1.犬の鼻づまりの症状
1-1.鼻水が出る
1-2.呼吸がしにくい
1-3.いびきをかく
2.犬の鼻づまりの原因
2-1.アレルギー
2-2.異物
2-3.老化
4.鼻づまりに関係する病気
4-1.鼻炎
4-2.副鼻腔炎
4-3.歯周病
4-4.腫瘍
犬の鼻づまりの症状
はじめに、犬が鼻づまりを起こしているときの症状を見ていきましょう。症状を知っておくことは、早期発見につながります。
◆鼻水が出る
鼻づまりは、基本的に鼻水が固まってしまうことで起こります。
原因によって、透明で水っぽい鼻水、黄色い鼻水、鼻血の混じったものなどが出るので、よく観察することをおすすめします。
◆呼吸がしにくい
鼻づまりのために呼吸がしづらくなると、「フガフガ」「ヒューヒュー」などの音がしたり、口を開いて呼吸(口呼吸)したりします。
短頭種や大型犬は鼻がつまっていなくても口呼吸をすることがありますが、小型犬は基本的に口呼吸をしません。
完全に鼻がつまって口呼吸をしている場合は、緊急性が高いです。
◆いびきをかく
鼻づまりが起きると、寝ているときに「グーグー」と音がしたり、いびきをかいたりすることがあります。
犬がいびきをかいて寝ているのは愛らしく思えますが、あまり良い状態とは言えません。
犬の鼻づまりの原因
寒さなどに対する生理的な反応として鼻づまりが起きることもあり、これは一時的なもので心配ありません。
生理的な反応以外の原因の場合、何らかの対処が必要になります。
◆アレルギー
犬も人間と同様、アレルギー症状として鼻水が出て、それが固まって鼻づまりにつながることがあります。
アレルゲン(アレルギーの原因物質)も人と同じで、花粉や、食べ物、ハウスダスト、ダニ、カビなどです。
アレルギーの場合、アレルゲンを体外に排出するために水っぽい透明な鼻水が出ます。鼻水が固まって鼻の穴を塞ぐようなことはあまりありませんが、出続ける鼻水で呼吸が苦しくなることがあります。
アレルギー反応の場合には、鼻水以外にも、目の充血や目ヤニ、咳やくしゃみ、嘔吐、皮膚の炎症などの症状が現れます。
放置すると悪化してしまうこともあるので、早めに動物病院を受診しましょう。
◆異物
お散歩中に、草むらに顔を突っ込むワンちゃんは少なくありません。この時、ノギ(イネ科植物の先端にある針のような突起)や草、砂などの異物が入ることで、鼻水が出ることがあります。
また、吐き戻しの時に吐いたものやおやつのかけらなどの異物が原因で、鼻づまりの症状が出ることがあります。
◆老化
犬も高齢になると、鼻を常に湿らせておくための分泌腺のコントロールが上手くできなくなって、鼻の中が乾燥しやすくなります。
乾燥すると、鼻づまりが起きやすいです。
鼻づまりしやすい犬種
原因によって、鼻がつまりやすい犬種は異なります。
後述する鼻の腫瘍が原因の場合、長頭種がかかりやすいと言われています。シェトランド・シープドッグやコリー、ミニチュアダックスフンドなどマズルの長い犬種で鼻づまりの症状が出た場合には、要注意です。
鼻ぺちゃの短頭種は、鼻腔が狭く、構造が複雑なため、鼻がつまりやすいです。
犬種としては、パグやシーズー、フレンチブルドッグ、ペキニーズ、ボストンテリア、ボクサーなどが挙げられます。
アレルギーや鼻炎、歯周病の悪化、老化などの場合、特定の犬種に限らず、どの犬でも起きる可能性があります。
鼻づまりに関係する病気
上述した原因の他にも、病気による鼻づまりの場合もあります。
飼い主さんが原因を判断するのは難しいので、鼻づまりの症状が出たら、動物病院に行ってくださいね。
◆鼻炎
ウイルスや細菌などの感染によるほか、鼻への物理的な刺激が原因で、鼻の粘膜が炎症を起こした状態です。
軽症であれば症状は鼻水程度で、呼吸に問題が起きることはありません。しかし、重症になると、膿の混じった鼻水が出たり、鼻水が固まって鼻に詰まったりします。
鼻炎を起こすことのある感染症で代表的なものは、犬ジステンパー感染症やケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)です。
◆副鼻腔炎
副鼻腔とは、鼻の奥にある空洞です。
副鼻腔炎は、鼻炎が進んで、副鼻腔にまで炎症が広がった状態です。
鼻がつまるだけではなく、鼻水も出ます。特に、黄色いドロッとした鼻水が出ると、症状はかなり進行しています。
悪化すると鼻の周囲の骨を溶かしてしまうこともあるので、要注意です。
鼻水、くしゃみ、鼻周辺の腫れが見られる場合には、すぐに動物病院を受診してください。
◆歯周病
歯周病が進行すると、上顎から鼻に炎症が及んで、鼻がつまります。
歯周病の場合、鼻づまりのほか、歯茎が赤い、口臭が臭いなどの症状が見られます。
日頃から歯みがきを行い、歯垢が付着しないように気をつけてあげてくださいね。
