【獣医師監修】犬にネギを与えてはいけない!ネギ中毒の症状や治療方法を徹底解説!

2023.10.26

【獣医師監修】犬にネギを与えてはいけない!ネギ中毒の症状や治療方法を徹底解説!

ネギといえば、どんなご家庭でも常備している野菜のひとつ。 どのような料理にも使いやすいネギですが、犬にとっては有害な食材なことを知っている方も多いのではないでしょうか? 本記事では、ネギを与えてはいけない理由・症状・犬にとって危険なネギの量・対処方法や予防策について紹介します。


【掲載:2022.02.21  更新:2023.10.26】

犬にネギを与えてはいけない理由

ネギ
犬にネギを与えてはいけない理由は、ネギを食べることでハインツ小体溶血性貧血という病気になる可能性があるからです。
このハインツ小体溶血性貧血は、ネギの中に含まれる3種類の有機チオ硫酸化合物が赤血球を酸化させるためにおこる貧血です。

赤血球は、体全体に酸素を届けることが主な役目です。
酸素を体に届けるために、赤血球の中のヘモグロビンが酸素とくっつき体全体に大切な酸素を運んでいます。

しかし有機チオ硫酸化合物が体内に入ると、ヘモグロビンが酸化し形が変わったり赤血球からとびだして結晶化してしまったりしハインツ小体という物質を作り出すのです。

ハインツ小体がある赤血球ができることで、2つ体に影響がでます。

1つ目は、ハインツ小体がある赤血球は酸素とくっつけないということ。
2つ目は、体が悪いものと判断し肝臓や脾臓に取り込まれたり、白血球のひとつである死んだ細胞などを食べるマクロファージというものに「この赤血球はダメだ」と認識され食べられてしまったりします。

結果、体から赤血球が減り「貧血の状態」になるのです。

この赤血球がこわれることを溶血というため、病名はハインツ小体溶血性貧血と呼ばれています。

長ネギなどだけでなく、玉ねぎやニンニク・ニラなども有機チオ硫酸化合物が含まれています

そのほか、頭痛薬などに含まれるアセトアミノフェンという薬剤も同様に、犬が摂取するとハインツ小体溶血性貧血になるので注意が必要です。

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「犬にネギ類は厳禁!」愛犬家の皆様ならご存知の事かと思います。しかしどんなに気を付けていても犬の口に入ってしまうという事態に陥る事はありますよね。そんな時はどうしたら良いのでしょうか?そもそも、なぜ犬にネギ類は厳禁なのでしょうか? 今回は、ネギ類の中でも「玉ねぎ」に焦点を当て、なぜ犬に玉ねぎがダメなのか、理由や致死量、食べてしまった場合の対処法をご紹介していきたいと思います!万が一のために覚えておきましょう!

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犬がネギを食べてしまった際の症状

ネギ中毒は数日後に症状が出る場合が多いです。

犬がネギを食べてしまった場合、食べてから1日~2日たたないと症状がでてこないことがほとんどです。
理由は、ネギを食べてから約6時間から1日でハインツ小体ができあがりその後貧血になるからです。

犬がネギを食べた場合の症状は以下の通りです。

    ・嘔吐
    ・下痢
    ・元気がない
    ・血尿
    ・震える
    ・呼吸が早くなる

ひとつずつ見ていきましょう。

◆嘔吐

中毒症状でネギを食べたことにより、気持ち悪くなって吐いてしまうことも。
赤血球が壊れてしまい、体全体に酸素が回らなくなり脳にも酸素が必要量届きません。
その結果、吐き気の症状がでやすくなります。

