【目次】
1.犬に海苔を与えてもいいのか
2.海苔に含まれる栄養素と効能
2-1.食物繊維
2-2.マグネシウム
2-3.カリウム
2-4.カルシウム
2-5.ビタミンC
2-6.βカロテン
2-7.タウリン
2-8.タンパク質
3.犬に海苔の与え方と注意点
3-1.量
3-2.味付け海苔やコンビニおにぎりの海苔
3-3.乾燥剤
3-4.下痢
3-5.窒息
3-6.尿路結石症
3-7.高カリウム血症
3-8.アレルギー
3-9.持病のある犬は要注意
4.犬に海苔を与える時の一工夫
4-1.犬用減塩海苔
4-2.犬用ひと口おにぎり
【掲載:2021.01.13 更新:2022.01.09】
犬に海苔を与えてもいいのか
結論から言うと、海苔は犬に与えても大丈夫ですが、いくつかの注意をする必要もある食材です。
海苔は、ミネラルを多く含む海藻類で、人間にとっては健康に良い食べ物です。
これらの栄養素は犬にとっても健康効果があるとされ、一方、中毒症状を起こすような成分は含まれていません。
適量を守れば、海苔を犬に与えても問題はないでしょう。
海苔に含まれる栄養素と効能
『海の野菜』とも言われる海苔は、栄養素の宝庫です。
海苔に含まれる栄養素と犬に期待される効能について、ご紹介します。
◆食物繊維
海苔の約1/3は、食物繊維です。
食物繊維には、水溶性のものと不溶性のものがありますが、海苔には水溶性食物繊維が多く含まれています。
水溶性食物繊維は、腸内細菌によって分解されて栄養成分を生み出し、腸内環境を整える働きがあるプレバイオティクスです。
便秘気味の愛犬に適量を与えると、改善する可能性があります。
また、食物繊維には、血糖値の上昇を抑制する働きや、血中のコレステロールを下げる効果、免疫力を上げる効果もあり、健康促進を期待できます。
◆マグネシウム
海苔には、100g当たり300mgのマグネシウムが含まれています。
マグネシウムは、骨を構成する重要な成分です。
また、多くの酵素を活性化して、生命維持に必要な様々な代謝に関与しています。
◆カリウム
海苔には、100g当たり2,400mgのカリウムが含まれています。
カリウムには、余分な塩分を体外に排出する働きがあります。
◆カルシウム
カルシウムは、骨や歯を作る成分です。
海苔には100g当たり280mgのカルシウムが含まれており、丈夫な骨や歯を作る効果が期待されます。
◆ビタミンC
ビタミンCは、アスコルビン酸とも言われ、体内の異物の解毒や免疫機能の促進という働きがあります。
また、ビタミンCを含むビタミン類は、コラーゲンの生成を促す作用を持ちます。
このため、犬の被毛や皮膚を整える効果があり、健康な粘膜を保つ効果も期待できます。
シニア犬に海苔を与えたら、毛艶が良くなり、若々しくなったという例もあるそうです。
ビタミンCには、体の中で効率よくエネルギーを作る働きもあり、疲労回復効果も期待できます。
さらに、ビタミンB1とともに、目の疲れや視力低下を予防する助けにもなります。
ビタミンCには、抗酸化作用もあります。
抗酸化作用は、活性酸素の働きを適度に抑制する働きです。
活性酸素は体に必要なものですが、過剰に働くと細胞を傷つけて老化やガンの原因となる可能性があります。
抗酸化作用のある海苔は、老化やガンの予防効果が期待される食材です。
◆βカロテン
海苔には、体内でビタミンAに変換されるβカロテンが多く含まれています。
βカロテンには抗酸化作用があり、犬の血液をサラサラにする効果を期待できます。
また、皮膚や、目や喉の粘膜を強くしてくれる効果もあります。
◆タウリン
海苔に含まれるタウリンには、コレステロール値を下げる働きがあります。
◆タンパク質
海苔の約40%は、タンパク質です。
1枚で牛乳1/5本分、卵1/5個分に相当します。
タンパク質は、筋肉や内臓、血液、骨などを作る大切な栄養素です。
犬に海苔の与え方と注意点
海苔は、犬にとって有害な成分はなく、栄養が豊富な食材ですが、与え方には注意が必要です。
◆量
どんな食べ物でも、食べすぎはよくありません。
犬に海苔を与える場合の目安は、体重5kg当たり約0.5gとされています。
これは、大判の海苔1枚の約1/4で、目安としては一つまみ程度です。
体重別の目安は、
✔体重5kg未満の超小型犬:0.1~0.3g(大判サイズ1枚の1/8程度)
✔体重5kgの小型犬:約0.5g(大判サイズ1枚の1/4程度)
✔体重10kgの中型犬:約0.8g(大判サイズ1枚の1/2弱)
✔体重20kgの中型犬;約1.5g(大判サイズ1枚の3/4程度)
✔体重25kg以上の大型犬:大判サイズ1枚程度
となります。
海苔は、食事のトッピング程度と考えましょう。
また、上記の量を毎日与えると摂りすぎになるので、週1回程度に留めましょう。
おやつとして頻繁にあげるのは、好ましくありません。
◆味付け海苔やコンビニおにぎりの海苔
コンビニおにぎりに使われている海苔は、味付け海苔であることが多いです。