◆腫瘍
鼻にできた腫瘍が、鼻の穴を塞いでしまって鼻づまりが起きることがあります。
鼻の中は見えないため、気付いた時には進行してしまっていることも。
片側だけ鼻血や鼻水が出るような場合には、早めに動物病院を受診してください。
上述の通り、長頭種がかかりやすいと言われていますが、中高齢になればどの犬種も腫瘍ができる可能性があります。
犬の鼻づまりの治療法・予防法
◆犬の鼻づまりの治療法
鼻づまりの治療法は、原因によって異なります。
鼻炎や副鼻腔炎など炎症が起きているときには、原因となるウイルスや細菌などに対する薬剤(抗生剤)が処方されます。ワクチンで予防できる感染症には、定期的な予防接種も重要です。
鼻の奥に入って取れない異物や腫瘍など、鼻の中に呼吸を妨げるものがある場合には、手術で取り除く必要があります。飼い主さんが異物を取り除こうとすると、鼻の粘膜を傷つける可能性があるので、獣医師さんにお任せしましょう。
いずれにしても、病気やアレルギー性鼻炎の場合は根本的な治療が必要です。早めに獣医師さんの診察を受けるのが一番です。
◆犬の鼻づまりの予防法
●加湿する
乾燥すると鼻水が固まりやすく、鼻づまりにつながります。
犬に適した湿度は、50~60%と言われています。老犬など鼻づまりのしやすい犬の場合は、加湿器を利用して70%程度にするとよいでしょう。
加湿器がない場合には、室内に濡れタオルを干してもいいですよ。
●免疫力をつける
アレルギーや感染症は、栄養不足や免疫機能の低下から起こりやすくなります。日頃から、しっかりと食事を摂らせて、免疫力を高めておきましょう。
●アレルゲンを取り除く
生活環境を清潔に保ち、アレルゲンとなる花粉や、ホコリ、ダニ、カビを除去することも大切です。
アレルギーによる鼻づまりの場合、高額にはなりますが、アレルゲン検査を受ければ、治療がしやすくなりますよ。
●異物に近づけない
異物が入りやすい草むらなどに鼻を突っ込まないよう、お散歩中は愛犬をコントロールしましょう。
化学物質の刺激による場合もあるので、香りの強い洗剤や芳香剤の使用を見直すことも必要です。
犬の鼻づまりの対処法
◎鼻の周りをきれいにする
鼻水が乾燥して固まると、鼻の穴を塞いで息苦しくなりますが、犬は自分で取ることができません。
飼い主さんが、水で濡らしたガーゼや清浄綿などで、固まった鼻水を湿らせて優しく拭き取ってあげましょう。
アルコールを含んだウェットティッシュは、犬の嗅覚を刺激するうえ、皮膚にもよくないため、使用しないでくださいね。
犬が嫌がるときやこびりついて取れにくいときには、無理をせず、少しずつ取ってあげましょう。
◎蒸しタオルで温める
蒸しタオルで鼻の周りを温めると、症状が緩和されます。
犬が熱がらない程度に温めたタオルで、愛犬の鼻とその周囲を拭いてあげてくださいね。タオルを犬に当てる前に、手で熱くないことを確認しましょう。
蒸しタオルは、40℃くらいのお湯にタオルをつけて軽く絞るか、水に濡らしたタオルを絞って500Wのレンジで20~30秒程度温めると作れますよ。
◎犬の鼻づまりに効くツボを押す
犬の鼻づまりに有効とされる、「晴明(せいめい)」「迎香(げいこう)」「山根(さんこん)」というツボがあります。強く押しすぎないように気をつけて指圧してあげると、鼻づまりが解消されることもあります。
犬が嫌がる場合には、無理に指圧しないようにしてくださいね。
晴明は、目頭のすぐ横にあるツボです。晴明から鼻の両脇を、鼻先へ向けて指圧します。
迎香は、鼻の両脇、人間で言うと小鼻の横に当たる場所にあります。
山根は、犬の鼻の毛の生えている部分と生えていない部分の境目にあるツボです。眉間から山根までをマッサージしたり、山根を優しく押したりしてあげてください。
ツボを押したりマッサージをしたりする前に手を温めておき、触る前には声を掛けてあげましょう。冷たい手で触ったり、いきなり触ったりすると、犬を驚かせてしまいます。
まとめ
犬は鼻呼吸をするので、鼻がつまると、非常に呼吸がしづらくなります。
鼻がつまっている場合、口呼吸をするなど息をしづらそうしたり、フガフガと音がしたりすることがあります。いびきをかく場合にも、注意が必要です。
犬の鼻詰まりの原因を飼い主さんが判断することはできないので、症状に気づいたらすぐに動物病院を受診することが大切です。
そのうえで、自宅でできる鼻づまりの解消法で、症状を緩和してあげてくださいね。
また、鼻がつまるとニオイを感じづらくなり、食欲不振になることもあります。フードを温めたり、ウェットフードを与えたりして、食欲を刺激してあげるといいですよ。
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