1.犬の目の周りが赤い原因
1-1.アレルギー
1-2.怪我
1-3.涙やけ
1-4.細菌感染
2.犬の目の周りが赤いのは病気の可能性も
2-1.眼瞼炎
2-2.アレルギー性皮膚炎
2-3.結膜炎
2-4.角膜炎
3.犬の目の周りが赤い時は病院に連れて行くべき?
3-1.涙やけの治療
3-2.アレルギーへの対処
3-3.細菌やウイルスの感染が疑われる場合
3-4.感染性ではない眼瞼炎の場合
4.犬の目の周りが赤い時の対処法・予防方法
4-1.目薬や飲み薬の投与
4-2.目の周りのケア
4-3.アレルゲンの排除
犬の目の周りが赤い原因
◆アレルギー
アレルギー症状のひとつに、目の周りが赤くなることが挙げられます。
アレルギーの原因はさまざまで、食事が原因の食物アレルギーのほか、ハウスダストやノミ、ダニ、花粉といった環境物質があります。
食物アレルギーの場合、目の周りが赤くなることに加えて、下痢や嘔吐などの症状も出ることがあるため、注意が必要です。
◆怪我
何らかの原因で負った外傷があり、その傷口が炎症を起こしているのかもしれません。
犬が傷を気にして触ったり、掻いたりすると、菌が侵入して他の病気を併発する可能性があります。
◆涙やけ
犬の目の周りが赤い時には、涙やけであることが多いです。
涙腺で作られた涙は、眼の表面を潤したのち、「涙点」(るいてん;上下のまぶたの鼻側にある小さな穴)から「鼻涙管」(びるいかん)を通って鼻に抜け、喉に流れていきます。
涙やけは、獣医学では「流涙症」(りゅうるいしょう)と言い、溢れた涙によって、目の下が赤くなったり、目の下の毛が茶色くなったり、臭いニオイがする状態です。流涙症の原因は、涙が多い、涙の排出がうまくできない、涙を目の表面に溜めておくことができないことが挙げられます。
流涙症の好発犬種は、トイプードルやマルチーズ、チワワなどの小型犬です。
◆細菌感染
細菌やウイルスの感染による皮膚病が原因となって、目の周りに炎症が起こり、赤くなることがあります。この場合、目の周り以外にも炎症が見られる場合もあります。
犬の目の周りが赤いのは病気の可能性も
犬の目の周りが赤い原因について見てきましたが、以下のような病気の可能性もあります。
◆眼瞼炎
眼瞼(がんけん)とは、まぶたのことです。
眼瞼炎は、まぶたの周りが炎症を起こす病気で、炎症の原因は、細菌や真菌(皮膚糸状菌)、寄生虫(ヒゼンダニ、毛包虫)への感染、外傷、アレルギーなどが挙げられます。
他に、まぶたに先天的あるいは後天的な異常がある場合、炎症の引き金になることもあります。具体的には、眼瞼内反症(まぶたが内側にめくれている状態)、眼瞼外反症(まぶたが外側にめくれている状態)、兎眼(とがん;まぶたを閉じきれない)などです。
また、他の疾患(基礎疾患)に引き続く形で、炎症が生じることがあります。基礎疾患としては、結膜炎、角膜炎、ドライアイなどが挙げられ、目が気になってこすっているうちに、まぶたに傷がついて発症します。
症状は、赤く腫れる、まぶたの周りの脱毛などです。
悪化すると、化膿して慢性化することもあり、治療が困難になる場合もあります。
◆アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎は、アレルギーを原因とする皮膚炎です。大きく分けて、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎があります。
アレルギーは、生体に備わっている免疫反応(体内に入った異物を攻撃する反応)が過剰になり、通常、体に害を与えない物質に対して異常に反応している状態です。
症状はかゆみを伴い、患部に乾燥やただれが見られるほか、目の周りやまぶたに強い炎症が生じて結膜炎を起こす場合もあります。
アトピー性皮膚炎のアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)は、ハウスダストや花粉、ノミ、ダニなど環境に存在する物質です。
◆結膜炎
まぶたの裏側の「結膜」という組織が炎症を起こした状態を、結膜炎と言います。
主な原因は、ウイルスの侵入やアレルギー、自己免疫系の異常により起こる免疫疾患です。目の充血や痒みをともなうため、愛犬が目を気にしたり、頻繁に目を掻いたりするしぐさが見られます。
◆角膜炎
眼球の表面を覆っている透明な膜状の組織「角膜」が、目を引っ搔いたり、ぶつけたりすることで傷ついて炎症を起こしてしまった状態が、角膜炎です。
犬の目の周りが赤い時は病院に連れて行くべき?
