1.犬のレントゲン検査について
1-1.レントゲン検査を行う症状
1-2.レントゲン検査で分かること
2.犬のレントゲン検査の費用
2-1.ペット保険は適用されるのか
2-2.検査費用
犬のレントゲン検査について
◆レントゲン検査を行う症状
犬がぐったりしている、調子が悪いといった状態のとき、動物病院ではまずは簡単な触診などで調べます。
レントゲン検査はそれでもわからないときに行われる検査のひとつです。レントゲン検査では犬が危険なものを誤飲した、胃や心臓などの臓器の病気、骨折、歯の病気といった症状がわかります。病気でなくても健康診断や妊娠中の胎児の様子を調べるために行われています。
誤飲をしたときにあまり時間が経っていなければ、レントゲン検査をすることはなく、胃に異物が留まっているだろうと予想して処置をします。しかし飼い主の気づかないところで誤飲をし、数日経ってから異変に気づいたときなどは、異物が体内のどこにあるのか特定するために検査をすることがあります。
犬が骨折した、又は骨折の疑いがある場合は、人間の治療と同じようにレントゲンで調べます。犬の歩き方がおかしい、股関節に異常があるといった場合もレントゲン検査をします。先天性疾患は生後すぐにはわかりませんが、1歳までに異変に気づくことが多いです。
犬の嘔吐・下痢は消化器症状が疑われるので、胸部や腹部のレントゲン写真を撮ると病気が見つかることがあります。愛犬が高齢なら結石や腫瘍が見つかるかもしれません。またお腹にガスが溜まっている、肺に水が溜まっている、影があるといった症状もわかります。
◆レントゲン検査で分かること
白黒写真なので空気は黒、骨は白に写ります。内臓や異物は半透明の白で、金属が入っていると骨と同じくらい濃い白になります。誤飲の治療の際、異物が金属だったり金属を含んでいる石だったりすれば、はっきりとわかります。ですがタマネギなどの食材や植物を食べてしまっていると、消化されてしまうのでレントゲン検査ではわかりません。
犬が妊娠した際はまずは超音波検査(エコー検査)で本当に妊娠しているかどうかを調べます。胎児の骨が出来上がっていないうちはレントゲンに写らないので、超音波検査のみで頭数や大きさを判断します。犬の妊娠期間は約2ヶ月で、45日以降に骨がはっきりレントゲンに写るようになります。出産間近には検査をして頭数を確認し、多ければ帝王切開になることがあります。直前に正確な頭数がわかることも珍しくありません。
健康診断では飼い主から聞き取る問診、犬を触ったり見たりする視診・触診・聴診、血液検査、尿・便検査、超音波検査、レントゲン検査などが行われます。レントゲンだけではわからないことも多いので、血液検査や超音波検査なども行われます。
人間の健康診断の前は絶食するように指示されます。犬の場合は簡単な健康診断なら必要ありません。ただし血液の数値など精密な検査をする際には絶食することもあります。
犬のレントゲン検査の費用
◆ペット保険は適用されるのか
まずペット保険は治療のひとつとして行われる処置に適用されます。よってレントゲン検査でも、治療している病気やケガの経過を見るといった場合には適用されます。
ですが健康診断や妊娠、ワクチン接種など治療でない場合は対象にならないことがほとんどです。
生まれつきの先天性疾患に関する治療や検査も対象になりません。この点は保険会社によって変わるので、契約前に確認しておくと良いでしょう。
◆検査費用
料金は病院によって変わりますが、小型犬や中型犬であれば安く、大型犬であれば高くなります。平均1枚2000円~5000円で、角度を変えて撮影するので2~5枚必要になります。他に胸部、腹部、足といった部位ごとに料金が設定されていることが多いです。更に造影剤や診察料、夜間料金などがプラスされて1回に15000~20000円くらいかかります。
犬のレントゲン検査の方法
病院内のレントゲン室に患者である犬、獣医師と看護師2人で入って行います。診察台の上にはX線を発する機械が設置されており、ここから体にX線を通して撮影します。臓器を調べるには診察台の上で胴体を伸ばし、右を下にしてパシャ、左を下にしてパシャ、仰向け又はうつ伏せにしてパシャと撮影します。足を調べるには右を下にしてパシャ、左を下にしてパシャ、曲げ伸ばしをしてパシャと撮影します。足の場合は異常がある側と正常な側を比較して治療するので、両側を撮影することになります。
