【獣医師監修】メス犬は要注意!子宮蓄膿症の症状・原因・治療法

2020.01.22

【獣医師監修】メス犬は要注意!子宮蓄膿症の症状・原因・治療法

子宮蓄膿症という病気を知っていますか?メス犬特有の病気として知名度は高いので、特に愛犬がメスだという飼い主さんにはご存知の方も多いでしょう。発症すれば重篤な状況にもなり得るとても怖い病気です。 今回は犬の子宮蓄膿症について、その症状や原因、治療法を紹介していきます。発症した際のお世話についても触れますので、特に女の子の飼い主さんは是非チェックしてください!

犬の子宮蓄膿症ってどんな病気?

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは、子宮に細菌が入り込むことで、子宮内に膿が溜まってしまう病気です。名前に子宮と付いている通り、メス特有の病気となります。

この子宮蓄膿症には、「開放性子宮蓄膿症」という溜まった膿が陰部から排出されるものと、「閉鎖性子宮蓄膿症」という全く排出されないものがあります。

いずれの場合も、子宮内の細菌が全身に回ってしまうと、多飲多尿の症状がみられるようになるでしょう。

この特徴的な症状は、糖尿病・腎臓病にもみられますが、愛犬が避妊をしていない高齢なメス犬である場合は、特に子宮蓄膿症である疑いが高くなると考えられます。


犬の子宮蓄膿症の症状

子宮蓄膿症は、初期段階では無症状であることが多いのですが、症状の進行と共に食欲低下や嘔吐などの症状が現れます。

更に、多飲多尿の症状の他に、元気がなくなったり、子宮内に膿が溜まるために、お腹が張っている状態にもなります。また、陰部から膿・血混じりの分泌液が出たり、貧血を起こすことも。

子宮内で増殖した細菌が毒素を出すことで、血栓ができる、腎不全を起こして重篤な状態になることもあるのです。

子宮が破れ、腹腔に細菌が漏れ出てしまうと、腹膜炎を起こして短時間で死亡してしまう恐れもあります。最悪の場合死に至るケースのある、注意すべき犬の病気の一つだといえるでしょう。

愛犬に以下の症状や様子がみられた場合は、すぐに動物病院で診療してもらいましょう。

  • よく水を飲む
  • オシッコの量が多い
  • 食欲が低下する
  • 発熱
  • 嘔吐
  • 元気がないように感じる
  • 陰部をしきりに舐める
  • 陰部から膿などが出ている
  • 外陰部が腫れている

以上の状態が複数項目愛犬に見受けられた場合は、子宮蓄膿症を疑いましょう。手遅れになる前に、可能な限り早めに一旦獣医さんに相談してください。

子宮蓄膿症は、特にかかりやすい犬種というのはなく、メス犬であれば全犬種に発症の可能性がある病気です。

特に避妊手術をしていない6歳以上のメス犬、子供を産んだことがない、または長年産んでいない高齢犬はかかりやすいといわれています。愛犬が該当する場合は、十分注意してくださいね。


犬の子宮蓄膿症の原因

子宮に細菌が入り込むことで膿が溜まると前述しましたが、本来は子宮内に細菌を防ぐ力があるため、細菌が侵入することは通常ありません。

ただし、ホルモンバランスが崩れて「黄体ホルモン」が長期間分泌されてしまうと、子宮の細菌感染に対する抵抗力が弱まってしまうのです。

黄体ホルモンとは、妊娠の継続に必要なもので、犬の場合約2か月という長い間分泌されます。受精卵の着床・妊娠継続のために、黄体ホルモンには子宮内膜を柔らかいベッドの様にする作用があるのです。

これは子宮内膜が腫れている状態にあたり、これにより細菌感染が起こりやすくなることが原因だと考えられています。

主に、大腸菌・ブドウ球菌・サルモネラ菌などの、細菌感染を受けやすくなるようです。

犬は発情期あとの黄体期と呼ばれる時期に、黄体ホルモンが多く分泌されて、免疫機能が低下します。この期間は細菌が繁殖しやすくなるため、特に注意が必要となるでしょう。


犬の子宮蓄膿症の検査方法

動物病院を受診して、愛犬に子宮蓄膿症の疑いがある場合には、一般的に以下のような内容の検査が行われます。

◆問診と身体検査

発情出血の時期、多飲多尿などの症状の有無を問診によって確認します。更に身体検査を行い、陰部からの出血の有無などをみていくでしょう。

この段階で、子宮蓄膿症によって現れる特徴的な症状があれば、より詳細な検査を行っていきます。

◆超音波検査やレントゲン検査

子宮内を検査するために、腹部に音波を当てる超音波検査が行われます。

本来は、子宮の中は空洞です。異常がなければ、なにも映りません。しかし子宮蓄膿症の場合は、膿が溜まっているのでそれが映ります。

子宮蓄膿症は、手術が1日遅れるだけでも危険な状態を招くことのある恐ろしい病気です。問診から特徴的な症状が見受けられなくても、未避妊の犬の場合は、超音波検査を念のため実施する病院も多いです。

