1.犬の筋肉の役割
1-1.骨格筋
1-2.平滑筋
1-3.心筋
3.犬の筋肉をつけるメリット
3-1.肥満防止
3-2.老化を遅らせることができる
3-3.寝たきり予防
5.犬の筋肉をつけるにはどうしたらいい?
5-1.散歩をする
5-2.「オスワリ」、「立つ」、「マテ」、「お手」は効果的
5-3.筋肉をつける時の食事
犬の筋肉の役割
犬の身体にある筋肉は、「骨格筋」「平滑筋」「心筋」と大きく3種類に分けられます。
それぞれどのような役割を持って働いているのか、特徴を簡単に解説します。
◆骨格筋
骨格筋は犬が自分の意思で動かすことができる随意筋です。骨格筋の多くは、骨に沿って付いていて、関節を曲げたり、身体を支えたりといった働きがあります。多くの人が、「筋肉」と聞いた時にイメージするものです。
骨格筋のこの働きで、立ち上がったり、姿勢を維持したり、歩いたりといったことが可能になっています。
その他にも、外部の衝撃から骨や内臓を保護するクッション材の役割を果たしています。
骨格筋のこうした働きによって運動時に思いのまま身体を動かすことができ、運動によって足腰や内臓を痛めることを防いでいます。
また、身体にとって大切な「熱を産生する」という役割も果たしています。
さらに、骨格筋には血液を循環させるポンプの働きがあり、筋肉が収縮することで血流が促され、循環が良くなります。
骨格筋は筋繊維の種類によって、速筋と遅筋に分けられます。
速筋は瞬間的に大きな力を発揮する筋肉で、思い切り走ったり、ジャンプしたりする時に働きます。瞬間的な力は大きいですが持久力はありません。
遅筋は瞬間的な力はありませんが、持久力に優れ、速筋に比べて長い時間働くことができます。
◆平滑筋
胃腸や気道などの内臓や血管に備わっている筋肉が平滑筋です。筋肉としての収縮力は骨格筋より弱いですが、休むことなく持続的に運動します。これにより内臓は常に動き続けることが出来ています。
平滑筋は自律神経やホルモンによってコントロールされている筋肉で、自分自身の意思では動かすことができない不随意筋です。
◆心筋
心筋とは心臓だけに存在する筋肉です。
心臓をポンプさせ、全身に血液を循環させる役割を担っています。
心筋も平滑筋と同じ不随意筋で、自分の意思でコントロールはできません。心筋は自動で収縮を行い、絶えず働き続けています。
構造的には骨格筋と同じ横紋筋ですが、機能的には自分の意志ではなく、自動収縮を繰り返すので平滑筋に近いです。
このように、骨格筋と平滑筋の中間のような筋肉です。
筋肉には上記のような種類がありますが、今回は主に一般的にイメージしやすい筋肉である「骨格筋」の話をさせていただきます。骨格筋は身体を動かしたり、身体を保護したりといったことに役立っていて、平滑筋や心筋と違い、自身の意思でコントロールすることが可能です。そのため、骨格筋は意識的に筋肉を鍛えることもできます。
筋肉を鍛える必要はあるの?
私たち人間は健康のためや、体型維持のために筋トレを行うことが一般的です。また、最近では、アンチエイジング・老化予防の効果もあるとされています。
では、犬は筋肉を鍛える必要があるのでしょうか?
犬の場合は、私たちのようにダンベルなどで負荷をかけてトレーニングを行うことは一般的ではありません。しかし、適度に使わないと筋肉が落ちてしまう点は犬も人間も同じです。実際、高齢動物の多くが、運動量が減り、その結果、筋肉量が減ってしまい、さらに運動が困難になっていきます。運動をしなくなると、関節も固くなり、循環も悪くなります。
こうした点から、強い負荷を掛ける必要はありませんが、軽めの運動を行って刺激を与え、積極的に維持していく必要があります。
犬の筋肉をつけるメリット
犬も筋肉をつけることで次のようなメリットがあります。
◆肥満防止
筋肉がつくことで、基礎代謝が上がり、肥満防止の効果があります。
また、筋肉がつくと運動がしやすくなり、犬の活動性も上がるため、さらに肥満になりにくくなります。
「肥満は万病のもと」といわれるように、関節疾患、心臓疾患、呼吸器疾患、糖尿病など様々な生活習慣病の原因になります。これも人間だけでなく、犬にも同様のことが言えるので、筋肉をつけて代謝を良くして肥満を予防することは、多くの病気の予防にも繋がります。
◆老化を遅らせることができる
筋肉は老化とともに減っていきますが、運動で筋肉を維持することで、筋力低下からくる老化を遅らせることができます。
また、筋肉を鍛えることは全身のアンチエイジング効果があることが医学的にわかってきており、私たち人間も老化予防に筋トレが有効とされています。
犬については、筋肉を鍛えることでの老化予防の効果はまだ詳しく研究されていませんが、人間同様に犬も運動などで筋肉を鍛えることで老化を遅らせることが期待できると考えられます。
◆寝たきり予防
筋肉には身体を支える役割があるので、筋肉を鍛えることは寝たきり予防に繋がります。
筋肉がついている犬は、筋肉不足の犬に比べて、身体が弱った時でも自分の力で生活できる期間が長くなります。
寝たきりになってしまってからは鍛えることも難しいので、元気に動けるうちから意識的に筋肉の維持に取り組みましょう。
筋肉不足になりやすい犬は?
