1.なぜ犬は穴を掘るのか
2.犬が布団やベッド、ソファを掘る4つの理由
2-1.犬本来の習性から
2-2.遊びの延長
2-3.ストレス発散の為
2-4.マーキング行為の一つ
2-5.飼い主の気を引こうとしている
3.【シチュエーション別】犬が掘るときの対策
3-1.寝る前にベッドや布団を掘る場合
3-2.屋外で穴を掘る場合
3-3.嫌なことがあった後に掘るような場合
3-4.執拗に一つの場所を掘る場合
【掲載:2020.06.07 更新:2023.03.07】
なぜ犬は穴を掘るのか
そもそもなぜ犬は穴掘りをするのか。これには犬の祖先であるオオカミの習性が大きく関わっています。
オオカミは巣穴を作って生活をする動物ですので、『地面に穴を掘る本能』があります。また、大切なものを隠したい時や、寝床を作る時に穴を掘る習性があります。
しかし、現代の犬たちは、土だけでなく布団やベッド、ソファといった物に対しても穴掘りの動作を行っています。
一体それらにはどのような理由があるのか、見ていきましょう。
犬が布団やベッド、ソファを掘る4つの理由
毎晩寝る前に布団やベッドを掘る、不規則なタイミングで突然掘り出す、家具などの破壊につながるほど掘ってしまうなど、家庭によって愛犬にみられる「掘る」行動には差があるでしょう。
この行動は悪いことなのか、止めさせた方がよいのか?と思い悩んでいる飼い主さんも中にはいるかもしれませんね。対策をしたいと考えている場合も、まずはその原因を知る必要があります。
犬が布団やベッド、ソファなどを掘るのには4つの理由が考えられます。愛犬の様子・しぐさと比較してみて、理由を知りましょう!
◆犬本来の習性から
前述の通り、犬の祖先は元々洞穴で生活をする動物で、巣穴を掘り、そこを寝床として使用していました。
その名残から、今でも満足のいく寝床を作る為に、掘る動作をよく行うことがあります。
寝る前の準備=土を掘ってくぼみを作るという本能が備わっているので、寝心地のよさそうな布団やベッド、ソファなどを見つけると、寝る前の準備として掘り始めます。
また、掘った後に「その場をくるくる回ってから落ち着く」という一連の流れがありますが、これも習性の一つで、掘った地面を脚で踏み固めることでより居心地の良いスペースに仕上げる、という意味を持っているそうですよ。
◆遊びの延長
犬の掘るという行動は、のんびりしたい時にみられることもあります。
寝る前など決まったタイミングによくみられ、掘る時間も短いという場合は、前述した寝床作りにあたることがほとんどでしょう。
しかし反対に、行動がみられるタイミングが不規則だったり、掘る時間がやたら長いという場合は、遊びの延長である可能性が考えられます。
掘る行動自体を楽しんでいたり、暇つぶしとしてやっていたりと、犬自身が掘る行動を好んでしているのです。
我が家の愛犬の中にもこの行動パターンをもつ子がいます。長い時間掘る行動を続け、疲れたら満足したようにその場に倒れこんで休憩するのです。
そしてすぐにまた同様の行動を繰り返します。子犬の頃からこのように遊ぶことが何度もあり、10歳となった今でも時々みられます。
今のところ物を破壊されたこともありませんし、見ていると面白いので私自身も少しその遊びが始まるのを楽しみにしているところが正直あります。
愛犬が健康な状態で、飼い主さんが特にその行動に困らされていなければ、見守ってあげてもいいかもしれませんね。
◆ストレス発散の為
犬たちはストレスが原因で、掘る行動をみせる場合もあります。
単純に布団などを掘ることでストレスを発散させているケースもありますし、飼主さんにみせることでストレスを抱えていることを伝えようとしている場合も考えられるでしょう。
ストレスが原因である可能性を感じたら、思い当たるふしがないか考えてみてください。