また、子宮蓄膿症以外の病気の検査が必要であったり、何らかの理由から超音波検査ができない場合は、レントゲン検査を実施することもあります。

◆血液検査

血液検査は、身体のどこに影響が出ているかが把握でき、重症度を判断するのに役立つ検査です。この血液検査を行うことで全身の状態が把握できると、緊急性の高さ、手術のリスクなどが判断できます。

適切な治療方針を決定するための、大切な検査といえるでしょう。

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犬の子宮蓄膿症の治療法

画像③

子宮蓄膿症だと診断された場合、主に以下の様な治療が施されます。

◆手術

子宮蓄膿症を発症した場合、最も一般的な治療方法は手術となり、子宮と卵巣の摘出手術が施されます。

子宮蓄膿症は、症状が進行した状態で発見されることが多い病気です。手術が1日遅れるだけでも、かなりの悪化がみられることが珍しくありません。

このため、発見されたらすぐに手術を行うケースも少なくないのです。

手術費の目安は、症状のレベルや地域によって異なります。大体、手術費用は50,000円から、入院・麻酔・検査などの費用を含めると合計150,000円前後が必要となる場合が多いそうです。

動物病院によっても多少の違いはありますので、まずは病院に確認してみましょう。

◆手術以外の治療方法

身体の状態によっては、内科的治療が施される場合もあります。ホルモン剤によって、子宮内の膿を排出させるのです。

ただし、この内科的治療法は基本的に延命効果の期待はできても、完治を望むことはできません。再発する可能性が考えられます。

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犬の子宮蓄膿症の予防方法はある?

◆愛犬の避妊手術をしておこう!

子宮蓄膿症を予防するために最も効果的なのは、避妊手術を受けておくことです。愛犬に出産予定がなければ、発情前に子宮・卵巣の摘出手術をしておくことをおすすめします。

これにより、子宮蓄膿症に限らず乳腺腫瘍など、メス犬特有の様々な病気の予防にもつながります。

◆避妊手術をしない場合は、分泌液をチェック!

避妊手術をするかしないかは、飼い主さんが判断するものです。避妊手術には病気を予防できる大きなメリットもありますが、もちろんデメリットもありますので、飼い主さんによって考え方は違うでしょう。

ただ、子宮蓄膿症の予防に限っていえば、愛犬に避妊手術を受けさせない、手術ができない事情がある場合は、陰部からの分泌液に異常がないか、こまめにチェックする習慣を身につけてください。

日常的なブラッシングや愛犬とのスキンシップを図る際に、陰部から血や膿が出ていないか、陰部が腫れていないかをチェックするのです。

チェックの仕方としては、目視の他に、ティッシュを愛犬の陰部にそっと当てる方法があります。ティッシュなどで拭き取ることで、血や膿が出たときに確認がしやすいですし、その後病院に行くときに持参することができます。


術前術後はどう過ごす?子宮蓄膿症の犬のお世話について

◆愛犬の手術前はどうしたら良い?

子宮蓄膿症は、発見されたらすぐに手術をすることがすすめられる病気です。かなりの出費は予想されますが、迷っている余裕はないと考えておいた方がよいでしょう。

病院で診察した時点で一刻を争う状態であれば、すぐに手術となる場合ももちろんあります。一度家に帰って、午後から手術をするケースもあるでしょう。

症状の状態やレベルによって、対応方法は様々です。手術前の愛犬のお世話の仕方については、獣医師にしっかりと確認しておきましょう。

◆愛犬の手術後のお世話は?

手術後の一週間程度は、食欲の低下や、出血・震えなどの症状が出るケースも少なくありません。基本的に、体調はゆっくりと回復していきます。

しかし、安静に過ごしているのに体調の回復が中々みられない場合は、一度獣医さんに相談してください。

また、犬が手術後の傷口を舐めるのを防ぐために、エリザベスカラーの着用が指示されるケースもあります。

愛犬に使用したことのある飼い主さんなら分かるとおもいますが、エリザベスカラーは犬にとってはストレスを感じさせるものでもありますよね。日常生活において行動が制限されますので、何度も取ろうと悪戦苦闘する犬も少なくありません。

飼い主さんにできることとしては、エリザベスカラーをつけた愛犬がぶつかりそうな家具などを片付けて、少しでも余裕のあるスペースの確保をしておくことでしょう。

着用を嫌がる愛犬の姿に心は痛みますが、そこは我慢です。どうしても嫌がるようであれば、獣医さんに相談してからその後の過ごし方を決めましょう。

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犬の子宮蓄膿症に関するまとめ

紹介してきた通り子宮蓄膿症は、死に至るケースもあるとても怖い病気です。発生率や死亡率も高く、早期発見・早期治療ができなければ、深刻な状況に陥るでしょう。

しかし、原因や予防法は明確となっています。発症するリスクをしっかりと考えて、愛犬にとって一番良い選択を飼い主さんがしなければなりません。

ペットの病気は様々ですが、日頃から様子を観察することで、予防できる、早期発見できる病気もたくさんあります。日常的な愛犬の行動・様子をしっかりと把握しておき、万が一に備えてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!


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