犬のツボについて
「ツボ」というものは、実際に体の中の組織として存在するのではなく、東洋医学の「気」の概念に基づき、現代社会において名づけられたものです。
体のエネルギーと考えられている「気」は経絡という道を通って全身に流れており、体内の血液・酸素の流れを整える力があると考えられています。
そして、この経路の上にある出入り口のような存在が「ツボ」です。
気が通りにくい状態は体の不調に繋がると考えられており、気が通りにくい時に「ツボ」を押したり刺激することで、経絡が通りやすい状態になると言われています。
犬にも人と同じように体の様々な位置にツボが存在しており、筋肉のコリや痛みなどに応じたツボがあります。
マッサージは愛犬と飼い主さんとのスキンシップになるので、愛犬との信頼関係が深まる効果が期待できますし、ツボマッサージをしてあげることで愛犬が心身ともにリラックスすることが出来ると言えるでしょう。
犬の主要なツボの位置とその効果
前述の通り、ツボは体や筋肉に負担のかかる場所の近くにあります。
犬の場合、顔周りには咀嚼筋があり口を動かすことで発達するため、顎回りが凝りやすいと考えられます。
また、前脚に重心がかかりやすい体の作りであるため、胸周辺の筋肉に疲労が蓄積しやすく、状況によって首の上下運動をするため首・肩回りも凝りやすい傾向にあります。
さらに体のサイズに限らずどの犬種も共通して、前足の付け根から背中にかけて広背筋に凝りが見られやすく、尻尾の周りにも疲れが溜まりがちです。
ここでは効果的なツボ押しマッサージができるように、数あるツボの中からおすすめのツボをいくつか紹介していきましょう。
◆①百会(ひゃくえ)
骨盤の一番広い部分と背骨が交わる箇所にあるツボで、ストレス緩和・老化防止などに効果があるといわれています。整腸作用も期待できるようです。
ちなみに人間の百会は頭頂部にあるのですが、犬の場合は腰の頂上にあると考えられています。第七腰椎と第一仙椎の間の、指が一番深く入る部分がこれにあたります。
◆②天柱(てんちゅう)
環椎翼という首の最上部にある、翼の様に横に出ている骨の周りの窪みに天柱があります。
冷えて固くなった首・肩の血流を良くするツボで、脳機能障害に効果的だといわれています。
◆③肩井(けんせい)
肩甲骨の前側にある左右の窪み2箇所が、肩井というツボです。
首・肩周りの凝りにオススメのツボとして有名ですが、目や耳・歯の痛み・頭痛など、首から上の痛みのケアにも効果があるそうです。また、全身の血行促進・改善をもたらす効果も期待できます。
◆④曲池(きょくち)
肘を曲げて、皺が寄った部分の外側が曲池にあたります。分かりにくい場合は、肘の骨の手前の窪みを探してみましょう。
気の流れを整えて、体に籠もった熱を流す効果が期待できるツボです。
◆⑤三陰交(さんいんこう)
くるぶしより少し上の脛骨に沿ってある三陰交は、ダイエット・肥満予防のツボとして知られています。
主にホルモンバランスの乱れからくる不調を解消するツボですが、脾臓・肝臓の調子を整えたり、腹痛を改善させる効果もあるそうです。
他にもおすすめのツボは多々あります。もう少しだけ簡単に紹介してきましょう。
犬のツボマッサージの方法
犬のツボ押しマッサージは、施術者によって流れ・手順・効果などが変わってきますが、基本的な流れは以下の通りです。
①マッサージ前の準備をする
②首から前足までをマッサージする。
③腰から後ろ足の足先までをマッサージする。
④最後に顔周りを行う。
◆マッサージ前の準備
ツボ押しマッサージをする際に、用意しておくべきアイテムは特にありません。自宅で手軽で行うことができるというのも、嬉しいポイントの一つでしょう。
尚、飼い主さんの指先や手のひらを使うので、爪は短く切っておいてくださいね。
まずツボ押しマッサージを始める時は、頭から腰を撫でて「マッサージを始めるよ」という合図を愛犬に送りましょう。この部分を撫でるだけでも、全身の「陽気」(体を温める力)の集まる「督脈」と、五臓六腑のツボが全てあり万病を癒すという「気血」(生命活動のエネルギー源)の通り道である「膀胱経(ぼうこうけい)」に働きかけることができますよ。
そして、飼い主さん自身がリラックスした状態で始めることが大切です。緊張感などは、愛犬に伝わってしまいます。ツボを刺激されることが犬にとって気持ちよく快適でなければ意味がない、ということを覚えておきましょう。
◆ツボの見つけ方と押し方
ツボは、大体ボールペンの芯ほどの大きさだといわれています。そんな小さな箇所を犬の体から探し出すと考えると、かなりの難易度だと感じてしまいますよね。しかし、そこまで難しく考えなくても大丈夫です。
少しずれた所を押したとしても、その刺激はツボまで伝わり、それだけでもかなりの効果が期待できるそうですよ。「大体この辺かな?」と思う場所に目星を付けて、まずは挑戦してみましょう。
次に押し方ですが、風船を押した時にへこむくらいの力加減が理想的だといわれています。
ツボを押す基本の圧は500g以下とされているので、事前にスケールなどを利用して力加減がどれくらいか調べてみてください。実際に試す際には、愛犬の様子を確認しながら少しずつマッサージをしていきましょう。
尚、押し方にも種類があるので、ここでは基本的なツボの押し方を3つ紹介していきましょう。
◎皮膚に対して直角に人差し指をあてる。
◎親指と人差し指で、両側から挟む。
◎足のツボの場合は寝かせた状態でも可能だが、立たせた方が押しやすいため、立たせて両側から挟む。
◆マッサージの注意点
愛犬がツボ押しを嫌がった場合は、無理に継続せずに一旦やめましょう。
触られること自体を嫌がっている様子がみられる場合は、怪我などをしている可能性があります。
炎症が起きている・骨折している・腫れている・腫瘍がある、などの部分については特に、触って刺激しないように注意してください。
こういった異常や何らかの症状がみられる場合は、速やかに動物病院を受診することがすすめられます。
また、愛犬が妊娠中だったり、著しく衰弱がみられる状態や関節に痛みがある場合などは、刺激を控えた方が良いツボもあります。
ツボ押しに慣れて知識が身に付くまでは、指圧する前に必ずそのツボに関する情報を調べるようにしましょう。
まとめ
愛犬の健康を管理するためには、毎日の適切なお世話はもちろん、しっかり観察することや献身的なお手入れなどが必要不可欠です。その質は、飼い主さんの努力によって左右されるでしょう。
ツボ押しマッサージは愛犬が抱える凝りや痛みを改善する対処法としても効果的ですが、信頼関係を培うことにも大きな力を発揮しますよ。
犬の全ツボを紹介している記事もありますので、目次を利用して知りたい情報をみつけるのもおすすめです。
愛犬が抱える痛みや原因を見極めた上で、ぜひ、ツボ押しマッサージにチャレンジしてみてください。
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