1.犬が菜の花を食べても問題はない!
2.菜の花の栄養素と期待できる効果
2-1.βカロテン:老化防止
2-2.ビタミンB1・B2:代謝を促進する
2-3.鉄分:貧血予防
2-4.ビタミンC:被毛や皮膚にハリが出る
2-5.カルシウム:歯や骨を丈夫にする
2-6.食物繊維:便秘解消
3.犬に菜の花を与える適量
3-1.身体のサイズ・体重別の適量
4.犬に菜の花を与える際の注意点
4-1.必ず茹でて与える
4-2.甲状腺疾患や腎臓疾患の犬には与えない
4-3.道端の菜の花は食べさせない
犬が菜の花を食べても問題はない!
鮮やかな緑色とほろ苦さで春を感じさせてくれる菜の花は、2月から3月にかけて旬を迎える食材です。
ちなみに、アブラナ科アブラナ属の花の総称を菜の花といい、「アブラナ」「セイヨウアブラナ」「菜花(なばな)」といった別名も持っています。
この菜の花、実は様々な栄養素が含まれている魅力的な食材でもあるのですが、犬に与えても害はないのでしょうか?
結論からいうと、基本的には犬に与えても問題のない食べ物だといえます。しかしもちろん、与え方や与える量には注意しなくてはいけませんよ。
最適な方法で与えることで、菜の花がもつ栄養成分を効果的に摂取することができるのです。
まずは、菜の花に含まれる主な栄養素や、愛犬に与えることで期待できる効果から解説していきましょう。
菜の花の栄養素と期待できる効果
愛犬の健康をサポートしてくれる栄養素が、菜の花には様々含まれています。
その中から、主な6つの成分とその効果について紹介していきましょう。
◆βカロテン:老化防止
菜の花には、βカロテンが豊富に含まれています。このβカロテンは抗酸化作用をもつ栄養素であるため、細胞の老化を抑制し、若々しい体作りに効果を発揮してくれるのです。
糖尿病や動脈硬化などの、生活習慣病の予防にも効果的ですよ。
またβカロテンには、必要な量だけ体内でビタミンAに変換される特徴があり、皮膚・粘膜の健康も保ってくれます。皮膚や粘膜が強くなると免疫力もUPするので、病気にかかりにくく元気に過ごせる体作りをサポートしてくれるでしょう。
ビタミンAは視力を維持するのにも欠かせない栄養素でもありますので、βカロテンは積極的に愛犬に与えたい成分の一つだといえますね。
◆ビタミンB1・B2:代謝を促進する
ビタミンB群(B1・B2)が、菜の花には多く含まれています。
ビタミンB1には糖質を分解してエネルギーに変換する機能が、B2には糖質・脂質の代謝を促進する働きがあるので、エネルギーの代謝をスムーズに行ってくれます。
これによって、疲れにくく、元気に動き回ることが可能となるのです。
しかし反対に、ビタミンB1・B2が不足すると、体内に栄養が十分に行き届かなくなり、疲れやすい体となってしまいます。
体を動かしたり、毎日の散歩や運動が大好きな愛犬には、特にしっかり摂取して欲しい栄養素だといえるでしょう。
◆鉄分:貧血予防
菜の花の鉄分含有量は野菜の中でもトップクラスで、その量はニラの4倍もあるそうです。
鉄分は、赤血球の中のヘモグロビンを作って、赤血球が酸素を運ぶ働きをサポートしてくれるため、貧血予防や改善にとても効果的な成分なのです。
ちなみに、立ち眩みなどの貧血の症状は、体内に酸素が十分に行き届いていないことが原因で起こるので覚えておきましょう。散歩でたくさん歩いたり、運動をした後は、体が多くの鉄を消費しますので、貧血にならないよう注意してくださいね。
商品によって差はありますが、ドッグフードだけでは鉄分が不足するケースもあるため、他の食べ物やサプリメントなどを利用して、鉄分を補うのもおすすめですよ。
◆ビタミンC:被毛や皮膚にハリが出る
美肌効果が高いことで有名なビタミンCも、菜の花に含まれる栄養素の一つです。
ビタミンCにはコラーゲンの生成を促す働きがあるため、毛艶がよくなったり、皮膚にハリが出て健康的になる効果が期待できます。
さらに、抗酸化作用で免疫力がアップし、ウイルスなどに負けない体作りもできるでしょう。
ちなみに、犬は体内でビタミンCを作り出すことはできます。しかし、体内で作られる量だけでは十分とはいえませんし、老犬となると作り出せるビタミンCの量が減少する傾向があります。
身体の調子を整えるのに欠かすことのできない栄養素の一つなので、食事からも摂取できるように気を配るようにしましょう。
◆カルシウム:歯や骨を丈夫にする
骨や歯を形成し、丈夫にしてくれる栄養素のカルシウム。健康な骨と歯を手に入れることは、愛犬の豊かな生活には欠かせませんよね。
特に子犬の頃は、骨や歯を形成する大事な時期なので、カルシウムを十分に摂取する必要があります。
そして老犬となると骨や歯が弱り、骨粗鬆症になったり、硬いものを噛むのに苦戦するようになってしまいます。若い内からカルシウム不足に注意し、強い骨と歯を育てていけるよう配慮しましょう。
◆食物繊維:便秘解消
