1.犬が太ってしまう原因
1-1.犬が太ってしまう原因①食事・おやつの与えすぎ
1-2.犬が太ってしまう原因②運動不足
1-3.犬が太ってしまう原因①避妊去勢手術の影響
2.犬の適正体重
2-1.ボディ・コンディション・スコア(BCS)
3.肥満な犬の病気のリスク
3-1.リスク①病気の発症
3-2.リスク②関節への負担
3-3.リスク③健康寿命が短くなる
5.犬のダイエットの方法【運動】
5-1.散歩の量を増やす
5-2.ドッグランで走らせる
5-3.プールで泳ぐ
6.犬のダイエットの方法【食事】
6-1.食事を減らす
6-2.ダイエット用のフードに変える
6-3.おやつを与えすぎない
6-4.早食い防止皿を使用する
犬が太ってしまう原因
犬の体重が増加して太ってしまう理由として、通常、食事による摂取カロリーが、運動などによる消費カロリーを上回っていることが考えられます。
人間にも同じことがいえますよね。
まずは、主に挙げられる太る原因を具体的に解説していきましょう。
◆犬が太ってしまう原因①食事・おやつの与えすぎ
最も多い理由として挙げられるのが、食事やおやつの与えすぎでしょう。
総合栄養食であるドッグフードは、基本的に栄養バランスが取れる必要不可欠な餌です。しかし、給餌量から適正な量を判断せずに与えてしまうと、1日に必要な食事量を超えてしまいます。
そして、おやつの場合は、トレーニング等で使用したり、ご褒美として与えるなど、日に数回に分けて与えることからカロリー計算が難しいのが正直なところですよね。愛犬がねだるからといって、必要カロリー以上の分量を与えてしまうと、あっという間に消費カロリーが摂取カロリーを超えています。毎日少しずつだとしてもそれが続けば、徐々に愛犬は太り始めてしまうのです。
また、適度に散歩・運動をしているのにかかわらず、愛犬が太ってしまうケースもあるでしょう。この場合、普段の食事内容が高カロリーであることが可能性として考えられます。
ドライフードではなく、脂質・糖質の多い食べ物が主体となっていないでしょうか?例えば、脂肪の多い肉や糖質の多いパン類、かぼちゃ・サツマイモなどの糖質の多い野菜などがこれに当たります。
ドッグフードやペット用おやつ以外の食材を与える時は、栄養バランスはもちろん、しっかりとカロリーを把握しておく必要があるのです。
◆犬が太ってしまう原因②運動不足
運動不足も肥満の大きな原因の一つです。食事量が適正であっても、運動による消費カロリーが少なければもちろん太ってしまいます。
愛犬が運動は苦手、散歩に行きたがらない、などという理由から全く散歩をさせなければ、運動不足となってしまうのです。
必要な運動量は、体格や犬種によって違いがあります。中型~大型犬の場合は、散歩時間が10分程度では到底足りません。小型犬だとしても、散歩に行かなくてよいわけでは決してありません。
もちろん個体差があり、場合によっては外出できない、運動できない事情を抱えるワンちゃんも実際にいますが、可能な限り室内でもボール遊びをするなど、身体を動かす機会を与えた方がよいでしょう。
犬は太れば太るほど、体が重くなって歩きたがらなくなります。これにより運動不足が更に加速してしまうので、注意しなくてはいけません。
◆犬が太ってしまう原因①避妊去勢手術の影響
犬は、去勢や避妊手術の後に太ってしまう場合があります。
手術によって性ホルモンの影響を受けなくなることから基礎代謝が下がるため、自然と太りやすくなってしまうのです。手術後は愛犬の様子をみながら、食事量・運動量を見直す必要があるでしょう。
また他にも、病気が原因でワンちゃんが太ったり肥満となってしまうケースもあるのです。これに関しては後述しますので、そちらもチェックしてみてください。
犬の適正体重
犬には様々な犬種があり、標準体型もそれぞれに異なります。そのため、標準体型を判断する指標として、「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」というものがあるのをご存知でしょうか?
