犬は意外と戦略家?犬はウソをつく動物だって知っている?

2018.06.21

犬は意外と戦略家?犬はウソをつく動物だって知っている?

犬の頭の良さは、動物界ではトップクラス。 自分の利益のために戦略的にウソをついたり、逆に、人間のウソを瞬時に見抜いたりもできます。 今回は、犬が持つ「ウソ」に関する能力について考えていきましょう。

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犬が人間に対してウソをつくってホント?!

犬は人間に対してうそをつくって本当?

「嬉しいときにはしっぽをブンブン!」「怒ったときには大声でワンワン!」など、犬と一緒に暮らしていると、自分の感情を素直に表現している姿がとても可愛らしく感じるものです。
でも、実はそんな数々の行動のなかにも「ウソ」が含まれているのだとか。

「ウソ」は言葉を話せる人間だけのものと思っていましたが、動物でもウソをつくなんて意外ですよね。
ただ、人間がつくウソとは、内容や真意もだいぶ違っているようです。

いったい、どんな違いがあるのでしょう…。

◆人間のウソ、動物のウソ…その違いって何?

おそらく、これまで生きていて「一度もウソをついたことがない」という人はいないかと思います。
人間がつくウソは、「その場を取り繕う」「相手への配慮として」「自分をよく見せたい」「相手を窮地に追い込む」など、いくつか種類があるような気がします。
そのなかでも、相手のため、見栄を張るためといった類のウソだと第三者が傷つく可能性は低いです。
しかし、ウソによって相手を陥れたりするなど、信頼関係が崩れ自分や相手の人生に影響を与えるような状況になることもあるでしょう。

このように、言葉を話せる人間のウソは、ちょっと深刻なものも多いかもしれませんね。

一方、動物がつくウソはちょっと違います。
「相手をどうにかしてやろう」ということではなく、どちらかというと”自分のため”という意味合いが強いです。

◆動物がつくウソとは?

ウソをつく動物として知られているのは、鳥や虫などです。

鳥は子育てのときにウソをつくことがあります。
「巣」を敵から守るために相手を混乱させる行動をとったり、他の鳥の巣に卵を産み落とし育てさせたりなどです。

虫は、自分の体の形を変えて相手から身を守ったり、攻撃したりすることがあります。

こうした動物界のウソは、厳しい自然界を生き抜くための本能的な術のようなものと言えます。


犬がウソをつくのはどんなとき?

犬がウソをつくのはどんなとき?

野生動物なら、常に敵に立ち向かったり、食料を探したりする必要があります。
「子供のため」「自分のため」と、他の動物をあざむくこともあるのは理解ができますよね。

でも、家庭でペットとして飼われている犬たちがウソをつくというのは、果たして何のためなのでしょう。

◆もっと美味しい食べ物が欲しくてウソをつく

ごはんやおやつが大好きな犬は、食事の時間になるとしっぽを振ったりテンションがあがる様子が見られ、心から喜んでいるのが分かります。
「食事のときにはドライフードしか与えない」と徹底している飼い主さんでも、ときにはトッピングや果物、犬用のミルクなどあげることもあるでしょう。
毎日ではなくても、時々食べさせていれば「味を分かっている」可能性があります。

そんなワンちゃんは、「このドライフードよりもっと美味しいものがあるよね?」と目の前に出された食事に手をつけずに戦略的にウソをつくことがあります。
飼い主さんは、犬が食べないと具合が悪いのかもと勘違いし、心配のあまり、「何か少しでも食べて欲しい」と特別感のある食べ物を食べさせることになるかと思います。

過去に一度でも「フードに手をつけない→ふだんとは違った美味しいものをプラスする」というシチュエーションがあれば、犬はそれをしっかりと学習しています。
「これに手をつけなければアレが出てくるかも」なんて感じで計算しているのかもしれません。

