1.犬に明太子やたらこを与えてはいけない!
1-1.塩分過多の危険
1-2.香辛料による消化不良
1-3.プリン体が多く含まれているため
1-4.アレルギーの恐れ
2.もしも犬が明太子(たらこ)を食べてしまった場合
2-1.嘔吐や下痢が起きないか観察
2-2.症状がある、食べた量が多い場合は動物病院へ
犬に明太子やたらこを与えてはいけない!
ご存知の方も多いと思いますが、明太子とたらこの原料は同じでスケトウダラやマダラの卵巣です。
これらの魚卵を塩漬けしたものをたらこ、唐辛子などの調味液で味付けしたものを明太子といいます。
人間にとっては問題のない食材でも、犬にとっては有害となる食べ物があることは周知の事実ですが、明太子やたらこもこれらの内の一つだといえるでしょう。
愛犬がたらこの塩味の濃さに慣れてしまうと、体調に様々な弊害が出てきてしまうのです。
その理由はなんなのか、まずは問題点となるポイントについて解説していきましょう。
◆塩分過多の危険
人間の場合、推奨されている1日の塩分摂取量は7.5~8g未満ですが、犬の場合は、体重5kgの個体で0.6g未満ととても少ないのです。
たらこや明太子の100gあたりの塩分量は、たらこで4.6g、明太子で5.6gあります。
体重10kgの犬でも約1.2gが塩分の適量であるため、体重の少ないワンちゃんの場合、たらこを少量与えただけで塩分過多となってしまうわけです。
たらこや明太子のように塩分の高い食品を与えすぎると、血液中の塩分(ナトリウム)のバランスをとるために喉が渇いて水をたくさん飲むようになり、水によって血液量が増えると、血液を循環させる心臓に負担がかかってしまいます。
これにより心疾患(心不全などの心臓病)のリスクが高くなってしまうのです。また、体液・尿のナトリウム量のバランスが崩れることで、腎臓病の危険性も考えられます。
塩分は血液・リンパ液・消化液などに含まれ、犬の健康や生命を維持する大切な存在となる成分です。
摂取量が少なすぎても害はあるのですが、犬の場合はドッグフードだけで必要な塩分量が満たされるといわれています。毎日の食事に加えて塩分を与えることは、NG行為だといえるでしょう。
◆香辛料による消化不良
前述したとおり、辛子明太子はたらこを唐辛子などの調味料で漬けたものです。
嗅覚が鋭敏な犬にとっては、この唐辛子の匂いはとても強烈なものとなります。
このため、呼吸困難・気道閉鎖など呼吸器に害を及ぼす可能性が考えられます。
また、唐辛子にはカプサイシンが含まれており、これは犬の胃腸を刺激し、胃腸炎を引き起こすことも多い辛味成分です。
唐辛子の他にも、胡椒・マスタード・わさびなどの辛い香辛料は、犬にとって刺激が強すぎるので絶対に与えないようにしてください。
ちなみに、唐辛子のニオイが苦手なワンちゃんは比較的多いのですが、たらこの場合はそのニオイがないので好んで口に入れようとする子も少なくありません。誤飲・誤食には十分注意し、保管場所・保管方法には特に気を付けてください。
◆プリン体が多く含まれているため
たらこには、魚介類の旨味成分であるプリン体が100g当たり120mgととても多く含まれています。
人間の場合、プリン体を摂取しすぎると、プリン体が変化した尿酸が身体に溜まり痛風の原因になるといわれていますよね。
しかし犬の場合は、プリン体から尿酸に変わった後、尿酸から水に溶けやすいアラントインという物質に変化し、尿から排出されるのです。このため、痛風や結石にはなりにくいといわれています。
ただし、尿路結石は犬にとっても珍しい病気ではありませんし個体差もあるので、絶対にならないとは言い切れないでしょう。
ちなみに、犬種の中には人間と同様に尿酸のまま尿から排出される種類がいます。
それは、ダルメシアンです。ダルメシアンの老犬の3分の1は、結石をもっているといわれているそうですよ。愛犬がダルメシアンの場合は、特に尿路結石を発症する恐れがあるので注意が必要でしょう。
◆アレルギーの恐れ
人間にも魚卵アレルギーを持つ人がいますが、これは犬にとっても同じことだといえるでしょう。
食物アレルギーは食物過敏症とも呼ばれており、食べたものに対して過敏な反応を起こすことです。
消化器症状である下痢や嘔吐、皮膚疾患となる皮膚への炎症などが主な症状として現れます。特に犬の場合は下痢の症状や、顔・足の先・尻尾・粘膜部分に皮膚炎が起こることが多いでしょう。
ちなみに、食物アレルギーは犬種・年齢に関係なくみられますが、1歳未満で発症することが多いともいわれているようです。
ただし1歳を過ぎたからといって安心できるわけではありません。1歳未満に現れることが比較的多いといわれているだけで、何歳になってもアレルギーを起こす可能性はあります。