5段階評価で、理想的な体型である標準体型をBCS3とし、スコアが少なくなるにつれて痩せ気味、高くなるにつれて太り気味だと判断できます。
BCS1~5を判断するために、目安となる基準の体型を紹介していきましょう。BCS4~5の体型が肥満傾向にあることが分かるので、愛犬のボディチェックをしながら確認し、参考にしてみてください。
◆ボディ・コンディション・スコア(BCS)
BCS1(痩せ気味)
肋骨・腰椎・骨盤が外から容易に見ええ、触っても脂肪が分からない。腰のくびれ、腹部の釣り上りが顕著である。
BCS2(やや痩せ気味)
肋骨が容易に触れる。上から見て腰のくびれが顕著であり、腹部の釣り上りも明瞭である。
BCS3(理想体型)
過剰な脂肪の沈着なしに肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られ、横から見ると腹部の釣り上りもみられる。
BCS4(やや肥満気味)
脂肪の沈着はやや多いが、肋骨が触れる。上からみて腰のくびれが、顕著ではないが見られる。腹部の釣り上りは、やや見られる。
BCS5(肥満)
厚い脂肪に覆われており、肋骨が容易に触れない。腰椎・尾根部分にも脂肪が沈着している。腰のくびれは全くないか、ほとんど見られない状態。腹部の釣り上りは見られない、また垂れ下がっている。
肥満な犬の病気のリスク
犬が肥満となった場合、様々なリスクを負う可能性が高まります。長生きをするためにも、やはり肥満は予防しなくてはいけません。考えられるリスクについて紹介していきますので、しっかり覚えておきましょう。
◆リスク①病気の発症
人間同様、犬の肥満も病気のリスクが高まります。肥満となることで、呼吸器や心臓などに負担がかかりますし、糖尿病の心配もでてくるでしょう。
また、高脂血症、尿路結石などを発症するリスクも考えられます。特に尿路結石のリスクは高まるため、注意が必要です。
ちなみに肥満による尿路結石は、食べ過ぎが原因であることが多いようです。この場合、飼い主さんの管理で防止することも可能なので、普段から健康管理と共に食事の管理を徹底しましょう。
◆リスク②関節への負担
肥満になってしまうと、関節や骨への負担も大きくなります。軽めの散歩や少し走ったりするだけでも、関節・骨を痛めてしまうようになるかもしれません。
最悪の場合、立ち上がれない程の痛みを感じるレベルになる危険性もあります。そうなると、長期的な動物病院での治療が必要となるケースも考えられます。
ただでさえ、老犬となれば筋肉量が減り足腰は弱くなってきます。寝たきりの状態を防ぐためにも、日常的に適切なケアや体重管理を行い、健康的な毎日を過ごせるよう気を付けたいですね。
◆リスク③健康寿命が短くなる
適正体重のワンちゃんと比べると、肥満の子は健康寿命が短いといわれています。
もちろん寿命には個体差がありますが、前述したように、肥満が原因で病気になる場合もありますし、身体が動かせなくなる可能性もあります。このような理由から、健康体、理想体型であることが、寿命を延ばすことに繋がると考えられているのです。
愛犬のことが大切ならば、可愛いからと好きなものを好きなだけ与えるのはやめましょう。欲しがるからといって、ごはんやおやつのおかわりもよくありません。エネルギーの適正量を考えて体重をコントロールすることが、何よりも愛犬のためとなるのです。
比較的太りやすい犬種
個体差はありますが、比較的太りやすいとされる犬種も挙げられています。
ダックスフンド、ポメラニアン、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、ビーグル、パグなどの犬種は、食欲旺盛の為に太りやすいと考えられているのです。
狩猟犬・牧羊犬など、運動量が多く必要な特性をもつ犬種も、見合った運動ができていない場合は肥満に注意が必要です。ハウンド、レトリバー、テリア、日本犬などの種類がこれに当てはまるでしょう。
