1.犬の下痢の種類
1-1.大腸性の下痢
1-2.小腸性の下痢
2.犬の下痢の原因
2-1.食事によるもの
2-2.ストレス
2-3.誤飲・誤食
2-4.内臓疾患
2-5.感染症
4.犬が下痢をした時のご飯はどうすればいい?
4-1.半日~1日絶食して胃腸を休ませる
4-2.市販の下痢止めは使っていい?
4-3.少量を消化の良い状態で与える
5.普段から消化の良いドッグフードを与える
5-1.主原料に良質な「肉」を使用している
5-2.穀物不使用
5-3.人口添加物無添加
【掲載:2020.11.26 更新:2022.02.28】
犬の下痢の種類
犬の下痢は、小腸に異常がある場合と大腸に異常がある場合の2種類に分類することができます。
ここでは、大腸性の下痢と小腸性の下痢に見られるそれぞれの特徴を紹介します。
◆大腸性の下痢
大腸性の下痢では、排便頻度は増えますが量に大きな変化は見られません。
便はゼリー状や血液が付着することがあり、便を出したいが出ないといった行動が多く見られます。
食欲や体重の大きな異常も見られず、嘔吐を伴うことがあります。
◆小腸性の下痢
小腸性の下痢では、排便頻度はあまり変わりませんが、量は増える傾向にあります。
状態としてはタール便が見られる場合があります。
食欲は変わらないか低下し、体重は徐々に減少します。
嘔吐を伴うことがあります。
犬の下痢の原因
犬の下痢の原因は、消化器官の異常やストレスなどさまざまです。
ここでは、犬に多く見られる下痢の主な原因を紹介します。
◆食事によるもの
食物にアレルギーがある場合やドッグフードを替えた、普段と違うおやつを与えたなど、食事が下痢の原因になることもあります。
普段と違う食べ物を与えた際は、その食べ物が合っていなかった可能性があるため、中断して治まるか様子を伺います。
食物アレルギーの場合は、下痢のほかにも嘔吐や皮膚症状などが見られます。
犬にとってアレルゲンになりやすい食材は、以下の通りです。
- ・肉類(鶏肉、牛肉、ラム肉など)
- ・卵
- ・乳製品
- ・甲殻類
- ・穀物(小麦、トウモロコシ、大豆など)
犬にとってアレルゲンになりやすい食材は、主に動物性たんぱく質です。
食物アレルギーは、何がアレルゲンになっているのか原因を調べる必要があるため、動物病院を受診して検査を行うと安心です。
◆ストレス
犬は強いストレスを感じた際にも下痢をすることがあります。
引っ越しやペットホテルに預けるなど環境の変化や、季節の変わり目などはストレスを感じがちです。
心因性の場合には、下痢のほかにも無駄吠えや元気がない、食欲低下、粗相をするなどの症状を伴うことがあります。
愛犬の下痢が長期的な場合、何かストレスになるようなことはなかったか確認をしてみましょう。
◆誤飲・誤食
チョコレートやネギ類など、犬が食べることで中毒を引き起こした場合にも、下痢の症状が見られることがあります。
ほかにも、薬物や消化のできないものを誤飲することでも起こります。
中毒症状は放っておくと命に係わることもあるため、何か誤飲・誤食をした可能性がある場合には直ちに動物病院を受診するようにしてください。
◆内臓疾患
胃腸炎や腫瘍など、消化器系疾患の症状としても下痢を引き起こすことがあります。
また、消化器系のほかに膵臓、肝臓、胆のうに病気がある場合にも、症状として下痢が見られることがあります。
◆感染症
犬の感染症には下痢を伴うものも多く、なかには犬パルボウイルスや犬コロナウイルスといった怖い病気も該当します。
ほかにも寄生虫などが原因していることもあります。
これらの感染症は、混合ワクチンを接種することである程度予防をすることが可能です。
動物病院へ連れていく目安
下痢をした原因が誤飲・誤食などの場合、中毒症状を引き起こしている可能性があります。
中毒症状は早期処置が大切で、対処が遅れると命に係わる危険があるため、様子を見ずに動物病院を受診しましょう。
また、ひどい下痢や嘔吐、発熱、ぐったりしている、食欲がないなど症状が重い場合は、中毒症状や重度の疾患が原因している可能性があります。
下痢や嘔吐がひどいと脱水症状を併発する危険性もあるため、すぐに動物病院を受診するようにしてください。
下痢をしているが頻度はさほど増えていない、下痢以外に食欲、元気などはあるといった場合には、一過性の下痢である可能性もあるため、体調を良く観察しながら1~2日様子を見ても構いません。
途中で体調に異常があったり、下痢が3日以上続いたりするようであれば、動物病院を受診することをおすすめします。
子犬やシニアの場合は、様子を見ずに動物病院を受診するようにしましょう。
犬が下痢をした時のご飯はどうすればいい?
