1.犬の耳が臭いときに疑う病気は?
1-1.外耳炎
1-2.ミミヒゼンダニ
1-3.マラセチア菌感染
1-4.脂漏症
1-5.フードによるアレルギー
1-6.異物の混入
1-7.耳の毛の手入れ不足
2.犬の耳の検査方法は?
2-1.耳鏡検査
2-2.耳垢検査
2-3.レントゲン検査
2-4.細菌培養
3.犬の耳掃除のやりかたは?
3-1.毛を抜く
3-2.汚れを拭きとる
3-3.イヤーパウダーを使う
3-4.イヤーローション(洗浄液)で洗う
5.点耳薬のさしかたは?
5-1.液体タイプの点耳薬の場合
5-2.軟膏タイプの点耳薬の場合
6.おすすめの犬の耳掃除グッズは?
6-1.犬猫用 イヤーパウダー 30g
6-2.ウィッシュ グルーミングプロ ノンアルコールイヤークリーナー 100ml
犬の耳が臭いときに疑う病気は?
犬の耳が臭いときには、どんな病気が疑われるでしょうか。確認してみましょう。
◆外耳炎
鼓膜の外側までの部分が何らかの要因で炎症を起こしている状態を外耳炎といい、犬にはとても多い病気の一つとして知られています。また、慢性化しやすい病気のため、日常的なケアが必要です。
首振りが増えたり、耳の付け根を足で掻く行為が増えるため、比較的早い段階で気付くことができる病気です。しかし、たった一日で出血するほど掻きむしってしまう犬もいますので、注意が必要です。
◆ミミヒゼンダニ
耳垢や組織液に寄生するミミヒゼンダニによって臭い匂いがする、ということも多いです。黒っぽい耳垢が多い場合には、ミミヒゼンダニ感染が疑われます。
ミミヒゼンダニは、内部で繁殖を繰り返すため、根治治療が難しい寄生虫の一つです。また、犬のミミヒゼンダニは感染するため、多頭飼いの家は一匹感染したら一気に広がる可能性があります。
じめじめと臭い匂いを発しやすいバセットハウンド、ダックスフンドなどに多く見られます。
◆マラセチア菌感染
マラセチア菌感染をしているときも、臭い匂いが発見の指針になることがあります。
本来マラセチアは正常な皮膚に表在する常在菌ですが、何らかの皮膚トラブルが起こると増殖し、臭い匂いの原因となります。マラセチアは、脂肪分解酵素を持つため、皮膚に炎症を起こします。
◆脂漏症
脂漏症とは、代謝異常や皮脂腺のトラブルにより、皮脂が過剰に分泌される病気です。
病名の通り、油っぽい匂いや、ベタベタした皮膚の感触が特徴ですが、乾燥性の脂漏症もあります。耳垢が黄色っぽく、ベタベタと粘度のある場合には脂漏症が疑われます。
脂漏症の場合は、胴体や顔などにも症状が出ることが多いため、比較的早く症状に気付くことができます。
◆フードによるアレルギー
犬の体臭の匂いには、食餌が影響することもあります。フードやおやつを変えることで、犬の臭い匂いが酷くなることもあります。
特にアレルギーのある犬は影響が出やすいため、様々なアレルゲンのものを試してみることも臭い対策に役に立ちます。
◆異物の混入
お散歩の際に小石が入った、草花の一部分が入ったなどの様に、耳の中に異物が混入した場合にも、炎症を起こして臭いがくさくなることがあります。
異物を取り除けば炎症が治まることが一般的ですが、慢性的な炎症を起こしてしまっている場合や悪化した場合には、治療が必要になることもあります。
◆耳の毛の手入れ不足
犬は外側から鼓膜の間の管には、毛が生えていることが一般的です。犬種によっては、体毛同様にフサフサと密な毛が生えていることもあります。
毛が多いと、乾燥し辛くなり、じめじめとしてしまい、菌類やミミヒゼンダニの繁殖に適した環境になってしまいます。
犬の耳の検査方法は?
犬の耳から臭い匂いがするときには、検査を行い、原因に合わせた治療法をとります。
治療法は、主に点耳薬、ジェルタイプの軟膏、内服薬など様々です。原因により、治療法は異なるため動物病院への受診が臭いを抑える一番の解決策といえるでしょう。
耳の臭い匂いで動物病院へ来院した場合には、どのような検査が行われるのでしょうか。ご紹介します。
◆耳鏡検査
人間の検査にも用いられる筒状の検査器具である耳鏡で視診します。炎症の様子や、鼓膜の状態などを目視で確認します。
◆耳垢検査
耳垢を綿棒や、コットンを巻いた鉗子などで採取し、検査します。
動物病院内では顕微鏡を用いて検査することが一般的です。顕微鏡では、ミミヒゼンダニなどを確認することが可能です。
◆レントゲン検査
一般の動物病院で検査にレントゲンを使う事は稀ですが、内部が石灰化してしまっている場合にはレントゲン検査を行うこともあります。
レントゲン検査は、暴れるなどの行動が無い限りは無麻酔で行われます。
◆細菌培養
犬に細菌感染が疑われる場合には、細菌培養検査を行います。
培養検査は院内で行われる場合と、検査センターへ送付し診断を行う場合とあります。培養検査は通常日数を要することが一般的です。
犬の耳掃除のやりかたは?
