1.サルーキってどんな犬?
1-1.サルーキの歴史
1-2.サルーキの特徴
1-3.サルーキの性格
1-4.サルーキの毛色
1-5.サルーキの寿命
4.サルーキと似ている犬種
4-1.ボルゾイ
4-2.アフガン・ハウンド
4-3.ウィペット
4-4.スルーギ
サルーキってどんな犬?
スリムで無駄のないボディラインをもち、エレガントという言葉がぴったりの美しい犬種サルーキ(Saluki)。
実は、世界で最も古い歴史をもつ犬種の一つだと考えられており、古代から人々に愛された姿は現在も尚受け継がれています。
その魅力は外見に限らず、知的で落ち着きのある性格をしていることから、全てにおいて洗練度の高い犬種だといえるでしょう。
まずは、サルーキがもつ深い歴史から紹介していきます。
◆サルーキの歴史
サルーキの原産国は中東で、起源は現在のイラク南部にあったシュメール文化の時代まで遡るともいわれています。
紀元前6000年以上前の遺跡からは、サルーキの特徴そのままの犬の彫刻が見つかっており、紀元前2100年頃にはファラオの墓からサルーキのミイラが発掘されています。王族の犬だったため、一緒に埋葬されていたのでしょう。
このように古代エジプトの墓からサルーキの存在証拠が発見されて以来、人に飼われた最古の犬種と考えられるようになったそうです。
尚、サルーキは名誉の象徴とされており、中東の伝統のために売買されることもなく、大切にされてきました。犬が不浄とされるイスラムにおいても、サルーキだけは特別で、神に許され、信者と一緒に暮らすことができたといわれています。
その後サルーキは、アラビアの遊牧民と共に狩りをしながら旅をして各地で子孫を残します。
2004年にはアメリカの研究によるDNA分析で、サルーキは最も狼に近い犬と発表され、その後の別の研究で、サルーキと遺伝的に共通点を持つ古い犬種が、中東・ヨーロッパ・アフリカを中心に多く存在していることが分かります。
サルーキと交雑して独自の発展を遂げた犬達もいますが、その地域の暮らしに適応しながら同犬種と交配され、純血として生き続けてきたサルーキもいたようです。数千年の長い時間を掛けて、サルーキは同じ犬種の中でも地域的特色のあるバリエーションをもつこととなったのです。
1923年には最初の犬種標準書(スタンダード)が作られて、イギリスケネルクラブに登録されます。そして1929年には、アメリカンケネルクラブにも登録されることとなったそうです。
◆サルーキの特徴
サルーキの外見はとても特徴的です。体高より体長がやや長く、すらりとした首に長いマズル、小さな頭部をもつ垂れ耳の大型犬で、無駄のない骨格に引き締まった身体でしなやかな筋肉をもっています。細く長い足で優雅な歩様を見せることから、高貴な印象を受けるでしょう。
標準とされる体高は58~71cm、体重は14~25kgとされています。オスに比べて、メスは少し小さいこととされているようです。
スリムなボディラインは、無駄な贅肉や俊敏な動きを阻害する骨量・筋肉が排除されたもので、長く力強い足は、瞬発力・持久力に長けています。足先の指は爪を支点とし、テコの原理で強力な推進力を生み出せるよう、骨が長く丸い足先をしていません。
サルーキは、砂漠の鹿であるガゼルを狩るための狩猟犬、またサイト(視覚)ハウンドとして遊牧民として暮らしてきたために、非常に足が速いことでも知られています。
ちなみにサイトハウンドというのは、視覚を使って遠くの獲物を追跡する猟犬グループのことを指し、サルーキはこれに分類されているのです。
ドッグレースに使われるグレーハウンドよりも更に足が速いといわれており、時速70km以上のスピードで走ることができるそうですよ。
ガゼル・ハウンド、またはペルシアン・グレーハウンドといった、別名で呼ばれることもあります。
◆サルーキの性格
サルーキは前述したように、知的で落ち着きのある性格をしています。狩猟犬として活躍していたことから、飼い主さんには忠誠心が強く従順であり、気高く威厳のある犬種です。
その反面、見知らぬ他人には神経質な面や警戒心が働き、あまり感情を表に出さない傾向があるでしょう。
普段はとても穏やかで温厚なのですが、遊びや運動の時間となると、眠っていた狩猟本能が刺激されて活発となる個体が平均的に多いようです。
◆サルーキの毛色
サルーキの被毛には、スムースとフェザードの2種類があります。フェザードは耳やしっぽなどに飾り毛があるタイプで、スムースにはそれがありません。
