昔の犬の歴史と文豪・川端康成から学ぶ愛犬家心得!時代とともに変化するペット事情とは?

2017.10.21

昔の犬の歴史と文豪・川端康成から学ぶ愛犬家心得!時代とともに変化するペット事情とは?

ノーベル文学賞や文化勲章という名誉を得た文豪川端康成。彼が愛犬家であったことは広く知られています。文豪川端康成が後世まで伝えたかった愛犬家としての心得。 今回は昔の犬の歴史も合わせて、わかりやすく紹介をしていきますので、ぜひ愛犬の飼い方など参考にしてください。

時代別にみるペット事情!犬の飼い方は?

時代別に犬の飼い方をみていくと、やはり昔の犬の飼い方はペットとして可愛がるためではなく、番犬として飼育するというのが主流でした。
いまは室内での飼い方がメジャーになっていますが、以前は外で飼育するのはあたりまえな時代でした。もちろん、現在も屋外飼育をされている家庭も多くありますが、小型犬ブームの影響もあり、室内飼いの家庭は増加傾向にあります。こうして犬の飼い方、人と犬の関係を見ていくと、昔の犬と現代の犬では大きく変化してきているようです。
現代の犬の飼い方をみたら、昔の犬に比べてとてもいい時代になったと文豪川端康成氏も驚くかもしれません。それほど昔の犬たちは扱いがひどい時代があったのです。


江戸時代は放し飼い?

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朝顔狗子図杉戸 – Wikipediaより引用

人と最初に暮らし始めた動物といわれるほど、付き合いの長い犬。江戸時代に生きていた昔の犬たちは、自由奔放な飼い方、言い方を変えると放し飼い状態だったようです。昔の犬で室内での飼い方をしていたのは富裕層の人たちくらいで、庶民の間では闘犬、猟犬などの放し飼いが難しい犬を除いてはみな自由に町の中を歩いていました。
昔の犬の飼い方は、特定の人に飼われている、というよりは、みんなに可愛がられながら、という飼い方のスタイルだったようですね。


昔の犬と戦争

文豪・川端康成氏が愛犬家心得を発表したころの時代は、決して穏やかだったとはいえません。昭和がスタートしたころの日本は、平和な時間を謳歌できる時代ではありませんでした。
昔の犬たちは戦争が起きれば皮を剥がれて兵士を暖め、残った肉を兵士に与えて人の命をつなぐだけでなく、戦地に赴きそのまま帰国することもできない。昔の犬たちはそんな運命を受け入れるしかありませんでした。昔の犬が生きた時代は狂犬病のワクチンも充分でなく、戦争が始まれば犬たちがパニックを起こし暴れたり人を襲ったりする可能性がありました。
人々が過酷な時間を過ごしている最中、昔の犬たちも同じような時間を過ごし懸命に生きてきたのです。


コミックやテレビの影響と飼い方の変化

昭和20年を迎えるころ、世の中にテレビという家電が出現します。
テレビで見たアニメやドラマからコリーやシェパードなど人気が出た犬種が多く、このころから昔の犬の飼い方が現在の飼い方へ繋がっていくきっかけだったのではないでしょうか。
それによって昔の犬たちのようにただの番犬という扱いではなく、川端康成氏が訴える愛犬家の心得が浸透を始めたのです。


江戸時代には犬将軍登場!飼育書やペットのお墓がブームに

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徳川綱吉 – Wikipediaより引用

生類憐みの令といえば犬将軍、徳川綱吉。この政策ですべてが快方へむかったかといえばそうではありませんでした。しかし、犬将軍徳川綱吉のおかげで昔の犬の生き方に変化があったことは事実です。
たとえば犬を食する慣習。現代の世の中でも犬を食する慣習のある国は存在し、この日本でも同じ文化がありました。この文化を完全に絶やすことはできませんでしたが、犬将軍によって昔の犬たちの命が守られるきっかけとなったのは間違いありません。

そして同じく江戸時代、なんと昔の犬たちにもお墓を作る飼い主がいたのです。いまでこそペット専用のお墓やペットと一緒に眠ることのできるお墓がメジャーになっていますが、昔の犬たちにもお墓があったと思うとうれしくなりますよね。さらに調べていくうえでわかったのは、犬将軍が生類憐みの令を掲げるよりも前に長崎県大村市には華丸という犬のお墓が建てられていたということ。悲しい話の多い昔の犬たちでしたが、愛されて生き、供養をしてもらえた昔の犬がいたという事実は、昔の犬の歴史を探る現代の愛犬家である私たちの心を、ほんの少し軽くしてくれるような気がします。

そういえば、この江戸時代にも昔の犬のことを記した飼育書があったのをご存知ですか? 昔の犬の飼い方を説明した本の名前は犬狗養蓄伝(いぬくようちくでん)といい、飼育書と呼べる冊子はこの一冊のみでした。作家は暑い日には自分の愛犬だけでなく、他の犬にも冷たい水わけるほどの愛犬家だったため本の内容も適切で充実しています。
たとえば、「食欲のないときは種類や料理の仕方をかえ、またやり方や時期をかえる」「食器では食べなくても小さな皿か手のひらにわければ食べることがある」など、わかりやすく飼い方が記載されています。読んでいくと昔の犬の飼育方法も現代と大差ないように感じます。

