1.犬に水道水は犬に与えても大丈夫?
1-1.水道水の品質基準
1-2.水道水に含まれる成分
2.犬に水道水を与えるメリットは?
2-1.お手軽
2-2.コストが低い
3.犬に水道水を与える際の注意点
3-1.こまめに取り換える
3-2.配管の状態
3-3.地域による水質の差
4.水道水以外の犬の飲み水
4-1.ミネラルウォーター(軟水)
4-2.ペット用ミネラルウォーター
犬に水道水は犬に与えても大丈夫?
水道水には、消毒剤として塩素が含まれています。こう聞くと、愛犬に与えても大丈夫?と心配したり不安を感じる方もいるでしょう。
しかし結論からいうと、基本的に日本の水道水はワンちゃんに与えても健康に問題はないといえるのです。
まずはその理由について、解説していきましょう。
◆水道水の品質基準
日本の水道水は、河川・ダム湖・湖などの地表水や伏流水、地下水などを水源としており、その水源から取水されて浄水処理施設で濁質分を除去し、塩素などで殺菌消毒した後に配水場に一旦貯められます。それが配水管を通って、各家庭の蛇口に繋がる給水管へと運ばれているのです。
浄水場から供給されるまでの距離が長い場合は、雑菌を抑えて殺菌するためにより多くの塩素が使用されるため、塩素の使用量には地域差はありますが、日本の水道水は蛇口で検出される残留塩素濃度が「1mg/L以下」に調整されています。
人体に影響が出るラインとして、WHOが定めている値は「5mg/L以下」。これを下回っていることから、水道水を与えてもペットの健康を害することは基本的にないといえるでしょう。
愛犬に水を与える際に大切なのは、水の状態を衛生的に保つことと、ミネラル成分の少ない軟水を選ぶことの2点で、これに関しては詳しく後述しますが、日本の水道水はこの2点をクリアしているため安心してペットに与えることができるのです。
◆水道水に含まれる成分
水道水に多く含まれる主な成分は以下の通りです。
◎ナトリウム
◎カルシウム
◎マグネシウム
◎カリウム
◎ケイ素
これらに加えて水道水には、天然水やミネラルウォーターと違い、浄水処理の過程で塩素が加えられています。前述したように、塩素の摂取自体に問題はないのですが、塩素の臭いである「カルキ臭」が気になるという方も少なくないでしょう。
ちなみに天然水・ミネラルウォーターの成分も、基本的には水道水と変わりません。ただ、銘柄によっては水道水よりもミネラル成分の含有量が低いタイプもあるようです。
犬に水道水を与えるメリットは?
現代では水道水の他に、ペットボトルで市販のミネラルウォーターや天然水、炭酸水など、さまざまな飲料水が簡単に購入できます。
どうせ与えるなら愛犬にとって、体に優しく、おいしい水を与えたいという飼い主さんたくさんいるでしょう。水道水をそのまま与えるよりは、ウォーターサーバーや浄水器を使用したり、販売されている商品を購入して与えた方が良いのかな?と考えている方も少なくないと思います。
しかし、水道水を与えることには以下のようなメリットがあるのです。それを踏まえて、飲料水をどう賄うか考えてみましょう。
◆お手軽
水道水を利用する大きなメリットの一つは、なんといってもその手軽さでしょう。与える飲料水の管理がとても簡単で、手間がかからないことは嬉しいポイントとなりますよね。
蛇口をひねればすぐに新鮮なお水を用意できますし、水質も問題ありません。わざわざ出かけずに、自宅で手に入るというのも大きなメリットでしょう。
しかも塩素の効果で雑菌の繁殖が抑えられるので、塩素を含まない水よりも、長期間保存しやすいともいわれています。常温で3日程度なら、塩素系消毒剤の効果が持続するそうですよ。
また、ペットに与える水としてはミネラル成分が少ない軟水を選ぶべきであり、日本の多くの地域では水道水から出る水が軟水であることからも、愛犬の飲み水としては最適だといえるでしょう。
◆コストが低い
ペットの飲用水として水道水を選択するもう一つのメリットは、値段の安さでしょう。
東京都の水道代金は1Lあたり0.24円程度なのですが、これを100円程度で販売されている500mlペットボトルと比べると、1000分の1程度のコストとなることが分かります。水道水の安さは圧倒的ですよね。
もちろん水道料金は各地で異なりますので、気になる方はお住いの地域の料金をぜひ調べてみてくださいね。水道局のHPなどで簡単に情報を得ることができるでしょう。
犬に水道水を与える際の注意点
ペットに与える飲用水として安全でおすすめできる水道水ですが、与える上での注意点がいくつかあります。
以下のポイントに注意して、愛犬の健康維持に努めてください。
