1.犬が筋肉痛になる原因
2.犬の筋肉痛の症状
2-1.歩き方に違和感がある
2-2.同じ場所を舐める
2-3.足腰が震える
2-4.散歩に行きたがらない
3.犬の筋肉痛の予防法
3-1.ウォーミングアップの方法と注意点
4.犬が筋肉痛になってしまった場合
4-1.患部を冷やす
4-2.安静にさせる
犬が筋肉痛になる原因
結果からいうと、犬も人間と一緒で筋肉痛になります。
しかし実は現在の所、犬の筋肉痛について医学的な解明はされていないそうです。
人間の場合、激しく使った筋肉に疲労物質とされる乳酸が溜まり引き起こすといわれてきましたが、最近では乳酸がエネルギーとして利用されることが研究で分かってきたのです。
そのため筋肉痛の原因は、激しい運動によって筋肉が損傷して炎症を起こすことで、痛みを感じるのではないか、という説が有力だといわれています。
長距離を歩く、自転車を長時間こぎ続けるなど、人間も普段と違う運動をすると筋肉痛で足などが痛くなりますよね。急激な運動量の増加によって、筋肉はヘトヘトに疲れてしまいます。
犬も同じような状況で、筋肉痛になり得るのです。
例えば、普段は家の近所を散歩したり、室内を歩く程度の運動量である愛犬が、ドッグランなどの自由に走り回れる場所で、楽しさから疲れを忘れて走り続けたり、テンションの高いままボール遊びを延々と続けるなどすると、知らぬ間に筋肉を普段以上に使い炎症が起きてしまうというわけですね。
特に子犬や若い成犬の個体は、自分の体力や筋肉の限界を知りません。オーバーヒートしたまま運動を続けた結果、筋肉痛を引き起こしてしまうことも珍しくないでしょう。
- 散歩の距離が多い
- ドッグランで沢山走った
- テンションが高いまま遊び/運動を続ける
犬の筋肉痛の症状
筋肉痛のサインとして様々な症状がみられます。飼い主さんがそのサインを見逃さないためにも、どのような症状を起こるのかをしっかり覚えておきましょう。
◆歩き方に違和感がある
足の動きがカクカクしている、びっこを引いて歩いているなど、足を引きずるような状態で歩いている場合、それは筋肉痛のサインである可能性があります。
人間も筋肉痛の痛みが強い場合、歩いたり階段を上るのが辛く感じますよね。犬もそれと同じ状態であると考えましょう。
◆同じ場所を舐める
犬は怪我をした患部や痛みを感じる部位を、舐めて治そうとする性質をもっています。
筋肉痛の場合も舐めて治そうとすることが考えられるため、同じ場所を舐める様子が見られるケースがあるのです。
普段とは違う痛みを感じている可能性が高いので、ドッグランで遊んだり、アウトドアを楽しんだ翌日などは、愛犬の様子をしっかり観察してみましょう。
◆足腰が震える
若い成犬が運動のしすぎで筋肉痛になる場合は、筋肉を鍛えることで筋肉痛の頻度は減るでしょう。しかし老犬となると、無理な運動をしなくても筋力が低下してくるため、身体が震えることがあります。
おすわりをするだけでも足腰がフラつき、プルプルと震えだす様子がみられるようになるでしょう。筋肉痛になりやすい身体になっていくということですね。
また、体温を上げるための筋肉量も減ってしまうため、体温調節が苦手となります。寒い時期や冷房の効いている室内では、低体温になって震える場合もあるので、その点についても注意してあげてください。
◆散歩に行きたがらない
筋肉痛がひどい場合は、寝転んだままの状態が続いたり、散歩にも行きたがらない様子が見られることもあります。
愛犬がいつもより元気がなく大人しくしていたり、散歩の時間になっても横になって同じ部位を舐め続けるような仕草をしているのであれば、筋肉痛になっている可能性が考えられるでしょう。
犬の筋肉痛の予防法
愛犬にいきなりダッシュをさせたり、初めから遠い所にボールを投げて持ってこい遊びをしたりすると、急激な運動によって筋肉に負担がかかってしまいます。
人間のスポーツ選手でも怪我を防止するために、運動を開始する前にはウォーミングアップやストレッチ、軽い運動などをしますよね。
犬も同様に、ウォーミングアップが筋肉痛の予防対策として効果的なのです。そのやり方を解説していきますので、参考にしてみてください。
◆ウォーミングアップの方法と注意点
まずは愛犬にリードをつけたまま、飼い主さんと一緒に軽く遊ぶことから始めましょう。ボールを使う場合は、近くから投げるようにしてください。
筋肉に負担を掛けないように心がけることが、大事なポイントです。
前述したように、子犬や若い成犬は自分の限界が分かりません。飼い主さんが配慮して、間に休憩を入れながら運動をさせるようにしましょう。
シニア犬の場合は、筋力が落ちており筋肉痛にもなりすいです。関節炎など他の病気に繋がる可能性もあるので、特に注意して適度な運動をさせるよう気を付けてくださいね。無理強いは決してせず、柔らかい土の上やマットを敷いた室内を歩かせるなどして、寝たきり防止のためにも適切な運動量を得られるよう配慮しましょう。
また、運動を終える時も、急に止めさせるのは禁物です。ウォーミングアップと同じように、ゆっくりと歩かせてから終了するように習慣づけるのがおすすめです。
犬が筋肉痛になってしまった場合
