1.犬のおしっこは健康状態がわかります
1-1.普段のおしっこを把握しておくことが大切
1-2.犬のおしっこの正常な色は?
1-3.犬のおしっこを確認するときには色以外にも着目しよう!
2.犬のおしっこの色から考えられる病気
2-1.犬のおしっこが濃い黄色・オレンジ色の場合
2-2.犬のおしっこが赤色の血尿の場合
2-3.犬のおしっこが黒ずんだような茶色、または血尿のように赤っぽい色の場合
3.犬のおしっこの色の変化にすぐ気付くために
3.日ごろから排泄物のチェックをしよう
3.白いシーツを使う
犬のおしっこは健康状態がわかります
犬のおしっこの色をはじめとし、回数や量、臭いなどで犬の健康状態が分かります。
◆普段のおしっこを把握しておくことが大切
犬のおしっこは、健康状態を確認するうえではバロメーターになるので、普段から正常な犬のおしっこの状態をしっかりと確認しておき、早めに異変に気づいてあげることが大切です。
愛犬が普段と違う色のおしっこを継続してする場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
◆犬のおしっこの正常な色は?
犬のおしっこの正常な色は、個々の犬によって多少の個体差はあるものの、澄んだ薄い黄色です。
犬が健康体であっても、おしっこの色は水分摂取量やおしっこをする頻度によっても多少異なります。
◆犬のおしっこを確認するときには色以外にも着目しよう!
犬のおしっこの色を確認するときは、色だけでなく1日のおしっこの回数、量、臭いも合わせて確認しましょう。
最近では自宅で犬の尿のpHを検査することのできるキットも販売されているので、活用するのも良いですね。
犬のおしっこの色から考えられる病気
◆犬のおしっこが濃い黄色・オレンジ色の場合
犬のおしっこが濃い黄色、またはオレンジ色の場合は、おしっこの中に「ビリルビン」という物質が含まれている可能性があり、これを「ビリルビン尿」と呼びます。
ビリルビンは、犬の赤血球中のヘモグロビンの代謝産物であり、通常は肝臓で生成されて胆汁中に排出されます。
しかし、血液中でこのビリルビンが増加すると、尿と一緒にビリルビンが排出されます。そのため、犬のおしっこが濃い黄色、またはオレンジ色に近い色になってしまいます。
ビリルビン尿になる場合、犬の体で肝炎や肝硬変、胆汁うっ滞が生じている可能性があります。
肝炎 何かしらの理由で肝臓に炎症が起きている状態
肝硬変 何かしらの理由で肝臓が長期にわたってダメージを受け続けた結果、肝臓の本来の機能が失われた状態
胆汁うっ滞 肝臓内部でつくられる胆汁は肝臓から分泌される消化液ですが、この流れが胆汁を作る肝細胞と十二指腸の間で阻害されて、胆汁の流れが悪くなっている状態
◆犬のおしっこが赤色の血尿の場合
犬のおしっこが赤色の血尿の場合は、尿中に赤血球が混ざりこんでいる状態です。このような場合は、犬の体の腎臓部分から尿が排泄される尿道口器官までの間で、出血が起こっている可能性があります。
一般的に血尿の原因として可能性が高い犬の病気は、膀胱結石、尿路結石、膀胱破裂、前立腺炎、腫瘍、感染症や体内部の炎症などです。
犬がおしっこをしている最中にどのタイミングで血尿がでているのか確認すると、大まかな出血部位が分かります。
血尿が出た場合は、血尿がおしっこ全体に確認できるのか、おしっこの始めだけか、後半のみ血尿がでるのか、またはおしっこをする度に血尿がでるタイミングが異なるのかを確認しておきましょう。
・おしっこの始めだけが血尿の場合…生殖器や尿道部分からの出血の可能性が高い
・おしっこの後半のみ血尿の場合…膀胱器官での出血の可能性が高い
・おしっこをする度に血尿がでるタイミングが変わる場合…生殖器や尿道部分からの出血の可能性が高い
