1.シニアの大型犬のためにできる食事の工夫
1-1.工夫①食べやすい体勢を整えよう
1-2.工夫②柔らかいものを与えよう
1-3.工夫③消化の良いものを与えよう
1-4.工夫④カロリーのとれるものを与えよう
1-5.工夫⑤水分をとれるものを与えよう
1-6.工夫⑥匂いを出す
1-7.工夫⑦食べやすい食器を準備しよう
2.大型犬の介護食について
2-1.シニア犬には介護食が必要
2-2.流動食の与え方
2-3.療法食の場合は動物病院へ
3.大型犬のおやつを選ぶ時のポイント
3-1.適度なサイズのもの
3-2.長持ちするもの(固いもの)
3-3.1回に与える量が調整できるもの
4.シニアの大型犬のおやつを選ぶ時のポイント
4-1.柔らかめのもの
4-2.消化吸収が良いもの、無添加
4-3.低脂肪のもの
【掲載:2018.01.25 更新:2020.07.13】
シニアの大型犬のためにできる食事の工夫
大型犬を介護する際、食事を与える時にできる工夫にはどんなことがあるのでしょうか。ポイントごとに確認してみましょう。
◆工夫①食べやすい体勢を整えよう
大型犬は体重が重いため、介護が必要なほどの高齢や身体状態になると、体重を支えながら食べることが困難になります。
そのため、食事が入った食器を高さのある台に乗せて、首を下におろさずに食べられる様にする方法などの工夫が必要です。
さらに、台に乗っているものが食べづらい様でしたら、取っ手のついたボウル状の食器に入れて、飼い主が手で持ち、口元に持っていってあげる配慮も必要です。
寝たきりの大型犬介護をしている場合には、頭や上半身を膝に乗せたり、クッションや座布団で頭を持ち上げてあげると食べやすくなります。
この時、横向きで食事やおやつを食べてしまうと、大型犬が誤嚥を引き起こす可能性も高いため、頭をまっすぐと伏せの状態になるように体勢を整えてあげることが大切です。
自力で食べられる力が残っている間は、なるべく自分で食べることができることを重視した食事介護をすることをおすすめします。
◆工夫②柔らかいものを与えよう
大型犬は高齢になるにつれ、顎の力や咀嚼力に加えて、飲み込む力が衰えます。そのため、食事を飲み込みやすい形状にする工夫が必要です。
老犬用のウェットフードを与える他、食事にお湯や温めたミルクを少量いれふやかしてあげる方法もおすすめです。
◆工夫③消化の良いものを与えよう
老犬となった大型犬は、胃腸機能も衰えるため、食事やおやつを選ぶ際には消化が良いものを選択する必要があります。
老犬の場合、一つのトラブルが連鎖的に悪循環のサイクルを引き起こす事も多いため、消化の良い食事を心がける事は、大型犬にとって大切な介護ケアだといえます。
胃腸に負担をかけてしまう、消化の悪い食事やおやつを食べさせることは、胃炎や大・小腸性の下痢、胃潰瘍などの病気を引き起こす可能性もあるので注意しましょう。
生野菜などは避け、消化吸収の良い老犬用のフードや柔らかく煮た自家製フードに、年齢と共に移行していくことをおすすめします。
◆工夫④カロリーのとれるものを与えよう
食べる量が少ない大型犬には、カロリー摂取のために栄養の高いおやつや補助食品を混ぜる、といった方法もあります。また、関節などのサポート用や皮膚のケアなど悩みに合わせて、サプリメントを使用してもよいでしょう。
◆工夫⑤水分をとれるものを与えよう
高齢の大型犬に多いトラブルの一つに「脱水」があります。体内の水の10%が奪われると、犬は脱水症状に陥ります。老犬は、若い犬と比べて腎臓機能が低下するため、体内に水を保有しておく機能が衰えやすくなっています。
脱水症状を起こした老犬は、無気力、元気の消失などの目に見える症状から、下痢・嘔吐、身体の震えなどを引き起こします。特に下痢・嘔吐は、更なる脱水を引き起こす可能性もあるため、高齢犬には大敵です。
脱水状態が続き、多くの脱水が起こった場合には、ショック症状を引き起こし、死に至る事もあります。
脱水は水分量の多い食事をとることで予防することができます。野菜を煮た際の煮汁を入れる、フードをお湯やミルクでふやかすなどして、対応しましょう。
◆工夫⑥匂いを出す
大型犬介護の悩みの一つに、「食事を食べない」といったことがあります。若い頃よりも欲求に疎くなるため、食事を嫌がる、食べたがらない、食事に対して興味を無くすシニア大型犬は多いです。
食事に関心を引くために、食事の匂いを出すことはとても効果的です。シニア大型犬は嗅覚も衰えているため、若い頃よりも匂いに鈍感になっています。フードを人肌程度に温めてあげると、匂いが出る様になり、嗜好性も上がります。
簡単な方法はレンジで10秒程度温めることですが、お湯を混ぜる、湯煎する、食器自体を温めておく、などの方法もありますので、毎日続けることのできる方法を選ぶことをおすすめします。
◆工夫⑦食べやすい食器を準備しよう
シニアの大型犬は、顎の力が弱くなっているため、パクパクと口を動かして食べていてもポロポロと口からこぼれ落ちてしまうことが多いです。
