日本人のソウルフード「あんこ」!犬が食べても大丈夫?

2022.12.05

日本人のソウルフード「あんこ」!犬が食べても大丈夫?

大福・どら焼き・羊羹など、主に和菓子などの材料として活躍する「あんこ」。私たち日本人にとっては、とても身近な食べ物の一つですよね。和菓子に限らず、アンパンやビスケットなど、食事や様々なお菓子の材料としても活躍しているこのあんこ、犬が食べても問題はないのでしょうか?今回はこのあんこに注目し、犬に与える上でのメリットやデメリット、さらに与え方についての注意点などを紹介していきます。

【掲載:2022.01.03  更新:2022.12.05】

犬があんこを食べても大丈夫?

あんこ

あんこに入っている食材は、基本的に小豆と砂糖のみです。少量の塩分が加えられている場合もありますが、いずれも犬が中毒を起こすような材料は加えられていません。このため、犬があんこを食べても大丈夫だといえるでしょう。
しかし、甘くて美味しいあんこには砂糖が沢山入っていますよね。
誤って食べてしまっても無理に吐き出させる必要はありませんが、与える場合にはその量に注意しなくてはいけません。糖分の摂りすぎは、肥満や糖尿病など病気の原因にもなり得ます。愛犬にあんこを与えるためには、飼い主さんが適切な知識を身に付ける必要があるでしょう。
まずは、あんこが持つ栄養素や犬にとってのメリット・デメリットから紹介していきます。

◆あんこに含まれる主な成分

あんこには砂糖が多く使われるため、犬に対しては積極的に与えることを避けるべき食材ではあります。
しかし、あんこの元である小豆には、食物繊維・ビタミン・サポニンなどの栄養素が豊富に含まれているのです。上手に与えることで、犬の健康にも役立つメリットを得られる可能性があります。
小豆に含まれている栄養素をチェックしていきましょう。

<小豆100gあたりの主な栄養素> ※文部科学省 食品成分データベースより

  • エネルギー / 202kcal
  • 水分 / 5.3g
  • たんぱく質 / 4.4g
  • 脂質 / 0.4g
  • 炭水化物 / 49.2g
  • 灰分 / 0.7g
  • 食塩相当量 / 0.2g
  • カリウム / 160mg
  • 食物繊維 / 3.4g
  • ビタミンB1 / 0.02mg
  • ビタミンB2 / 0.04mg
  • 亜鉛 / 0.4mg
  • 鉄 / 1.3mg

他にも、ポリフェノールやサポニンなどが豊富なため、腸内環境の改善やコレステロールの除去など、様々な健康効果が期待できるのです。
次に、小豆によってわんちゃんの身体に期待できるその効果について、もう少し詳しく紹介していきましょう。

◆期待できる効果は?

小豆に特に多く含まれているのは食物繊維です。これにより、腸内の善玉菌を増やして悪玉菌を排出し、腸内環境を整える効果をもたらしてくれます。
また鉄分も多く含まれており、鉄分がもつエネルギーを作り出したり、酸素を身体全体に送る働きの恩恵を得られるでしょう。
さらに抗酸化作用をもつポリフェノールによって、身体の細胞を傷つける活性酸素も抑えられますよ。
他にも、体内のナトリウムを排出するカリウムや、皮膚・被毛の健康に役立つとされる亜鉛、コレステロールを取り除いたり代謝をよくするサポニン、糖質をエネルギーに変換するビタミンB1、脂質の代謝を促すビタミンB2など、様々な栄養素が含まれているのです。これらがバランスよく含まれているため、愛犬の健康維持にとってはとても効果的な食べ物だといえるでしょう。

このように嬉しい栄養素が豊富に含まれる小豆ですが、もう一点「食欲をそそる」というメリットももっています。
小豆が材料となるあんこは、砂糖の甘味と甘い匂いのする食品ですよね。これにより、食欲をそそられるワンちゃんは少なくないでしょう。
病中病後で食欲低下気味であったり、痩せてしまった犬には、体力回復を目的として高カロリーの食事が必要となる場合があります。あんこは、このような時に活用できる食材の一つなのです。総合栄養食であるドッグフードを与えるのはもちろんですが、適量のあんこを上手にトッピングしてあげると、食の細い愛犬の食欲を刺激できるかもしれませんね。

◆犬に与えるデメリットは?

小豆に限ったことではありませんが、いくら魅力的な栄養素が豊富だからといって過剰摂取は問題であり危険です。
特に、小豆に豊富に含まれる食物繊維には便通を良くする効果があるため、摂取しすぎると下痢などを起こし、お腹を壊す原因となります。
また、代謝をよくしたりコレステロールを取り除くサポニンは、摂りすぎることで腸が炎症を起こす可能性があるのです。
愛犬が便秘気味や肥満だという悩みを抱える場合には効果を発揮しますが、元々お腹や胃が弱い子にとってはリスクとなるケースもあるということを頭に入れておきましょう。
そして、アレルギー体質の子にも注意が必要です。基本的に中毒症状を起こす成分が入っていない小豆ですが、アレルギー発症に関しては個体差があり、その時の体調によってもそれは変わってきます。
問題のないことがほとんどではありますが、アレルギー反応を起こす可能性は完全にゼロとは言い切れません。初めて与える際には、必ず少量から始め、問題がないか観察する必要があります。

