【獣医師監修】犬の爪切り中に血が出てしまったらどうする?対処法や爪切りのコツを紹介

2022.04.30

【獣医師監修】犬の爪切り中に血が出てしまったらどうする?対処法や爪切りのコツを紹介

犬を飼っていると予期せぬ出来事に遭遇することが多々あると思いますが、犬の爪切り中に血が出てしまった、という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。爪とはいえども、思ったより出血量が多いので、焦ってしまいますよね。そこでこの記事では、犬の爪を切っていて血が出てしまった時の対処法や病院を受診する目安、爪切りの際に血を出さないようにするためのコツなどを詳しく解説していきます。

犬の爪切り中に血が出た時の対処法

爪切りをする犬

犬の爪を切っていて血が出てしまった場合は、焦らずに、まずは深呼吸をして気持ちを落ち着かせましょう。そして次に紹介する3つの手順を踏んで、早急かつ適切に対処してください。

◆圧迫止血

圧迫止血はその名のとおり、出血している部分を清潔なガーゼなどで直接強く抑えて、出血が止まるまで圧迫をする方法です。圧迫止血をする際、ティッシュやタオルを使って止血したくなりますが、繊維が血とくっついて固まってしまい、はがしたときに痛みを伴ったり再び出血してしまったりすることがあるため、なるべくガーゼを使用するようにしましょう。

◆患部の止血

圧迫止血ですぐに血が止まったとしても、爪がカーペットにひっかかるなどすれば再び出血してしまう可能性があります。そのため、止血後数時間は、患部にガーゼをあてて包帯やハンカチ、犬用の靴下などで巻いておくと、より安心ですよ。

ただし、犬が嫌がって包帯などを外そうとすることがあります。もし包帯などを巻くのが難しい場合は、数時間はケージに入れてなるべく歩かないようにしてあげたり、再び出血していないかどうかをこまめにチェックしたりするようにしてください。

◆水で洗って、傷口を保護

完全に出血がおさまったら、傷口を水で洗って清潔にしてあげましょう。ただし、水で洗った後に足先をしっかり乾かさないと皮膚炎を引き起こしてしまう可能性があるため、水で洗った後はしっかり乾かしてくださいね。


手当後に病院につれていくべきか

圧迫止血をして出血が止まるようであれば、そのまま自宅で様子を見ていただいて大丈夫です。

ただし、いつまで経っても出血が止まらない場合は、血液凝固機能に異常があるなど、病気が潜んでいる可能性が考えられます。また、傷口から細菌などが入り込んで化膿してしまう可能性もあるため、これらの症状がみられる場合はすぐに動物病院を受診し、獣医師の診察を受けるようにしましょう。

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止血の際に小麦粉を使ってもいいのか

爪切り中に血が出たら小麦粉をつけると血が止まる、と耳にしたことがある方も多いと思いますが、本当に小麦粉を使っても良いのかどうか悩んでしまいますよね。

結論からいうと、止血の際に小麦粉を使っていただいても問題ありません。傷口についた血を拭き取ったところにすかさず小麦粉をつけてあげると、小麦粉が固まって血が止まります。ちなみに、小麦粉だけではなく、片栗粉やコーンスターチでも代用できますよ。


爪切りの際に血を出さない方法

犬の爪切り

止血の方法はこれでばっちりだと思いますが、そもそも爪から血が出れば、当然わんちゃんは痛い思いをすることになります。そこで次は、爪切りの際に血を出さない方法をご紹介します。

◆血管の位置を把握

爪切りをする前の準備として、まずは血管の位置を確認しましょう。白い爪の場合は爪を透かしてみると、爪の根元から爪先に向かって、薄いピンク色をした芯のようなものがみえます。この薄いピンク色の部分が爪の血管と神経なので、ここを切ってしまうと出血をしてしまいます。そのため、爪切りをする際は、爪先の白い部分だけを切るようにしましょう。

黒い爪をしている場合は、透かしてみたとしてもなかなか血管を確認することができないので、爪先から少しずつ慎重に爪を切っていきましょう。最初は断面が乾燥してパサついていますが、次第にしっとりとした断面へと変わっていきます。これは血管が近くにあるというサインであるため、しっとりとした断面が出てきたら爪を切るのをやめて、あとは表面を整えるだけにしましょう。

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◆正しく保定する

「保定」とは、安全に治療や処置などができるように、犬が動かないようおさえることをいいます。自宅で爪切りをする際も保定をすることで出血のリスクを抑えることができますが、力任せにおさえようとするとかえって犬が暴れてしまう可能性もあるので、正しい保定の仕方やコツを知ることがとても大切です。