食器はなるべく底の丸いボール状のものがおすすめです。角張ったものよりも、舐め取りやすく全量を負担無く食べることができます。ステンレス製の犬用食器や100円均一ショップのキッチン用ボールなどでも代用が可能です。
大型犬といっても顔が細い犬種や、顎が太い犬種などいますので、飼っている大型犬のサイズにあった食器を選ぶように心がけましょう。
大型犬の介護食について
立ちあがる力が衰えて寝たきりになってしまったり、顎の力や噛む力が極端に衰えたシニアの大型犬は、流動食などの介護食を与えることが一般的です。
◆シニア犬には介護食が必要
介護食は段階により様々ですが、市販のフードや療法食をふやかして与えたり、飲み込みやすい様にとろみをつけるなどの工夫をします。
流動食の場合は、市販のドライフードを砕いたり、ウェットフードにお湯やミルクを混ぜてトロトロにする方法などありますが、多くの場合は流動食用の療法ウェットフードを使うことが一般的です。
◆流動食の与え方
流動食は、スプーンなどから与える方法もありますが、食べる気力も噛む力も衰えたシニアの大型犬には、シリンジで口の中に押し入れて上げる必要があります。
シリンジは利き手で持ち、親指でピストン部分を押し入れる持ち方が一番固定できるのでおすすめです。
大型犬の犬歯の隙間から少しずつシリンジの先を入れ、流動食を流し込みましょう。飲み込んだらまた少しずついれる、といった方法でゆっくりと時間をかけて与えます。この時、頭をしっかり起こして誤嚥防止をするようにすることが大切です。
◆療法食の場合は動物病院へ
療法食のウェットフードは、獣医師処方により購入することが出来ます。
療法食は市販フードに比べて高カロリーで、高タンパク、高脂肪に加え、免疫力を維持するアルギニンやオメガ-3脂肪酸、筋肉のエネルギーとなる分岐鎖アミノ酸(BCAA)などが配合されているため、介護が必要なシニア大型犬にぴったりです。
大型犬のおやつを選ぶ時のポイント
おやつはしつけのご褒美やストレス軽減、カロリー維持などの目的で与えます。大型犬のおやつを選ぶ時のポイントにはどんなことがあるのでしょうか。確認してみましょう。
◆適度なサイズのもの
身体の大きい大型犬は、おやつを丸飲みしてしまい喉に詰まらせるトラブルも多いため、サイズには注意が必要です。
基本的には、大型犬用と表記してあるおやつを選ぶ様にしましょう。
また、噛み砕いて食べるタイプのおやつの場合は、噛んだ際に鋭角に折れるものは選ばない様にすることが大切です。
◆長持ちするもの(固いもの)
時間潰しのためや長時間与えたい場合には、長持ちする固いおやつがおすすめです。大型犬用ガムやアキレス、ボーン(骨)などが市販されています。
犬用ガムやアキレスなどは、丸飲みや鋭角に折れる可能性も高いため、必ず目の届くところで大型犬に与える様にしましょう。
また、長く噛むおやつは口臭が気になることもありますので、歯磨きも定期的にしてあげるようにすると良いでしょう。
◆1回に与える量が調整できるもの
雨であまり運動量が取れなかった日や沢山動いた日など、状況や体調に合わせて1日の量が調整できるおやつもおすすめです。
犬用ビスケットやクッキーなど、市販おやつも沢山販売されています。市販のおやつの場合は、パッケージに1日の最大量が記載されているため、必ず守って与える様にしましょう。
シニアの大型犬のおやつを選ぶ時のポイント
シニア犬のおやつは、主に栄養補助としての補食扱いであることが一般的です。シニアの大型犬のおやつを選ぶ時のポイントについて、ご紹介します。
◆柔らかめのもの
シニア大型犬は顎や噛む力が衰えているため、負担をかけない柔らかめのおやつを選ぶと良いでしょう。
若い頃の様なガムやアキレスではなく、ビスケットや一口サイズの犬用チーズなどが一般的です。
市販ビスケットなども、シニア用と記載のあるものはやわらかく仕上がっているものが多いため、必ずパッケージを確認するようにしましょう。
◆消化吸収が良いもの、無添加
シニア大型犬は胃腸機能も衰えているため、消化吸収の良いおやつがおすすめです。無添加のおやつだと、より安心です。
犬用ゼリーやヨーグルトなどは、水分も摂れるため脱水が気になるシニア大型犬には特に効果的です。
◆低脂肪のもの
シニア犬は運動量が減り、基礎代謝自体も衰えるため、1日の必要カロリーが減ります。
そのため、若い頃よりも低カロリーの食事接取量になることが一般的です。
カロリーを抑えるからといっても脂肪をカットするのではなく低脂肪に切り替え、上手に与えていくことが大切です。
高齢の大型犬の特徴を知りましょう!
シニアの大型犬は、一日のカロリー摂取量が少なくなり、噛む力も弱まり、嗅覚や胃腸機能も衰えていきます。そのため、今回ご紹介したポイントに注意して食事やおやつを取り入れていく必要があります。
年齢を重ねるにつれて、飼い主の負担は大きくなりますが、気を付けるポイントを知って上手に介護していくよう心がけましょう。
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