猫の口が半開きになっている!いったいなぜ?

2023.01.28

猫の口が半開きになっている!いったいなぜ?

猫はさまざまな表情を見せてくれるため、日々の暮らしの中で愛猫の表情をよく観察している方は多いことかと思います。 しかし、ふとした瞬間に愛猫を見てみると、口が半開きになっているといった表情をしていたら、なぜこんな表情をしているのかが気になりますよね。 猫が口半開きになるのは、果たして病気なのでしょうか。それともなにか、別の原因が隠されているのでしょうか?

猫が口を半開きにして固まっている!

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猫は鼻呼吸を基本としていますので、健康な猫ちゃんであれば口呼吸をすることはほとんどありません。しかしそんな猫たちも、時々口が半開きになっていることがあります。
初めて見た飼い主さんは特に、体のどこかに異常をきたしているのか、そのほかに何かしらの原因があるのかなど気になってしまいますよね。

猫の口が半開きになっているのには、いくつかの理由がありますので紹介します。

◆猫の口が半開きになっている理由

猫がなにかのニオイを嗅いだあとに、口を半開きにしているようなら、特に体に異常はなく正常な行動であると言えます。

この時猫の目はトロンとしている場合がほとんどですので、この表情を見たことのない方であれば「一体なにごと!?」と驚くかもしれませんが、猫がニオイを嗅いだ後に、口を半開きにしているのはフレーメン反応と呼ばれる猫の生理現象の1つなのです。

フレーメン反応についてよく知らないといった方も多いとは思いますが、いったいどのような生理現象なのかを詳しく見ていきましょう。


フレーメン反応とは

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前述の通り、フレーメン反応は何かしらのニオイに反応し、唇を引き上げて口が半開きになった状態のまま、一時的に固まってしまう生理現象のことを指します。

猫の他にも、馬や牛といった一部の哺乳類が行う行動です。
私たち人間から見ると「クサイ!」と言っているかのような表情であったり、なんともいえない間抜けな表情に見えるため、まったくと言っていいほど真剣味は伝わってこないかもしれませんが、当の本人は真剣そのものです。
決してそのニオイが臭くてその顔になっているわけではありません。

フレーメン反応の裏側には一体どのような理由があるのか、見ていきましょう。

◆フェロモンの確認作業をしている

猫がフレーメン反応を起こしている理由は、フェロモンの分析をしているからです。

フェロモンというのは動物の体内で生成される化学物質で、体外に分泌された際に同種の他個体に特定の行動や生理的変化を起こすものです。
猫の場合は主に顔周りや手足の肉球付近、肛門付近の臭腺から放出されており、マーキングや発情期の情報を知るための重要な情報源となっています。

フェロモンは特定の行動を引き起こすものと紹介しましたが、猫はこのフェロモンを感じとる時にフレーメン反応が引き起こされます。
特に発情期に分泌される性フェロモンは分子が細かくて繊細なため、異性の猫に対してニオイを嗅ぐ際に、フレーメン反応を起こすことがよくあると言われています。

猫は視力が低い変わりに嗅覚が鋭く、目で見て判断をするというよりは、対象物に鼻を近づけてニオイから様々な情報を読みとっていきます。
初対面の猫同士が鼻先を嗅ぎ合うのは、お互いの情報を交換して、相手がどんな猫なのかを知ろうとしている証拠ですが、鼻先での挨拶が穏やかに済めば、次はおしりのニオイを嗅ごうとします。
フェロモンが出ている近くのニオイを嗅いでいるときは、少しでも多くの情報を集めようという考えがあるのです。

おうちで一頭で飼われている猫たちも、生活の中でフェロモンに近いニオイを嗅いだり、自分から発せられているフェロモンを感じ取った時には、これはどのようなものなのか、より詳しい情報を得ようとして口を半開きになってしまいます。

グルーミングの際におしりの臭いを嗅いで口が半開きになってる様子を見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、決して臭いと思ったりしてあのような表情になっているわけではありません。
口が半開きになってしまうことにもちゃんとした意味があることを覚えておきましょう。

◆安全の確認をしている

フレーメン反応を起こす2つ目の理由は、安全確認をしているためです。

人間よりも数万倍優れた嗅覚を持つ猫は高い嗜好性を持ち、グルメな動物としても知られていますよね。

そのため、食べ物に対しての確認作業を怠るようなことはせず、腐っていないか、安全に食べられるものなのか、ニオイから判断し、腐敗したものや毒性のあるものを嗅ぎ分ける力を持っているのです。

