1.ブルドッグってどんな犬?
1-1.ブルドッグの歴史
1-2.KCとJKCでの分類
2.ブルドッグは全部で4種類!
2-1.イングリッシュ・ブルドッグ
2-2.フレンチ・ブルドッグ
2-3.アメリカン・ブルドッグ
2-4.幻の4種め「ミニチュア・ブルドッグ」
3.ブルドッグを飼育する際のポイント
3-1.子犬の頃からしつけを徹底する
3-2.病気の知識を事前につけておく
3-3.室温・気温に注意
3-4.肥満を予防する
ブルドッグってどんな犬?
ブルドッグと言えば、鼻先から口元までのマズルと呼ばれる部分が短い「短頭種」という犬たちの代表格です。
がっしりとした体つきと厳つい見た目、「闘犬」のイメージが強いことから怖い犬だと思われがちですが、日本にいるブルドッグ系の犬たちは、意外にも心優しい明るい子たちがほとんど!
ブルドッグの過去から現在までをご紹介しましょう。
◆ブルドッグの歴史
ブルドッグは、元は「ブルベイティング(牛いじめ)」と呼ばれる雄牛(Bull)と犬を闘わせる見世物のために生まれた犬でした。
ただし、現在のブルドッグ系の犬たちとは異なり、マズルを短めにして咬みつきやすくはしていたものの、当初は俊敏な動きのできない短足ではなく、皮膚のたるみや下顎の突出(アンダーバイト)などもない見た目の犬だったようです。
ところが、1835年に動物の虐待行為であるブルベイティングが禁止されると、ブルドッグの需要が失われてしまいます。そこで一部の愛好家たちが闘犬としての気質を抜く改良を行い、愛情深さや優しさを残した家庭犬となったため、現在まで血統をつなぐことに成功しました。
ブルドッグたちの頭が大きく、ずんぐりとした体つきの特徴的な見た目も、こういった犬を選択的に交配した結果生まれたものです。
ちなみに、ブルドッグにはパグやボストンテリア、ボクサーといった見た目が似ている短頭犬種が多くいます。しかし、品種改良の過程でブルドッグが加えられたことはあっても、歴史や血統が大きく異なる犬種のため、ブルドッグの仲間とは扱われていません。
◆KCとJKCでの分類
1800年代後半になりドッグショーがイギリスで盛んになると、1873年に犬種を承認し、血統書を発行する団体として「ケネルクラブ」が創立され、世界各国でもその流れは続きました。
闘犬としての役割を終えてから、番犬や愛玩犬として飼育されてきたブルドッグも1犬種として公認され、ジャパンケネルクラブ(JKC)では「グループ2」の犬たちに分類されています。
このグループ分類は、犬種ごとに近しい役割を持つ系統や、祖先犬との関係を元に決められ、グループ2は「使役犬=番犬、警護、作業をする犬」です。
ただし、ブルドッグの仲間にはグループ9の「愛玩犬」に含まれる犬種もいます。同じブルドッグと言えど、誕生の過程で求められた役割が異なれば分類も違うというわけです。
ブルドッグは全部で3種類!
現在、ブルドッグとして広く認識されているのは、「イングリッシュ・ブルドッグ」「フレンチ・ブルドッグ」「アメリカン・ブルドッグ」の3犬種です。
かつて闘犬をしていた頃の「オールド・イングリッシュ・ブルドッグ」の見た目を追い求め、この4犬種以外のブルドッグも誕生していますが、存在する頭数は少なく、希少犬種として各種血統団体にもほとんど公認されていないことから、一般的ではありません。
ここからは、3犬種それぞれのブルドッグの原産国や特徴、性格などをご紹介します。
◆イングリッシュ・ブルドッグ
一般的に、「ブルドッグ」として呼ばれている犬種です。闘犬から家庭犬へと役割を変えるためにイギリスで改良され、現在も国を代表する犬として人気を誇ります。
イングリッシュ・ブルドッグは、大きな頭やがっしりした肩幅と四肢、体高は低いながらも中型犬に分類されるように、成犬時の体重は23~25kgと迫力があります。
しかし、その見た目に反して性格はとてもフレンドリー。容姿以外は番犬に向かないとも言われています。また、子どもや他の犬にもおっとりと優しく接し、家族に対する愛情深さは抜群です。
◆フレンチ・ブルドッグ
体重10kg前後の小型犬であるフレンチ・ブルドッグは、フランスに渡ったミニチュアサイズのブルドッグをベースに品種改良され、パリで1880年代に誕生しました。
当初は下町の人気者でしたが、特徴的な見た目と可愛がるのにちょうど良い小柄な体格から、上流階級の人々や芸術家たちにも愛されるようになり、人気は高まっていきます。
現在ジャパンケネルクラブに公認されているブルドッグは、イングリッシュ・ブルドッグとこのフレンチ・ブルドッグの2種類のみ。イングリッシュ・ブルドッグとは異なり、グループ9「愛玩犬」に属しています。
日本や世界各国では短頭種ブームが続き、その人気を引っ張る存在となっているフレンチ・ブルドッグは、ジャパンケネルクラブの「犬種別犬籍登録頭数」によると、第6位にランクインしています。
いつでも陽気な甘えん坊で、誰とでも仲良くしたい社交性を持つ性格も、その人気に一役買っているのでしょう。
◆アメリカン・ブルドッグ
ブルベイティングに使われていたブルドッグの原種であるオールド・イングリッシュ・ブルドッグを元に、アメリカで誕生したのが大型犬のアメリカン・ブルドッグです。ただし、ジャパンケネルクラブには公認されていません。