寒暖差・強烈な紫外線から体を守るため、早く走る際の風抵抗を少なくするために、体に張り付くようにシングルコートの被毛が生えています。
滑かで柔らかい毛質は短く、タイプによっては足・太腿の後ろにフェザリング(長い羽毛上の飾り毛)がみられます。成犬の場合、喉の部分にもみられることがあるそうです。
毛色にはあらゆる色が認められているのですが、地域差・環境の影響で毛質・毛色に様々なタイプが現存するのも魅力の一つだといえるでしょう。
例えば、ホワイト・クリーム・フォーン(淡黄色)・ゴールド・レッド(赤茶)・トライカラー(ホワイト/ブラック/タン)・グリズル(ブラック/グレー/レッド)・ブラック&タンなどがあり、その中間色も認められています。ただし、ブリンドルは好ましくないとされているそうです。
◆サルーキの寿命
サルーキの平均寿命は、12~14歳とされています。大型犬の中でも平均的な寿命だといえるでしょう。しかしもちろん個体差はありますし、15歳以上まで生きる子も少なくありません。17歳まで元気に暮らしている子もいるようなので、比較的長生きできる犬種だといえるのではないでしょうか。
サルーキのかかりやすい病気
歴史的にも長い時間をかけて育種されてきた犬種だけに、目立つ遺伝病が比較的少ないといわれるサルーキ。
しかしその繊細な性質が、病気の原因となる場合があるのです。
環境の変化(留守番や来客の増加など)、運動・睡眠不足、フードの変更などで、消化不良から嘔吐・下痢を起こしたり、食欲不振になる場合があります。このようなストレスは、消化器以外にもホルモンに影響し、皮膚疾患の原因に繋がることもあるのです。
子犬の頃から色々な経験をさせて、変化に強い犬に育てることが予防法の一つだといえるでしょう。
また、手足が大変細いことから、筋肉のついていない若犬の頃や老犬となってからは、骨折のリスクも高まります。跳躍力があるため、高所からの飛び降りや、走らせる際の足場や障害物に十分注意してくださいね。
他にも、耳の中が蒸れて起こる「耳ダニ」、脂肪が少ないために皮膚が硬くなる「タコ」、心臓の筋肉肥大で心臓の動きが阻害され、不整脈が見られる「肥大性心筋症」にも気を付けましょう。
気になる症状がある場合は、早めに動物病院を受診し獣医師に相談してください。
サルーキはどこで飼える?
サルーキは大型犬であり、運動量も必要とする犬種です。飼育環境としては、室内でも十分な広さが必要となるでしょう。
加齢に伴って筋肉量が落ちると、滑りやすい床の上では重心を安定させることが難しくなり、関節などに負担をかけることになります。床には滑りにくい材質のものを選んだり、マットを敷くなどして配慮してください。
寝床にはクッション性の高い敷物を敷くなどして、肘・関節部の床ずれ予防をすることをおすすめします。
また、室内で入ってほしくない場所には、頑丈な仕切りを設置しましょう。短めのものだと、すぐに超えてしまいます。愛犬の体格にあったアイテムを使用して、安全を守るようにしてくださいね。
さらサルーキは、短毛種で体脂肪も薄いため、基本の変化や寒さが苦手な種類のワンちゃんです。室内では温度調節に気を配り、冬の散歩の際はしっかりペット用服やアウターなどで防寒するようにしましょう。
ちなみに小動物を飼っている家庭では、別室での飼育がすすめられます。狩猟犬の本能から、獲物と見立てて事故に発展する危険性が考えられるのです。他の犬種にもいえることですが、この点には十分注意しましょう。
サルーキと似ている犬種
◆ボルゾイ
スラっと伸びた足にシャープな体つきをしているボルゾイは、サルーキととてもよく似ている犬種です。
いずれもサイトハウンドとして活躍していたという点も一緒ですね。
しかしサルーキが中東原産なのに対して、ボルゾイはロシア原産の犬種です。
寒い地域で誕生したボルゾイは、寒さに強いダブルコートの被毛を持っていますが、暑い地域で誕生したサルーキは前述したようにシングルコートの被毛をもっています。
📌【おすすめ記事】カッコいい大型犬「ボルゾイ」の魅力 飼い方 お値段は?
◆アフガン・ハウンド
アフガニスタン原産のアフガン・ハウンドも、サルーキやボルゾイ同様のサイトハウンドです。
背格好は似ているかもしれませんが、最も違うのは被毛の豊富さでしょう。全身に長毛も纏っており、寒さを凌ぐ機能を持っています。
マイペースで頑固な一面があるので、そういった気質を理解した上でしつけをすることが重要です。
📌【おすすめ記事】世界最古の犬種!アフガンハウンドの性格や特徴は?
