1.犬の緑内障ってどんな病気?
1-1.眼圧が高くなるとは?
1-2.犬の緑内障の症状
1-3.犬の緑内障の原因
1-4.緑内障を引き起こす疾患
3.犬の緑内障の治療法・治療費
3-1.緑内障の診断方法
3-2.内科的治療
3-3.外科的治療
3-4.犬の緑内障の治療にかかる費用相場
犬の緑内障ってどんな病気?
犬の眼球は、栄養供給をする房水(ぼうすい)という液体で満たされています。
通常、房水は作られた分だけ隅角(ぐうかく)という場所から排水されるため、目の中の房水量は常に一定に保たれています。
しかし、何らかの原因で房水がうまく排出されず、どんどん目の中に溜まり、眼圧が上がってしまう状態を緑内障といいます。
◆眼圧が高くなるとは?
通常、一定量に保たれている房水が何らかの原因で排出されないと、どんどん目の中に溜まっていきます。
その結果、眼球内に房水が溜まりすぎ、眼球が肥大してしまいます。
このメカニズムを「眼圧の上昇」と呼びます。
眼圧が上昇すると、眼球が腫れたり視覚障害や充血、痛みなどの症状が引き起こされます。
◆犬の緑内障の症状
緑内障で見られる症状は、主に以下の通りです。
◎目が大きく見える
◎目が白っぽく濁る
◎瞳孔が開く
◎充血
◎視覚障害
◎目をこする
◎眩しそうにまばたきをする
また、痛みや視覚障害から食欲不振や元気がない、物にぶつかりやすくなるといった症状が見られることもあります。初期は飼い主さんが気付くことは難しく目に異常が見られて初めて気付くことが多いので、おかしいと思ったら緑内障を疑って早めに病院を受診しましょう。
◆犬の緑内障の原因
犬の緑内障の原因は、主に先天緑内障、原発性緑内障、続発性緑内障の3種類です。
ここでは、3つの原因を詳しく紹介します。
・先天緑内障
先手緑内障は、生まれつきの隅角以上が原因で、生後3~6カ月で眼圧が上昇します。
先天緑内障は、犬に見られることはまれです。
・原発性緑内障
原発性緑内障は、遺伝が疑われますが、詳しい原因は分かっていません。
両目どちらも発症することがありますが、片目のみまたは遅れてもう片方の眼も発症するケースもあります。
・続発性緑内障
続発性緑内障とは、他の眼疾患が原因で二次的に引き起こされた疾患です。
ブドウ膜炎や水晶体脱臼、腫瘍なども原因になります。
◆緑内障を引き起こす疾患
緑内障を引き起こす主な眼疾患は、以下の通りです。
●ブドウ膜炎
●白内障
●水晶体脱臼
●網膜剥離
●腫瘍
など
緑内障にかかりやすい犬種
原発性緑内障は、遺伝が関係していると考えられており、かかりやすい犬種としては以下が該当します。
◎アメリカン・コッカー・スパニエル
◎シー・ズー
◎ビーグル
◎ボストン・テリア
など
どの犬種でも緑内障を発症しますが、特に上記の犬種は発症率が高いとされています。
原発性緑内障は、6~7歳で発症するケースが多いとされています。
犬の緑内障の治療法・治療費
犬の緑内障は、一度発症すると生涯に渡り進行していき、完治することはありません。
そのため、一生涯治療を継続し続ける必要があります。
治療としては、進行の制御や視覚温存を目的に行われ、内科的治療と外科的治療に分けられます。
◆緑内障の診断方法
緑内障は、以下のような診察や検査で判断します。
●視診
●触診
●スリットランプ検査
●眼圧検査
●眼底検査
●超音波検査
など
緑内障も種類によって行われる検査が異なります。
他の疾患と併発の可能性がある場合は、眼科以外にも検査を行う場合があります。
◆内科的治療
内科的治療では、点眼を中心に視覚の回復、眼圧を下げる目的で行います。
点眼以外にも、内服や点滴を使用する場合もあります。
点眼剤は、主に2種類に分類されます。
①房水の生産を制御する
②房水の排出を促進する
◆外科的治療
点眼剤などで眼圧が下がらない場合は、外科的手術を行います。
手術は高度な技術や設備が必要なため、一部の動物病院でしかおこなうことができません。
手術の目的としては、緑内障による痛みの緩和や眼圧を下げることであり、完治させることはできません。
主な緑内障に施す手術は、以下の通りです。
1,視覚の回復が見込める場合や眼圧を下げる
【前房穿刺、前房シャント術、毛様体凝固術】
2,視覚がない場合で痛みを緩和させる
【硝子体内ゲンタマイシン注入術、シリコンインプラント(義眼)挿入術、眼球摘出術】
◆犬の緑内障の治療にかかる費用相場
犬の緑内障は完治することがないため、生涯にわたっての治療が必要です。
治療にかかる費用は、治療法や動物病院によって異なりますが、アニコム損保「家庭どうぶつ2021年」によると、以下の結果となっています。
シー・ズー:127,763円
ボストン・テリア:52,789円
アメリカン・コッカー・スパニエル:178,063円
犬の緑内障の予防方法
犬の緑内障は、根本的な原因が分かっていない為、明確な予防方法はありません。
先天性となると、更に予防は困難です。
そのため、日頃から愛犬の眼の状態をチェックすることが重要です。
上記に挙げたかかりやすい犬種の場合は、特に日々の観察が早期発見に繋がります。
早期発見ができれば、進行を制御することが可能です。
愛犬が目を気にしている、濁りや充血があるなど異常が見られたら、早めに動物病院を受診すると安心です。
また、定期的にかかりつけの病院で健康診断を受けることもおすすめです。
まとめ
犬の緑内障とは、何らかの原因で瞳を満たす房水がうまく排出されず、溜まった結果眼圧が上がった状態です。
緑内障の原因は、先天緑内障、原発性緑内障、続発性緑内障の3種類に分けられます。
治療は眼圧を下げることや緑内障による痛みを緩和させることを目的として行い、点眼剤治療を中心に、場合によっては手術をおこないます。
犬の緑内障は、一度発症したら完治することはありません。
しかし、早期発見すれば進行を遅らせることができます。
大切な愛犬を緑内障から守るには、日頃から瞳に異常がないか観察することが大切です。
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