◆病気やケガを装うことも…

学生時代に「学校に行きたくない」なんて経験をしたことがある人は多いでしょう。
学校を休むための代表的なウソとして「仮病」がありますよね。
「風邪かもしれない」「お腹が痛い」「頭痛がする」など、本当はなんでもないのに病気のふりをするウソは子供時代にありがちな「ウソ」かもしれません…。
子供に限らず、仮病を使うと周囲の人が自分に優しくしてくれることを知って、具合が悪いウソをつくことがありますよね。

実は、犬界でもそんなウソが稀にあるのです。

例えば、散歩中に急に立ち止まる犬がいたとします。
表情を見ると、なんだか疲れているような痛がっているような感じもするかもしれません。
もし、足を引きずっていたらどうでしょう。
おそらく、多くの飼い主さんは「大丈夫?」と優しく接するでしょう。
足を痛めていると大変なので優しく犬を抱きかかえて家に帰ることになるかと思います。

そしたら、ケロッとして家のなかを走り回る…。
「さっきの異変は、もしかしたらウソだったのかな~!?」なんて、そこで飼い主さんも気づくかもしれません。

犬的には「ウソをついてやろう!!」なんて大袈裟なものではなく、「飼い主さんが優しくしてくれるだろう」と心地よさを期待しての可愛らしいウソなんでしょうね…。
犬は、「疲れたふりをする」「痛い演出をする」ということが、大好きな抱っこに繋がると学習しているのです。

ただ、犬は言葉を話せないので「さっきのウソでした!」なんて告白はしません。
そのため、もしかしたら本当に病気やケガということも考えられます。
人間側が犬のウソを見抜く力を養わなければ、病気やケガを見過ごすこともあるので日々の観察眼が必要と言えます。
あまりにも続くようならウソと決めつけずに、「ウソではなくホントなのかも?」と病院に連れていくことも考えた方がいいのかもしれません。

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◆犬のウソは戦略的だけど可愛らしい

このように、犬がつく「ウソ」は、自分の利益のためにちょっとしたウソをつくことがあります。
ウソ…というよりも、演技、戦略、計算というような感じです。
賢い犬だからこそできる技なのかもしれません。

でも、不思議と愛犬にウソをつかれても怒りの感情が全く沸いてこない飼い主さんも多いのではないでしょうか。
むしろ「うちの愛犬、なかなかの演技派だな~」なんて笑いながら感心こそしてしまいますよね(笑)


人間のウソを見抜ける能力も兼ね備えている

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次は、人間がついたウソに対し、犬はどう思っているかという逆パターンのお話です。
実は、さまざまな研究や実験から「犬は人間のウソを見破ることができる」と分かっています。

◆愛犬にウソをついたことがある?

犬に対してはウソをつく必要性がないので、多くの飼い主さんは「愛犬にウソをついたことはない」と答えるかもしれません。
しかし、実は飼い主さんがウソと認識していないほど、軽い感覚で犬にウソの言葉を伝えていることも…。

例えば、一緒に遊ぼうと愛犬に近づいたものの、こっちを振り向いてくれないとき、「散歩に行こうか?」なんて言葉をかけたことはありませんか?
散歩が大好きなワンちゃんにとって、「散歩」という言葉は一気にテンションがあがる一言。
おそらく、嬉しがってこちらに駆け寄ってくることでしょう。

また、本当の目的は動物病院受診なのに「散歩に行こうね」なんて家の外に連れ出してしまう…なんて飼い主さんもいるのではないでしょうか。

こんなときの飼い主さんは、「ウソ」というよりも「気を引きたい」という気持ちに近いようです。
「騙してやろう」なんて悪質なものではありませんよね。

このように、自然にウソをついてしまっていたことは少なからずあるのではないでしょうか。

◆犬は人間のウソに敏感!見破る優れた能力を持つ

犬の知能は、人間の幼い子供くらいと言われています。
幼少期の子供は、お父さんやお母さんといった大好きな人たちの表情や言葉に反応することが多いですよね。
それと同様に、犬も飼い主さんの「表情」「言葉」「声の雰囲気」などを総合的に脳で感じ取っているというから驚きです。

例えば、愛犬を褒めるとき、みなさんはどんな表情をしますか?

