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犬が飼い主の上に乗ってくる理由5選
愛犬が飼い主さんの膝などに乗ってくる様子はとても愛らしく、癒されているという方もたくさんいるでしょう。
しかしその行動の理由の全てが、ポジティブな意味合いを持つものとは限りません。
ワンちゃんの気持ちとして考えられる、主な5つの理由を紹介していきますので、愛犬の様子を思い返しながらチェックしてみてください。
◆愛情表現
大半のワンちゃんは、苦手な人・嫌いな人・信頼していない人ではなく、大好きな人・信頼している人の膝の上などに乗ろうとします。飼い主さんの上に愛犬が乗ってくる場合、それは愛情表現の一つである場合が多いのです。大好きだから甘えたいという感情が、行動や仕草に表れているというわけですね。
お腹の上などで顔を擦りつけるような仕草をみせる子もいるでしょう。これは「もっと甘えたい」という気持ちを示しているそうですよ。甘えん坊な性格をしているワンちゃんに、よく見られがちかもしれませんね。
ちなみに犬の愛情表現には、しっぽを振る、おしりをくっつけてくるなど、乗ってくる行動以外にも数々のサインがあります。これらを覚えておけば、より愛犬のことを理解できるようになるでしょう。
動物のプロ監修記事などでそういった行動を纏めて見られる記事もありますので参考にしてみるのがおすすめです。目次を活用すると気になる項目が探しやすく、情報を集めやすいでしょう。
◆安心感を得たい
愛犬が飼い主さんのそばにスッと寄ってきて、慌てるようにお腹の上に乗ってくる、といった様子を見たり経験したことはあるでしょうか。
こういった場合は、何かに不安を感じている可能性が考えられるようです。人間にとっては気にならないことでも、犬にとって恐怖を感じる音や状況、環境の変化などが起こっているのかもしれません。
感じとった不安を払拭して安心したいという心理から、飼い主さんの上に乗ってくる子は少なくないのです。
犬は信頼している家族の体温・匂いを感じることで安心することができます。
<オドオドした様子で何かから隠れようとするように膝やお腹などに乗ってきた時/span>は、優しく声をかけて安心できるよう気を紛らわせてあげましょう。
◆注意を引きたい
飼い主さんに構って欲しい場合に、愛犬が膝の上などに乗ってきてアピールすることもあります。
膝の上に乗ってきた後、じっと見つめてきたり、前足で引っ掻くような仕草をしているのであれば、それは「かまってよ」「一緒に遊ぼうよ」などという、自分の要求を伝えるためのサインだといえるでしょう。
100%要求に応えて愛犬ばかりを優先してしまうと、要求は通るものだと認識してしまうため、構える時間帯であれば構ってあげるようにしてください。構えない時は「あとでね」などと声を掛け、手が空いた時間に遊んであげるようにしましょう。
◆マウンティング
犬のマウンティングとは、両前足で対象物にしがみつき腰を繰り返し振ったり、覆いかぶさる行為のことを指します。交尾行動に見えることから性的なものとして見られてしまいがちですが、犬同士では遊び(取っ組み合い)の中での力比べや、互いの社会的な地位を確認する場面で行われるものであり、「自分の方が強いんだぞ」という意味合いをもっています。
ただし、人間に対して犬がマウンティングをするケースでは、遊びの誘いや興奮が原因の場合もあるので、その理由は必ずしも優位性の誇示とは限りません。このため、犬が人の上に乗ってくることをマウティングだと考えるのは、少し違うのかもしれません。
従来、犬のしつけは人間が犬よりも偉いと認識させるべきだという解釈をされてきました。もちろん、飼い主さんがリーダーシップをとり、愛犬が望ましい生活をおくれるようトレーニングすることは重要です。
しかし、犬のマウンティングには本能からくる生態や、優位性以外の理由が複合的に関連しているため、マウンティングされたから見下されている、バカにされていると受け止める必要はないでしょう。
かつて一般的だった「オオカミを祖先にもつ犬はその名残から、家庭内でも順位を作り、飼い主にもマウントを取ることがある」という説は、近年の研究で否定されています。犬は飼い主にマウンティングするより、親子間の様な愛着を持っているとされているそうですよ。
