【掲載:2018.10.08 更新:2023.02.22】
ケース1:人間の顔を舐める犬
しっぽを振りながら人間の顔を舐める犬。飼い主さんとしては「愛犬がじゃれてきている」と思って嬉しくなってしまいますよね。
口だけをペロペロと舐めることもあれば、顔全体を舐めることもあります。「くすぐったいよ~」と笑顔になってしまいます。
この時の愛犬達は、いったいどんな気持ちなのでしょうか。
◆飼い主さんへの愛情を表現している
顔や口を舐める犬の行動の多くは「愛情」や「信頼」を伝えているようです。舐める時の様子を見ていると分かるように、
ペロペロと舐める時にはしっぽを大きく振って、体全体で飼い主さんに寄り添っています。
「大好き~」と伝えるために、口や顔を舐める愛犬。言葉で伝えることができない犬ならではの
精一杯の愛情表現だと思うと嬉しくてたまらないものですね。
◆人懐こい犬は家族以外を舐めることもある
また、飼い主さんだけに留まらず、お家にやってきた来客にまで飛びつき舐めることも・・・。
人見知りをする犬の場合はあまり考えられませんが、社交性があって誰とでも仲良くなれる
「人慣れ」している犬は、家族以外の人の顔もペロペロと舐めることがあります。
これは、「こんにちは!」「仲良くしましょう!」「遊んでね!」と友好の証と言われています。
犬に舐められた場合、敵視されていない証拠なので、仲良く遊んであげたいものですよね。
◆お腹がすいている?!
ごくたまに犬が「お腹がすいている」というケースもあります。これは、実は犬の野生の名残が関係しているとも言われています。
野生で生きている犬は、母親の口元をペロペロと舐めることによって「空腹」を伝えます。
もしかして、「ご飯が食べたいな~」とう犬のささやかな願いが含まれていると思うととても可愛らしいですね。
ケース2:人間の手を舐める
ちょっとくつろいでいる時に、犬が飼い主さんの手をペロペロ舐めてくることがあります。
飼い主さんは「愛犬の愛情表現かな」と喜んでしまうものですが、いったい本当のところは、どうなのでしょうか。
◆食べものが欲しいという気持ち!?
先ほども少しお話しましたが、野生の犬は母犬に食べものをねだる時には口元を舐めることでアピールします。
母犬は、子犬が舐めると自分の口から吐いて食べ物を分け与えるのだとか・・・。
母の愛を感じますね。つまり、子犬にとっては母犬の口を舐めると「空腹が満たされる」ということになります。
人間は、犬にごはんを与えるときには口から出したりしませんよね。多くの飼い主さんは、自分の手を使って、
「犬が食べるフードが入った皿を差し出す」「直接手に掴んでおやつを与える」というスタイルでしょう。
そこで、犬にとっては「手を舐めると食べものがもらえる」と思っているのかもしれませんね。
◆「ごめんなさい」のアピール…反省しているの?
飼い犬にはしつけのためと怒ってしまうこともしばしばあるでしょう。飼い主さんとしては怒った後に
「分かってくれたかな?」と心配になりますが、その後に手を舐める犬もいます。
それは「ごめんなさい」「怒らないで」という反省のアピールの意味が含まれているとも言われています。
◆飼い主を噛んだ直後にペロペロ
犬の噛み癖に困っているという飼い主さんもいるでしょう。犬が噛むことには何らかの理由がありますが、
その時は噛んだ相手に対して強さを見せているものです。
実は犬が噛んだ直後に人間の手をペロペロと舐めてくることもありますが、
実はそのときに次のようなことが起こっているかもしれないのです。
・噛まれた飼い主は犬に対して怒る
・飼い犬は噛むのを止めて飼い主の手をペロペロ舐める
・犬は「自分の方が強いんだ!」と猛アピール
・舐められた飼い主は「反省しているのだな」と勘違いする
こんなすれ違いが生じているなんて驚きですね。愛犬は「自分が上だぞ!反抗するなよ!」という意味で舐めているかもしれないので、
注意しなければならない行動のひとつです。
◆基本的には犬の「好き」のサイン
上記のようなケース以外で人間の手を舐める犬もいます。基本的には「好きだよ」というサイン。
嫌いな敵を舐めることはありません。そのため、犬に舐められた場合には、愛情表現だと思って優しく接してあげましょう。
ケース3:自分の足や体を舐める行動
犬の「ペロペロと舐める」という行動は、人間に対してだけではありません。
ふとした時に、自分の足や体を舐めていることがあります。
◆犬の体の異常?病気?
