1.犬にもパーソナルスペースがある
1-1.そもそも「パーソナルスペース」とは?
1-2.犬のパーソナルスペースは人間とは違う?
1-3.犬のパーソナルスペースは段階的
1-4.飼い主さんが愛犬のパーソナルスペースを知ることの大切さ
1-5.パーソナルスペースがない犬もいる
1-6.子犬の頃から距離感を縮めることも
2.柴犬の独特の距離感を「柴距離」という
2-1.距離を保っているのに心地が良い「柴距離」
2-2.どうして距離を保つの?
2-3.日本犬は距離感を保つ傾向にある
2-4.飼い主さんにはとても従順
3.柴犬への接し方のポイントを知ろう
3-1.ポイント1.柴犬の嫌がることを知っておく
3-2.ポイント2.柴距離を発動してきたら無理強いしない
3-3.ポイント3.甘えてきたときにはたっぷりと愛情をかける
3-4.ポイント4.ときには柴距離を詰めなければならないことも
3-5.ポイント5.柴犬の褒め方&叱り方をマスターする
犬にもパーソナルスペースがある
まずは、人間や犬における「パーソナルスペース」についてみていきましょう。
◆そもそも「パーソナルスペース」とは?
パーソナルスペースとは、「他人に入ってほしくない自分の領域」のことです。
家族や友人など、気心が知れた親しい人ならグッと近づいても苦になりませんよね。
でも、見知らぬ人なら、1~2mでも「近すぎる…」と感じ、思わず離れたくなるのではないでしょうか。
しかし、人によって、パーソナルスペースの範囲は異なります。
警戒心の強い人ほど、「近くに人が寄ってくるのが苦痛」と感じやすいため、パーソナルスペースの範囲は広いと言えるでしょう。
◆犬のパーソナルスペースは人間とは違う?
犬にもパーソナルスペースがあります。
犬の場合は、“臨界(りんかい)距離”と呼ばれることもあります。
犬は「自分を守りたい」という強い心理が働くため、心のなかに持っている自分自身の縄張りに侵入されると嫌悪感や攻撃などでさまざまな行動を見せるでしょう。
犬を飼うときには「犬にもパーソナルスペースがある」と理解しておくことが大事です。
◆犬のパーソナルスペースは段階的
犬のパーソナルスペースには、いくつかの段階があります。
まず、「危険を察知したら逃げたい」という範囲です。
その範囲内に誰かが侵入したら、シッポや耳を下げて、まずは「自分は不安だ」という点をアピールします。
そして相手から逃げるように、その場をそっと離れていくでしょう。
しかし、それ以上近づかれると、さらなる嫌悪感を示します。
「逃げられない・怖い」という気持ちが強まり、吠える、噛むなどの攻撃をしてしまうこともあります。
◆飼い主さんが愛犬のパーソナルスペースを知ることの大切さ
人間の場合、パーソナルスペースに誰かが侵入しても、「嫌だ…」と思いながらも我慢ができるものです。
公共の乗り物、病院の待合室などで、隣に誰かが座るのが嫌だと感じても「仕方がないこと」と割り切ることができるかもしれません。
誰かが近づいてきたからと言って、攻撃することはないですよね。
でも、犬は人間よりもパーソナルスペースにナーバスに反応します。
前述したように、「近づいてほしくないから逃げるね」と愛犬が自分から逃げたとき、「嫌なのだな…」と理解してあげることが犬との関係性を保つことにもつながります。
逃げている犬に向かって、さらに距離を詰めようとすると「やめて!!」と攻撃されかねません。
また、愛犬のパーソナルスペースを知っておくことで、散歩中にも役立ちます。
散歩の場合、リードの長さに限りがあるため、「逃げたい」と思っているのにワンちゃん達は逃げられないこともあるでしょう。
パーソナルスペースに侵入されて怖いという思いから、ワンワンと吠える犬も多いです。
愛犬が不安に感じている状況を察知して、ほかの人間や動物たちと距離を保ってあげるようにしましょう。
愛犬のパーソナルスペースを飼い主さんが知ることは、とても大事なことなのです。
◆パーソナルスペースがない犬もいる