◆こまめに取り換える
家庭によって使用している飲用水用の容器はそれぞれですが、いずれのタイプも容器に入れた水を放置するのは危険です。
雑菌・細菌が繁殖するためとても不衛生な状態となり、特に愛犬が水を飲んだ後は、容器内に唾液や食べカス・被毛などが入ってしまうため、それらが雑菌の繁殖スピードを加速させてしまいます。
水や容器の衛生管理を怠ると、それが原因で愛犬が食中毒になる可能性もあるのです。
これを防ぐためにも、1日に2~3回以上は水を入れ替えながら与えることを徹底してくださいね。
水の入れ替え時には、容器をきれいに洗いましょう。貯水槽などタンク式の機器を使用している場合も同様です。
◆配管の状態
水自体がきれいな状態でも、住居に取り付けられている水道管や貯水槽が汚れていることもあります。それによって水質が悪くなるケースもあるため、定期的な点検や浄水器などの取り付けを検討する必要がでてくる場合もあるでしょう。
高性能な浄水器であれば、水の汚れや臭いまでをも除去することができるので、安心して愛犬に与えることができます。
尚、整水器を利用している家庭もありますが、整水器を通した水である電解水素水は、ペットの健康状態・体質によっては適さない場合もあるようです。多くの整水器は使用する水のタイプを選べるようになっているので、愛犬に与える場合は浄水モードに切り替えてから与えた方が無難でしょう。
◆地域による水質の差
前述したように日本の水道水は、軟水が出ることが多いです。しかし、一部では硬水が出る地域(沖縄全土・千葉県木更津市・埼玉県熊谷市など)があるのです。
ミネラル成分の多い硬水を犬や猫に与えると、尿路結石症の原因になる場合があるため、腎臓病などの病気を患っている子にはおすすめできません。
お住いの地域が軟水または硬水であるか分からない場合は、水道局に相談してどちらの種類かを確認してください。もし硬水だった場合は、ペット用に軟水を準備する必要があるでしょう。
ちなみに、井戸水に関しては注意が必要です。水質調査を受け飲料水として問題ないと判明していればOKですが、管理されていない井戸水は病原体や化学物質に汚染されている恐れがあります。井戸水を飲料水にする場合は、年1回以上の水質調査を行うと共に、井戸周辺に野生動物が近付かないよう管理するようにしてくださいね。
水道水以外の犬の飲み水
繰り返しになりますが、ペットには軟水を与えるよう気を付けなくてはいけません。とはいえ、出先や自宅の水道水が硬水だった場合などで水道水以外を与えなくてはいけない場面もありますよね。
そんな時に備えるためにも、水道水以外でペットに与えてもよいとされる飲み水について知識を得ておきましょう。
◆ミネラルウォーター(軟水)
一見なんの問題もなさそうなミネラルウォーターですが、ミネラルウォーターにはさまざまな種類があり、全てのミネラルウォーターがペットの健康に問題のないものだとは限りません。
一般的に、人間が飲める水は犬に与えても大丈夫だと考えられていますが、ミネラルウォーターの硬度によっては愛犬の身体に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
ミネラルウォーターを与える際には、必ず軟水であることを確認してください。そうすることで、体内に結石ができるリスクを減らすことができます。硬水を与えることで食欲が減退するケースもありますので、十分注意してくださいね。
また、胃腸が弱い子の場合、ミネラルを豊富に含むミネラルウォーターを飲ませると、下痢などの症状を発症する場合もあるようです。普段と違う飲料水を飲ませた時は、その後異常がないか注意深く観察するようにしましょう。
もし何らかの異変が起きた場合は、一度動物病院を受診して獣医師に相談してください。
ちなみに水の硬度は、炭酸カルシウムの含有量によって分類されています。参考までに大まかな区分を紹介しておきましょう。
- 60mg/L以下 →軟水
- 60-120mg/L →中軟水
- 120-180mg/L →硬水
- 180mg/L以上 →超硬水
◆ペット用ミネラルウォーター
なにより愛犬に安心して与えられるのは、ペット用のミネラルウォーターでしょう。ペット用として販売されている各種商品には、ミネラルウォーターどころから硬度0の超軟水もあるのです。
ただ飼い主さんが暮らす地域によっては、なかなか店舗で見つからない場合もあります。通販などで手に入れることができますので、外出時や万が一の時に備えて、まとめ買いし常備しておくと良いでしょう。
犬も水分補給はとても大事!