◆ウィペット
こちらもサイトハウンドに分類される犬種ですが、中型犬でイギリスが原産となります。
顔立ちに似た感じを受けるかもしれませんが、まず体の大きさに違いがありますよね。
被毛は短いスムースコートで、トレーニングに順応しやすいためしつけはしやすく、初心者さんにも向いている犬種だといえるでしょう。
さらに小型犬であるイタリアングレーハウンドとも、よく似ています。
📌【おすすめ記事】ウィペットってどんな犬?性格、特徴、値段は?
◆スルーギ
サルーキよりもやや大きい大型犬のスルーギは、サルーキと近い血縁関係にあることがDNA検査から判明しています。
原産はモロッコで、サイトハウンドとして活躍していました。日本では飼育登録されていない(2017年時点)ため、とても珍しい犬種だといえるでしょう。気になる方は犬図鑑を開いてみたり、ネット上で写真や動画を探してみてくださいね。
サルーキの飼い方
健康的な毎日を過ごし長生きするためにも、適切な飼育方法を知っておく必要がありますよね。
以下のポイントを、しっかり押さえておきましょう。
◆食事
主食には、総合栄養食であるドッグフードを与えましょう。フードのパッケージ裏面に記載されていますので、しっかり確認してください。
また、フードは目的と年齢にあったものを選ぶことがより良い食生活を送るコツの一つです。
犬は成長や年齢ごとに必要とされる栄養素の量が異なってきます。そのため、年齢に応じたフードをライフステージごとに選んでいかなくてはいけません。
手作り食で栄養バランスを保つのは簡単ではありませんので、毎日の食事としては総合栄養食を与え、時々手作り食を与えたり、サプリメントを利用するなどして、栄養素を補うようにしていきましょう。
◆散歩
非常に多くの運動量を必要するサルーキには、並外れた運動能力を存分に発揮させ、満足させることが重要です。
散歩は1日2回、それぞれ30分~1時間ほど行ってください。大型犬のため力も強いです。上手に散歩ができるようにリードウォークはしつけとしてしっかり訓練し覚えさせておきましょう。
定期的にドッグランなどで、自由に走らせることもすすめられます。
尚、ドッグランは大小様々な犬種が集まる場所です。サルーキに限ったことではありませんが、サイズ差から悪気はなくとも相手の犬に怪我をさせてしまう可能性も考えられるのです。例えば小型犬(ポメラニアン、トイ・プードルなど)と衝突してトラブルに発展するなど、このようなことが起こり得ます。
施設によっては大型犬専用エリアなどもありますので、そういった場所の方が安心して自由に遊べるかもしれませんね。
◆お手入れ方法
サルーキはシングルコートですが、長毛でサイズも大きいことから抜け毛はあるでしょう。
毛質は細かく絡みやすいため、定期的なシャンプーはもちろんですが、最低でも週に1~2回はブラッシングやコーミングを行うことが大切です。
基本的にトリミングは不要ですが、長い飾り毛部分には、ピンブラシやコームを使用してお手入れしてくださいね。
どんな人が向いている?
紹介してきたようにサルーキは、運動能力が高く、存分に運動量を確保する必要のある犬種です。散歩などの運動時間をきちんととれることが、飼い主さんに求められるでしょう。
神経質な性格に育たないよう上手にコミュニケーションをとれれば、学習能力は高いのでしつけは比較的容易だといえます。
愛犬の性格にしっかりと向き合い、しつけと運動に十分な時間を費やせる方が飼い主として向いているといえるでしょう。
また、金銭的な余裕も現実的な問題として重要となります。
2022年以降ペットブームも続いていますので、一般的にも50万円近くまたそれ以上は生態価格にかかると考えておくべきでしょう。もちろん個体の月齢や毛色、ブリーダーやショップによっても価格は違いますので、事前にチェックしておくことをおすすめします。
サルーキのブリーダーはそこまで多くはありませんが、北は青森県(武田ひろみブリーダー)から南は福岡県(豊福由起子ブリーダー)まで。関東から関西間でも埼玉県(石川明美ブリーダー/藤本孝一ブリーダー)・三重県(濱町和代ブリーダー)・和歌山県(和田成示ブリーダー)などといくつか点在しています。
お住いの件にブリーダーがいなくても、HPの掲載情報などをチェックし、長野県などの隣県であれば埼玉まで移動するなどして、未来の愛犬のために足を運んで見学してみてくださいね。
まとめ
高貴な気品漂う犬種の種類としても代表格だといえるサルーキ。
家庭では優しく落ち着いた家族の一員となり、大好きな遊びの時間は高い運動能力を披露してくれる素晴らしいパートナーとなるでしょう。
実際に目にする機会が中々ない方は、ネットの特集記事などでサルーキのことを沢山調べてみてください。
魅力溢れる美しいサルーキと一緒に毎日を過ごせば、人生がより輝かしいものとなること間違いなしです。
しっかり運動としつけが出来る方は、是非迎え入れを検討してみてください。
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