1.犬を自転車のカゴに乗せてもいい?
1-1.自転車と道路交通法
1-2.自転車で犬を散歩させるのは道交法違反
1-3.犬を自転車のカゴにそのまま入れてはいけない
1-4.ペットスリングもNG
2.犬を自転車のカゴに乗せるときの注意点
2-1.カゴの網目でけがをしてしまう
2-2.カゴから落ちてしまう
2-3.リードが車輪に巻き込まれる
2-4.カゴに乗せられるのは小型犬から中型犬まで
2-5.後ろカゴには乗せない
2-6.愛犬を乗せたまま自転車から離れない
2-7.慣れるまでは遠出をしない
3.犬を自転車のカゴに乗せるときはキャリーバッグに入れた方が安心
4.犬を自転車に乗せるための便利グッズ
4-1.ペット専用の自転車カゴ
4-2.自転車用のキャリーバッグ
4-3.ペット専用の自転車
4-4.リュック型のキャリーバッグ
【掲載:2020.10.04 更新:2022.09.29】
犬を自転車のカゴに乗せてもいい?
◆自転車と道路交通法
道路交通法(道交法)での自転車の扱いは、「軽車両」すなわち車両の一種と規定されています。
そのため、道路交通法の車両についての規定に従って運転しなければならず、違反した場合、処罰の対象になります。
道路交通法70条では、
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」
と規定され、「安全運転義務」を定めています。
軽車両である自転車を運転する場合にも、ハンドルやブレーキを確実に操作し、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければなりません。
◆自転車で犬を散歩させるのは道交法違反
安全運転義務の「ハンドルやブレーキを確実に操作し」という規定から、スマホを使用したり傘をさしたりして片手運転をすることは、安全運転義務違反となります。
リードを持って犬を散歩させながら自転車で走行することも同様に、安全運転義務違反です。
また、リードを持った手でハンドルを握って走行することも、不安定な運転をしていると安全運転義務違反となることがあります。
違反した場合、刑事罰として3月以下の懲役又は5万円以下の罰金が科せられることがあります(道交法119条1項9号)。
このように、自転車で走行しながら犬を散歩させることは、刑事罰が科せられることもある道交法違反です。
何より、リードがチェーンや車輪に巻き込まれたり、予期しない犬の動きで安全に走行できなくなったりすると、愛犬も飼い主さんも非常に危険なので、自転車での犬の散歩は決してしないでください。
◆犬を自転車のカゴにそのまま入れてはいけない
犬を自転車のかごに乗せることそのものが、即、道交法違反になることはありません。
しかし、道路交通法71条では、
「車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない」
と定められており、その6号には、
「道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項」
という規定があります。
これを受けて、各都道府県の公安委員会が具体的に禁止事項を規定しており、「安定を失う恐れのある方法」で自転車や原付バイクを運転することは、道交法違反とされています。
犬を自転車のカゴにそのまま入れると、犬がかごから飛び出そうとするなど予期しない行動をすることで、自転車がバランスを失う危険性があります。
このため、犬を自転車のカゴにそのまま入れて走行することは、「安定を失う恐れのある方法」であるとされ、道交法違反となると考えられています。
違反した場合、5万円以下の罰金が科せられることがあります(道交法120条1項9号)。
◆ペットスリングもNG
ペットスリングは、飼い主さんと密着するので、安心する愛犬も多いです。
しかし、安定しているとは言い難く、犬が身動きをした時などにバランスを崩す危険性があり、安定した運転を行っていない場合、道交法違反とみなされる可能性があります。
犬をペットスリングに入れて自転車に乗ることは、安全のためにも避けた方が無難です。
犬を自転車のカゴに乗せるときの注意点
◆カゴの網目でけがをしてしまう
カゴの網目に爪や脚が引っ掛かることで、愛犬がケガをする恐れがあります。
直接カゴに乗せることは避け、マットなどを敷いてあげましょう。
◆カゴから落ちてしまう
ちょっとした段差やくぼみを通る時、自転車は意外と大きく揺れます。
この衝撃で、愛犬がカゴから落ちる危険性があります。
また、どんなにしつけの行き届いた愛犬でも、不意の大きな音などに驚いてカゴから飛び出してしまう可能性もあります。
落下した場合、骨折などのケガをするだけではなく、最悪死亡するケースもあります。
段差を走行する時は、スピードを落としたり、自転車を降りてついたりして、安全に通過するようにしましょう。
また、落下や飛び出しを防止するために、犬にはハーネスと短いリードを装着しておきます。
首輪の場合、落下した際に宙吊り状態になり、脛骨などを傷める恐れがあります。
◆リードが車輪に巻き込まれる
リードが垂れ下がって車輪に巻き込まれる恐れがあるので、長いリードは避けましょう。
◆カゴに乗せられるのは小型犬から中型犬まで
