【獣医師監修】猫の鼻が乾いていたら病気なの?鼻の仕組みや役割と気になる病気

2020.08.29

【獣医師監修】猫の鼻が乾いていたら病気なの?鼻の仕組みや役割と気になる病気

小さく愛らしい猫の鼻は、実は、非常に高機能かつ多機能な器官です。嗅覚に優れている動物と言えば犬を思い浮かべますが、猫の嗅覚も人間の数万~数十倍の感度を持つと言われています。猫の鼻は、食べ物のニオイを嗅ぎ分けているほか、周囲の危険や仲間か敵かを認識したり、温度を感知したりしています。そんな猫の鼻について、その仕組みや役割、鼻に関係する病気についてまとめました。

猫の鼻の役割

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◆ニオイを感じる

鼻の役割で最も大切なものの一つが、ニオイを感じることです。
猫の嗅覚は、人間の数万~数十万倍と言われています。
これは、空気中のニオイ物質の濃度が、人間が感知できる最低濃度の数万分の一~数十万分の一でも感知できるという意味です。
猫は、主に、目の前の食べ物が腐ったりしておらず食べられるものであることを確認したり、縄張りを確認したり、仲間か敵かを認識したりするために嗅覚を使っています。

◆呼吸をする

もう一つの大切な鼻の役割は、呼吸器としての働きです。
鼻腔内は、粘膜で覆われ、複雑な形をしています。
取り込んだ空気は、粘膜の水分で湿度を加えられ、鼻腔内で温められるので、気管や肺への刺激が和らげられます。

◆生体防御

鼻の粘膜には、繊毛と呼ばれる細かい毛があります。
繊毛は、空気中のウイルスや細菌、ホコリなどの異物を吸着し、繊毛運動により鼻の外へ排出します。
また、鼻粘膜にある白血球やリンパ組織には、細菌やウイルスを撃退する役割があります。
鼻は、体外から危険な異物が入り込まないように、「生体防御」を行う場でもあるのです。

◆温度を測る

猫の鼻の大きな特徴が、温度を感知できるという点です。
猫の鼻には冷点と温点があり、人が手をかざして冷たさや熱さを感じるのと同じように、温度を感じています。猫は、鼻で吸いこんだ空気の温度によって、0.5℃の差も判別できると言われています。
また、気化熱の左右差を感知することで、風向きも感知しています。


猫の鼻の仕組み

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◆猫の嗅覚

ニオイは、鼻の奥にあるニオイを感知する嗅細胞が密集した「嗅上皮」(きゅうじょうひ)と呼ばれる部分でだけ、感知することができます。
猫の嗅上皮は20平方センチメートル(500円玉)くらいで、2~4平方センチメートル(1円玉)くらいの人間よりかなり広いです。
ちなみに、犬は150平方センチメートル(1000円札)程度です。
また、嗅細胞の数も、人が4,000万個であるのに対し、猫では2億個です。
さらに、嗅上皮に接続するように位置する神経線維の束「嗅球」(きゅうきゅう)には、猫では人より約1,500万個多い、約6,700万個の細胞が含まれています。
これらのことから、猫の嗅覚が人よりはるかに優れていることが分かります。

◆外鼻孔

外鼻孔(がいびこう)とは、「鼻の穴」のことです。
犬や猫の外鼻孔は、穴の横に切れ目が入っており、鼻の上に付着している小さな筋肉を収縮させて鼻をヒクヒクと開閉しています。
正面からだけでなく、横からも空気を取り込むことができるようになっているのです。

◆上唇溝

上唇溝(じょうしんこう)は、鼻の中央から口にかけて見られる一直線の溝です。
上唇溝には、毛管現象によって常に水分が蓄えられていて、ニオイ物質を吸着するのに役立っています。

◆鼻鏡

鼻鏡(びきょう)は、鼻の表面にある細かな溝で、溝の中は外側鼻腺(がいそくびせん)からの分泌液や鼻涙管を通じて流れてきた涙で濡れています。
猫の鼻が濡れているのはこのためで、ニオイ物質を吸着するのに役立っています。