味付け海苔には、塩分が多く含まれるほか、砂糖や食品添加物、防腐剤、つや出しのための油なども使われているので、犬にはよくありません。
海苔を与える場合には、板海苔や焼き海苔を与えましょう。
ただし、海苔自体にも塩分が含まれている(100mg当たり1.3g)ので、上記の目安量を守ってください。
焼き海苔の塩分は、水でふやかして、洗って絞ることで、多少は除去できます。
◆乾燥剤
海苔の容器には、乾燥剤が一緒に封入されています。
海苔と一緒に、乾燥剤を誤食する事故があるようです。
乾燥剤は食べると危険な物なので、容器から出すときには注意してください。
万一、乾燥剤を誤食してしまった場合には、無理に吐かせようとせず、すぐに動物病院を受診しましょう。
◆下痢
食物繊維が豊富な海苔は、適量であれば便秘の改善に効果がありますが、過剰摂取すると消化不良から下痢を引き起こすこともあります。
食物繊維をどの程度消化できるかには個体差があるので、海苔を与えた時にはうんちの状態をチェックするようにしましょう。
◆窒息
海苔の多くは水分がかなり少なく、口の中に張りつくことがあります。
犬は、食べ物を丸呑みにする習性があるので、大きなまま海苔を与えると、喉に張りついて窒息する危険性があります。
犬に海苔を与える場合には、必ず、ハサミで切ったり手でちぎったりして、細かくして与えましょう。
細かくしたものを水でふやかすと、より安心なので、おすすめです。
◆尿路結石症
ミネラル成分の豊富な海苔は、食べ過ぎると尿路結石症になる可能性があります。
尿路結石症は、最悪の場合、尿路が詰まり排尿ができなくなって、命にかかわる尿毒症になることがあります。
体質的に結石ができやすいとされるパグ、ペキニーズ、ヨークシャーテリア、ビーグル、ダックスフント、コーギー、ミニチュアシュナウザー、ブルドッグなどの犬種では、特に注意が必要です。
◆高カリウム血症
カリウムは体に必要な栄養素ですが、摂りすぎると高カリウム血症になります。
海苔には、カリウムが豊富に含まれているので、注意が必要です。
◆アレルギー
どんな食べ物でも、食物アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)になり得ます。
初めて食べさせるときには、少量で様子を見るようにしましょう。
食物アレルギーは、生まれつきの体質による先天性アレルギーと、長期間、同じ食材を食べ続けることで発症する後天性アレルギーがあります。
最初はアレルギー反応がなくても、愛犬の様子を見ながら与えるようにしてください。
皮膚を痒がる、嘔吐や下痢をする、目が充血してくるなどの症状が見られたら、海苔を与えるのはやめましょう。
◆持病のある犬は要注意
海苔には、甲状腺ホルモンの主原料であるヨウ素が2,100μg含まれています。
甲状腺の病気で、獣医師からヨウ素(ヨード)を制限されている場合には、海苔を与えないようにしましょう。
また、腎臓病などでカリウムを制限されている場合にも、海苔は与えない方がよいでしょう。
何らかの持病を持つ犬に海苔を与えたい場合には、必ず、あらかじめ獣医師に相談してください。
犬に海苔を与える時の一工夫
◆犬用減塩海苔
どうしても海苔を欲しがる愛犬には、減塩海苔を作ってあげるのもよいでしょう。
ただし、完全に塩分が取り除かれるわけではないので、あげる量には気をつけてください。
用意するのは、味のついていない焼き海苔とお湯です。
1. 多めのお湯に海苔を入れて、ドロドロになるまで溶かします
2. 海苔の塊がなくなったら、巻きすや目の細かいザルにあげて、水を切ります
3. 巻きすやザルに残った海苔を薄くのばして、よく乾燥させます
4. 乾いてシート状になったら、トースターなどで軽く火を通して匂いを立たせます
◆犬用ひと口おにぎり
飼い主さんがおにぎりを食べるときに、愛犬にはひと口おにぎりを作ってあげましょう。
鮭やかつお節のひと口おにぎりに海苔を巻いてあげると、飼い主さんと一緒に食べられて愛犬も喜ぶでしょう。
ただし、あくまでおやつとして、たまにあげるだけにしてくださいね。
まとめ
嗅覚の優れた犬には、磯の香りのする海苔は興味を惹かれるものかもしれません。
飼い主さんがおいしそうに食べていたら、なお欲しがることでしょう。
海苔は、犬にとっても栄養の豊富な食材ですが、たくさん与えると病気の誘因となったり、持病を悪化させたりする可能性があります。
総合栄養食を食べていれば、基本的に栄養のバランスは摂れています。
海苔は、手作りフードでは十分に摂れない栄養素をプラスするなど、サプリメントのような存在だと考えるとよいでしょう。
海苔を与える場合には、適量を守り、与えた後の愛犬の様子をよく見るようにしましょう。
何らかの異常が現れた場合には、速やかに動物病院を受診してください。
味付け海苔やコンビニおにぎりは、犬にとっては塩分過多になりますので、決して与えないようにしましょう。
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