誰にでもフレンドリーな性格のワンちゃんの場合、初めて会う人に撫でられてもまったく怖がらないというケースもあるでしょう。
パーソナルスペースがない、もしくは許容範囲が広いのかもしれませんね。
◆子犬の頃から距離感を縮めることも
月齢の浅い子犬は、比較的、いろいろなものを吸収しやすく、自分以外の人や動物との触れ合いに極端な嫌悪感を抱かないようです。
子犬の頃から、たくさんの人と接しているうちに、距離感をうまくコントロールできるようになるでしょう。
とは言え、パーソナルスペースは性格や生まれ持った気質によって異なるのは当然のことです。
「パーソナルスペースの範囲が狭く、人を寄せ付けない」としても、無理に直そうとするのではなく、その犬の個性としていったん受け止めてあげることが大事です。
柴犬の独特の距離感を「柴距離」という
柴犬を飼っている方、もしくは柴犬が好きという方の多くは、「柴距離」というワードを聞いたことがあるかもしれません。
いったいどんな“距離”なのでしょうか。
◆距離を保っているのに心地が良い「柴距離」
柴犬は、「抱っこはされたくないけれど隣にいるよ」「ベタベタはイヤだけれど大好きだよ」と、スキンシップを比較的好みません。
抱っこはしなくても飼い主さんの近くで座っていたり、ちょっと離れたところから熱い視線を投げかけていることも。
そんな程よい距離感が柴距離です。
一定の距離を保っている柴距離ですが、どこか微笑ましくもあり、お互いに心地よい距離でもあります。
距離感はあっても、飼い主さんへの愛情サインもしっかり送っていてくれるはず。
柴距離は決してマイナスなものではなく、柴犬の控えめな絶妙な距離感として、しっかり受け止めたい魅力ポイントです。
愛好家の方々には、愛情をこめて「柴距離」と呼ばれているのです。
◆どうして距離を保つの?
柴犬は、もともと「番犬だった・狩猟犬だった」という歴史が深く関係していることから、ほかの犬よりもパーソナルスペースが広いと言われています。
ペットとして人間と暮らしている現代でも、昔の名残があるため、人との距離感を詰めることに抵抗を感じるようです。
もともと愛玩犬ではないので、いくら飼い主さんとは言え、ベタベタするのは好きではないのかもしれませんね。
◆日本犬は距離感を保つ傾向にある
「飼い主さんとちょっと距離感がある」という柴距離は、特に日本犬によく見られます。
日本犬は、そもそも古い時代から番犬や猟犬として人間とともに暮らしてきた歴史があります。
主人に対して危険を教えるような役割を担ってきたため、警戒心はかなり強いでしょう。
それに主人の指示を忠実に守る謙虚さも持ち合わせています。
狩猟現場では指示を待つよりも、自身の瞬時の行動が求められるため、“冷静沈着”というのが日本犬の代表的な性格です。
抱っこされることを好む洋犬とは違い、距離感を大事にして飼い主さんに尽くしてくれるでしょう。
◆飼い主さんにはとても従順
クールな柴犬も、信頼できる飼い主さんにはかなり従順です。
しかも、頭がよく学習能力も高い犬種。
「この人が主人だ・リーダーだ」と確信すると、とても従順です。
飼い主さんが何らかの指示を出そうとすれば、「いつまでも待っています」と言わんばかりに根気よく我慢する様子も見られます。
愛情を受けて絆が深まると飼い主さんに対しての感情が強まり、トレーニングにも意欲的に取り組むでしょう。
忍耐力もあり、一途に飼い主さんの指示を守ってくれる純朴なところが人気と言えるでしょう。
ただ、ときに、強すぎる警戒心と頑固な一面でしつけが難航することもあります。
しかし、飼い主さんとの絆が深いほど根気良いしつけでカバーすることもできる優秀なワンちゃんなのです。
柴犬への接し方のポイントを知ろう
柴距離という言葉もあるように、柴犬は距離を詰められるのが苦手です。
柴犬の性格を理解してストレスを感じさせない接し方のポイントを覚えておきましょう。
◆ポイント1.柴犬の嫌がることを知っておく
個体による性格にもよるのですが、柴犬の多くは「ベタベタと密着する」ことを苦手にします。