保定の仕方に厳密な決まりはありませんが、ここでは、2人で爪切りをする場合と、1人で保定と爪切りをする場合の一般的な保定の仕方をご紹介します。

2人で爪切りをする場合は、床に座ったり犬を台の上に乗せたりして、犬の高さが保定者の胸の位置にくるようにして、横向きに立たせます。次に、犬の首の下から片方の腕をまわして顔(頭)を、胴体の下からもう片方の腕をまわして胴体を優しく包み込むようにします。このとき、保定者の体に犬の胴体がピタッとくっつくように保定すると、より安定しますよ。

1人で保定と爪切りをする場合は、利き手と反対側に犬の頭がくるように、横向きに犬を抱きかかえるか、台の上に乗せます。次に利き手と反対側の腕を胴体の上からまわして、肘で顔が動かないように保定しましょう。このとき、誰かにおやつなどで犬の気を引いてもらうと、よりスムーズにいくこともありますよ。

ただし、保定や爪切りの経験がない飼い主さんがいきなりやろうとしても、実際にはなかなかうまくいかないことが多いので、日ごろから保定の練習をして、犬も飼い主さんも保定に慣れておくことをおすすめします。子犬のうちからしつけの一環として練習をしておくと、より良いですね。

また、台の上に乗せて爪切りをしたい場合、保定がしっかりできていないと、犬が誤って台から落下してしまい、大きなケガをしてしまうことがあります。そのため、慣れるまでは床の上など低い位置から始めて、徐々に高さを上げていくようにしましょう。

さらに、噛み癖がある場合などは、エリザベスカラーを用意しておきましょう。エリザベスカラーは、ペットショップやネット通販などで簡単に購入することができますよ。

サイズは犬の鼻先がエリザベスカラーから出ないような長さのものを選び、首周りは指2本分くらい余裕ができるように巻いてあげましょう。

◆やすりを使う

犬用、もしくは犬猫用の爪切りだけを使って爪を切ろうとすると、犬が動いてしまったり思ったより深い部分を切ってしまったりして、うっかり出血させてしまうことがあります。そのため、爪切りである程度血管の近くまで爪を切ったら、あとはやすりを使って仕上げをするようにしましょう。

また、爪切りだけでは切断面がザラザラしていることがあり、爪がひっかかって折れてしまったり、体を掻いたときに皮膚を傷つけてしまったりすることもあります。そのため、ケガを予防するという意味でも、最後は必ずやすりがけをして、表面を整えるように手入れをするようにしましょう。

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◆病院やサロンで切ってもらう

犬は散歩をすることによって、爪が地面にこすれて自然に削られます。そのため、本来であれば爪切りをする必要はないのですが、室内飼育をしている場合や小型犬、高齢犬など、歩く時間が短い場合は爪が伸びてきてしまいます。そのため、1か月に1回程度、もしくは爪が地面にこすれてカチカチ音がしてきたら爪切りを行うようにしましょう。

ちなみに、爪が伸びているのをそのままにしてしまうと、爪とともに血管も伸びてしまうので、かえって爪切りによって出血しやすくなってしまいます。また、爪の伸びすぎは爪が折れたり肉球に爪が刺さったりする恐れもあるため、爪の伸びすぎには注意が必要です。

ただし、爪の色が黒かったり、犬が嫌がってしまったりすると、うまく爪切りができず、自宅での爪切りを負担に感じてしまう飼い主さんは少なくありません。そんなときは、動物病院やトリミングサロンでプロに爪切りをお願いするのも一つの手です。

病気がないのに動物病院を受診しても良いのかと悩まれる飼い主さんもいますが、病気の予防や爪切り・肛門腺絞りといったケアだけでも受診可能なので、安心してくださいね。

爪切りそのものの料金は動物病院もトリミングサロンも500~1,000円程度であることが多く、毎月の健康診断を兼ねて定期的に動物病院に通ったり、トリミングの際にトリミングサロンで爪を切ってもらったりする飼い主さんも少なくないので、一度検討してみてもよいかもしれません。


まとめ

いかがでしたでしょうか。

血が出ないように慎重に爪切りをしていても、犬が動いてしまったり爪が黒かったりして血管が見えづらい場合には、どうしても出血してしまうことがあります。そんなときは慌てず落ち着いて、圧迫をしたり止血剤を塗ったりして、しっかりと止血するようにしましょう。

爪からの出血はどうしても痛みを伴います。そのため、自宅での爪切りが難しい場合には、獣医さんやトリマーさんなどの力を借りるなどして、犬にとっても飼い主さんにとっても、爪切りが負担にならないようにしてくださいね。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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