犬が自分の足を舐めている光景を見かけることがあります。実は、何らかの体の異常が原因のこともあります。
まず、けがをしていないか、皮膚が傷んでいないかという異常のチェックが必要です。あまりにも舐めすぎていて皮膚に赤い炎症が起きている場合があります。
同じ部分を何度も舐めている場合には、外傷や皮膚の状態を要チェックです。
外見に異常がなくても、病気が原因で内側に痛みを持って「舐める」ということも…。
その他、歩き方がおかしくないか、あまりにも頻繁でないかなど様子を見てあげましょう。
外傷や皮膚の炎症があれば比較的分かりやすいですが、見た目で判断できないこともあります。心配ならば、動物病院で診断してもらうのもいいですね。
◆犬のストレスが溜まっている
見た目だけでは何も異常がないのに、舐めることもあるでしょう。その時はストレスが溜まっているのかもしれません。
犬は何度も同じ箇所を舐めることで「自分を落ち着かせている」のです。環境の変化、過度の留守番、飼い主とのコミュニケーション不足など…。考えられる理由は結構あります。
犬への接し方を見直してみましょう。
◆犬が暇を持て余している
人間と違って、一日の多くの時間を犬達は「暇」に過ごしているもの。飼い主さんとのコミュニケーションの時間は何よりも楽しみです。
しかし、留守がちの家庭だったり、飼い主さんが多忙だったりすると「暇」が原因でストレスに発展。
犬が暇そうにしていたら、声をかけてあげる、おもちゃで遊ぶように誘ってみるなど積極的にコミュニケーションを高めていきましょう。
特に犬が暇そうにペロペロと自分を舐めている時には、気を逸らしてみてくださいね。
ケース4:自分の尿を舐めているけど大丈夫なの?!
室内犬の場合、しつけができていればシーツにオシッコをします。「おりこうさんだね~」と誉めようとした矢先に、
シーツについた自分のオシッコを舐めているのを見かけることがあるかもしれません。
これについての理由が気になりますよね。
◆舐めても大丈夫な理由とは?
人間だと自分の尿を舐めることは考えられませんが、犬の世界では自分や他の犬のオシッコを舐める行動は、特に珍しいことではありません。
実は「免疫をアップさせる」という良い意味もあるとか!犬のおしっこには、体の免疫を高めることができる善玉菌も入っています。
ただ、オシッコを舐めた後に人間を舐めてくることもあるので、衛生的にもなるべくなら止めさせたいと…思う飼い主さんは多いでしょう。
舐めるところを見つけたら、優しく気を逸らしてあげるのもいいですね。
◆単に「ニオイ」が好き
ペットシーツには無臭のものもあれば、ワンちゃんの独特なオシッコの臭いを緩和させる香りがついているものもあります。
それとオシッコが混ざったニオイが気になって舐めることもあります。
そのうち、習慣化することも…。オシッコをした後に必ず舐めてしまうというワンちゃんもいるようです。
ケース5:家じゅうの床を舐める行動は?
じゅうたんやフローリングの床を犬が一生懸命ペロペロと舐めていることもあります。
◆気になるニオイを探している
その時に、きっとニオイをクンクンと嗅ぎながら舐め歩いているなら、何かのニオイが気になっているのでしょう。
犬の嗅覚は人間では分からないものも嗅ぎ分けることができます。愛犬の好みのニオイが床に付着しているのかもしれませんね。
◆好みの味がする
また、家族が食べものや飲み物をこぼしてしまった後に、気になって舐めていることもあります。
舐めるのを止めさせたい場合には、ペット用の舐めても大丈夫というようなスプレーでニオイを取り除いてあげるようにしましょう。
◆退屈しのぎ
暇過ぎて、床のニオイを嗅ぎながら、舐めて気を紛らわしていることもあります。退屈そうに床を舐めていたら一緒に遊んであげるようにしましょう。
◆ワックスに要注意
フローリングのワックスには、犬に有害な成分が入っていることもあります。
ワックスをしたばかりのフローリングを舐めすぎて、愛犬が具合を悪くすることもあります。
ペットを飼っている場合には、犬の安全性に配慮して住宅の清掃をするようにしましょう。
舐める犬を止めさせるべき!?犬の「舐める」行動で注意したいポイント
愛情表現など理由が分かれば、犬のペロペロと舐める行動は受け入れてあげたいものですよね。しかし、実は注意すべきポイントもあります。
「飼い犬には、人間の顔や口を舐めさせないようにしつけている」という飼い主さんのお話を聞く事もあります。
犬の愛情表現なのだから受け入れてあげないのか…?と疑問に思ってしまいそうですが、実はこれには理由があったのです。
場合によっては感染症のリスクがあるので、知っておきたい話です。
◆犬の口の細菌が感染症を引き起こす!?
