【獣医師監修】老犬がご飯を食べない時にできる食事の工夫について

2021.05.25

【獣医師監修】老犬がご飯を食べない時にできる食事の工夫について

老犬の食欲の低下や食事法で悩んでいる飼い主さんが多くいますが、犬も高齢になると病気や体の衰え、精神的問題など様々な要因で食事量が減ったり全く食べなくなってしまうことがあります。今回は、高齢犬に適した食事方法、給餌方法などを中心にご紹介いたしますので、愛犬の食事介護にご活用ください。

犬が高齢になるのはいつから?

犬ご飯食べない

◆人間と比較して考えると高齢犬年齢は9歳から

厚生労働省では65歳以上の人を高齢者と定めています。

それと比較すると、犬の場合は高齢犬になるのは「小型犬であれば12歳頃」「中型犬であれば10歳頃」「大型犬であれば8歳~9歳」「超大型犬であれば5歳~6歳」からとなります。

これらの平均値で考えると全犬種の平均的な高齢期は、おおよそ9歳からと考えられます。

◆老化症状がでていたら高齢期

実は犬の高齢年齢については、犬種差や個体差、生活環境や食事など様々な要因で大きく異なるため、専門家によっても高齢年齢の見解には大きな差が生じます。

多くのペットフードメーカーでは、高齢期前のシニア期のドッグフードは7歳からと推奨する傾向にありますが、これに関しても個体差が大きいので「7歳以降の犬にシニア食を与える」という考え方には問題があります。

そのため、一般的には個々の犬種別平均寿命から高齢期を考えて、老化の症状がでていたら高齢期であると判断するとよいでしょう。

<老化の症状>

・毛ヅヤが悪くなった、白い毛が増えたなど被毛の変化
・目が濁ってきた、涙焼けが増えた、目やにが増えたなど目の変化
・寝てばかりいる、散歩したがらないなど行動の変化
・呼びかけに反応しない、ものにぶつかるなど感覚器系の変化
・食欲が低下した、何度も食事を要求するなど食欲の変化

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元気な犬でも高齢犬になったら食事の変化は必要?

基本的に高齢犬であっても、健康体で運動量が成犬時と変わらない場合、食事の変化は必要ありません。

運動量が変わらない高齢犬にシニア用の低タンパク質低脂肪ドッグフードを与えると、エネルギー量が足りなくなってしまうので、食事内容や食事量は愛犬の運動量に見合ったものにしてあげましょう。

ただし、健康体の老犬であっても気になる老化症状がある場合、サプリメントをご飯に追加してあげると老化予防に効果的です。

    <高齢犬に適したサプリメント>

  • 関節が気になる場合・・・「コンドロイチン」や「グルコサミン」など
  • 体の様々な炎症や痛み、被毛トラブルなど・・・「DHA」や「EPA」など
  • 消化器系の健康維持(免疫力応援)・・・「プロバイオティクス」、「酵素」や「乳酸菌」など

ご飯を食べる量が減った老犬の食事方法

◆食欲低下の原因に応じた対策を練る

ご飯を食べる量が減った老犬の場合、まずは食欲が低下している原因を突き止めて対策を練らなければいけません。

老犬の場合は主に口腔内の病気を含め体の不調、嗅覚の衰え、味覚の衰え、気管の衰え、または精神的問題で食欲の低下がみられます。

体の不調がある場合は何より獣医師に相談して病気の根本的治療、または症状緩和を目的とした治療を行う必要があるので、獣医師の指示に従いましょう。

◆嗅覚の衰えが原因の場合の食事

嗅覚の衰えによって食事量が減っている場合は、食事に香りづけをして嗜好性が高まるよう工夫してあげましょう。

犬の嗅覚はもともと人と比較して100万倍~1億倍とも言われているので、衰えた嗅覚であっても香りづけをすることによって食欲が増すこともあります。

香りづけをする場合、ヤギミルクや無調整豆乳、肉や魚のスープの香りが嗜好性を高めるために効果的ですので、犬の好みに合わせて様々な香りづけを試してみるとよいでしょう。

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◆味覚の衰えが原因の場合

犬の味覚は人と比較すると鈍感で、味覚を感じるための「味覚細胞」が人の約1/5~1/6程度だといわれています。

老犬になるとさらに味覚を感じるための機能が低下する傾向にあるため、犬が好む味付けを色々と試してみるとよいでしょう。

一般的に犬は、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味のうち甘味(ショ糖)に敏感に反応するので、りんごやバナナをはじめとした果物の果糖で味付けすると効果的です。ミキサーでジュース状にしてご飯にかけてあげると、消化吸収もスムーズになります。