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日本では一番メジャーなペットとして犬が飼われています。犬は飼い主に対してとても忠実で知らない人には吠えたりと、番犬としてもとても人の役に立ってくれます。そんな犬は昔からペットとして飼われ続けており、昔の人々の生活にもかなり役立っていたとされています。番犬はもちろん、猟をする猟犬で活躍したり幅広い範囲で人間とともに生活してきました。そんな犬を人間は大好きなのです。歴史上の偉人にも残っている資料により、犬が好きだったとされる人物がたくさんいます。今回は、そんな偉人をご紹介していきたいと思います。

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文豪川端康成氏が書いた「愛犬家心得」って?


昔の犬の飼い方を記した、作家・暁鐘成氏。彼が愛犬家であったことは先に紹介をしていますが、同じく、作家・川端康成氏もたいへんな愛犬家で有名です。昔の犬を番犬として飼育していた時代、川端康成氏はグレイハウンドやワイヤー・フォックス・テリアなど日本で見る昔の犬たちの中でも珍しい犬種と暮らしていました。有名な作品の中には愛犬をモデルにしたものだけでなく、柴犬など馴染みのある昔の犬も多く登場しています。
そんな愛犬家の文豪川端康成氏が昭和7年に発表したのが、「わが犬の記、愛犬家心得」です。
ここでは、川端康成氏が昔の犬たちを飼育するうえで説く愛犬家心得がどういった内容だったのか、内容の一部をみなさんにご紹介していきたいと思います。

①血統書ばかりでなく、親犬の習性を知る

昔の犬だからではなく、現代でも犬を飼うときには必要なことですね。血統を重視して犬を評価するのではなく、その犬の親の遺伝的な病気について知ることや、親犬の性格を知ることも重要です。

②決して放し飼いにしない

昔の犬は放し飼いでしたが、昔よりも交通量や人口が多い現代ではトラブルも増加しています。トラブルを回避するためには昔の犬と同じ飼い方は避け、小屋を作りリードを使うことが愛犬を守るためには必要なのです。

③犬を飼うというよりも、育てるという心

飼う、という心持より、育てるという心を持てば、自然と優しさや慈しみが生まれます。昔の犬たちは人の要求を受け入れるしかない部分も多かったのでしょう。人を育てるように慈しみの心を犬に対しても長く持ってほしい、そう川端康成氏は願ったのかもしれません。

④一時の気まぐれで犬を買ったりもらったりしない

犬を迎え入れるということは、命を迎えることです。その瞬間から相手の時間を共有します。楽しいことばかりではなく、お金もかかります。一時の感情で流されず、ちゃんと先々を考えることが大切です。もちろん、この言葉は昔の犬だけでなく、今の時代にも当てはまります。

⑤犬に人間の模型を強いて求めず、大自然の命の現れとして愛する

犬将軍徳川綱吉がいた時代、自由奔放に町を歩いていた昔の犬たちは政策の一環で巨大な犬舎に保護されました。人からみれば幸せかもしれませんが、自由をなくした昔の犬たちの中にはストレスで死んでしまうこともあったとか。人に求めるように犬に強いることは、犬の幸せではないのかもしれません。

このように、文豪川端康成氏は11項目にわたり愛犬家心得を綴っています。紹介したもの以外では、「牝犬を飼い、その子犬を育てること」、などもありました。
昔の犬のようにもらったり拾ったりすると扱いが悪くなる。それなら高いお金を出して買えば大切に扱うだろう。
牝犬が生んだ子犬のへその緒を切り育て上げること。それは楽しさだけでなく苦労も知ることができる。
川端康成氏が執筆した愛犬家心得というエッセイは、昔の犬だけでなく、後世にも繋がる濃厚なメッセージが織り込まれた愛家へのメッセージだったのです。


さいごに

ここまで、文豪川端康成氏の愛犬家心得をベースに昔の犬たちの歴史について触れてきましたが、いかがだったでしょうか。
川端康成氏は、かわいい盛りの子犬を売るくらいなら原稿を書く、と言い切るほどの愛犬家で、「外来者があると五色くらいの声で吠えたてた」と作家仲間に書かれるほど多頭飼育をしていたようです。多頭飼育と聞くと、おや? と不安な気持ちになりますが、彼は私利私欲のための安易な繁殖を戒めています。そんな川端康成氏だからこそ昔の犬たちから学び、同時に昔の犬への反省点を知り文字として残せたのかもしれません。
愛犬の病気の治療方法を学ぶより、日々の生活習慣に注意して病気にならないようにする。
これも愛犬家心得の中の一節です。
私たちは愛犬のことを知るように昔の犬たちの歴史を知り、愛犬家の言葉を理解するように昔の犬たちと関わった文豪の言葉を吸収することで、いっそう愛犬との絆を深めることができるのかもしれません。



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犬のいない生活がほとんどないほどの犬好きです。現在は保護犬の里親になり楽しく暮らしています☆

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