筋肉痛は、無理をしなければ2~3日程度で自然と治るものです。
筋肉痛が疑われる症状がみられる場合は、以下の対処法を実施してみましょう。
◆患部を冷やす
筋肉が炎症を起こすことで筋肉痛が引き起こされるため、まずは炎症を抑えるために冷やすことが大切です。そしてその後、温めてマッサージを行いましょう。
冷やしすぎてもいけないので、保冷剤などをタオルで包んで患部に当てるなど、冷えすぎないように工夫することも忘れないでください。
冷やした後は温めたタオルを患部に当てて、優しくマッサージしたり、足だけをお湯に浸ける足湯などをして温めてあげます。
マッサージ方法は後述しますので、そちらも参考にしてみてください。
◆安静にさせる
筋肉痛で最も重要な治療法といえば、やはり安静にすることです。筋肉痛は、筋肉が炎症を起こしている状態であるため、炎症を鎮めることが重要となります。
安静にすることが、炎症を鎮めるのに効果的なため、飼い主さんがしっかりと愛犬の行動を制限しつつケアをすることが大切です。決して無理に動かしたりしないように注意してくださいね。
尚、遊びたいさかりの子犬などの場合、安静にすることが難問でもあります。この場合は、興味を引くおもちゃなどを一旦見えない場所に隠したり、一緒に横になって休んでみるなどして、愛犬がリラックスできる状態を作るよう工夫してみてください。
犬の筋肉痛におすすめのマッサージ
筋肉痛を軽減したり、早く回復させるためには、前述した対処法を試すことがすすめられます。
まずは患部を冷やす、そして温めてからマッサージするという手順を忘れないでください。
熱がある状態でマッサージをしてしまうと、炎症を悪化させることとなってしまい意味がありません。必ず手順通りに行うことを徹底しましょう。
◆ドッグマッサージの準備
まずは温めた濡れタオルを用意しましょう。そのタオルを患部に当てて、マッサージする場所を温めます。
温めることで血行が良くなり、筋肉痛の症状が和らぐのです。マッサージを行う飼い主さんの手のひらも、温めておくと効果的ですよ。
実際のマッサージ時間は5~10分程度で十分です。個体や愛犬のサイズにもよりますが、最長でも15分程度に留めておくとよいでしょう。あまり長く行うと、愛犬が飽きたり嫌がったりするので、ストレスを与えないためにも無理強いはしないでください。
臆病な性格の子は、初めてマッサージをする際にビックリしてしまう場合もあります。「マッサージするよ」などと優しく声を掛けてから行い、愛犬の心の準備もすることを忘れないでくださいね。
マッサージは信頼関係を培ったり、コミュニケーションをとる方法としてとても良い行為です。飼い主さんと愛犬の両者がリラックスできる時間になるよう、ゆったりとした気持ちで行うよう心掛けましょう。
◆ドッグマッサージのやり方
まず始めに、手のひら全体を使い、毛の流れに沿って優しく撫でてみましょう。愛犬が気にすることなく、身体の力を抜いた状態でいるならば続けてOKです。
その力加減のまま、足のつま先の方に向かってマッサージしていきます。
背中から尻尾の先に向けて、首から肩回りへ、というようにゆっくりとマッサージしていきましょう。
筋肉痛の時に限らず、普段から少しの時間マッサージをすることで、身体の異変に飼い主さんが気付けるようになる場合もあります。曜日を決めるなどして、習慣づけておくこともおすすめですよ。
もちろん無理に行ってはマッサージ機能の効果を得られませんし、愛犬が体を触られるのを嫌がるようになる心配もあるので、愛犬の様子や体調を見ながら行うようにしてください。
マッサージを始めた際に体を強張らせたり、嫌がる仕草をした場合は、一旦手を止めてリラックスさせたり、撫でながら徐々に慣れさせるようにしましょう。
ペットマッサージの方法には様々あり、プロの方もいれば、ネット上で方法を紹介している記事も沢山あります。上手にできない場合はプロにお願いするのも一つの方法ですし、様々な方法を調べて試すことで、愛犬にピッタリのマッサージ方法を探すのもよいでしょう。
コミュニケーションの一環としても、是非、試してみてくださいね。
まとめ
犬の筋肉痛は、犬種に限らず起こる可能性のある症状です。予防法としてウォーミングアップをすること、急激な運動をいきなりさせないことを徹底してくださいね。万が一筋肉痛になってしまった場合は、対処方法を試してみましょう。
尚、足を引きずるなどの状態は、筋肉痛以外が原因である可能性もあります。怪我や関節痛、他の病気が要因になっているケースも実際にあるため、数日様子をみても症状が続いたり、他にも気になる症状や異常な点が見られる場合は、動物病院で診察を受けるようにしてくださいね。日頃から健康診断などで通院し、かかりつけの獣医師をもっておくこともおすすめですよ。
筋肉痛の症状と合わせて、食事量に変化はないか、排泄物に異常はないか、といった愛犬の様子についても詳しく観察しておくことが大切です。
筋肉痛が辛いのは、犬も人間も一緒です。その痛みを回避できるように、必要な配慮を怠らず、愛犬と一緒に運動や遊びを楽しんでいきましょう。
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