◆犬のおしっこが黒ずんだような茶色、または血尿のように赤っぽい色の場合
尿の中にヘモグロビンが混ざっている場合、犬のおしっこが黒ずんだような茶色、または血尿のように赤っぽい色になります。このような犬のおしっこを「ヘモグロビン尿」と呼びます。
通常健康体の犬のおしっこはpH6.2~pH 6.4程度で少し酸性寄りです。
一方で、ヘモグロビン尿の場合、おしっこの色が黒ずんだような茶色の時は酸性の状態、血尿のように赤っぽい色の時はアルカリ性に傾いた状態であると考えられます。
なお、ヘモグロビン尿が出た場合に考えられる犬の主な病気は、急性犬糸状虫症、免疫性溶結性貧血、または玉ねぎ中毒です。
急性犬糸状虫症 感染症が原因でフィラリアの一種の「犬糸状虫」と呼ばれる寄生性線虫の成虫が犬の肺動脈や右心室に寄生する病気。乾性の咳のような症状以外は初期段階で症状が確認されず、急に呼吸困難や不整脈、貧血などの重度症状が現れる
免疫性溶結性貧血 何かしらの原因で犬の体の免疫機能に異常が引き起こされることによって、赤血球が破壊され、貧血症状を引き起こす病気
玉ねぎ中毒 犬がネギ科の食べものを食べてしまうことによって引き起こされる病気で、これらの食べものに含まれている有機チオ硫酸化合物が犬の赤血球を破壊して貧血症状を引き起こす
犬のおしっこの色の変化にすぐ気付くために
◆日ごろから排泄物のチェックをしよう
愛犬のおしっこの色の変化にすぐ気付くためには、愛犬の正常なおしっこの色を把握しておかなければいけません。
健康体であっても、犬のおしっこの色は個々の犬によって異なり、赤と一言で言ってもオレンジ色っぽかったり、茶色っぽかったりと色の種類は様々ですので、普段から愛犬の排泄物はこまめに確認しましょう。
◆白いシーツを使う
犬のおしっこの色の変化にすぐ気付くためには、白色のペットシーツを普段から利用することをおすすめします。
最近のペットシーツは、おしっこを急速に固めるための素材を使用していることから、薄い水色のシーツをはじめとし色がついていることがありますが、正確におしっこの色を普段から確認する場合には真っ白いペットシーツを利用するのが一番です。
外でしかおしっこをしない犬の場合は、犬がおしっこをした直後にペットシーツやティッシュペーパー、キッチンペーパーに吸収させて色を確認しましょう。
犬のおしっこの色に異常があったら動物病院に持っていこう!
おしっこの色が普段と明らかに異なる場合、または継続しておしっこの色に異変がある場合は、動物病院に持っていき、尿検査をしてもらうことをおすすめします。
おしっこを持っていくときは、犬が排尿するときに直接食器などにさせることができれば一番ですが、室内トイレの場合はペットシーツを外してトイレトレーにさせる、またはペットシーツを裏返してツルツルとした面(おしっこが吸収されない部分)を利用するとおしっこを採取しやすいです。
採取した犬のおしっこは、清潔なジップロックやタッパーに入れて早めに動物病院に持っていきましょう。
ジップロックやタッパーなどのおしっこを入れる容器に水分がついていたり、他の成分がついていたりすると正常に検査できないので、綺麗なものを準備しましょう。
まとめ
犬のおしっこの色は、健康状態を把握したり病気を早期発見したりするためにとても役立ちます。
犬の病気は様々なものがあるので、何かしらの症状がでて獣医師に診てもらう場合も、尿の色や状態を飼い主がしっかり把握しておくことが病気の早期特定につながります。
犬が普段健康な状態でどのような色のおしっこをしているのかを毎日確認して、犬のおしっこの色の異変に早く気づいてあげましょう。
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