万が一、嘔吐物にネギが出たとしても安心はできません。

また病院に行く際、嘔吐物の写真なども撮っておくと良いでしょう。

◆下痢

ネギを食べてから、数日後に下痢をすることもあります。
泥や水のような便・血便など、明らかに普段と違う場合は病院に持っていきましょう。

またネギを食べてからどれくらい日にちがたってから下痢をしたかも、獣医師に伝えられるようにしておくと良いでしょう。

◆元気がない

ネギを食べたことで溶血性貧血になると、元気がなくなります。

ふらついてしまったり、ぐったりしてしまったりすることも。
歯肉やまぶたの色が薄いピンクや白っぽくなっていると、貧血が進んでる可能性が高いでしょう。

◆血尿

ネギ中毒の特徴的な症状の1つが、血尿です。
ぼうこうが傷ついているなどではなく、赤血球の中のヘモグロビンが酸化して壊れてしまうためにおこります。

ヘモグロビンは色素が赤いため、壊れてしまったヘモグロビンの色がそのまま尿として出てきてしまうのです。

コーヒーの色のような濃い茶色の血尿(血色素尿)が出てきたら、重症の可能性があるでしょう。

◆震える

ネギを食べて数日たつと、貧血からくる震えがみられます。

ネギを食べた後、特に寒い場所にいるわけでもないのに震え始めたら病状が進んでいるかもしれません。

◆呼吸が早くなる

呼吸が早くなる症状も貧血にともなっておこっています。

疲れやすく動いても動かなくても、ハァハァと呼吸が早くなるのです。
また呼吸困難になったり、心拍も速くなってたりする可能性も。

呼吸数が増えていると、明らかに症状がすすんでいるので早めに病院に行きましょう。
そのままにしておくと、痙攣をおこし取り返しがつかない場合もあります。

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犬にとって危険なネギの量

実はいままでたくさんの犬がネギを食べてハインツ小体溶血性貧血になっていますが、犬にとって危険なネギの量ははっきりとはわかっていません。

その理由は、個体差があるからです。

一般的には、5キロぐらいの犬がネギを半分たべると中毒症状がでるといわれています。
体重で換算すると犬の体重1キロに対して、10g前後が中毒症状がでる目安と言われています。

しかし、先ほどお話ししたとおり個体差があるので一概に「少し食べただけなら大丈夫」とも、いいきれません。
犬によっては、一口で中毒症状が起きてしまうこともあれば、たくさんたべても何も症状は起きずケロっとしている犬もいるというわけです。

◆ネギで犬が死亡する割合

犬にとって危険なネギの量と同様、致死量も分かっていません。

しかし、洋犬に比べて日本犬のほうが、ネギ中毒になる感受性は高いと言われています。
秋田犬や、甲斐犬・柴犬・紀州犬などの犬種を飼っている飼い主さんはより一層ネギを食べないように注意が必要でしょう。

玉ねぎ中毒の発生例についてまとめた論文では、症状がでて治療し亡くなったのは10例中1例だったと報告されています。
参考:玉葱の給与による犬の急性溶血性貧血の発生例について

◆犬は加熱したネギでも中毒になる

加熱したネギでも、中毒になる可能性は少なからずあります。
なぜなら有機チオ硫酸化合物の成分は、加熱してもなくならないからです。

そのため、すき焼きやネギの入った味噌汁・スープ・炒め物・ハンバーグなども注意が必要でしょう。

犬によっては鍋に入っているような少量のネギであれば、症状が出ないことがほとんどですが、場合によっては具合が悪くなる犬がいることを忘れてはいけません。


犬がネギを食べてしまった場合の対処方法

犬

犬がネギを食べてしまった場合、飼い主さん自身で対処することはやめましょう。

塩水を飲ませると、胃に刺激を与え吐くことはありますが、非常に危険な対処方法です。
なぜなら無理やり塩水を飲ませた犬は、塩分過多で腎臓や心臓に大きなダメージを与えるからです。

もし犬がネギをくわえたのを見たら、口からネギを出すように指示し応急処置として口の中を拭き取りましょう。

◆自己判断はせずにすぐに病院へ

以下のような状況であれば、自己判断はせずにすぐに病院にいきましょう。

・ネギを食べた瞬間を見た
・あったはずのネギ入りの残り物がなくなっている
・犬の口の周りからネギの匂いがする

もし不安であれば、かかりつけの動物病院へ受診する前に電話で相談もできます。
動物病院に連絡すると、かならず以下のことを聞かれますのでしっかり答えるようにしましょう。