散歩に行けない日が続いていたり、留守番の時間が長かったりなど、愛犬にストレスを感じさせていた要因がないか一度思い返してみましょう。そして問題がみえてきたら、すぐに改善に取り組むことが大切です。
穴を掘ることで犬が落ち着く効果もありますが、これはカーミングシグナルの一つでもあるのです。
カーミングシグナルとは、気持ちを落ち着かせるために犬がとる行動・サインのことをいいます。飼い主さんに自分の気持ちを伝えながら、なんとか落ち着こうとしている状態なのです。
愛犬のこのようなサインを見落とさないようにし、いち早く気持ちに気付いてあげること、対処してあげられることが重要ですね。
◆マーキング行為の一つ
犬が穴を掘る方法として、前足を使って掘ることが一般的です。
しかしそれ以外にも、犬たちは排泄後などに後ろ足で土・地面などを蹴り上げ、穴を掘る場合があります。
実は、この時の穴堀り・砂かけ動作は、マーキング行為のひとつです。
この動作は排泄物を隠すために行っている!と思われがちですが、土などを蹴り上げることでニオイをつけ、他の犬に自分の存在をアピールしているのです。特にオス犬にみられることが多い行動の一つです。
◆飼い主の気を引こうとしている
ソファを掘ったり、壁をガリガリと前足で引っかいている場合には、飼い主の気を引こうとしている場合も考えられます。
いたずらをして怒っていたとしても、もしかするとワンちゃんたちは構ってもらえた!とだけ認識をして、構ってほしいと思った時には繰り返しこのような動作をするかもしれません。
【シチュエーション別】犬が掘るときの対策
犬の掘る行動が愛犬の遊びの延長だったり、特に困った問題を感じていなければ無理に止めさせるべき行動だとは言い切れません。
しかし、花壇を掘り返される、室内で家具の破壊行動に至るなど、飼い主さんが大きな問題として感じる場合には対策が必要となります。
爪を引っ掻けやすい場所で掘るから怪我をしないか心配、という方も中にはいるかもしれませんね。穴掘りの理由がストレスだと感じる場合は、愛犬のためにも何らかの対処がすすめられます。
犬の掘る行動の対策は、穴掘りのシチュエーションごとに違います。穴を掘る状況や日常生活を振り返り、シチュエーションを明確化することで愛犬の気持ちを理解できるようになるでしょう。
対策法として一例を紹介しますので参考にしてみてください。
◆寝る前にベッドや布団を掘る場合
前述したように寝る前に掘る行動をみせるのは、自分の満足できる寝床作りをするためです。
毎晩掘るという子もいますが、特に新しいベッドや布団を与えた際にみられるのが最も多いでしょう。
これは、新しいベッドを自分のお気に入りの場所にするための行動の一つです。折角の新しいベッドなのに!と残念に思う飼い主さんもいるかもしれませんが、寝床を整えてすぐにその場に寝るようであれば問題はないでしょう。
ただし、いつまでも掘り続けて穴をあけたり、綿が出てしまうようであれば、愛犬にとってそのベッド・布団が気に入らない場所だと判断されたと受け止めてください。
ニオイが気に入らないようであれば、日光に当てて干したり、愛用しているタオルなどを敷いてみたり、クッションが柔らかすぎる場合は、綿を抜いて調整したり、タオルや毛布などで覆うことで、安定した寝床に近づけられます。
ベッドや布団などの寝床を変えても掘る行動がなくならない場合は、寝る場所としてクレートを使用する方法もあります。
掘る行動をみせたら愛犬は眠いのだと判断し、クレートなどに移動させるのです。これを続けることで、「寝るときは掘らずにクレートに入る」という流れを一連の動作として覚えることができます。クレートに慣らすことがまず必要ですが、慣れれば愛犬にとって落ち着いて眠れる空間を作ることができるでしょう。
◆屋外で穴を掘る場合
愛犬を屋外につないでいる家庭では、土を掘り起こして愛犬がその穴の中で休んでいる姿がみられることもあるでしょう。