体のサイズでいうと、大型犬よりも小型犬の方が食事量の誤差が大きく影響することから、太りやすいといえます。小型犬の飼い主さんの中には「室内運動だけで十分だ」と考えている方も中にはいるのですが、体力的に問題がないのであれば散歩が不要な犬種はいないのだということを忘れないでください。
家の外に出て適度な運動をすることは、運動不足の予防はもちろん、ストレス発散にも繋がります。健康維持のためにも、散歩を行うことをおすすめします。
犬のダイエットの方法【運動】
運動不足が原因で肥満となっている場合は、やはり運動量を増やすことが解決策となります。
以下の方法を頭に入れて置き、愛犬に向いているダイエット方法はどれか考えてみましょう。
◆散歩の量を増やす
散歩の時間が足りていないと感じる場合は、少しずつ普段の散歩時間や距離を伸ばしてみましょう。
肥満の犬に突然激しい運動は出来ませんし、すぐに疲れてしまいます。何より心臓や関節などへの普段が大きくなってしまいます。愛犬の様子をみながら、無理のない程度に少しずつ増やしていくのがコツです。
減量に成功していけば、おのずと散歩が長くできるようになるかもしれませんよ。
◆ドッグランで走らせる
ドッグランをあまり利用しない、という家庭ではドッグランなどで思い切り愛犬を走らせてあげるのも良い方法です。性格にもよりますが、普段はあまり走らない子も、ドッグランなどの広い空間だと楽しい気持ちになって自分から走り出すかもしれません、
定期的に通うことができれば、運動量はグンと上がるでしょう。しかしこちらも、急激に運動をさせることはあまりおすすめできませんので、愛犬の様子を観察しながら、無理に走らせることはしないよう気を付けてください。
◆プールで泳ぐ
プールの利用は、カロリーの消費量を稼げる代表的な運動の一つです。人間のダイエットとしてもよく利用されていますよね。
プールでの運動は、関節への負担を和らげてくれますので、肥満体型の犬には最適な運動となります。
また、シニア犬などで中々運動量を確保することができない場合にも持ってこいです。
水が苦手な子でなければ、楽しく運動できるでしょう。初めの内は慣れないかもしれませんが、少しずつプールに慣れさせることができれば、効果的なダイエットとなります。
近年では犬のリハビリ用プールを備えた施設もあるので、近所に犬用のプールがないか、是非探してみてください。
犬のダイエットの方法【食事】
肥満のほとんどの原因といえるのが、食事の摂り過ぎです。これは、飼い主さんがしっかり管理や工夫をすることで、防止することができる問題ですよね。愛犬のぽっこりお腹が気になる方は、以下の方法を確認して取り組んでみましょう。
◆食事を減らす
食事の量が適正でない場合は、単純に食事量を減量するだけでも、ある程度ダイエット効果を得ることができるでしょう。
しかし、急に食事量を減らしてしまうと愛犬がストレスを抱える可能性もあります。そのため、飼い主さんの工夫が必要となります。
一回の食事量を減らして与える回数を増やしたり、低カロリーの野菜などをトッピングすることでかさ増しし満腹感を感じさせるなど、小さな一工夫がポイントとなるのです。脂肪分の少ないチキンやタンパク質・食物繊維を摂ることを意識するのも良いでしょう。ただし、個体によっては食材の与え方や量によって下痢などの症状が現れる場合もありますので、安全にサポートできるように注意してください。
◆ダイエット用のフードに変える
普段与えているドッグフードを見直すのも一つの方法です。現代では、減量用、ダイエット用と記載のあるダイエット・体重管理を目的とした総合栄養食も多数販売されています。獣医師が推奨するサイエンス・ダイエットなどは、知名度も高いでしょう。
低脂肪などを掲げるダイエットフードの商品を主食とすることが、体重減少への大きな一歩となるかもしれませんよ。