・どれくらいの量食べたか
・いつ食べたか
・ネギの種類はなにか(玉ネギ・長ネギなど)
・犬の状態

具体的に伝えることで、来院した時に適切な処置を早く行えます。

病院にもよりますが、食べて30分から2時間以内に来院できれば、ネギを吐き出させる催吐処置をしてくれる場合も。
その他、吸着炭という毒素を吸着してくれる薬を飲ませます。

もしも犬がネギを食べてから数日経って症状がでた場合は、血液検査で貧血がどれくらいすすんでいるか、顕微鏡でハインツ小体溶血性貧血があるか赤血球の状態を確認します。

残念ながら、ネギ中毒にたいしての明確な治療法はなく解毒薬もありません。

結果を見ながら、対症療法として点滴をしたり、状態が悪ければ酸素室にいれたりもします。
また、赤血球がこれ以上破壊されないように抗酸化剤やステロイドを投与していくことがほとんどです。
症状がでていれば入院になることも。

重度の貧血の場合は、輸血が必要になってきます。
輸血は供血犬が見つからない懸念もありますし、輸血自体にもリスクは伴うものですが貧血がひどくなると亡くなる可能性もあるので、輸血して貧血を改善させていきます。


犬にネギを誤飲させない予防策

犬にネギを誤食させない予防策は以下の3点です。

・キッチンに入れない
・拾い食いをさせない
・ネギを触ったら手を洗う

ひとつずつ解説しますね。

◆キッチンに入れない

ネギ類を扱うことが多いキッチンに、犬を入れないことが一番の予防策です。
なぜなら、料理中にネギを落としてしまったり、種類によっては常温保管のものもあったりするからです。

長ネギや玉ねぎ以外にも、ニラ・アボカド・にんにく・あさつき・わけぎ・ぶどう・らっきょう・チョコレートなど犬が食べてはいけない食材は多数あります。

ネギだけでなく他の食材に近づけさせないためにも、キッチン前にゲートを設置するなどの対策をしておくと安心でしょう。

◆拾い食いをさせない

拾い食いさせないように気を付けることで、誤食の可能性はグッと減ります。

拾い食いは室内でも室外でも該当します。
室内でよく拾い食いさせる時間帯は、人が食事をする時間帯です。
赤ちゃんや子どもがいるご家庭では、より注意が必要でしょう。

赤ちゃんや子どもは食事をよく落とし、その落としたものを犬が拾い食いしてしまうからです。

食事中はできるだけ犬をケージ内にいれ、食事が終わったら出してあげるようにすると拾い食いの機会は減りますよ。
もちろん、普段から人が食べている食事はあげないように心がけましょう。

また散歩中に、ネギに触れ合う事は少ないですが、畑道を通る時などは注意しながら歩きましょう。

◆ネギを触ったら手を洗う

ネギを触ったら、犬と触れ合う前に手を洗いましょう。
犬によっては、ネギのエキスだけでも中毒症状を起こす可能性もあります。

一般的に少量であれば問題ありませんが、万が一を考えて手を洗っておけばネギのエキスが犬につくことを防げますよ。


まとめ

今回は犬がネギを食べた場合の危険性についてお話ししました。
ネギ類は、犬によって中毒になる量に個体差があり、なおかつ症状がでるまでに通常数日かかることがほとんどです。
「愛犬がネギを少しかじったぐらいなら大丈夫」「ネギが入った食べ物を誤食したけれど、元気にしているから大丈夫」
このように思っていると、重篤な症状がでてしまって取り返しがつかないことになることもあるので食べてしまったらすぐに動物病院に電話をしましょう。

なによりネギを食べないようにする環境作りをしておけば、大切な愛犬を中毒から守れるでしょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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