イングリッシュ・ブルドッグとの違いは、なんと言ってもその足の長さと体格。筋肉質でがっしりしているのは同じですが、成犬ともなればオスは体重30~45kg、メスでも27kg~36kgほどになります。これは、農場の番犬や作業犬としての役割を求められたことに由来しています。
敵から家族を守ろうとする忠実さはピカイチで、まさしく番犬としてのブルドッグの役割を全うしてくれる犬種です。見た目に反して温和な性格ですが、縄張り意識が強く、用心深い一面もあるため、しっかりとしたしつけが必要です。
◆幻の4種め「ミニチュア・ブルドッグ」
闘犬が禁止されて以降にオールド・イングリッシュ・ブルドッグを小型化して生まれた犬種ですが、徐々にフレンチ・ブルドッグの人気に圧倒される形で、1930年代にいなくなってしまったとされています。
現在のイングリッシュ・ブルドッグとは見た目が異なり、首や四肢はある程度長く、マズルも鼻ぺちゃとまでは言えないつくりだったよう。また、皮膚のたるみもイングリッシュ・ブルドッグほどではありませんでした。
近年はこのミニチュア・ブルドッグこそがブルドッグの健康面も維持できる見た目ではないかと、復活させる動きも出てきているようです。攻撃的な性質がほとんどなく穏やかで、ブルドッグらしい忍耐強さもあるため、もしも復活して公認されれば新たな人気者となるかもしれません。
ブルドッグを飼育する際のポイント
魅力あふれるブルドッグですが、飼育にはコツや注意点があります。愛犬に長生きしてもらい、一緒に楽しく暮らしていくためにも、お迎えする前によく確認しておきましょう。
◆子犬の頃からしつけを徹底する
温和で優しい性格のブルドッグですが、それは子犬の頃からの適切なトレーニングを行ってこそ発揮されるものです。
他の犬や飼い主さん以外の人と触れ合う時間を設けたり、人間社会で一緒に生きていくための基本的なルールは教えてあげましょう。
ブルドッグには頑固な一面もあるため、頑なに言うことを聞かせようとしてもうまくいきません。しつけに集中できるタイミングを見計らって、何度でも根気強く教えていくことがポイントです。
また、皮膚トラブルの予防として顔のしわや肉球の隙間の汚れをこまめに拭いたり、定期的なシャンプーなどの清潔を保つケアが必要になる犬種のため、全身を触られても平気な子になるように、幼い頃から少しずつ練習を積み重ねてあげることをおすすめします。
◆病気の知識を事前につけておく
愛嬌のある見た目と古い歴史を持つブルドッグですが、近年は繁殖に関わるトラブルも指摘されています。
中でもイングリッシュ・ブルドッグは、その特徴的な見た目を表現しようとするあまり健康面が重視されず、身体的なつくりの異常や遺伝疾患が非常に多いことが問題となっているのです。
犬種標準(スタンダード)を定める血統書発行団体が短頭犬種に関する基準を改定したりもしていますが、「鼻の穴が小さく狭い」「軟口蓋が長すぎる」といった呼吸のしづらさにつながる短頭種気道症候群や、骨格の異常によるトラブルを生まれつき抱えているブルドッグはたくさんいます。
また、大きな頭と肩幅から自然分娩が難しく、帝王切開がほぼ必須となっている現状もあり、一部の国では繁殖を禁止しようという動きも出始めました。
ブルドッグを迎え入れる時には、こういった生まれつきの異常や病気が原因で犬の平均寿命を超えられず、10歳前後で短めの寿命を迎えてしまう個体もいることを理解しておきましょう。
◆室温・気温に注意
呼吸器に関する先天的な身体異常が多いブルドッグは、呼気を通して体の中に留まる熱を蒸散させることが苦手です。
そのため、暑い季節はもちろん、春先から熱中症のリスクは高まることを認識しておき、室内は空調機器を使って涼しくしましょう。また、寒い冬でも、暖房の効きすぎやこたつに潜りこむという行為には注意が必要です。
そして、季節によって湿度が高まりやすい日本では、ブルドッグの皮膚炎も発症しやすい傾向にあります。シャンプー後や、散歩後に足や体を拭いた後はきちんと乾かし、雑菌の繁殖を抑えることが重要です。
立ち耳のフレンチ・ブルドッグであっても、アトピー性皮膚炎などから外耳炎を患う子は多いので、ブルドッグは動物病院で定期的に耳のチェックもしてもらってください。
◆肥満を予防する
食欲旺盛な子が多いブルドッグたちは、肥満になりやすい傾向があります。肥満になると、ブルドッグに多い関節や呼吸器系のトラブルを悪化させやすく、寿命を縮めたり、日常生活の質が下がる事態にもなりかねません。
ブルドッグは運動して興奮しすぎると呼吸が苦しくなりやすい犬種で、なおかつ運動だけで摂取したカロリーを消費しきることは難しいため、あらかじめ毎日の食事を定期的に見直す習慣をつけましょう。
筋肉質ながっしり体型であることで適正な体重が維持できているかが分かりにくい時は、獣医師にぜひ相談してみてください。
まとめ
同じブルドッグという名前がついていても、写真を見比べてみるとその異なる見た目はとても興味深いと感じます。
見た目の印象を裏切る魅力的な性格も、長く人々に愛されてきた理由でしょう。
しかし一方で、健康面のトラブルが指摘されている犬であるのも事実です。迎え入れる時には病気や健康管理の知識をしっかりとつけ、ご長寿を目指してあげてくださいね。
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