ワンちゃんを飼ったら、スキンシップでべったり密着したいという理想を持っている方もいるかもしれませんが、柴犬の場合、苦痛にさせてしまう可能性があるので注意しましょう。
また、知らない人との関わりも柴犬は苦手です。
初めて会う人には、警戒心のアンテナが作動するので、ちょっと興奮して攻撃態勢になることもあります。
いきなり撫でられるなどは、特に嫌がります。
柴犬のパーソナルスペースを刺激しないように、飼い主さん側で配慮してあげるようにしましょう。
◆ポイント2.柴距離を発動してきたら無理強いしない
いつもは少し離れた柴犬が隣に座ってくれると、嬉しくなって抱っこしたくなりますよね。
でも、だからと言って急に抱きかかえると、とてもビックリして逃げ出すこともあるでしょう。
柴犬は、ちょっと頑固な一面があるため、自分がして欲しくないことをされると、たとえ飼い主さんでも全力で嫌がります。
自分から離れた位置に行って柴距離を発動してきたら、決して無理をさせないようにしましょう。
柴犬のペースに合わせてコミュニケーションを楽しんでくださいね。
同じ空間で過ごし、時折声をかけてあげるだけでも、柴犬には「落ち着く」という感情を持ってもらえます。
◆ポイント3.甘えてきたときにはたっぷりと愛情をかける
柴犬にも、甘えたいときがあります。
自分から甘えて寄り添ってきたときには、柴犬のデレデレした気持ちが高まっているときです。
頭を撫でたり触れたりと、優しく愛情を注いであげてくださいね。
ただ、急に撫でたり、いきなり顔の前に手を出したりなど、驚くようなスキンシップはやめましょう。
社会化期に、スキンシップに抵抗がないようにトレーニングすることで、スキンシップに苦手意識がなくなるケースもあります。
◆ポイント4.ときには柴距離を詰めなければならないことも
柴犬が嫌がる原因となるものを取り除けば、ゆったりとした暮らしができるかもしれません。
四六時中、柴犬が柴距離を保っていても、まったく柴犬に触れ合わずに生活することはできないものです。
特に、日々のブラッシングなどのお手入れや、動物病院受診のタイミングについて考えておかなくてはなりません。
そのため、柴犬には、ここぞというときに触れられるトレーニングも大事です。
ふだんは、柴距離を尊重していても、「パーソナルスペースに侵入しちゃうけどごめんね」というシーンがあることをストレスにならないように教えていく必要があります。
そこで大切なのが「しつけ」です。
柴犬は賢く従順なので、根気よくしつければ覚えてくれます。
◆ポイント5.柴犬の褒め方&叱り方をマスターする
しつけでは、柴犬の性質に合わせた褒め方や叱り方をマスターしましょう。
洋犬のように「飼い主さんから抱っこされる」「撫でられる」という触れ合いがしつけの際の“ご褒美”にならないことが多いです。
そこで、柴犬が喜ぶ「おやつ」や「声掛け」などで対応していく必要があるでしょう。
また、叱り方にも注意が必要です。
信頼関係が築けていないうちに、高圧的に怒鳴って叱るのはNGです。
叱るという行為をするなら、まずは信頼関係を作り上げましょう。
そして、服従させるために暴力的な態度をするのもやってはいけない叱り方です。
体に触れられるのが苦手な柴犬にとって、鼻と口をおさえる「マズルコントロール」、強制的に犬をひっくり返しお腹を見せさせる「ロールオーバー」など、力でねじ伏せようとする行為は攻撃性を高める要因となるでしょう。
まとめ
今回は、柴犬の「柴距離」について、犬のパーソナルスペースや過去の歴史から紐解いてみました。
本能的に、他者と距離を取りたがるところがありますが、信頼できる飼い主さんには誠心誠意尽くしてくれる素敵なワンちゃんです。
ふだんはそっけなくクールな柴犬が、そっと視線を投げかけてくれる姿を見るとグッと気持ちが掴まれそうですね。
絶妙な距離感を保っていても、愛情が伝わってくる瞬間です。
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