【獣医師監修】犬の全身麻酔は危険?全身麻酔の流れや副作用を知って不安を取り除こう

2022.02.11

【獣医師監修】犬の全身麻酔は危険?全身麻酔の流れや副作用を知って不安を取り除こう

愛犬の手術を控えた飼い主さん。 手術の際に必ず行う全身麻酔は、副作用とリスクがあることをご存じですか? 本記事では全身麻酔を使用するのはどのような時か、麻酔の種類・犬の全身麻酔の流れ・費用や副作用について紹介します。 あなたの大切なペットのためにも、ぜひ学んでくださいね。

犬に全身麻酔を使用する状況

動物病院

犬に全身麻酔を使用する機会は、人に比べると多岐に渡ります。
理由は、人であれば動かずにいられる場合でも、犬は動いたり暴れたりしてしまうためです。

実際、全身麻酔を使う例は以下の通りです。
・腫瘍切除などの手術
・避妊・去勢手術
・歯石除去
・動いてはいけない検査(MRI・CT・放射線など)

全身麻酔をすることで、犬が動かず安全に処置ができる他、犬の疼痛(痛み)コントロールができるのです。


犬の麻酔の種類

犬に使える麻酔の種類は、大きくわけて3つあります。
・全身麻酔
・局所麻酔
・鎮静麻酔

ひとつずつ見ていきましょう。

◆全身麻酔

全身麻酔は、主に痛みを伴う手術や処置の場合に用いられます。

犬に使える全身麻酔は、導入麻酔と呼ばれる静脈注射の麻酔と、麻酔ガスを使う吸入麻酔の2つです。

1つ目の静脈注射の麻酔は、効き目がよく吸入麻酔の前に使用されます。
また静脈注射の麻酔は種類が豊富にあるため、その子に合った麻酔を獣医師が選ぶ動物病院がほとんどでしょう。

代表的な麻酔薬は、プロポフォールやケタミンなどがあります。

導入麻酔薬を体内に入れると、呼吸を抑える作用が働きます。
そのため導入麻酔薬が効き始めたら、すぐ気管挿管をし呼吸を管理しなければなりません。

2つ目の吸入麻酔は、気管チューブから直接酸素と一緒に専用の機械で麻酔を入れていきます。
吸入麻酔は吸入ガスの量が少ないとすぐにペットが起きてしまうので、麻酔量の調節が非常に重要になってくるでしょう。

◆局所麻酔

犬の注射で局所麻酔を使用することは、ほとんどありません。
なぜなら局所麻酔は痛みを感じなくても、意識は普段と同様しっかりあるので処置中に犬が動いてしまうのです。

どんなに普段大人しいペットでも、処置をするときは動かないように動物看護師が抑えます。
その恐怖で、大人しい犬でも暴れてしまうことがほとんどです。

暴れてしまうというデメリットがあるためあまり使用頻度は低いですが、例外があります。
例えば小さな腫瘤を切除する場合や何針か縫合をする場合は痛みを伴うので、局所麻酔を使用するのです。

局所麻酔は処置をする患部の周りに、数ヵ所注射をすると数分で痛みを感じなくなります。
また全身麻酔に比べて、副作用が少ないのもメリットといえるでしょう。

局所麻酔は注射だけではなく、点眼薬やゼリーなどもあります。

導尿カテーテルを陰茎にいれる場合は、キシロカインゼリーという局所麻酔ゼリーを使うことも。

注射以外の局所麻酔は、簡単な処置でも幅広く使われていることが多々あるのです。

◆鎮静麻酔

鎮静麻酔は眠たくさせる麻酔ですが、痛みを感じるのが特徴です。
そのため痛みを感じる処置で鎮静麻酔を使う場合は、局所麻酔と併用して使用されることがほとんどでしょう。