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犬にあんこを与える時の注意点

犬に与えることで健康面でのメリットもあるあんこですが、やはり与える際にはいくつか注意点があります。
特に与える量については、飼い主さんがしっかり把握しておかなければいけないのです。消化不良にならないように少しずつ与えることも重要なポイントですが、適切とされる量を守らなくてはいけません。
犬のおやつの適量は、1日の食事量の10%程度だといわれていますよね。この数字を目安にしつつ、愛犬の様子をみながらちょうど良い量を探っていく必要があるのです。
与えすぎるとメリットを得られずに、体調不良に陥る可能性があります。また、甘いものが癖になり、普段食べているドッグフードを食べなくなるケースもあるので注意してくださいね。
犬のサイズ別に、あんこの適量を紹介していきますので、参考にしてみてください。

◆1日に与えてよいあんこの適量

◎超小型犬(チワワ・ポメラニアンなど)…10g~20g
◎小型犬(ミニチュアダックスフンド・シーズーなど)…30g~50g
◎中型犬(ビーグル・ボーダーコリーなど)…50g~100g
◎大型犬(レトリーバー・ダルメシアンなど)…100g程度(体重によって)

なお子犬の場合、消化器官が未発達です。小豆の皮は消化しにくいため、下痢や嘔吐を起こす可能性が高くなるでしょう。絶対に与えてはダメというわけではありませんが、与える際はほんの少量にすることをおすすめします。

◆あんこを使った加工品は与えても良い?

あんこは和菓子を始め、様々な食べ物に使用されています。大福・おはぎ・どら焼き・羊羹・アンパンなど、気軽に手に入れられるものも多く、常備しているという家庭もあるでしょう。甘くて美味しいものばかりなので、可愛い愛犬と共有したい!と思われる方も少なくないかもしれません。
しかしこれらはいずれも、人間用に加工された食品です。砂糖が多く含まれているため、犬にとっては糖分が高すぎる食べ物となります。あんこが使われた加工品は、極力与えないよう注意するべきでしょう。
特に大福などには糖分過多の他にも、のどに詰まらせてしまうリスクも潜んでいます。犬は丸飲みしやすい動物です。盗み食いなどから誤って食べてしまわないように、十分注意してくださいね。

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あんこの与え方

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あんこは与える量にも注意が必要ですが、与え方にも気を付けるべき点があります。小豆がもつメリットを吸収するためにも、上手な与え方を覚えておきましょう。

◆手作りあんこ

市販のあんこには、砂糖が多く含まれています。愛犬にあんこを与える場合は、砂糖の量を調整して手作りしたものを用意するか、小豆のみを煮たものを作って与える方法がベストだといえるでしょう。小豆を煮たものを作る場合は、砂糖を加えずに柔らかく煮るようにしてくださいね。
あんこに限ったことではなく、糖分を多く含むものを与えすぎると、肥満や糖尿病などのリスクも高まります。与える量に加えて、糖分などその食べ物がもつ成分にも注目していくことで、愛犬の健康を食生活からサポートしていきましょう。

◆つぶあんよりこしあんの方が良い

主にあんこには、粒あんとこしあんの2種類がありますよね。いずれも小豆が材料ではありますが、犬に与える場合はこしあんの方が良いとされています。
犬は穀物・野菜などの食物繊維を上手く消化できません。このため硬い小豆の皮は消化しづらく、消化不良の原因となってしまう可能性があるのです。
粒あんは小豆の皮が破けたり潰されないように練って作られているので、あんこに皮が残っています。反対にこしあんは、煮た小豆を裏ごして皮を取り除いて作られます。こういった理由から犬に与えるのは、こしあんのほうが安心だ、といわれているのです。
手作りあんこを与えるのが良いと前述しましたが、手作りする際には、小豆をしっかりと柔らかく煮ること、皮を取り除く(もしくは細かく刻む)ことが、大切なポイントとなるでしょう。
愛犬の消化不良対策のためにも、小豆の皮への対処法を怠らないようにしてくださいね。


体調を崩した場合の対処法は?

あんこを過剰に与えてしまったり、適切な与え方をしなかった場合、愛犬が体調を崩してしまう可能性があります。また前述したように、まれではあってもアレルギー症状が引き起こされる個体も中にはいるでしょう。
あんこを与えた後に愛犬の体調に異変が起きた場合は、すぐに与えるのを中止してください。気になる状況が続くようであれば、早めに獣医師に相談しましょう。下痢や嘔吐がある場合は、排泄物・嘔吐物を病院に持ち込むことで原因究明やその後の処置に役立ちます。


まとめ

与えすぎや与え方には注意が必要とはいえ、健康面でのメリットをもたらす栄養素が豊富なあんこ。積極的に毎日与えるような食べ物ではありませんが、上手く利用して愛犬の身体をサポートすることができるものの一つです。
手作りあんこの作り方や、あんこを使った手作り食などのレシピ記事も、ネット上には沢山あります。目次をみて愛犬が好きそうなメニューを探してみるのも楽しいですよね。また、解説やコメントも参考になりますので、愛犬にあんこを与えてみたい!と思った飼い主さんは是非チェックしてみてください。
ペットの健康を守るのは飼い主の努めです。生涯を健康的に元気に過ごすためにも、食生活でのサポートを一つの方法として考えてみてはどうでしょうか。



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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!


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