アレルギー症状が出た時は、早めに動物病院を受診し獣医師に相談してください。そして適切な処置・治療を受けること、アレルギー検査を行うことをおすすめします。
もしも犬が明太子(たらこ)を食べてしまった場合
たらこや明太子に限らず、誤飲・誤食を招くものや犬が口にするものに関しては、飼い主さんがしっかりと管理しなくてはいけません。
しかし、十分気を付けているつもりでも、想定外の問題が起こることはありますよね。ほんの少し目を離した隙に、愛犬が勝手に食べてしまった、というケースも十分起こり得ます。
もしもたらこなどを口にしてしまった場合に大切なのは、まず慌てずに行動することです。
たらこや明太子は毒物ではないので、誤飲したからといって直ぐに命に危険が及ぶということは基本的にはありません。
食べた量が少量で、愛犬に異変がないようであれば、まずは様子をみましょう。喉が渇いて水を多く飲もうとしますので、水分を用意して充分に飲ませてください。
ただし一気に飲み過ぎることで、嘔吐する場合もあります。黄色の胃液を吐いてしまうこともあるので、休ませながら水を飲める状態を作るよう配慮しましょう。
ちなみに、持病や体調によっては、たらこの誤飲が身体にとって大きな負担となることはあります。心配な方は、すぐに獣医師に相談してくださいね。
健康体であっても誤飲後に何らかの症状が出たり、愛犬の様子がおかしくなった時は、速やかに病院を受診することがすすめられます。
以下の二つのポイントを、しっかり押さえておきましょう。
◆嘔吐や下痢が起きないか観察
お伝えしたように、愛犬がたらこや明太子を食べてしまった時は、少量であればそこまで慌てなくても大丈夫な場合が多いです。
しかし、その後の愛犬の様子をきちんと観察し、異変が起こらないかチェックしなくてはいけないのです。
前述した通り明太子には刺激の強い成分が含まれているため、下痢・嘔吐などの消化器症状や食欲減退などの症状を引き起こす可能性があります。
激しい下痢や嘔吐が続くと、脱水症状になる危険も考えられるのです。脱水症状は悪化すれば命の危機にさらされるため、早めに動物病院を受診しなくてはいけません。
本来皮膚をつまむとすぐに元に戻りますが、脱水状態になると元に戻るまでに時間がかかったり、呼吸が荒くなるなどの様子がみられるので、判断するための情報の一つとして覚えておきましょう。
症状は誤飲後にすぐ現れるとは限りません。愛犬の様子をしっかり観察し、定期的に問題が起きていないか確認してください。
◆症状がある、食べた量が多い場合は動物病院へ
たらこ・明太子を食べた量が多かったり、愛犬がぐったりした状態で元気がない場合は、すぐに動物病院に連絡して指示を受けましょう。
塩分の致死量は、体重1kgのワンちゃんで2~4gほどです。たらこをひと腹まるまる食べてしまった場合は、危険な状態になる可能性があるでしょう。
病院を受診する場合は、食べた時間と食べた量をできるだけ正確に伝えましょう。
明太子を使った加工食品もNG
たらこや明太子は、様々な加工食品にも使用されています。たらこの旨味成分を含んだスナック菓子やかまぼこ、明太子のペーストが塗られたパンなど、人気の食べ物も多いでしょう。
しかし加工品は塩分が高く、バターや油脂、調味料などで味付けされています。
そのニオイから、犬に与えると喜んで食べようとする場合が多いですが病気・肥満などの弊害があるのです。
食材の中には人間にとっては問題なくても、犬が中毒症状を起こす食品もたくさんありますので、愛犬に与えるフードやおやつは、基本的にペット用のものにすることが一番安心でしょう。
他の食材を与える場合は、始めに犬にとって害のない食べ物かどうかをしっかり知らべて、安全な与え方を守ることを徹底してください。
ちなみに、たらこの親魚である「たら」は、犬も食べられる安全な魚だといえます。
淡白な白魚で脂質・カロリーも低めである上に、身も柔らかく骨離れもよいため食べさせやすいでしょう。DHA・ビタミンB12・ヨウ素・タンパク質などの魅力的な栄養素もバッチリ含まれていますよ。
ただし生のままではアニサキスなどの寄生虫による心配がありますので、必ず加熱してから与えるようにしましょう。
まとめ
たらこや明太子は塩分がとても高い食品です。心臓病・腎臓病などのリスクが高くなるため、しっかりと管理して誤飲などを防ぐ対処法をとっておきましょう。
万が一食べてしまった場合は、水を飲ませながら様子をみます。何らかの症状が出たり、愛犬に異変を感じた場合は早めに獣医師に相談してくださいね。
人間の食べ物を与える場合は、その安全性やリスクなどをしっかり理解しておく必要があります。
幸福な毎日を少しでも長く送るためにも、食の管理をしっかりとして、愛犬の健康を守っていきましょう。
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