犬が飼い主の後をついてくる理由は?
カルガモの行列の様に、飼い主の後をテクテクと犬が追いかけてくる経験をした事のある方も多いのではないでしょうか。これは「後追い行動」という犬の行動パターンの一つです。
後追いは傍目から見ると可愛らしい光景ですが、後追いする原因によっては問題行動の一つとなります。
犬がついてくる後追い行動をする理由には、どんなことがあるのでしょうか?
◆理由①飼い主に対する依存
飼い主に対して、他の犬にも増すほど依存をする犬がいます。そういう犬は、飼い主と離れることに不安を抱くという理由から、離れないで必ずついてくる行動をとります。
この場合は散歩中だけでは無く、室内でも見られます。
◆理由②不安なことがある
散歩中の怖い踏切の音や、車の走る振動、子供たちの走る足音など、犬が怖がる音は生活の中に沢山潜んでいます。犬はそういう時に、頼りになる飼い主に依存してしまうことが多いです。
そういった場合、犬は飼い主から一時も離れない、どこに行くにもついてくるなどの後追い行動をとります。
◆理由③環境の変化
旅行先や、いつもと違う場所にいるとき、引っ越しをしたときなど環境の変化が理由で、飼い主と離れないで後追いする犬もいます。
この場合は、どの部屋に行くにも、どの場所に行くにも犬がついてくる状態が多いです。
◆理由④本能
群れで生きる動物である犬は、リーダーの後をついてくることが当たり前の生活が本能として備わっています。
そのため、飼い主をリーダーとして認識している場合に、離れないでついてくることがあります。
この場合は群れで生きる動物としての本能が、後追い行動をする理由となっています。
◆理由⑤要求がある
「散歩に行きたい」「おやつやごはんが欲しい」、「遊んでほしい」という要求が理由の場合、飼い主についてくる行動や、離れないことがあります。
この場合は飼い主の後をついてきて、要求が叶うまで離れない犬が多いです。
中には、犬のトイレが現在居る部屋と別の場所に設置している場合に、トイレに行きたいからドアを開けてほしい、という要求のために後追いする犬もいます。
犬の後追いが多い年齢は?
犬が飼い主の後をついてくる、離れないという後追い行動が多い年齢は、何歳なのでしょうか。
後追い行動自体は、どの年齢の犬にも起こる現象です。その中でも、特に子犬期と老犬期の年齢に多く出現しがちです。
◆子犬時期の後追い
子犬の場合、母犬と別れて新しい環境に来たことや、初めて見るもの・場所に対する不安があるため、後追い行動に出やすいです。
飼い主と認めた人に、縋るような気持ちで離れない、後をついてくる、という子犬の行動はよく見られます。
◆老犬時期の後追い
老犬の場合は、離れることよりも、傍にいる方が安心だから、という理由の方が大きいでしょう。
老犬になると、犬は耳が遠くなり、脚は若い頃の様に自由には動かず、寝たきりだったり、認知症(痴呆)症状があったりします。
弱い存在になればなるほど、犬は他者に依存しがちです。特に長年一緒にいた飼い主に依存する犬が多く、一時も離れない犬も多くなります。
分離不安症になっている可能性も?
後追いが酷い場合、飼い主と離れることに対して不安を抱えてしまう、「分離不安症(障害)」になっている可能性があります。
◆分離不安症とは?
飼い主に対しての分離不安症(Separation anxiety disorder)とは、飼い主と離れると不安になってしまう精神的な症状のことを指します。
分離することを怖がる犬は、飼い主がどこに行ってもついてくる、離れないなどの特徴があります。
重症になると、飼い主と離れることに対して過大なストレスを感じる様になり、ストレスや自傷行動、部屋を荒す、わざとトイレでは無い場所に排泄をする嫌がらせをする、などの問題行動が出ることが多いです。
犬の分離不安症は、問題行動の一つとして広く認識されています。
◆後追い以外の分離不安症状は?
飼い主の後をついてくる後追い行動以外の症状には、様々なものがあります。
・飼い主から目を離さない
・膝の上をキープする(多頭飼いの場合に多い)
・来客に対して吠える・噛む(飼い主と自分のテリトリー侵害に対しての攻撃)
・トイレや浴室にまでついてくる
・留守番が出来ない
◆分離不安症の治療方法は?