ただし、愛犬がフードへのこだわりが強いタイプであれば、選び方にも注意が必要です。ドッグフードはそれぞれに形状や大きさも違います。愛犬にとって好感度が高いと思われる商品を探してみてくださいね。まずは少ないサイズを購入して、愛犬の様子をみてみましょう。
また市販のドッグフードには、子犬用・成犬用・シニア用といった、ライフステージによって分けられているものが多いので、その点についても注目し、愛犬ぴったりのものをみつけてください。
◆おやつを与えすぎない
犬用おやつのパッケージのほとんどには、1日あたりの給餌量が記載されています。それを超えて与えてしまうと、やはり太ってしまいますよね。愛犬が欲しがるからといって過剰に与えることはやめ、適切な給餌量を守らなくてはいけません。
また、肥満気味の犬に多い傾向として、人間の食べ物を与えられているケースがあります。人間の食べ物は、犬にとって塩分過多の物が多いので与えない方がよいのです。人間にとって問題なくとも、犬にとっては有害な食材もありますので十分注意しましょう。
◆早食い防止皿を使用する
早食いは満腹感を得にくい上に、フードを喉に詰まらせてしまう危険があります。ペットグッズのエサ皿の中には、底の部分に凹凸のある、早食い防止皿というアイテムがあるのをご存知でしょうか。常に早食いで、あっという間にご飯を食べ終えてしまうという愛犬には、この早食い防止皿を使ってみるとよいでしょう。床の凹凸が邪魔をするので、フードの粒が取れにくく、早食いを防いでくれます。形状は様々なので、愛犬にとって良さそうなアイテムがないか探してみてください。
犬のダイエットの際に注意すること
紹介してきたように、愛犬が肥満傾向にある場合は、基本的にダイエットに取り組むことがすすめられます。ただし、無理に運動したり食事を制限してしまうと、愛犬の怪我やストレスの原因ともなり得るので注意が必要だということを覚えておきましょう。
また、肥満の原因が運動不足や過剰な食事量ではなく、病気であるケースも実際にあります。病気が原因であれば、急激に太る場合が多いので、注意点として覚えておきましょう。特に、7~8歳以上の高齢犬であれば、以下のような病気が考えられます。気になる様子を感じるのであれば、早めに獣医師へ相談してみましょう。
◆太る原因となる可能性のある病気
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
副腎と呼ばれる臓器から出るホルモン物質が、過剰に分泌される病気で、犬のお腹が張ったり、弛んだような体型になるなどの特徴があります。多飲多尿、毛が抜けて薄くなる、足腰が弱くなる、などの症状がみられます。
肝臓疾患
肝機能に異常が起きて肝臓が肥大すると、お腹が膨らんだようにみえます。病気が進行して肝不全を起こし、腹水が貯まることで太ったように見える場合もあるでしょう。
この場合、身体が消耗しているのにも関わらず、腹水のせいで体重が増えることがあるので、普段から愛犬の平均体重を把握しておきましょう。
循環器疾患
主に、心臓病によって腹水がたまることでお腹が張り、太った様に見える場合があります。心臓に疾患を抱える個体は特に注意しましょう。かかりつけの病院をもち、定期検診を行っておくと健康管理や病気の早期発見にも有効的です。
まとめ
犬の肥満は決して珍しくなく、身近に起こりうる問題の一つです。まずはその原因を知り、正しいダイエット方法に取り組むことが大切です。
食事や運動量の管理に悩む場合は、ドッグトレーナーや獣医師、動物看護師などプロに相談してみるのもよいでしょう。
普段の食事に一工夫するだけでも、劇的なダイエット効果を得られる場合がありますので、無理のない程度に愛犬と一緒にダイエットへの一歩を踏み出してみてください。
少しでも長く一緒に生活をしていけるように、愛犬の健康維持に努めていきましょう。
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