処置以外にCTやMRIなど動かないでほしい検査をする時や、犬が暴れて治療ができない場合に使用します。

鎮静麻酔は鎮静剤から目を覚ませる薬もあるので、目を覚まさせる注射をうつことで意識がすぐに戻るので安心です。


犬の麻酔にかかる費用

犬の麻酔にかかる費用は、動物病院によって差があります。
もし具体的な価格が知りたい場合は、かかりつけの動物病院に聞いてみましょう。

一般的な麻酔にかかる費用の目安は以下の通りです。
・局所麻酔 1,000円〜3,000円
・鎮静麻酔 7,000円〜(体重による)
・全身麻酔 15,000円〜(体重による)

また、麻酔をかける時間が長いとその分麻酔薬を多く使用するので、料金も高額になります。

避妊手術や去勢手術・歯石除去は、麻酔込みの料金を提示している病院もあるようです。

◆犬の全身麻酔を使用する歯石取りの費用は?

避妊手術や去勢手術と同様に、歯石取りだけであっても全身麻酔をすることがほとんどです。

費用は動物病院にもよりますが、全身麻酔代も込みで15,000円〜40,000円前後でしょう。

また抜歯を伴う場合は、その分費用が加算されます。
一般的には1本あたり2,000円〜5,000円前後がほとんどですが、動物病院は自由診療のため動物病院ごとに価格設定をしているのが現状です。

具体的な費用を知りたい場合は、動物病院に問い合わせるとおおよその金額を教えてくれますよ。


犬の全身麻酔の流れ

  ∟事前検査〜麻酔後まで
犬の全身麻酔の流れを、知っておきましょう。
全身麻酔の流れを知っておくことで、飼い主さんも心構えができるのではないでしょうか。

犬の全身麻酔の流れは以下の通りです。
・事前検査
・当日準備
・導入麻酔の注射投与
・麻酔中の管理
・覚醒
・術後検査

ひとつずつ見ていきましょう。

◆事前検査

全身麻酔にはリスクが伴うので、必ず事前に検査を行います。
事前検査の種類は動物病院の方針や犬の年齢にもよりますが、検査項目は以下の内容が一般的でしょう。

・血液検査
・レントゲン
・心エコー
・心電図

血液検査は、内臓(肝機能・腎機能)や電解質のバランスに問題がないか、貧血がないかなどを調べます。
特に全身麻酔は肝臓や腎臓にダメージを与えやすいので、少しでも数値が高いと、手術が見送られることも。

レントゲンでは心臓や呼吸器に問題がないか、心エコーでは心疾患・心電図では不整脈をチェックします。

体全体をくまなく検査することで、リスク回避ができるでしょう。

◆当日準備

朝は絶食をし、水も4時間前には下げるようにします。
全身麻酔をすると、場合によっては嘔吐してしまい誤嚥につながる可能性があるからです。
獣医師に指示された時間を、必ず守るようにしましょう。

◆導入麻酔注射投与

導入麻酔を入れる際、去勢手術などの短い時間でできる手術以外は点滴を確保します。
導入麻酔が効き始めたらすぐに気管挿管をし、吸入麻酔に切り替え人工呼吸器で呼吸の管理もします。

◆麻酔中の管理

全身麻酔中、呼吸状態・酸素飽和濃度・体温・心拍・全身の状態・舌の色などくまなく監視します。

動物病院によっては麻酔専門医がいる場合もありますが、動物看護師が全身のチェックをし獣医師の指示に従うことがほとんどです。

麻酔の量を調整したり、酸素の量を調整しながら、より安全に全身麻酔を行っていきます。

◆覚醒

吸入麻酔を切り、酸素のみを送り麻酔から覚めるのを待つとすこしずつ呼吸をし始めます。
その後抜管し、ある程度覚醒したらお部屋に戻しますが、必ず一定時間は獣医師と動物看護師で注意しながら様子を見るのがほとんどでしょう。

