1.なぜ犬の突然死が起きてしまうのか
2.犬の突然死を引き起こす病気
2-1.心臓疾患
2-2.脳梗塞
2-3.胃捻転、拡張
4.子犬の突然死とは
4-1.免疫機能が弱い
4-2.感染症が原因
6.犬の突然死を予防する方法
6-1.犬種により突然死しやすい病気を知る
6-2.病気の早期発見と治療を行う
6-3.子犬の適切なワクチン接種
なぜ犬の突然死が起きてしまうのか
犬の突然死が起きてしまう原因として、病気と中毒が考えられます。
突然死とは事故やケガがなく通常どおりの生活を送る中で、健康に見える愛犬が急に死亡してしまうことです。
突然死の定義としては発症から24時間以内とされています。
いつもどおりに過ごしていた愛犬が突然死に至ると飼い主さんのショックも計り知れず、大きな喪失感に襲われますよね。
飼い主さんによっては愛犬の死を受け入れられず気力も出ず、ペットロスの状態になってしまう方もいらっしゃいます。
犬を飼っていると突然死でお別れする可能性もありますが、なにも知らない状態でのお別れとそうでない場合は飼い主さんの気持ちの面で大きく違ってきます。
原因や予防法を知って少しでも愛犬と共に長く幸せな日々を過ごし、お別れがたとえ突然訪れたときもしっかりと見送れるようにしていきましょう。
犬の突然死を引き起こす病気
犬の突然死を引き起こす病気として、主に以下のものがあります。
・心臓疾患
・脳梗塞
・胃捻転、拡張
順番に見ていきましょう。
◆心臓疾患
突然死を引き起こす原因として多く挙げられるのは心臓疾患です。
ひと言で心臓疾患といっても以下のようにさまざまな疾患があります。
【心筋梗塞】心臓の筋肉である心筋に血液が届かず酸素不足になる疾患
【心筋症】心筋自体の異常により心臓機能が低下する疾患
【僧帽弁閉鎖不全症】心臓の弁が正常に働かず血液が心臓の中で逆流する疾患
上記の疾患にかかると心臓のリズムが乱れる不整脈が合併し、突然死の原因となる場合があります。
不整脈になると考えられるのが以下の症状です。
・疲れやすい
・元気消失
・失神
・呼吸困難
不整脈は高齢の犬やポメラニアン、マルチーズに多いとされています。
少しでも愛犬の様子がいつもと違うと感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
◆脳梗塞
突然死を引き起こす原因のひとつである脳梗塞とは、脳の血管が細くなったり詰まってしまったりすることにより血流が途絶えてしまう疾患です。
脳梗塞は発症すると以下の症状がみられます。
・立とうとしても立てない、ふらつく
・昏睡などの意識障害
・麻痺
脳梗塞にかかりやすい犬種として、プードルやチワワなどの小型犬種が挙げられます。
脳梗塞は早急な対処がおこなわれなければ後遺症が残ったり、死に至ったりすることもある恐ろしい病気です。
◆胃捻転、拡張
胃捻転、拡張とは空気が胃の中で膨れ上がり胃が捻れてしまう疾患で、短時間で死に至ることもある非常に緊急性の高い疾患です。
はっきりとした原因はわからないものの、胃の中に溜まった液体やガスが増加した状態で過度の運動をすることが胃拡張の原因となり、胃捻転を起こすと考えられています。
胃捻転、拡張を起こしやすい犬種として挙げられるのはグレートデーンやセントバーナード、スタンダードプードルなどの胸の深い大型犬です。
一度に食べるフードの量が多く動くことも運動量も必要とする犬種に多く見られるので、食事をゆっくり与えたり食後すぐの運動は控えたりと飼い主さんが管理して予防してあげましょう。
胃捻転、拡張の症状として以下のものがあります。
・嘔吐したくてもできない
・呼吸が荒く苦しそう
・大量によだれを出している
・お腹が張っている
治療をせず放置するとショック状態を起こして死亡する場合も考えられる疾患のため、上記の症状が見られたらできるだけ早く動物病院に連れて行きましょう。
中毒やストレスによる突然死の可能性も
上記の疾患のほか、中毒やストレス原因で突然死をする場合もあります。
犬が中毒を起こしやすい食べ物を知っておきましょう。
・チョコレート
・ネギ類
・キシリトール
愛犬にとって危険な食べ物は多くありますが、特に上記の食べ物は少量でも犬にとって大変危険なものなので、接種しないよう常に注意しましょう。
また愛犬にとって強いストレスや負荷がかかった場合、ショックで突然死してしまう場合もあります。
寒さや暑さ、雷や大きな音など、愛犬にとってストレスになるものを理解し避ける環境作りが大切です。
子犬の突然死とは
突然死の原因をみてきましたが、特に子犬は免疫機能が弱いこと、それによりかかりやすい感染症があることから成犬よりも突然死の可能性が高いことを知っておきましょう。
◆免疫機能が弱い
子犬は成犬に比べ免疫機能が強くありません。
成犬は1年に1度のワクチン接種により免疫を維持していますが、子犬はまず生まれてすぐに母犬の初乳を飲むことで免疫をつけています。
この免疫は生後6カ月ごろに消滅しますが、いつ消えるかは個体差によります。
そのため早めに生後2カ月頃からワクチンを接種し、母犬からの免疫が消えても身体の中にワクチンによる免疫がある状態を作り出したいのですが、母犬からの免疫が身体に残っているうちはワクチンによる免疫が作られません。
確実に免疫を付けるために子犬のうちは2~3度のワクチン接種の必要が出てくるため、飼い主さんは獣医師と相談してスケジュールによりワクチンを接種する必要があります。
ワクチンの接種を怠ってうまく免疫がつかなかった場合、感染症にかかりやすくなってしまいます。