犬の分離不安症は、単純な後追いと違い、薬剤による治療をすることがあります。その際には、三環系抗うつ薬の一種である塩酸クロミプラミンで組成されたクロミカルム(ノバルティス社)などを使用します。
クロミカルムには、脳の興奮状態を抑えるセロトニンの際吸収を阻害する作用があります。人間の同様の障害に於いても、三環系抗うつ薬の使用は友好です。
犬の不安を解消してあげる方法は?
犬の後追いや分離不安症の理由である、犬の不安はどうやって解消してあげたら良いのでしょうか。詳しくご紹介します。
◆犬に構いすぎない
犬に後をついてくるほど離れない気持ちを抱かせているのは、実は飼い主です。飼い主が必要以上に犬を構いすぎていると、飼い主と離れない犬になってしまいます。
そのため、犬に構いすぎないことを心がけましょう。
膝に乗ってきても無言でおろす、部屋の中でもべったりと隣にいることをせずに離れるなども有効です。
◆クレートトレーニングをする
クレートトレーニングというしつけ方法で不安を改善させる方法もあります。
クレートとは、犬用ケージより一回り小さい大きさの犬のための部屋のことを指しますが、今回の場合は犬自身が「自分の家、安心できる場所」と感じることのできるものであれば、ケージでもハウスでもクッションでも構いません。
犬に安心感を与えるためには、やや狭い方が落ち着けるため良いです。
クレートトレーニングは、中に入ったらご褒美をあげたり、褒めたりして、クレートに入ると良いことが起きるということを、犬に認識させていくしつけ方法です。
クレートトレーニングが身につくと、不安な時にはクレートに入り安心できるようになるため、飼い主に依存することが無くなります。
一度身に着けば、外出先でも吠えたり、離れないということが無くなるので、やる価値のあるしつけの一つです。
◆社会化を身につける
毎日の散歩ルートが決まっている、飼い主以外の人間と会わないなど、社会化がされていない犬に不安症は多いです。
ドッグランなどの犬が集まる場所へ行く、飼い主以外の人と積極的に触れ合わせるなどで、社会性を養うことも解決法の一つになります。
◆出掛けるフリをする
飼い主が外へ出かけることで、部屋を荒らす、吠える、違う場所に排泄するなどの犬には、出掛けるフリが有効です。
出掛けるフリをしても出掛けない、という状況を何度も繰り返すことで、出掛けるという行動を日常的な行動の安心感にすり替えます。
出掛けるフリに慣れてきた頃に、クレートに入れる癖を付けるとより安心感が出て、効果があります。はじめは飼い主から離れない様な犬でも、クレートトレーニングをすると、出掛けるフリを始めただけでクレートに入るようになります。
◆短時間のお出掛けを繰り返し、留守番に慣れさせる
出掛けるフリをしても犬が問題行動を起こさずに乗り切れる様になったら、短時間のお出掛けをして留守番に慣れさせましょう。
はじめは1分から5分程度で構いません。徐々に時間を伸ばしていきます。
1分であっても、吠える、部屋を荒すなどの問題行動が無かった場合には、思いきり褒めて、おやつなどのご褒美をあげてください。
30分以上の留守番が出来る様になれば、ほぼ不安は解消されたと判断して良いでしょう。
◆薬やサプリメントを使う
三環系抗うつ薬の一種である塩酸クロミプラミンで組成されたクロミカルム(ノバルティス社)などの投薬も有効です。
ジルケーンという抗不安解消のサプリメントも、犬にはよく使われます。
ジルケーンは、ミルクのたんぱく質をトリプシン加水分解処置したα-カソゼビンが主成分です。このα-カソゼビンは母乳成分と同じで、母乳を飲んでいる安心感が生まれます。
薬やサプリメントを使う場合は、必ず獣医師による処方を受けましょう。
犬が飼い主から離れない理由は不安感!解消することで問題行動を無くしましょう。
犬が飼い主の後をついてくる、離れないという後追い行動をする時は、犬が不安な気持ちを抱えていることが一番の理由です。怖がる気持ちを無くしてあげることが、改善の近道です。
しつけを行うことや、お出掛けのフリをする、サプリメントの投与など様々な解消方法がありますので、愛犬のペースに合わせて対処してあげてください。
べったりついてくる犬は可愛いですが、生活するには少々不都合が生じます。不安を解消してあげて、快適に暮らせるようにしてあげましょう。
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