1.犬が血を吐く原因
1-1.口の中の異常
1-2.消化器系の炎症や異常
1-3.呼吸器系の異常
1-4.止血異常
1-5.フィラリア症
1-6.ストレス
1-7.誤飲や中毒
1-8.その他の原因
2.犬の吐血の色の種類
2-1.ピンク
2-2.黒
2-3.茶色
2-4.鮮血
3.犬が血を吐いたらまずすること
3-1.血の色や内容物を確認
3-2.絶食をさせる
3-3.呼吸の変化がないか注意
3-4.動物病院に連れて行く
犬が血を吐く原因
人間も病気などが原因で吐血の症状が起こることがありますよね。犬も同様に病気などの症状の一つとしてそれが現れる場合があります。しかし、他にも考えられる原因はさまざまあり、一概に言い切れるものではありません。ただ、その中でも代表的なものを紹介していきますので、しっかりチェックしていきましょう。
◆口の中の異常
口の中に異常がある場合、ワンちゃんが吐血することがあります。
口内の粘膜や歯茎、舌からの出血が、よだれに混ざって口から吐き出されるのです。
また、歯周病が重症化した場合にも、口腔内の血液が口から出ることで、吐血したように見えるケースがあります。
◆消化器系の炎症や異常
食道や十二指腸に代表される消化管、胃腸(胃・小腸・大腸)などに炎症が起こると、粘膜から出血してそれが吐血に繋がる場合があります。また、胃潰瘍・消化器系の腫瘍によっても、吐血の症状がみられることがあるでしょう。
胃腸炎などが起こると、表面の粘膜がもろくなり傷つきやすくなります。これによって少量の出血を伴う場合があるのです。下痢に混じった血便が見られることもあるでしょう。
嘔吐物が少しピンクに見える様な少量の血の塊が点々としている程度であれば、そこまで問題にはならないことが多いですが、胃潰瘍などの重度なケースとなると出血量が増えて、吐物のほとんどが鮮血になります。貧血の症状を併発する可能性も考えられるでしょう。
また、胃がん・食道がんなどいずれかの消化器に癌や腫瘍が発生した場合も、吐物に血が混じることがあります。腫瘍の種類や大きさによって出血量は違いますが、突然の大量出血や、一派的な治療法に反応しない持続的な出血を伴うケースがあるので覚えておきましょう。
◆呼吸器系の異常
喉・鼻などの呼吸器に異常がある場合、犬が吐血するケースに繋がります。重度の鼻炎や鼻腔内腫瘍があると、血が喉から逆流して血を吐く場合があるのです。
また、重度の心臓病が原因となって、肺からの出血を起こすこともあるようです。心臓疾患による肺水腫で重篤化すると、血の混じった泡が出るようになります。
ちなみに、肺や気管支からの出血では、吐血ではなく喀血になるため区別して理解しておきましょう。
呼吸器からの出血は生死に関わる問題です。どれだけ早急に対応できるかが、生死を分けるといっても過言ではないということを頭に入れておきましょう。早期発見のためにも、異常を感じたらすぐに動物病院を受診してください。
◆止血異常
止血に関わる血小板という物質が自分の抗体によって異物と認識され、消化器だけでなくさまざまな臓器から出血が起こり、吐血に繋がるケースがあります。
非常に激しい症状が起こるため、大量に吐血する可能性があるでしょう。
◆フィラリア症
蚊を介して、犬の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫が起こす病気をフィラリア症といいます。フィラリアとは、成虫になると30cmにもなる糸状の寄生虫で、犬だけでなく猫もかかる病気です。
フィラリアが寄生することで、血液の流れが悪くなるためさまざまな障害が出現し、放置すれば死に至ることもなる大変危険な病気なのです。
主な症状は、咳・元気減退・呼吸困難・食欲不振・腹水貯留・血尿などですが、フィラリアが肺動脈に寄生することで、吐血に至る場合があります。
対処法として、錠剤や注射などのフィラリア予防薬があるので、毎年必ず獣医師より処方してもうらことをおすすめします。
◆ストレス
ストレスが原因で内分泌系に異常を起こしたり、神経系の異常が起こったことで、内臓から出血する場合があります。また、ストレスで自律神経が乱れると胃腸に症状が現れて、嘔吐しやすくもなるようです。ストレスが続くと胃潰瘍を発症して吐血に至ります。
運動不足・環境の変化・飼い主さんとのコミュニケーション不足など、犬が感じるストレスの原因はさまざまです。日頃から積極的にスキンシップをはかり、愛犬がストレスを感じていないか常に様子をみるようにしましょう。
ストレスの原因を早急に判断し、それを可能な限り取り除いてあげることが大切です。
◆誤飲や中毒
固く尖ったジャーキーなどのペット用おやつや、食べ物以外のオモチャ・衣類・鋭利な串などの異物誤飲も、吐血の原因となりえます。この場合、物理的に体内の粘膜に刺激が加わることで、出血が起きてしまうのです。
直前まで元気で食欲もある状態だったのに、何かを食べた直後に出血が起こった場合は注意が必要でしょう。
また、チョコレート・玉ねぎなどといった犬にとっての中毒物質の誤飲によっても、吐血する可能性があります。