◆鼻紋

鼻の表面にある複雑な線のパターンを、「鼻紋」(びもん)と呼びます。
鼻紋は猫の個体により異なるため、2006年には個体識別に利用する試みがなされて、特許技術も開発されましたが、あまり浸透しなかったそうです。

◆ヤコブソン器官

猫には、鼻以外に「ヤコブソン器官」(鋤鼻器・じょびき)と呼ばれる嗅覚器があります。
ヤコブソン器官は、猫だけではなく、霊長類以外の他の哺乳類でも発達しており、フェロモンを感知するために特化した器官です。
フェロモンは、縄張りの主張や発情のサインなどに使われるコミュニケーションに欠かせない物質です。
猫がニオイを嗅ぐ仕草をした後に、目の焦点がとろんとして口を半開きにすることがあります。
これは「フレーメン反応」といい、ヤコブソン器官に通じる開口部を開けて、フェロモンを送り込もうとしている仕草だと考えられています。

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猫の鼻が乾いているのはなぜ?

猫の鼻は、通常しっとりと湿っています。
これは、鼻腔内の腺からの分泌液によるもので、ニオイ物質が嗅細胞に付着しやすくなる効果があります。
猫の鼻が乾いていると、病気ではないかと気になりますが、寝ている時や寝起きの時には猫の鼻は乾いているものなので特に心配はありません。
これ以外の時に鼻が乾いているなら、空気の乾燥が原因の場合や、脱水症状を起こしている可能性があります。
室内の湿度は、40~60%に保つようにしましょう。
オシッコの量が少ない場合、飲んでいる水の量が少ない可能性があります。
水飲み場を増やしたり、お湯をあげたりして、水を十分に飲ませる工夫をしてみてください。
下痢や嘔吐、食欲不振などの症状が一緒に見られる場合には、重大な病気が隠れている場合があるので、動物病院を受診しましょう。


気をつけたい鼻の症状

◆鼻水が出る

鼻水がいつも出ていたり、黄色い鼻水やネバネバした鼻水が出ていたりすると、要注意です。
また、変なニオイがしないかにも気をつけましょう。

【考えられる病気】
猫上部気道器感染症(猫風邪)、副鼻腔炎、異物、口蓋裂(こうがいれつ)、腫瘍、ポリープ、重度の歯槽膿漏

◆鼻血が出る

明確な鼻血だけではなく、鼻水に血が混じっていないかも確認しましょう。
猫の鼻血は、飼い主さんが「軽症なので経過観察してよい」と判断できるケースはありません。
血の色が濃い場合、早期の治療が必要な場合があるので、鼻血があった時点ですぐに動物病院で受診しましょう。

【考えられる病気】
鼻腔内の炎症、腫瘍、ポリープ、異物など

◆くしゃみが出る

観察のポイントは、単発で終わるか、何度も長く続いたり、繰り返し起きたりするのかです。

【考えられる病気】
猫上部気道器感染症、副鼻腔炎、異物、口蓋裂、腫瘍、ポリープ、重度の歯槽膿漏

◆鼻から「がーがー」と音がする

寝ている時だけでなく、呼吸をするたびに鼻から音がする場合、鼻腔が狭くなっているかもしれません。
エキゾチックショートヘアなどの鼻ぺちゃの短頭種や、スコティッシュフォールドなど鼻軟骨の変形を起こしやすい猫種の場合、特に気をつけてあげましょう。

【考えられる病気】
鼻腔狭窄(びくうきょうさく)、猫上部気道器感染症、副鼻腔炎、異物、口蓋裂、腫瘍、ポリープ

◆鼻をヒクヒクさせる

鼻をヒクヒクさせるのは、ニオイを一生懸命嗅いでいる仕草であり、病気ではありません。
しかし、鼻をヒクヒクさせる様子に似ているために、見過ごしがちな病気の症状もあるので気をつけましょう。
鼻の穴だけでなく、鼻の周り全体が動いていたり、頭や胸が呼吸のたびに揺れたりしている場合には、呼吸が苦しいのかもしれません。