◆術後検査

手術後、肝臓や腎臓の数値があがっていないか、血液検査でチェックします。
もし数値が上がった場合は薬が処方されるでしょう。


犬の全身麻酔の副作用

犬が全身麻酔するにあたって、麻酔リスクは多少なりともあります。
緊急手術など含め、約1,000頭のうち1頭が全身麻酔で亡くなっているのが現状です。

その中のほとんどが、麻酔をかけて麻酔を切るまでの術中に亡くなっています。
どんなに健康状態が良かったとしても、副作用は避けられない場合があることを知っておきましょう。

ではその他に、犬の全身麻酔の副作用はどのようなものがあるのでしょうか。

全身麻酔直後に確認できる副作用は以下の5つです。
・急性の心不全
・急性の肝不全
・急性の腎不全
・血圧が急に下がる
・アナフィラキシーショック

たくさんの重大な副作用がありますが、このほとんどが事前検査で回避できたり、術中に点滴をすることで予防できたりするものがほとんどです。

続いて、術後検査で良く見つかる全身麻酔の副作用は以下の2つです。
・肝臓の機能が悪化
・腎臓の機能が悪化

この中でも特に多い副作用は、肝臓の機能が悪化することです。
ですが薬を飲むことで、徐々に回復することがほとんどでしょう。

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全身麻酔をする際に気を付ける犬

病院

全身麻酔をする際に、気を付けた方が良い犬がいます。

本章では、全身麻酔でリスクがある犬を紹介しましょう。

◆短頭種

短頭種の場合、上あごの奥にある軟口蓋が太く長いので気道を邪魔して狭くなっています。
よくブルドッグやフレンチブルドッグがブヒブヒと音を鳴らしているのは、呼吸がしにくくなっているのです。

短頭種のように呼吸がしにくければ、その分全身麻酔で酸素がうまく体全体に行き届かなくなってしまいます。

そのため、短頭種の全身麻酔はより麻酔管理が難しいと言われています。

◆小型犬

小型犬は気管虚脱など呼吸器の病気も多く、全身麻酔は細心の注意が必要です。

全身麻酔で使う麻酔薬は、体重にあわせて少なくしなければならず、麻酔薬も使えるものが限られてきます。

◆シニア犬

シニア犬は、人と同様に若い頃と比べると体力がなくなり、内臓の機能が低下します。

そのため全身麻酔をかけられない可能性が高いのも現状です。
麻酔のリスク以上に、手術をしないリスクの方が高ければ全身麻酔をして手術をすることもありますが、慎重な判断をしなければなりません。

◆持病がある犬

持病があると麻酔中に重大な副作用がでたり、手術後に持病が悪化したりします。

特に心臓の疾患や腎臓、呼吸器などに疾患があると全身麻酔がより困難になるでしょう。

しかし、持病があるからこそどうしても手術をしなければいけない時があります。
そのような時は、手術をする前に投薬などで体調を整えてから手術をします。


全身麻酔後の犬との接し方

全身麻酔後、すぐに飼い主さんの元へ犬は帰って来ません。
必ず全身の麻酔が切れて、状態が落ち着いてから帰って来ます。

帰宅後に、犬が嘔吐してしまう可能性もあります。
その場合は、口の中に嘔吐物が残ってないかしっかり確認しましょう。

麻酔は徐々に体から排出され、意識は少しずつ戻ってきます。
麻酔をかけた日は疲れていたりぼーっとしていたりしますが、あまり構わずにそっとしておいてあげるのが得策です。

◆犬の全身麻酔後水は飲んでよい?

一般的に、犬の全身麻酔がしっかり覚める時間は5〜6時間後です。

その前に、水をあげてしまうと誤嚥する可能性や嘔吐する場合もあるので、必ず覚醒してから水をあげましょう。

最初は何口か飲ませて問題がないか様子をよく見ます。

その後、通常の愛犬に戻ったら普段通りあげても問題はありません。


まとめ

犬の全身麻酔は、安全とは言い切れません。
ですがその分動物病院では事前に検査をし、全身麻酔をしている最中もペットの状態が変わらないかしっかり管理します。

もしも不安があるなら、必ずかかりつけの動物病院で相談しましょう。

そうすることで、全身麻酔の不安も軽減されるでしょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に16医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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