菜の花には食物繊維も豊富です。整腸作用のある食物繊維は、適量を摂取することで便秘を改善する効果が期待できます。
しかし消化しにくいため、食べすぎると消化不良を起こし、腹痛や下痢・嘔吐などの原因となる場合もあるのです。とくに元々お腹・消化器が弱い子は注意が必要です。
与える際は、適量を守ることや、消化しやすいように茹でる・細かくカットする、などの工夫をするのがオススメですよ。
その他の与える際の注意点については後述しますので、そちらもしっかりチェックしてみてくださいね。
犬に菜の花を与える適量
菜の花に限ったことではありませんが、どんなに健康に良い食材でも、与えすぎは逆効果をもたらすこととなります。
上手に栄養素を摂り入れるためには、適量をきちんと守って与える必要があるのです。
犬の体重や身体のサイズによっても、与えてよい量は異なります。一般的な体重別の適量を紹介していきますので、参考にしてみてください。
◆身体のサイズ・体重別の適量
以下の量が、1日に菜の花を与えてよい適量となります。もちろん個体差はありますので、あくまでも目安として考え、愛犬の様子を見ながらちょうど良い量を探っていきましょう。
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◎超小型犬(体重4kg未満)…1日15g~20g程度
◎小型犬(体重10kg以下)…1日30g~60g程度
◎中型犬(体重25kg以下)…1日70g~120g程度
◎大型犬(体重25kg以上)…体重30kgで1日130g~140g程度/体重40kgで1日170g~180g程度
また、初めて愛犬に菜の花を与える場合は少量を与えて様子を見るようにしてください。もしもアレルギー症状が出た場合はすぐに与えるのを止めて、獣医師に相談しましょう。
犬に菜の花を与える際の注意点
魅力的な栄養素をもつ菜の花ですが、個体によっては心配な症状をもたらしたり、与え方を誤ってしまうと健康被害に繋がる可能性もあります。
愛犬に菜の花を与える場合は、以下のポイントをしっかり押さえておきましょう。
◆必ず茹でて与える
愛犬に菜の花を与える時は、必ず茹でてアク抜きをしてから与えるようにしましょう。その理由は、菜の花にはシュウ酸が含まれているからです。
ちなみにこのシュウ酸は結石症の原因にもなるため、以前に尿路結を患ったことがある子や、現在結石症の疾患を持っている子には、菜の花を与えないようにしてください。
また健康な犬にとっても、シュウ酸の摂取は体によいことではありませんので、リスクを抱えないためにも、菜の花を与える際は生ではなく茹でることを徹底しましょう。
◆甲状腺疾患や腎臓疾患の犬には与えない
菜の花にはゴイトロゲンという成分が含まれています。このゴイトロゲンは、甲状腺ホルモンを作る上で欠かせないヨウ素の吸収を妨げてしまうのです。
健康な犬なら基本的に大丈夫ですが、甲状腺に疾患のある子には菜の花を与えない方がよいでしょう。
また、腎臓に疾患がある場合も、菜の花を与えるのは控えた方が良いです。
菜の花にはリンが含まれているため、リンが正常に排出されないと、甲状腺機能に支障をきたす可能性が考えられます。
腎臓疾患があるとリンの排出力が健康な犬よりも低下しているため、腎臓病が悪化したり、他の不調を引き起こす危険性があるのです。
◆道端の菜の花は食べさせない
犬は、菜の花をはじめとし道端の草を食べてしまう場合があります。空腹や胃腸がムカムカしている、食感が好きで遊びの延長で食べる、などがその主な理由です。
口にするのが安全なものであればOKですが、除草剤がまかれている草などであれば体に悪影響を及ぼす危険性が高いのです。
嘔吐や痙攣などの中毒症状がみられた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。
また、植物には毒性のあるものもありますよね。食べると嘔吐や下痢の症状をもたらすものや、触れるだけで皮膚炎を引き起こすものもあります。安全性の低い植物には近づかせないのが賢明です。
愛犬がどうしても草を食べたがる場合は、犬用の食べる草や、栽培キットなども販売されているので、そういったものを利用すると安心でしょう。
まとめ
ビタミンやミネラル、カルシウムなどの栄養素が豊富な菜の花は、犬の健康にとっても魅力的な食材です。
与える量や方法に注意して、上手に良い成分を摂取できるよう工夫して与えてみましょう。
ただし、個体によってはリスクが上回るケースも考えられます。健康上に問題がある場合は、与えない選択肢を選ぶことも忘れないでくださいね。
春の訪れを感じられる菜の花。愛犬と共に旬の味覚を感じることができる食材の一つです。
愛犬が食べても問題ないようであれば、ぜひ一緒に楽しんでみてください。
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