因となることがあります。日頃から栄養バランスが良く、消化の良い食事を与えることは犬の軟便の予防になります。
優れたドッグフードであっても、犬によって合う・合わないはあるので、軟便を起こしやすいようであれば食事の見直しが必要です。
人間の食べ物を与えたり、おやつを与えすぎたりしないように注意しましょう。
◆健康診断を受ける
愛犬の健康を維持するために定期的に動物病院で健康診断を受けましょう。
その際、軟便をよく起こすようなら、検便なども行ってもらうと良いです。
健康診断を毎年受けることで、前年までとの違いなども把握してもらいやすく、異常に早めに気づけます。
犬の軟便の見分け方
犬の便の状態は日ごとによって微妙に違います。では、どのくらいが軟便という状態なのでしょう?
◆どのくらいが軟便?
犬の健康的な便は、程よい硬さがあり、ティッシュなどで掴むことができます。形はあっても、片づける際に地面にベチャっとくっつくようだと軟便です。形が崩れつつあるものや、うまく掴めないようなものは軟便から下痢状の便になります。
便をたくさんした場合、最初の方は硬めの便でも、最後の方だけ軟便がでることもよくあります。便を片付ける時は全体をチェックするようにしましょう。
◆病院に相談するライン
軟便は様々な原因で起こります。ストレスや食事の影響で一時的に軟便となる場合も多いですが、体調不良のサインである場合もあります。
軟便が出る場合に動物病院に相談するべきラインは、「軟便が数日のみじゃなく、長期間に渡って続く場合」や、「治っても繰り返す場合」です。
慢性的に腸の消化能力が落ちている可能性や、何かの病気が原因で軟便が起きている可能性があるので、動物病院で診察を受けましょう。
また、軟便に血が混じっている場合や、嘔吐や食欲不振などの症状も同時に見られる場合は早めに動物病院を受診しましょう。悪化して体調がさらに悪くなる可能性があるので、早めに対応してください。
動物病院を受診する際には、その日にした軟便をビニールに入れて持参すると、状況が伝わりやすく検便も行えます。すぐに動物病院に行けない場合も、スマートフォンで便の状態を撮影しておくと、動物病院で説明する際に便利です。
まとめ
今回の記事では犬の軟便について解説しました。犬の便は、体の様子を教えてくれる重要なサインにひとつです。犬も基本的に毎日排せつを行うので、ただ片づけるのではなく、日頃と変化が見られないか気にしてチェックしてあげましょう。
食事や環境に日頃から気をつけて、何度も繰り返し軟便をする場合や、血便や嘔吐など他にも様子がおかしければ、早めに動物病院を受診してください。
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