猫の鼻に関係する病気

◆猫上部気道器感染症

猫ヘルペスウイルスによる感染症で、「猫風邪(猫コリーザ)」、「猫インフルエンザ」とも呼ばれます。
猫カリシウイルス感染症を併発した場合、両者を合わせて「ウイルス性呼吸器感染症」と呼ばれることもあります。
主な症状は、鼻水、くしゃみ、咳など呼吸器系の症状のほか、食欲不振、鼻の穴付近のヘルペス性皮膚炎、発熱、角膜炎・結膜炎、目やにや涙が増えるなどの目の症状などです。

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◆副鼻腔炎

鼻の奥にある空洞「副鼻腔」内に炎症が発生した状態です。
副鼻腔の一部は鼻腔とつながっており、鼻腔内に炎症があると副鼻腔内に侵入してしまうことがあります。
鼻腔と副鼻腔の炎症は、併発することが多いです。
炎症の結果として、副鼻腔内に海が溜まる「蓄膿症」になることもあります。
主な症状は、さらさら~ネバネバの鼻水、くしゃみ、鼻づまりによる荒い呼吸、鼻筋が盛り上がるなどで、結膜炎や鼻炎を併発することもあります。
鼻や顔を気にする素振りをしていたら、副鼻腔炎の可能性があります。

◆腫瘍

鼻腔や副鼻腔内の腫瘍は、高齢猫に多く、悪性である可能性も高いとされています。
腫瘍には、多く見られる順に、リンパ腫、腺癌、肉腫、扁平上皮癌があります。
腫瘍からの出血で常に鼻血が出ているような状態になるほか、鼻水、鼻づまり、くしゃみなど鼻炎のような症状が出ます。
また、食欲が低下し、元気もなくなります。
進行して腫瘍が大きくなると、顔が変形してしまうこともあります。

◆歯槽膿漏

歯周病が悪化して歯槽膿漏になると、口と鼻を分けている薄い骨に穴が開き、口腔と鼻腔が繋がってしまいます。
口の中の食べ物が鼻の中にも入ってしまうため、くしゃみを頻発したり鼻水や鼻血が出たりするようになります。


猫の鼻の汚れとお手入れ

猫にも、人間と同様、鼻水や鼻くそがあります。
猫の鼻くその色は、茶色~黒です。
猫の鼻くそが黒いのは、中に含まれるポルフィリンという成分のためです。
愛猫が鼻を触らせてくれるなら、ティッシュなどを使って軽くこすって取ってあげましょう。
乾いて固まっている場合には、ウェットティッシュなどで少し湿らせてから取るとよいでしょう。
鼻の奥の鼻くそまで取ろうとする必要はありません。

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まとめ

猫の鼻は、嗅覚器、呼吸器としての役目のほか、温度センサーの役目も果たしています。
猫の嗅覚は人間の数万~数十万倍感度が高く、食べ物か否か、食べられるか否かを判断するほか、縄張りや仲間か敵かを判別する役割を果たしています。
猫の鼻は通常湿っていますが、寝ている時や寝起きには乾いています。
鼻水が出る、鼻血が出る、くしゃみが出る、鼻から異音がするなどの症状が見られる場合、病気が隠れていることがあります。
特に鼻血が出る場合には、様子見をせずにすぐ動物病院に連れていきましょう。
猫は、ニオイで食べ物を認識しており、口呼吸をせず鼻で呼吸をしています。
このため、鼻に問題があることは、猫にとって辛い状態なので、飼い主さんが早く気付いてあげることが大切です。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に14医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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SHINO

SHINO

保護犬1頭と保護猫3匹が「同居人」。一番の関心事は、犬猫のことという「わんにゃんバカ」。健康に長生きしてもらって、一緒に楽しく暮らしたいと思っています。

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