ただ、犬のアルファシンドロームには注意が必要です。
アルファシンドロームとは、犬が家庭内で自分が一番偉いと勘違いし、家族を支配しようとする問題行動のことで、この場合は改善するためのしつけが必要となります。
ただ、マウンティングについても、初対面の犬や他人へ愛犬が行おうとする場合はすぐに止めるようにしてください。習慣化してしまうと困るので注意点としてしっかり覚えておきましょう。
◆温かさを求めて
冬などの寒い時期に、暖をとるために飼い主さんの近くにきたり、上に乗ってきたりと少なくありません。飼い主さんにくっつくことで、体温を直に感じているのですね。上に乗ってきた後も、体を丸めて暖をとろうとする姿勢が見られるでしょう。
そんな様子が見られた時は、ブランケットや毛布などをかけてあげてください。
ちなみに、シングルコートをもつ犬種はダブルコートの犬種に比べて寒さに弱い傾向にあります。
愛犬がどちらの被毛をもっているのか、きちんと理解しておきましょう。
犬が飼い主の上に乗る行動の見極め
愛犬が飼い主さんに乗ってくるとき、その理由を見極めて対応する必要があります。以下のポイントをおさえておき、すぐに判断できるようにしていきましょう。
◆いつ乗ってくるか
飼い主さんに愛犬が乗ってくるタイミングは、その理由を知るための大きな判断材料となります。
愛犬にとって恐怖を感じる音などがした時であれば、それは不安を感じて安心したいため、寒い時期であれば暖をとるため、といったように、タイミングと併せて状況や愛犬の様子に注目することで心理が読み取りやすくなるでしょう。
◆どのくらいの頻度か
乗ってくる頻度も、愛犬のことを理解する上での重要なヒントとなります。
甘えなどからくる行動である場合に頻度があまりに多いようであれば、性格的な問題ももちろんありますが、遊びや運動の時間が足りていなかったり、日頃から飼い主さんとコミュニケーションをとる時間が十分でなかったり、教育していなかったりする可能性も考えられます。
一度普段の生活を思い返して、直すべき点があれば改善していきましょう。
◆他にどんな行動をしているか
飼い主さんに乗ってくる行動と併せて、愛犬にどんな様子や動きが見られたかも観察しておきましょう。
前述したように、体を丸めているのであれば寒さを感じていますし、前足で引っ掻くような仕草がみられる場合は遊んでほしいと思っている可能性が高いです。オドオドしたり慌てて乗ってきたりした時は、何かに恐怖や不安を感じているのでしょう。
理由に合わせて適切な対処法をとるようにしてください。
ちなみに、膝などに乗った後で愛犬を降ろそうとした時に、激しく反発してくる場合はしつけの見直しが必要となります。
この様な行動は甘えというより、ワガママゆえの行動であり、飼い方や育て方の問題でもあり、飼い主さんとの信頼関係が築けていないサインでもあるのです。飼い主さんの指示に従わなくなり、場合によってはさまざまな危険な状況に陥る可能性も秘めているため、改めて飼い方や育て方を見直して関係性を構築していきましょう。
犬が乗ってくるのをやめさせたい時には
飼い主さんの膝などに乗ってくる愛犬の姿は、愛らしくて癒される光景ですよね。しかし、状況や考え方によっては、それをやめさせたいと思う場合もあるでしょう。
飼い主さんから愛犬を降ろす際に唸る・噛むなどの行動がみられないのであれば、基本的には問題視したり無理に降ろしたりする必要はないのですが、飼い主さんの行動が制限されてしまうことは事実です。
頻度が多くて仕事ができない、食事中は困る、など状況によっては愛犬に乗るのをやめてほしい時もあるでしょう。
こういった理由から困っている場合は、以下のような対策やトレーニングをしてみてください。
◆反応しない
ワンちゃんは目があっただけでも、こっちを見てくれた!構ってくれた!と思ってしまいます。乗ってくることに限らず、愛犬がとって欲しくない行動をした際には、飼い主さんが反応をしないことが重要なポイントとなるのです。
トレーニングの一つに、膝の上に乗ってきたら立ち上がり、別の部屋へ移動するという方法があります。この時、愛犬が乗ってきてから他の部屋へ移動するまで、一切目を合わせないのがコツです。移動してから愛犬が大人しくしていたら再び席に戻りましょう。これを繰り返すことで、乗ると飼い主がどこかに行ってしまう、と認識させることができます。