犬の目の周りが赤い時は、まず、動物病院を受診して、原因を特定しなければなりません。同じように目の周りが赤く見えても、原因によって治療法や対処法が異なるからです。
動物病院では、さまざまな目の検査を行い、原因を特定します。
主な検査には、下記のようなものがあります。
●涙液量検査
●眼圧測定
●涙液層破壊時間検査
●フルオレセイン染色検査
●細胞診
●微生物培養検査
●眼底検査
●超音波検査
●アレルギー検査
◆涙やけの治療
涙やけの治療は、原因によって異なります。
睫毛が入り込んでいる場合には、ピンセットを使って目の中に入り込んでいるまつげを抜きます。目の下の毛が入り込んでいることもあり、この場合は毛を短くカットします。
鼻涙管(涙が鼻に抜ける管)が詰まっている場合には、「鼻涙管洗浄」をすることもあります。通常は全身麻酔をして、鼻涙管に管を刺し、開通するまで何度も洗浄します。
涙を目の表面に保つことができない場合は、涙の中の脂分が不足していることがあります。原因は、脂を出す「マイボーム腺」という腺が詰まっていることです。温かいタオルやコットンなどを用いて、目を温めて詰まりを取ります。
◆アレルギーへの対処
アレルゲンを特定して対応しますが、アレルギー検査で陽性や偽陽性が出たとしても、それが原因であると確定することは、非常に難しいです。
また、食物アレルギーが疑われる場合には、さらに検査を行うこともあります。
◆細菌やウイルスの感染が疑われる場合
細菌感染の場合は、広い範囲の細菌に有効性が期待できる抗菌点眼薬や内服薬を投与します。また、ウイルス感染が疑われる場合には、抗ウイルス薬を点眼することもあります。
治りが悪い場合には、綿棒で涙や結膜を拭って、原因となる微生物を特定する検査を行うこともあります。
◆感染性ではない眼瞼炎の場合
感染による眼瞼炎の場合、片目にぽつっとできることが多いですが、免疫介在性の場合は両目に生じたり、片目でも数ヶ所腫れたりすることが多いと言われています。
免疫は、自分と他者を見分けて、他者と認めたものを排除する仕組みです。「免疫介在性疾患」とは、免疫が自己の臓器に対して働いてしまう犬猫の病気の総称です。人の場合は、「自己免疫疾患」と呼ばれます。
ステロイドや免疫抑制剤を用いた長期的な治療が必要で、すぐに薬をやめてしまうと再発することが多いです。
犬の目の周りが赤い時の対処法・予防方法
犬の目の周りが赤い時に自宅でできる対処法も、原因によって異なります。上記の通り、まず動物病院で原因をハッキリさせて、獣医師さんの指示に沿って対処しましょう。
◆目薬や飲み薬の投与
処方された目薬や飲み薬を、きちんと投与しましょう。目薬の回数は、増えてもさほど問題はないそうですが、指示された回数より少なくなるのはよくありません。
目薬をさすときには、愛犬にフセをさせて、後ろから片手で顔を持ち上げます。その状態で、上のまぶたを指で引いて目薬をさします。
犬と向かい合ってさすと、嫌がって逃げ回ることが多いので、気をつけてくださいね。
完治するまでは、犬が自分で目を触れないようにエリザベスカラーを着けておきます。
◆目の周りのケア
定期的に、水で濡らしたコットンで犬の目の下をきれいに拭き、乾いたコットンで湿り気をしっかり取りましょう。湿ったままだと、細菌が繁殖して涙やけのもとになります。
目の周りの赤みが引いてきた後も目の下をきれいに保つことで、以後の目のトラブルを予防することもできるでしょう。
犬が嫌がる素振りを見せたときには、無理に続けないようにしてください。眼球を傷つけてしまう危険性があります。
◆アレルゲンの排除
花粉などがアレルゲンと考えられる場合には、散歩などで外出する際に、肌を保護するパウダーをはたいたり、洋服を着せたりして、皮膚に直接アレルゲンが触れないようにしてあげましょう。
また、帰宅した後には、タオルなどで入念に足や体を拭いてあげてください。
アレルゲンがノミ、ダニやカビの場合には、定期的な防除薬の投与を行うとともに、室内の掃除をこまめに行い、環境を清潔に保つようにしましょう。
気をつけたい目やにや目の周りの腫れ
目の周りの赤みとともに、目やにや目の周りの腫れがある場合は要注意です。
◆注意が必要な目やに
目やにの色が茶色や黒の場合、目の中に入り込んだ汚れや古くなったまぶたの細胞が主成分で、正常な目やになので心配はありません。
しかし、黄色、緑色の目やにの場合、目やにの量が非常に多い場合は、細菌に感染している疑いがあり、すぐに治療をする必要があります。
細菌感染を放置すると角膜が溶けてしまうこともあるため、早期に動物病院を受診してください。
◆涙が止まらない
目やにの色が茶色でも、涙が止まらないような場合には、獣医師さんに相談することをおすすめします。
まとめ
犬の目の周りが赤くなることは、比較的よくあることです。原因としては、涙やけのほか、アレルギーや皮膚病、目の病気やケガなどが考えられます。
目やまぶたの病気は、悪化すると、化膿して目が開かなくなる恐れもあります。また、病気に気づかずに失明してしまうと、視力を取り戻すことはできません。
目の周りが赤い状態が続くようなら、早めに動物病院を受診して、原因を特定し、適切な治療を受けることが一番です。
日頃から愛犬の目をよく観察して、目の周りの赤みのほか、目やにの色や、目の周りの腫れなどについても、注意してあげてくださいね。
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