犬の口の中の細菌が原因で「感染症」にかかるリスクがあると言われています。犬から人間へと感染する「菌」は、口内感染します。
このように「犬」と「人間」に感染するものを人畜共通感染症(ズーノーシス)と言います。
主な人畜共通感染症には、犬の約7割が口内に菌として持っている「パスツレラ」が原因となる感染症があります。
多くの犬が持っている菌ではありますが、基本的に健康体である人間ならば感染したところで病的な症状として必ず出る訳ではありません。
気をつけるべきなのは、高齢の方や小さなお子様。免疫力が低下している状態の人間では、
この「パスツレラ」という菌が感染した後に、重症な症状を引き起こすことがあります。
普段健康体の若い世代の人でも、体調が弱っている時に感染することがあるので、気をつけるべきなのかもしれません。
愛犬の愛情表現として受け入れたいものですが、こうしたリスクも少なからずあるという知識を頭に入れておくことも大事です。
他の動物はどんな理由で舐める?
犬が人間を舐める理由には、いろいろなパターンがあることが分かりましたよね。
それでは、犬以外の動物はどんな感じなのでしょうか。
◆猫の場合
猫にとって、飼い主さんは「一緒に暮らしている仲間」という位置づけ。
犬のように「飼い主さんはリーダー」とは思ってはいません。
そんな猫が飼い主さんを仲間としてみている証拠がペロペロと舐めること。
「仲間と認めているよ」「大好きだよ」「敵とは思っていないよ」という表現だと考えられています。
また、ツンデレと言われる猫はふだんの生活で飼い主さんと距離を置くケースもありますが、甘えモードになると「構ってアピール」で飼い主さんを舐めることもあるようです。
ただ、猫の舌はザラザラとしていてかなり特徴的があり、舐められる時間が長いと飼い主さん的には少し痛いかも。
愛情表現は嬉しいけれど、複雑な気分になりそうですね…。
◆ウサギの場合
ウサギの舌はとても小さく可愛らしいピンク色。
舐められるとくすぐったいような不思議な感覚です。
ウサギは、自分のことを構って欲しいときに大好きな飼い主さんへの甘えの気持ちから舐めることがあります。
ウサギの「舐める」行動は、愛情表現と考えても良さそうです。
舐められたときには、優しく撫でてあげて「私も好きだよ」とスキンシップで応えてあげて安心させてあげましょう。
◆ハムスターの場合
手のひらサイズで小さすぎる動物。
お部屋のなかだけで飼うことができるので、ペットとしても人気がありますよね。
コンパクトサイズのハムスターの舌でペロペロ舐められると、とても愛おしい気持ちになりそうです。
実は、ハムスターが飼い主さんの手のひらをペロペロと舐めるのは、塩分から感じられる「しょっぱさ」を求めていることが多いとも言われています。
「信頼されているのかな?」と思いきや、塩分補給と聞くとちょっとがっかり感もありますよね…。
でも、そもそも慣れていない人間の手のひらでは必死の抵抗で噛んだりとジタバタモードのことが多いようです。
そのため、「噛む」のではなく、「舐めている」のなら、かなり慣れてきている証拠。
ハムスターにとって安心できる存在になっていることは間違いないので、喜べることなのかもしれません。
ペットが飼い主さんを舐めてくるときの理由は、そのときの状況によって変わりますが、愛情表現のことが多いようですね。
安心しているからこそ舐めてくるのでしょう。
化粧品やハンドクリームを舐められないように注意が必要
犬たちがペロペロと舐めてくる行動はとても可愛いですね。ただ、気をつけたいのが化粧品関係。
食器洗いの後にハンドクリームを塗る習慣の人も多いでしょう。
お風呂あがりのスキンケア後の手には、化粧水や乳液などの成分がついたまま。
これらのクリームの良い香りにつられて舐めてくる犬や猫も多いかもしれません。
しかし、人間用のハンドクリームなどの化粧品には、ペットが舐めると有害になる成分も…。
ペットと触れ合うときには、きれいに手を洗って化粧品がつかないように気をつけた方がいいでしょう。
愛犬の気持ちを知ることでより愛情を注いであげることができる
言葉が話せない犬達にとって、ペロペロと舐めることは一つのボディランゲージ。飼い主さんや身近な人に気持ちを訴えていることが多いです。
愛情を伝えてくれる舐め方もあれば、病気やストレスが原因という心配な舐め方もあります。
また、中には感染症のリスクがあり止めさせた方がいいものまで…。
止めさせるべきものと放っておいていいものを見極めながら、愛犬との幸せな暮らしを実現していきましょう。
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