◆おもちゃやおやつで気を引く
愛犬が飼い主さんに乗ろうとしてきたら乗る前に、おもちゃやおやつなどを利用して、別のことに集中させるのも一つの方法です。飼い主さんに乗ろうとしていたことを一旦忘れさせるのです。
ただし、愛犬が乗った後におやつを与えるのを繰り返してしまうと、その結果、飼い主さんに乗ればおやつをもらえると認識してしまう可能性がありますのでタイミングには注意しましょう。
◆ストレスを発散させる
構ってほしくて乗ってくる場合は、愛犬にとって飼い主さんとの時間が足りていなかったり、運動不足だったりなどでストレスが溜まっている可能性も考えられます。
毎日の暮らしの中で、おもちゃで遊ぶ時間がない、散歩に行っていない、愛犬に構えていない、などの要因が重なっていないでしょうか。
定期的可能であれば広い公園やドッグランなどで思いっきり遊ばせるなどして、ストレスが発散できるようにしてあげて下さい。また、おもちゃを使用するなりして一緒に遊んで疲れさせてあげて下さい。思い切り満足できたら、飼い主さんへの「かまって攻撃」の頻度もきっと少なくなるでしょう。
◆別の安心できる場所を作る
ハウストレーニングを教え安心できる場所を作りましょう
飼い主さんの膝の上ではなくとは別の場所に、愛犬が安心できる場所を作ってあげましょう。あげるのも良い方法です。
サークルやクレートをベースにする事をお勧めします。特にクレートは、犬にとっての落ち着ける環境であり、お家になります。犬たちは、巣穴生活をしていた動物。うす暗く、隠れられ、体が一回転できるスペースがベストです。悪い事した時に閉じ込める場所ではありません。ハウストレーニングを教えてあげる事によって、犬は安心して生活を送る事ができます。そのためにもしっかりと練習しましょう。例えば飼い主さんの足元や、座っているソファ・椅子の隣などに愛犬用のスペースをあけて、膝の上以外にくつろげる場所を設けるのです。
どんな環境がリラックスして過ごせそうか、日頃から愛犬を観察して探してみてください。
◆専門家に相談する
色々と対策法を試しても成長がみられない場合は、犬の専門家であるドッグトレーナーや動物病院の獣医師に相談してみるのが良い方法です。
愛犬の状態や普段の状況を詳しく伝え、実際に愛犬の様子をみてもらいましょう。
プロの目線から的確なアドバイスをもらい、先生から受けた指示に従って、愛犬と一緒にトレーニングの再チャレンジをしてみてくださいね。
◆家族全員が同じルールを守る
人によって、乗ってもいい人と悪い人がいては愛犬が混乱するかもしれません。膝の上に乗ってはいけないというルールを決めるのであれば、家族全員がそれを徹底したほうがスムーズにしつけられるでしょう。
また、「おりて」というコマンドを教えるのも有効的です。膝の上に限らず、テーブルや危ない場所に上がったときにも効果があります。これに関しても、家族全員が同じ言葉でコマンドを統一することを徹底してください。
尚、いずれのしつけも子犬の頃から始めると入りやすいです。子犬を迎え入れる前に、しつけの方針についても家族で話し合いをしておくのがおすすめですよ。
こうしよう!と決めたら家族全員が統一して守ることを忘れないでくださいね。
まとめ
愛犬が飼い主さんに乗ってくる理由はさまざまです。その時の状態や様子、環境や関係性から、愛犬の目的や心理を考えてみましょう。
愛情や不安、構って欲しい、など犬は表情や行動で自分の気持ちを届けようとしてくれます。日々愛犬を観察し、それらを理解できるようコミュニケーションをしっかりとりましょう。これにより、信頼関係を築けますし、病気や怪我にいち早く気付ける場合もあります。健康保持のためにも、毎日愛犬との時間を作るよう配慮してくださいね。尚、心配な症状や普段と違う様子に気付いた場合は、一度獣医師に相談しましょう。
ちなみに、乗るという行動がイメージできない方は、SNSなどでも画像や写真などが投稿されているので検索してみましょう。
愛犬の行動の意味を知ることで、愛犬のことをさらに深く理解できるようになります。共に幸せな毎日を過ごせるよう、ぜひ愛犬との意思疎通にチャレンジしてみてください。