犬が下痢をしてしまった場合、普段与える食事はどうしたらいいのでしょう。
ここでは、犬が下痢をした時の食事法を紹介します。
◆半日~1日絶食して胃腸を休ませる
元気もあり様子を見ても良いと判断した場合には、1回分または1日ご飯を抜いて様子を見ます。
一過性の下痢の場合には、半日~1日胃腸を休ませることで回復する場合もあります。
成犬の場合には、1回から2回程度食事を抜いても栄養失調になることはありません。
ただし、絶食をしても水はいつでも飲める状態にしてください。
下痢をしている場合は、こまめに水分補給をしないと脱水症状を引き起こす可能性があります。
また、子犬やシニアの場合は早めに動物病院を受診してください。
◆人間用の市販の下痢止めは使っていい?
下痢をしているからといって、素人判断で下痢止めや整腸剤の使用は控えるようにしましょう。
原因が明らかな場合や、元気食欲がある場合には、市販の下痢止めや整腸剤を使いたくなりますよね。
しかし、下痢は体が排泄を必要としていることで起こる症状です。
なかにどんな病気が隠れているかわからないため、安易に下痢を止めてしまうことはかえって危険なこともあります。
どうしても下痢止めや整腸剤を使用したい場合には、獣医さんに相談してから使うようにすると安心です。
◆少量を消化の良い状態で与える
下痢をしていても食欲がある場合には、普段の量より少量を与えて様子を見ます。
また、ドライフードはぬるま湯でふやかすことで、水分補給と消化率を高めることができるためおすすめです。
普段から消化の良いドッグフードを与える
愛犬の下痢を予防するには、普段から消化の良いドッグフードを与えることが有効です。
では、犬にとって消化の良い内容とは、どのような条件があるのでしょう。
ここでは、消化の良いドッグフードの内容を紹介します。
◆主原料に良質な「肉」を使用している
鶏肉やラム肉などの肉は、一見消化が悪いように感じますが、犬は肉の消化を得意とします。
また、動物性たんぱく質は犬が一番多く必要とする栄養素ですので、主原料には肉や魚を使用している商品を選びましょう。
しかし、肉といっても粗悪なものではかえって消化不良の原因になってしまいます。
安価な商品に多く見られる副産物は、傷んだ肉や食べられる部位を取り除いた残りなどでできています。
これらの商品は家畜肉、家禽類、肉類、肉等、チキン等といった曖昧な記載が目立ちます。
良質な商品を見分けるには、チキン、ラムなど明確な記載のあるものや、ホームページなどで品質を確認する方法がおすすめです。
また、肉の種類にアレルギーを持つ体質の子もいます。
食物アレルギーを持つ場合には、アレルゲンとなる種類の肉が使用されていないものを選ぶようにしてください。
◆穀物不使用
小麦やトウモロコシなどの穀物は、消化が難しく消化不良の原因に繋がります。
また、穀物をアレルゲンとする犬は多いため、アレルギーの心配なワンちゃんにはグレインフリーのドッグフードを選んであげるのがおすすめです。
ドッグフードの中には、穀物を主原料に使用している商品も販売されています。
安価な商品に多く見られますが、穀物は肉よりも仕入れ値が安いため、多く使用することで安価に仕上げることができます。
穀物では犬にとって必要な栄養をバランスよく摂ることは難しく、当然消化も悪い内容になってしまいます。
穀物は商品のかさましとして使用されることもあるため、安い商品の原材料には特に注意が必要です。
◆人口添加物無添加
人口添加物を長く摂取し続けることは、さまざまな体調不良の引き金になります。
下痢や嘔吐、アレルギーもその一つです。
人口添加物は、品質の低い商品を長持ちさせるために使われることが多く、安価で低品質の商品に多く見られます。
ドッグフードに配合される人口添加物には、人間には使用できない強力な防腐剤や酸化防止剤をはじめ、発がん性のある着色料や香料なども使用されています。
人口添加物は症状に即効性がないため見落としてしまいがちですが、食べ続けることで徐々に愛犬の健康をむしばみます。
品質の良いドッグフードであれば、危険な人口添加物の使用のない商品が多く見られます。
愛犬の健康のためには、品質の良い人口添加物無添加の商品がおすすめです。
まとめ
犬の下痢の原因は、大きく分けて小腸性と大腸性の2種類に分類できます。
下痢の原因は食事によるものからストレス、内臓疾患などさまざまです。
症状として下痢がある場合には、様子を見ても良いものから緊急を要する危険なものまであります。
ひどい下痢や発熱などがある場合をはじめ、3日経っても改善しない場合は、動物病院を受診すると安心です。
家でできるケアとしては、半日から1日食事を中断することや量を減らすことなどがおすすめです。
自己判断で下痢止めや整腸剤の使用は、危険ですので控えるようにしてください。
大切な愛犬を下痢から守るためには、普段から品質や消化の良いドッグフードを与えることが大切です。
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