これは愛犬が暑すぎる・寒すぎるなどの理由から、体温調節のために穴を掘っていると考えられます。
暑い場合には日陰を作ってあげる、寒い場合には犬小屋の中を温かくしてあげるなどの対策をとることで、穴掘りを止められる可能性があります。
また、遊びの一環や散歩の途中などに愛犬のテンションが上がり、穴を掘っている場合は、周りに十分配慮した上で遊ばせてあげましょう。
◆嫌なことがあった後に掘るような場合
穴掘りが愛犬のストレスからきていると感じる場合は、エネルギーを発散させてあげるのが一番の対策法となります。
散歩の時間や頻度を見直したり、ドッグランなどを利用して思い切り走らせるなど、愛犬がストレスをため込まないようにエネルギーを発散できる機会を増やしてみましょう。
基本的に犬は、飼い主さんと一緒に過ごす、一緒に何かをすることが好きな動物です。外出の機会を中々得られない場合は、室内で引っ張りっこやボール遊びをする時間を増やすなど、何らかの対策をとりましょう。
愛犬がストレスをため込むと、問題行動の引き金となったり、病気の原因となり得る場合もあります。飼い主さんにとっても愛犬にとってもマイナスの結果しか生みませんので、早めに対処してあげることをおすすめします。
◆執拗に一つの場所を掘る場合
犬が掘る動作を行うことで、家具などがボロボロにされては大変ですよね。特に賃貸住宅では、畳など床材が痛むことは避けたい事態です。
そんな時は、掘る遊びが始まった時に愛犬の名前を呼ぶなどして注意を逸らしましょう。それでも止まらないようであれば、それがいけないことだとしっかりしつけを施して教えなければいけません。
注意を逸らす際には、おもちゃを出す、おやつを与える、というやり方も効果はありますが、この方法を続けてしまうと、「掘る行動=良いことがある」と認識するようになる可能性が高いです。
これでは一旦その手を止めたとしても問題の根本的解決にはならず、結果的に遊びで掘ることは止まらなくなるでしょう。
止めさせる方法としては、まず名前を呼んで注意を逸らす。その後、「おすわり」や「まて」などのコマンドで愛犬の気持ちをリセットさせる。その後に遊んであげる、といった順で行うのがおすすめです。
他には、穴掘りをしてもいい場所を設けてあげるのも良いでしょう。
習性の一つである穴掘りを全て禁止してしまっては、犬たちにとって大きなストレスになってしまいます。
ソファで穴掘りを始めたら、愛犬のベッドの近くに誘導し直し、飼い主がそのベッドを掘る動作を見せて「ここは掘ってもいい場所」「ここを掘ってみるのも楽しいよ」と教えてあげると良いでしょう。
中々すぐには難しいかもしれませんが、遊びの一環として取り入れれば自然とソファを掘る動作は減るでしょう。
まとめ
ペットとの快適な暮らしのためには、愛犬にとってもぴったりな衣食住環境を揃える必要があります。
栄養バランスのとれるドッグフードや、使いやすいトイレ用品を用意することはもちろん、安心して眠れる場所づくりも重要だといえるでしょう。
掘る行動に困っている場合は、まずその原因を探ることが大切です。そしてその原因に適した対策法をとりましょう。
布団やベッドを見直したり、ソファであればソファカバーを使用するなど、一工夫で改善される点も多々あります。床を掘る場合には、トイレスペースをその場所に移動することで、掘る行動を止められる場合もあるようですよ。
愛犬の「ほりほり」に悩まされている飼い主さんも少なくありません。対策法を紹介した記事を参考にしたり、様々な情報を集めてみましょう。
愛犬との幸福な毎日を過ごすためにも、飼い主さんと愛犬の両者にとって快適な方法を色々と試してみてください。
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