愛犬の行動を常に観察しておくことや、誤飲の原因となるものを手の届く所に置かないよう配慮することが重要です。
◆その他の原因
腎臓機能が低下したり、熱中症による急激な体温の上昇で体調に異常が起こることで、吐血が起こる場合もあります。梅雨時なども、湿度の高さから胃腸炎を発症する子が増えるので、季節によっても体調管理には配慮が必要となるでしょう。
またシニア犬では、老化によって体の免疫バランスが崩れやすくなり、それが原因で吐血することもあるのです。臓器系にも異常が生じやすくなるため、出血しやすい状態となるでしょう。
愛犬の体調管理をしっかり継続することはもちろん、老化のサインにも早めに気付いてあげることが大切ですね。
犬の吐血の色の種類
吐血した血の色は、出血箇所や出血した時間によって違います。一つの目安として覚えておきましょう。
◆ピンク
吐血した血液がピンクっぽい、またピンク色が混じっている状況の場合は、赤や茶色に比べると出血量が少ないと考えられます。食道などの炎症が原因で吐血している可能性があるでしょう。
◆黒
胃や十二指腸からの出血の場合、吐血した血液は黒っぽい色をしています。濃い赤色や黒茶色であれば、粘膜から出血している可能性が考えられるでしょう。
◆茶色
吐血した血液が茶色っぽい場合は、出血から時間が経っていることが予想されます。ただし茶色の場合、ドッグフードの色が混じっている可能性があるので、見極めが難しいケースでもあるといえるでしょう。
◆鮮血
血液が鮮血である場合は、出血して間もない状況である可能性が高いです。
犬が血を吐いたらまずすること
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愛犬が吐血してしまったら、飼い主さんは慌てふためくと思います。しかし、適切な対処法をとることが大切なのです。いくつか対処法を紹介していきますので、しっかり確認しておきましょう。
◆血の色や内容物を確認
前述したように、吐血した血液の色によって、出血箇所や時間帯を予想することができます。獣医師に相談する際の診断の目安ともなりますので、写真を撮っておいたり、きちんと覚えておくようにしましょう。
また、口の中に異物が刺さっている場合は、応急処置として、その対象を取り除き圧迫止血をする必要があります。出血の原因物質を取り除くことで、吐血が落ち着いたり止まったりするケースがあるのです。
ただし、無理矢理物を取り出そうとしたり、吐かせようとすると、口腔内を余計に傷つけ、更なる出血に繋がる場合もあるので無理は禁物です。
異物による吐血の場合、症状が急性に起こる可能性がありますので、早急に動物病院を受診するようにしてください。
◆絶食をさせる
出血がそれほど酷くなければ、粘膜が傷ついているだけの状態であったり、1~2回程度の嘔吐があっても元気で大丈夫そうであれば、軽度の胃腸炎である可能性があります。
この場合、数時間から1日程度を目安に絶食をすることで、吐血量が減少するかもしれません。
嘔吐が止まらずに元気もない状態のときは、早急に対処が必要な可能性があるので病院を受診しましょう。
◆呼吸の変化がないか注意
鼻・肺に原因がある場合、吐血の他にも呼吸が苦しいという症状がみられることが多いです。鼻の中や肺の中からの出血を止めることは困難ですし、症状も重いことが多いので、早めに獣医師に相談するようにしましょう。
◆動物病院に連れて行く
いずれの場合も、吐血しているということは既に身体に何かしらの異常が生じているというサインです。
軽度の場合もありますが、比較的重症度の高いケースも少なくないので、一刻も早い受診がすすめられます。
腫瘍が原因の場合は、嘔吐を繰り返したり、吐血が持続的に起こることも多いので、自宅での応急処置で吐血を止めることは難しいです。
手遅れの事態を招かないためにも、異常を感じた場合は早めに動物病院で診てもらいましょう。普段との違いが分かりやすいように、かかりつけの獣医師さんの存在をもっておくこともおすすめです。
まとめ
犬の吐血は犬種に限らず、さまざまな原因によって起こり得る症状です。
愛犬が吐血した場合は、応急処置を施しつつも早急に動物病院へ連れていくことが大切なのです。
人間同様に、吐血している状態が重症のレベルにある可能性が考えられます。
ワンちゃんは言葉を話すことができないため、体調が悪くても症状を訴えることはできません。重症化によって食欲不振や元気消失に陥ることで、飼い主さんがようやく気付くケースが残念ながらほとんどなのです。
しかし、愛犬は表情や行動でサインを出しているかもしれません。些細な異常に気付くためにも、日頃からスキンシップを図り、常に愛犬の様子を観察することが重要ですね。
常に愛情を注いで健康管理を怠らず、万が一に適切な行動がとれるような、信頼できる飼い主さんを目指して尽力していきましょう。
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