筋肉不足になりやすい犬はどんな犬でしょうか?
注意しておきたい犬は、「肥満の犬」、「高齢犬」、「散歩が嫌いな犬」、「運動器に異常がある犬」です。
肥満の犬は身体が重たいのであまり積極的に動かなくなります。肥満により、関節などに既に負担が掛かっている場合もあります。筋肉は使われないと、減っていく一方で、運動しないことでさらに肥満になるという悪循環に陥るので、食事内容の変更なども含めて対策が必要です。
高齢犬はどうしても動きが遅くなったり少なくなったりします。体力の低下や周囲への好奇心の低下などから、積極的には動けなくなります。
しかし、高齢犬だからといってあまりに運動不足になると、肥満になったり、寝たきりになったり、運動不足が他の病気の原因となったりします。脳の機能も低下しやすくなり、認知症などのリスクにもなります。
散歩が嫌いな犬や、そもそも運動が嫌いな犬もいます。この場合も筋肉不足になりやすくなります。また、運動不足から肥満にもなりやすいです。
性格が大人しい犬も、運動不足に陥ることが多いので、おもちゃなどで遊びに誘ってあげる必要があります。
運動器に異常がある犬も筋肉不足に要注意です。痛めている足以外の場所も筋肉が不足することで機能が低下してしまいます。
筋肉は使わなければ落ちてしまうので、獣医師から安静にする指示が無ければ、適度に身体を動かした方が四肢の機能も維持しやすいです。
犬の筋肉をつけるにはどうしたらいい?
それでは犬の筋肉をつけるにはどうしたら良いのでしょう?
犬の筋肉をつける際は、人間のようにウエイトトレーニングはあまり行われません。犬自身が目的意識を持ってキツイトレーニングを行えるわけでは無いので、犬が嫌にならないように、楽しみながら行える方法を取りましょう。
犬が健康に暮らすための筋肉を鍛える際は、人がジムで行うような負荷の高いトレーニングは不要です。それよりも、軽めの負荷で健康的に行える運動が良いです。
また、食事やサプリメントなどで栄養面でのサポートも重要です。
以下で、筋肉をつける際に負担が少なく良い方法を解説します。
◆散歩をする
散歩に行き、適度な距離を歩くことは、体中の筋肉を刺激し、筋肉の維持や全身の循環を良くすることに役立ちます。
散歩で歩くことに必要な筋肉を使うことが出来ます。身体を動かすことで関節の動きも良くなります。
また、外を歩き、様々な刺激を受けることで、脳機能や精神面にもプラスの効果が期待できます。適度な運動は心臓にも良い影響を与えることがわかっているので、是非毎日の習慣にしましょう。
足や腰を痛めてしまっている犬や心臓などに問題が生じている犬においては、事前にかかりつけの動物病院で散歩について相談しておきましょう。
◆「オスワリ」、「立つ」、「マテ」、「お手」は効果的
「オスワリ」「立つ」「マテ」「お手」なども筋肉のトレーニングに有効です。
日頃自分でしないような動きができるので筋肉への良い刺激になります。また、姿勢を維持する必要があるので、身体を支える筋肉も鍛えることが出来ます。
また、飼い主さんとの良いコミュニケーションの機会にもなる上、頭も使うので健康でいきいき過ごすことにも繋がります。
犬自身も飼い主さんも楽しみながら運動ができるので、積極的に取り入れましょう。
◆筋肉をつける時の食事
筋肉をつけるためには食事中のタンパク質が重要です。
基本的には総合栄養食のドッグフードを与えておくと大丈夫ですが、手作り食を与えている方はバランスが偏らないように注意しましょう。
高齢犬や、関節などに問題を抱えている犬は、高齢犬用のフードや、運動器疾患用のフードを用いましょう。
これらのフードには関節の健康を維持するための栄養素がトッピングされていたり、肥満防止のために低カロリー設計になっていたりするので、動物病院で相談してみてください。
日頃のフードを替えたくない場合は、サプリメントを加えることも有効です。運動器用のサプリメントやアンチエイジング効果を期待するサプリメント、肥満防止用のサプリメントなど様々な種類が発売されているので、獣医師に相談しながら犬の身体や状況にあったものを使いましょう。
まとめ
今回は犬の筋肉について解説しました。
犬にとっても筋肉は健康な生活を支える重要な組織です。歩けなくなってからでは鍛えることも困難です。
健康な頃から積極的に身体を動かしておくことで、老化の予防になり、将来寝たきりになるリスクも減らせます。
元気なうちから無理なく楽しく運動を取り入れて生活しましょう。
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