犬の耳を清潔に保ち、臭い匂いを予防するためは、日常的なケアが必要です。掃除をするのは外側の見える部分だけで大丈夫です。
犬の耳掃除のやりかたについてご紹介します。
◆毛を抜く
耳毛の生えている犬種は毛を抜いて耳の通気性を良くし、内部の環境をミミヒゼンダニや細菌感染が起こりにくい環境にします。
犬の毛を抜く際には、通常は鉗子を使用します。ただし、家庭では指で見える範囲のみ抜いてあげると良いでしょう。滑り止めのために市販のイヤーパウダーを指先につけると、上手に抜くことができます。
ただし基本的にはトリマーさんにお願いするのが安心安全です。
◆汚れを拭きとる
外側の汚れを拭きとる際には、市販のイヤーローションや洗浄液をコットンに塗布して使用します。
トリミングサロンや動物病院では、鉗子にコットンを巻きつけて綿棒の様な状態にして、溝の中なども綺麗に掃除します。
家庭での掃除の際には、皮膚を傷つける恐れがあるため、見える範囲をコットンで拭きとるのみで十分です。
汚れがこびりついて中々取れない時には、多めのイヤーローションで汚れを浮かせれば簡単に綺麗にすることができます。
◆イヤーパウダーを使う
コットンで外側の汚れを拭きとった後、イヤーパウダーを持っている場合には管に吹きかけると乾燥状態を保つことができます。
商品によっては、除菌消臭効果のある天然成分を配合しているものや、リラックス効果のあるアロマオイルを配合しているものもあります。
イヤーパウダーは、ナチュラルコスメに使われる事の多いタルク、炭酸マグネシウム、木酢などで作られていることが一般的です。
◆イヤーローション(洗浄液)で洗う
市販のイヤーローション(洗浄液)を直接中へ流し込み、汚れを洗い流します。
コツは多めのイヤーローションを使用するという点です。
イヤーローションを流し込み、付け根をクチュクチュと音が出るくらいに揉みます。この揉む行為で汚れが浮きあがります。
異物が入った不快感で、犬は首をブルブルっと振り、中のイヤーローションを外に飛ばします。
出てきたイヤーローションには浮かび上がった汚れも含まれているため、内部の掃除が出来るという方法です。
犬の耳掃除はどのくらいの頻度でやれば良いの?
特に臭い匂いや目立つ汚れが無い様であれば、犬の耳掃除の頻度は2週間に一度程度で構いません。
毎月のトリミングの際のグルーミングで定期的に行う、といった方法もおすすめです。
この2週間に一度、という目安よりも短いスパンで掃除が必要な臭い匂い、汚れがある場合には、何かしらの病気が疑われますので、動物病院を受診するようにしましょう。
点耳薬のさしかたは?
犬の点耳薬には、液体タイプと軟膏タイプがあります。それぞれの点耳薬のさしかたについてご紹介します。
◆液体タイプの点耳薬の場合
液体タイプの点耳薬は、目薬やイヤーローションの様な形状をしていることが一般的です。
液体タイプの点耳薬の場合は、適量を耳の中に入れ、耳の付け根をクチュクチュと音が鳴るように揉み、溢れた分はコットンなどを使い綺麗に拭きとると良いでしょう。
一回に滴下する容量は、獣医師の指示を守るようにしましょう。
犬を抑えつけ、モタモタと点耳薬を使うと犬は警戒し、嫌がるようになってしまいます。
点耳薬を使用する際には、サッと滴下し、直ぐに終わりにしてあげると上手にさすことができます。
◆軟膏タイプの点耳薬の場合
軟膏タイプの点耳薬のメリットは、塗布した箇所に長く留まるため効果が長く続くという点です。そのため、滴下する液体タイプの点耳薬よりも一日に使用する回数が少なくて済みます。
しかしながら、ジェル状の形態は耳に違和感を覚える犬も多く、嫌がる場合もあるため注意が必要です。
軟膏タイプの点耳薬の場合は、使用量をまず自分の人差し指に出し、指の届く範囲で外側や内部に塗り広げて使用します。
おすすめの犬の耳掃除グッズは?
おすすめの犬の耳掃除グッズを紹介します。
◆犬猫用 イヤーパウダー 30g
水分の吸収に優れ、乾燥を保ちます。また、余分な毛を抜くときの滑り止めになります。毛抜きの際にご使用ください。
無水珪酸やタルクが原材料のイヤーパウダーです。内部の乾燥を保つ効果があります。
毛を抜く処置の際にも、滑り止めとして使用することができます。
◆ウィッシュ グルーミングプロ ノンアルコールイヤークリーナー 100ml
デリケートな耳への刺激を考慮し、アルコールと着色料を使用していない、皮膚にやさしい低刺激な商品です。
●やさしいフローラルな香りがします。
●柿タンニンが嫌なにおいを抑えます。
●ローズマリーエキスが菌の繁殖を抑えます。
ノンアルコール、無着色のイヤークリーナーです。人間の消臭成分としても有名な柿渋の主成分である柿タンニンにより、臭い匂いを抑える効果があります。
ローズマリーエキス配合のため、菌の繁殖を抑える効果もあります。
正しい耳掃除で臭いニオイとお別れしましょう
犬の耳掃除は2週間に一度程度の間隔で、イヤーローション(洗浄液)やイヤーパウダーなどを使って、手の届く範囲をコットンで拭きとることで行います。
犬の耳が臭い、汚れが酷い、2週間に一度以上の頻度の掃除が必要、といったときには、何かしらの病気が疑われます。検査などで原因を追究し、点耳薬などで適切な処置をすることで、症状は改善されます。
まずは正しい掃除で臭い匂いとお別れし、異常に直ぐに気付くことが出来るようにしましょう。
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