◆感染症が原因
子犬は免疫機能が弱いことで突然死を引き起こしやすいと前述しましたが、突然死の原因となる感染症には以下のものがあります。
・犬ジステンパーウイルス感染症
・犬アデノウイルスⅠ型感染症
・犬パルボウイルス感染症
順番に見ていきましょう。
犬ジステンバーウイルス感染症
犬ジステンパーウイルス感染症は犬ジステンパーウイルスが原因の感染症です。
空気感染や飛沫感染により感染し、症状としては以下のものがあります。
・発熱
・食欲不振
・黄色の鼻水・目やに
・神経症状
・鼻や肉球が硬くなる
・消化器症状
・視神経炎など
初期症状として発熱や食欲不振など一般的な体調不良から起こることから、症状が進むまで気がつきにくい感染症です。
犬アデノウイルスⅠ型感染症
犬アデノウイルスⅠ型感染症は犬アデノウイルスが原因で発症し、犬伝染性肝炎を引き起こします。
感染経路としてはワクチン未接種やうまく免疫のついていない犬の口や鼻から、リンパ組織への侵入です。
感染したすべての犬が発症するわけではありませんが、肝臓や腎臓、目、リンパ節、骨髄など全身の臓器で増殖し発症した場合、以下の症状があります。
・食欲低下
・発熱
・腹痛
・元気消失
・嘔吐や下痢
・腹水
・臓器内出血
犬アデノウイルスⅠ型感染症は発症しない場合もあるほか発症しても程度がさまざまな場合もありますが、突然死する場合も多くあります。
犬パルボウイルス感染症
犬パルボウイルス感染症はパルボウイルスが原因で引き起こされる疾患で、症状としては以下のものがあります。
・食欲不振
・元気消失
・発熱
・嘔吐や下痢、血便
・敗血症
・心筋炎
パルボウイルス感染症はかかったとしても治療は決定的なものがなく、対症療法により子犬の体力をいかに減らさないようにして症状が改善していくか見ていきます。
突然死の原因は見極められるのか
突然死によって急に愛犬がいなくなってしまうと心の準備ができていなかったぶん、飼い主さんとしては原因を突き止めたいと思う場合もありますよね。
突然死の原因の見極め方として血液検査やレントゲン、CTなどがありますが、最も詳しく検査できるのが剖検です。
剖検とは解剖して臓器の異常を目視や検査で調べることをいいます。
多くの動物病院では突然死のあと飼い主さんからの申し出によって原因の突き詰めに血液検査やレントゲン検査をおこなってくれるところもありますが、剖検となると大学や検査所に依頼する場合が多いでしょう。
そのため剖検自体の費用のほか、輸送費や検査のための料金が必要になります。
剖検にかんしては亡くなった愛犬の身体にメスを入れることから飼い主さんご自身の考え方によりますが、かかりつけの動物病院とよく相談し、判断して依頼するようにしましょう。
犬の突然死を予防する方法
さまざまな原因のある犬の突然死ですが、予防する方法として以下のものがあります。
・犬種により突然死しやすい病気を知る
。病気の早期発見と治療を行う
・子犬の適切なワクチン接種
順番に見ていきましょう。
◆犬種により突然死しやすい病気を知る
突然死の原因疾患の中には以下のようにかかりやすい犬種が存在します。
【心臓疾患】高齢犬、ポメラニアン、マルチーズなど
【脳梗塞】小型犬種、プードルやチワワなど
【胃捻転・拡張】胸の深い犬、ドーベルマン、セントバーナード、スタンダードプードルなど
上記以外の犬種を飼っていたとしても、飼い主さんは愛犬が突然死しやすい病気を知り理解しておくことが大切です。
◆病気の早期発見と治療を行う
突然死の原因となる疾患や中毒、ストレスによる症状を発症した場合、早めの治療が突然死を防ぐ方法となります。
病気や症状の早期発見には普段から愛犬と触れ合い、愛情を注ぎ、なにか変化があったらすぐに気付けることが大切です。
小さな変化でも見逃すことのなく早期発見でき、異常に気付いたらすぐに治療に連れて行ける行動力を兼ね備えた飼い主さんになりましょう。
夜間でもすぐに異常に対応できるよう、かかりつけの動物病院は夜間連絡が取れるかなどの情報も知っておくと良いですね。
◆子犬の適切なワクチン接種
子犬は免疫力が低く突然死を起こしやすい病気にかかりやすいことから、免疫をしっかりとつけるために適切なワクチン接種が大切です。
子犬は生後6~8週齢で1回目を、3週間後に2回目、さらに3週間後に3回目と初年度は3回ワクチンを接種しなければなりません。
母犬の初乳を飲むことでついたワクチンの効果がいつ切れるかわからないため、しっかりと免疫を付けるために初年度の2~3回の接種は忘れることなく適切な時期に打ちましょう。
まとめ
今回は犬の突然死の原因や予防法についてまとめました。
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✔突然死の原因は病気と中毒、ストレスなどが考えられる
✔病気の原因として心臓病、脳梗塞、胃拡張、捻転などがある
✔子犬は特に免疫力が弱く感染症にもかかりやすいので注意が必要である
✔突然死の予防法は愛犬のかかりやすい病気を知る、病気の早期発見や治療をおこなう、適切なワクチン時期を知り実施することが挙げられる
犬を飼っていると突然死の可能性もあります。
思い返してできることをしていなかったら、飼い主さんとしては後悔が残りますしいつまでも立ち直れませんよね。
今愛犬にできるすべてのことを実施し、突然のお別れが来たときもありがとうと伝えられるようたくさん愛情を注ぎ精一杯可愛がるようにしていきましょう。