撮影時間は犬がおとなしいと数分で終わります。ところが犬が暴れてしまうと時間がかかり、きれいな写真が撮れません。大型犬は体重が重く、足も長いので獣医師や看護師の負担が大きくなります。しかし骨折しやすいトイプードルやポメラニアンのような小型犬でも楽ではありません。当然抑えている人間が写真に写りこまないように気をつけて撮影します。短時間でストレスなく終わらせるために犬を落ちつかせる薬を使用することがあります。
犬がレントゲン検査で暴れてしまう場合
犬が暴れてしまうときには、まずは口輪やエリザベスカラーを着けて対処します。それでも治まらないときは鎮静剤を投与するか、超音波検査を代わりに行うことがあります。
鎮静剤とは軽い麻酔薬のことです。全身麻酔と違って意識を失うわけではなく、ウトウトする程度なので呼びかけると反応します。血圧低下や呼吸抑制などの副作用がありますが、全身麻酔よりリスクは低いです。注射で投与して数分で効果が出ますが、念のため検査が終わってから数時間は異常がないか観察する必要があります。
超音波検査とは犬のお腹に機械を当て、画面で中の様子を見る検査方法です。毛を刈ることもありますが、診察台の上に四つ足で立った状態で検査ができ、犬のストレスは少なくて済みます。超音波検査では内臓を見ることができ、心臓・肝臓・腎臓などの様子を調べられます。ですが骨・気体は見られないので骨折や関節の病気、お腹にガスが溜まっているなどの症状は調べることができません。
犬のレントゲン検査は体に影響があるのか
◆ストレス
犬はレントゲン検査をするよと言われても何をされるのか理解できません。被ばくの影響があるため飼い主なしで獣医師や看護師に連れられて部屋に入ります。体を丸めていたら検査ができないので抑えられての撮影です。よく行われる胸部・腹部の撮影では右向き、左向き、仰向け又はうつぶせにならなければいけません。胴体を真っすぐ伸ばす必要があるので手足をしっかり抑えられます。
犬が大人しければすぐに終わりますが、犬にとってお腹を見せるのはかなり気を許している相手です。普段から病院が嫌いな犬とってはかなりのストレスになり、暴れて獣医師や看護師にケガをさせることも珍しくありません。飼い主さんの中にはストレスよりも被ばくの心配をしてしまう人がいます。ですが検査がきっかけで病院が嫌いになり、病気が見つかって通院が必要になったとき、犬が体を見せなくて上手く治療ができなくなる方が大変です。検査が終わったら頑張ったねといっぱい褒めて、病院のあとはおやつをあげる、ドッグランに連れて行くなどしてストレスを軽減させてください。
◆放射線
X線とは放射線の一種であり、大量に浴びると体に悪影響があります。ですが1回の撮影での被ばく線量はごくわずかです。人間の妊婦は初期にレントゲン検査をすると、胎児に影響が出る可能性があるとされています。犬も同じなのですが妊娠期間が2ヵ月と短いので、撮影するのは出産直前になってしまいます。
普段生活している地上からも放射線は出ていて、被爆して人体に影響が現れるのは数十年後と言われています。獣医師や看護師は放射線を浴びることが多いので防護服を着用しますが、人間よりも寿命の短い犬の体にはほとんど影響がありません。
まとめ
レントゲン検査をすることで腸閉塞や胃捻転など、緊急手術が必要な病気が見つかることがあります。しかし獣医師からレントゲン検査をしましょうと言われても、必ずしも大変な病気が見つかるわけではありません。最近調子が悪いので検査をしたら便秘で、薬を処方されるだけで済んだということもあります。
犬は人間と違ってしゃべれないので、痛いところがあってもなかなか気づきません。外側から見ただけではわからないことが多いので、レントゲン検査を含めた定期的な健康診断をおすすめします。
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