ちなみに品質のよくないおやつなど、人工で作られた甘味成分には犬が不得意とする苦み成分が含まれていることがあるので注意が必要です。

その他、犬は甘味のあるアミノ酸(うま味)を好む傾向にあるので、ヨーグルトやチーズを中心とした発酵食品をご飯に加えてあげることで嗜好性が高まることがあります。

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◆気管の衰え

老犬はご飯を食べるときの飲み込む力が低下しているなど、些細な不都合でも食事をとるのが面倒になってしまうことがあります。

ドライフードであればぬるま湯でふやかしてから冷まして与えたり、ウェットフードに切り替えるなどの工夫が必要です。

ご飯に水分を加えると、食べやすさだけでなく嗜好性も高まる他、消化吸収がスムーズに行える、水分補給ができるなど老犬にとってのメリットが増えます。

水分量が多いご飯は、口腔内の病気を進行させやすいので、歯磨きだけはしっかりと行う必要があります。

また、気管が弱っている老犬の場合、空気の乾燥によって気管をさらに痛めてしまうことがあるので、食欲が低下している場合は食事管理のみならず加湿器を活用し、湿度を40~60%程度に調整してあげるなどの工夫も必要です。

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◆精神的問題

老犬の場合、赤ちゃん返りやストレスによる食欲低下がみられることがあります。

赤ちゃん返りの場合、甘えによって食事の好き嫌いをする、または飼い主さんに構ってほしくてわざとご飯を食べないなど様々な精神的要因で食事を摂らないことがあります。

十分甘えさせてあげる時間を確保することが第一ですが、ご飯を食べないときは食事を片付けず、自ら食べるまで数時間放置して様子をみるのもよいでしょう。

また、ストレスに関しては犬の生活環境からストレス要因を排除することが大切です。

犬は環境の変化やちょっとした飼い主さんの態度の変化など、人が感じないようなストレスに対しても敏感に反応することがあるので、十分注意してあげなければいけません。

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ご飯を食べにくそうにしている老犬の食事方法

老犬は体の不調によりご飯が食べずらいなど、些細なことが原因で食欲が低下してしまうことがあります。

特に地面にご飯を置いてしまうと足腰への負担、首への負担がかかり、高齢犬の場合はご飯を飲み込むとき吐き戻しの原因になることがあるので、高さ調整や角度調整ができる食事台の利用をおすすめします。

高齢犬の場合、高さの目安は犬の肩の高さ、または肩よりやや高く頭部を少し下げた位置にご飯がくる高さを目安に設定し、犬が食事をしているときの様子を見て食べやすいよう調整してあげましょう。

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自力でご飯を食べられなくなった老犬の食事方法

自力でご飯を食べられなくなった場合は、給餌補助が必要になります。

給餌補助で大切なことは、まずは寝かした状態でご飯を与えず身体を起こしてから与えることです。
寝かせた状態で食事を与えると、誤嚥により窒息や肺炎の危険性を高めるので避け、食後もしばらく頭を上げた状態に保ちましょう。

食事内容としては、ドライフードをふやかしてペースト状にしたり、流動食に変更したりと犬の状況に合わせて工夫が必要です。

ご飯はゆっくりと時間をかけて少量ずつ犬のペースに合わせて与え、薬やサプリメントはご飯と一緒に飲み込みやすいサイズにしてから混ぜてあげましょう。

体力がない老犬の場合は食事時間が長すぎると負担になってしまうので、必要に応じて高栄養缶詰を活用することをおすすめします。

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老犬のご飯に関するまとめ

高齢になると、体の衰えや精神的問題によって食欲の低下が引き起こされやすく、栄養不足や栄養バランスの乱れが生じやすいため、食事内容やご飯の与え方には注意が必要です。

食事は衰弱しやすい老犬の体の健康維持にとってとても大切ですので、基本的な食事方法を参考にして愛犬の食事中の様子をしっかりと観察しながら愛犬に合った食事内容、食事方法を考えてあげましょう。

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※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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動物看護士(日本能力開発推進協会/日本キャリア教育技能検定協会)、老犬介護士(日本キャリア教育技能検定協会)、犬の管理栄養士(全日本動物専門教育協会)、ドッグトレーニングアドバイザー(日本ペット技能検定協会)等、動物関連資格を多数保有。大型犬2頭、中型犬1頭、小型犬(保護犬)1頭、猫3頭と暮らしながら、役立つペット関連情報を提供しております。

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