自転車のカゴに乗せることができるのは、カゴの耐荷重の範囲内の犬です。
一般的に自転車のカゴの耐荷重は3kg~10kgなので、大きめの中型犬以上の犬は乗せることができません。
目安としては、柴犬や小柄なフレンチブルドッグ程度の中型犬までなら乗せても大丈夫でしょう。
フレンチブルドッグでも大柄な子は、体重とカゴの耐荷重をチェックしてから乗せましょう。
◆後ろカゴには乗せない
自転車のカゴに乗せる時には、前カゴに乗せましょう。
後ろのカゴに乗せると、愛犬の様子を確認できず、とっさの場合に愛犬の動きを抑えたり体を確保したりすることもできません。
◆愛犬を乗せたまま自転車から離れない
飼い主さんの姿が見えなくなることで、不安になったり動揺したりして、愛犬が暴れてしまい、自転車が転倒する危険性があります。
また、他の人が犬を構うことで、興奮してカゴから転落してしまう可能性もあります。
このように様々な危険が考えられるので、愛犬だけをカゴに残してその場を離れるのは止めましょう。
◆慣れるまでは遠出をしない
愛犬も飼い主さん自身も、犬を自転車のカゴに乗せて走行することに慣れるまでには時間がかかります。
短い距離から始め、行先は愛犬の好きな場所にして、少しずつ慣らしていきましょう。
犬を自転車のカゴに乗せるときはキャリーバッグに入れた方が安心
愛犬の飛び出しや落下を防ぎ、安定した運転をするためには、犬をキャリーバッグに入れて自転車のカゴに乗せることをおすすめします。
キャリーバッグに入れている場合、犬の動きが相当程度制御されているとみなされ、道交違反とはならない可能性が高いです。
自転車のカゴとキャリーバッグの大きさによっては乗せられない場合があるので、サイズに気をつけて購入しましょう。
また、キャリーバッグごと落下することがないよう、ベルトなどでしっかりと固定してください。
犬を自転車に乗せるための便利グッズ
◆ペット専用の自転車カゴ
ペット用に開発された自転車カゴが販売されています。
飛び出し防止用のリードがついていたり、蓋をすることができたり、運転を妨げないような工夫が施されていて、犬が急に飛び出してバランスを崩すなどのリスクがありません。
キャリーバッグとカゴの大きさを検討する必要がないのも、メリットです。
◆自転車用のキャリーバッグ
自転車に取りつけられるキャリーバッグもあります。
自転車から取り外すと、通常のキャリーバッグとして使用できるので、通院などにも便利です。
◆ペット専用の自転車
ペットを乗せるために作られた自転車があります。
ハンドルの間にカゴがあり、犬の様子を見ながら運転することができます。
また、前輪が小さくなっていて重心が低く、安定した走行が可能です。
安定性が高い分、愛犬の乗り物酔いを防ぐこともできます。
キャリーバッグや飛び出し防止リードがついているので、愛犬の安全も確保できます。
少し高価になりますが、電動アシスト付きのペット用自転車もあります。
電動アシスト付きなら漕ぐ大変さが軽減されるので、中型犬を乗せても安定して走ることができるでしょう。
◆リュック型のキャリーバッグ
愛犬が外を見たり、愛犬の様子を直接確認したりすることはできませんが、両手が空きます。
また、安定性が確保され、道交法違反となる可能性は低いでしょう。
保険に加入しておこう
◆自転車保険
どんなに注意をして運転していても事故に遭うことはあるので、自転車保険に加入しておきましょう。
近年、自転車による重大事故の発生を受け、自転車保険の加入が義務付けられている自治体もあります。
飼い主さん自身が事故で被害に遭った場合だけではなく、他人にケガを負わせたり死亡させたりした場合の損害賠償のためにも、自転車保険に加入しておくことをおすすめします。
近年の例では、高額な損害賠償が認められるケースも少なくありません。
保険によっては、示談交渉の代理をしてくれないものや、自転車で犬を散歩させていた場合には保険金が支払われないものもあります。
契約時に補償内容をよく確認して、加入しましょう。
◆ペット保険
事故に遭った時や、カゴから落下した時に、愛犬がケガを負うこともあります。
ペットの治療費は、高額になることも少なくありません。
いざというときのために、ペット保険にも加入しておくことをおすすめします。
まとめ
自転車のカゴに犬を乗せることは、それ自体が道交法違反になるわけではありません。
しかし、道路交通法では自転車は車両の一種である軽車両であり、運転する人には安全運転義務が課せられます。
安全に運転することができない状態で走行していると、安全運転義務違反となる可能性があります。
どんなにしつけの行き届いた愛犬でも、音や周囲の状況に驚いて不意に動くことがあり、自転車がバランスを崩す危険性があります。
このような状態は、道交法違反となるだけではなく、愛犬や飼い主さん自身に危険が及ぶ事態です。
自転車のカゴに犬を乗せる場合にはキャリーバッグに入れ、キャリーバッグ自体も固定しておくと安心です。
また、通常以上に運転には注意し、スピードを出さないように走行してください。
自転車は気軽に乗れる便利な乗り物ですが、あくまで車両なので、交通ルールを守ることを忘れないようにしましょう。
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