おそらく、極上の笑顔で愛犬に語りかけるのではないでしょうか。
笑顔で語りかけられるとそれは「幸せなことが起こる」と、犬は飼い主さんの笑顔を嬉しいことと普段から認識しています。
それに、愛犬を褒めるときは、飼い主さんの「幸せ感」も高いので、「お利口だね~」「可愛いね~」「頑張ったね~」なんて声色も高く優しくなるのが普通です。
このとき犬は、声質や抑揚を右脳で感じ、逆の左脳では言葉を理解します。

これは、動物研究チームによるある実験からも実証されています。

「抑揚あり+犬が喜ぶ言葉」「抑揚なし+犬が喜ぶ言葉」「抑揚あり+意味のない言葉」「抑揚なし+意味がない言葉」の4パターンで実験したところ、犬が喜ぶ言葉に抑揚をつけて本気で伝えたパターンのとき、犬の脳からドーパミンが分泌されたのだそうです。

つまり、犬は言葉の意味を理解しつつも、「それが本気なのかウソなのか」を声色でも判断できる優れた脳を持っているのです。

◆人間にウソをつかれたときの犬の反応は…

愛犬の行動が可愛らしくて、ついつい何度もウソをつくことがあるかもしれません。
犬が喜ぶことを言葉にし、そのときの犬の反応を見てコミュニケーションを取っているつもりであることも…。
しかし、このような人間の行動はNGなのです。

外に交友関係を持たない犬の世界は狭く、自分にとっての生活範囲は自宅だけ。
毎日のように向き合えて、気を許せる唯一の存在は飼い主さんだけなのです。

絶大な信頼をおいている飼い主さんからは「飼い主さんの喜び=自分の喜び」、「飼い主さんの悲しみ=自分の悲しみ」と感じとります。

そんな飼い主さんからウソをつかれたとき、愛犬は「悲しい」という気持ち以外は芽生えません。
散歩に行くつもりはないのに「散歩に行く?」と言って喜ばせたり、ごはんをあげる時間じゃないのに「ごはんを食べる?」と気を引いたりするウソはやめるべきでしょう。
犬たちは、人間の心理が分かるわけではないので、「冗談だったんだね!残念~!」なんて気持ちを切り替えることはできません。
人間がつくウソは、ピュアな心を持っている犬を知らず知らずのうち傷つけている行動なのです。

◆ウソが頻繁になると次第に信用されなくなる

さんざん喜ばせておいて悲しませるというウソは、賢い犬にとってはショックな出来事として頭にインプットされていきます。
続けているうちに「この人が発する言葉はウソだ」と信用度が低くなっていくので気をつけましょう。
当然のことですが、信頼できない人からの指示に従うはずもなく、しつけも難しくなってきます。

からかったときの愛犬の表情が可愛いなどと一方的に楽しんでいても、犬側にしてみると悲しいだけの出来事です。
「冗談だから」と軽く考えずに、犬の気持ちに寄り添ってウソは止めるようにすべきかと思います。


まとめ

自分の「得」となることを考えて戦略的にウソを使いこなすなんて、犬の賢さにビックリさせられますよね。
騙された飼い主さんも「うちのワンコはウソがつけるほど賢いのだ」と嬉しくなるかもしれません。
でも、騙されてばかりだと犬との立場が逆転することもあるので気をつけるようにしましょう。

また、逆に「人間が犬にウソをつく」ことに関して言えば、思い当たる節があるならすぐに止めた方がいいでしょう。
犬との信頼関係にも影響してきます。
犬には、飼い主の表情・心情・言葉の意味・抑揚など、総合的に判断できる能力があり、人間が考えているよりも遥かに頭脳は優れています。
ウソをつくことで愛犬の気持ちが離れていくなんて悲しいことです。

お互いが笑顔で幸せに暮らせるように、もっともっと犬の気持ちを理解するようにしたいものですね。



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笹本 雅

笹本 雅

犬が好きです。小型犬でも大型犬でもとにかく犬が大好きです。これから犬種についてや豆知識や健康についてなど、幅広いワンちゃんについての情報をご提供していきます。犬好きの方にぜひとも見ていただいてご意見いただければと思います!


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