犬や猫の身体は人間同様、体重の60~70%が水分で占められており、この水分が、体温調節・塩分調節・食べ物の消化、吸収、代謝・不要な物質の排泄など、様々な生命活動に関わっているのです。
例えば、ドライフードのように水分含有量の少ないフードを消化・吸収するためには多くの水分が必要で、水分摂取量が少なければ自分の体液を使って、それらを消化・吸収しなければならなくなります。そうするとより一層、体内水分量が減少して血液がドロドロになってしまい、ドロドロの血液が血管に負担をかけるようになってしまうのです。体内の有害物質も溜まりやすくなり、老化を加速させたり、内臓系の疾患を引き起こすリスクも高まります。
大切な愛犬の健康管理のためには、飲水量にも十分な注意を払うことが大切だというわけです。
飼い主さんは以下のポイントを抑えて、毎日愛犬の飲水量に気を配りましょう。
◆適切な水分摂取量
犬や猫の必要飲水量には様々な説があり、厳密に定めることはできません。しかし、必要量を判断するために一般的な目安量を紹介していきますのでチェックしてみてください。
◎1日の必要飲水量…体重1kgあたり約50~60ml (※エサに含まれる水分は含まず)
尚、上記の目安量は、体格・気温・運動量・給餌量・餌の水分量・餌の塩分量などによって変化してしまいます。個体ごとの正確な必要飲水量を知りたい場合は、かかりつけの獣医師にこれらの情報を伝えて回答をもらってくださいね。
◆水分不足のサイン
愛犬が水分不足かを知るためには、鼻・肉球・歯茎の乾き具合を確認しましょう。普段よりも乾いているようであれば、要注意のサインです。
また、皮膚をつまんで中々元に戻らない場合も、脱水が疑われます。背中や首などたるみの多い皮膚を引き上げてひねり、手を離したときに皮膚が元に戻るまで2秒以上かかる場合に脱水であると判断できます。ちなみにこれは、ツルゴールテストと呼ばれる方法です。
愛犬の状態に普段と違う様子や、行動に疑問点が浮かぶ場合は、いちど動物病院を受診してみると安心です。脱水症状は危険な状態に陥る可能性も秘めているため、決して軽視しないようにしてください。
◆水道水を飲まない場合
水道水には塩素が使われていることから、独特のカルキ臭がします。地域や住宅設備によってはこのカルキ臭が強く出てしまう場合もあり、匂いに敏感なペットが嫌がって飲まないケースもあるでしょう。
そんな時は、冷蔵庫で温度を冷やしてニオイを軽減させたり、水道水を沸騰させてカルキ抜きを行うなどの対処法をとってみてください。尚、カルキ抜きをした水は雑菌が繁殖しやすい状態となっていますので、いつもよりこまめに水の交換をするよう注意しましょう。
市販のペット用飲料水には、ヨーグルト風味などのタイプもありますので、そういった商品を試してみるのもよいかもしれませんね。
また水を飲ませる必要があるのにどうしても飲んでくれない時は、最終手段としてスポイトやシリンジを使って強制的に飲ませるしかありません。犬歯の後ろあたりにあるスペースにシリンジなどの先端をあてて、少量ずつ(2~3ml程)水を与えましょう。
普段から水を飲むのが苦手だという子には、ウェットフードを与えたり、ドライフードに水分(出汁や煮汁など)を混入して与える方法で水分量を補うよう対策してください。
いずれの場合も、毎日の飲水量が必要量の目安未満だと感じるのであれば、かかりつけの獣医師に一度相談してみることをおすすめします。
まとめ
ペットに飲ませる水として、水道水は最適な飲用水だといえます。ただし、軟水であることが前提ですのでその点は注意してくださいね。
飼い主さんが普段から硬水のミネラルウォーターを愛飲している場合は、愛犬が誤飲しないよう保管場所には十分気を付けましょう。
また、せっかく愛犬に適した飲用水を与えていても、管理がずさんであればデメリットを引き起こします。こまめに水を変えたり、器を洗うことを徹底して、しっかり衛生管理をしてくださいね。
浄水器やウォーターサーバーの使用を検討したい方は、ペットのいる家庭に向いているものを探してみましょう。そういった特集記事で情報を集めてみるとよいかもしれませんね。
愛犬と共に健康的な日々を過ごすためには、しっかり水分補給をすることが重要です。適切な量・成分・方法に配慮して、健康保持に力を入れましょう。
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