ほかにも、敵の体臭や排泄物を嗅ぎ取って危険を察知する場合や、未知のニオイを嗅いだ際にもフレーメン反応をして、多くの情報を得ようとするこがあります。

◆フレーメン反応の仕組み

両生類、爬虫類、哺乳類などの四肢動物には、フェロモン需要に特化した鋤鼻器(じょびき)と呼ばれる、嗅上皮とは別の嗅覚器官が備わっています。

ヤコブソン器官とも呼ばれますが、この器官は鼻の中ではなく、前歯の裏側付近といった口腔内に存在しているため、より多くのニオイ物質を取り込もうとすることから口が半開きになってしまいます。
あくまで確認している間起こる現象ですので、長い時間口を半開きにするわけではありません。ニオイやフェロモンを感じてから数秒ほどで反応は終わります。

このように、猫たちは臭いと思ってそのような表情になってしまうわけではなく、生理現象であり真剣そのものとなるため、愛猫がフレーメン反応を示しているときは、話しかけるようなことはせずそっとしておきましょう。

ちなみに、人間の場合は胎児期に鋤鼻器は退化してしまうため、フレーメン反応を起こすことはできません。

◆フレーメン反応を起こしやすいニオイ

猫はグルーミングをする時間も多く、自身のニオイを嗅いだときにもフレーメン反応を起こす子は多いようです。

フェロモンの確認は自身の健康チェックにも繋がりますし、肛門付近(肛門腺)から出た分泌液などにも反応を示します。

また多頭飼育のご家庭では、ほかの猫のさまざまなニオイに反応したり、そのようなニオイが付いた布製品(自分のベッドや飼い主さんの服など)に反応したりと、必ずしも同じニオイでフレーメン反応をするわけではありません。

そのほかにも飼い主さんの靴下やTシャツ(脇付近)、タバコの煙などにも反応することがあるようです。


同じ「口半開き」でも注意が必要な時も

フレーメン反応の口半開きは、猫の生理現象となるため問題ありませんが、似ているけれど注意が必要な口半開きも存在します。

愛猫が以下のような口半開きをしている場合は、原因を追究して対策をする必要があると言えるでしょう。

◆威嚇している

威嚇する猫

猫の気が立って怒っているときに、相手を威嚇するために、口が半開きになることがあります。
猫が本気で怒っている時の威嚇は完全に犬歯を出し、声を出します。このように口を半開きにしている時は、怒る寸前の牽制している場面と言えるでしょう。

飼い主さんと遊んでいる際にこのような行動が見られた場合には、嫌なことがあったり、猫自身が興奮してしまっていることもあります。攻撃を受けないためにも無理に構うようなことはせず、気持ちが落ち着くのを待つようにしてください。

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◆口呼吸をしている

基本的に鼻呼吸の猫ではありますが、口半開きで呼吸をしている場合には、鼻からの呼吸がしづらくなっている可能性が高いです。

フレーメン反応はほんの数秒ですが、長い時間口が半開きで呼吸をしているようでしたら、「熱中症」や「呼吸困難の前兆」といった危険な状態であることも否めないため、見過ごさないようにし、早急に動物病院を受診するようにしましょう。

猫の呼吸数は平常時で1分間に平均で20~40程度となるため、この数よりも多い場合は様子を見るようなことはせず、すぐに動物病院で原因を探ってもらうことが大切です。

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◆口内に何か異変がある

呼吸は荒くもなく苦しそうな様子は見られないけれど、口が半開きで辛そうな表情をしている場合や、よだれを垂らしたり痛がったりする様子が見られる場合には、口腔内に何かしらの異常があるのかもしれません。

猫に多い口の中のトラブルには、「口内炎」や「歯周病」、「腫瘍」などがありますが、腫れや痛みが強く出ているために、口を閉じることができず、結果口が半開きになってしまうようです。

猫が眠っている間も口半開きの状態が続くようであれば口腔内の病気を疑い、すぐに動物病院を受診して、適切な治療を受けるようにしましょう。

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まとめ

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愛猫がポカンと口を半開きにし、トロンとした目をして固まっていた場合、一体何が起きたのか理解ができないといった飼い主さんも多いはずです。

基本的にはこのような行動をフレーメン反応と呼び、猫をはじめとした四肢動物の生理現象のため、そこまで問題視する必要はありませんが、フレーメン反応以外で口半開きの状態になっていた場合は、その原因を突き止めて早急に対処をしなくてはいけません。

愛猫が怒って威嚇しているようであれば、それ以上刺激しないことを心掛け、呼吸がしづらかったり口腔内に何かしらの異変があったりする場合は、早急に動物病院を受診して適切な治療を受ける必要がありますよね。

口半開きといった愛嬌のある表情を見せてくれる猫ではありますが、半開きの理由を飼い主さんはしっかりと理解しておき、安全な半開きなのか、危険な半開きなのかを見分けられるように、日ごろから愛猫のことをよく観察しておきましょう。



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たぬ吉

たぬ吉

小学3年生のときから、常に猫と共に暮らす生活をしてきました。現在はメスのキジトラと暮らしています。3度の飯と同じぐらい、猫が大好きです。


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