スズムシを飼うのは意外と簡単!飼育に必要なものや飼育方法を紹介します!

2021.04.30

スズムシを飼うのは意外と簡単!飼育に必要なものや飼育方法を紹介します!

夜も更け、あたりが暗くなると聞こえてくるあの鳴き声。 秋の風物詩といえば、スズムシの鳴き声を思い浮かべる方も多いのでないでしょうか。 そんなスズムシですが、飼育のしやすさからも実はペットとして人気が高いのです。 今回はスズムシがいったいどんな虫なのか?名前の由来や飼育方法、注意点などをご紹介していきます。

スズムシってどんな虫?

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スズムシは、バッタ目コオロギ科の昆虫です。
北海道や沖縄などを除く日本全国に生息しており、体長は約20mm前後です。

スズムシは古くから「鳴く虫の王」と呼ばれ、黄金の鐘のような声で鳴くことから「鈴虫」と名付けられたそうです。
「秋の鳴く虫」としてわれわれの祖先にも愛され、「万葉集」にも「源氏物語」などの古典にも数多く登場しています

◆スズムシの歴史

スズムシのような鳴く虫はペットショップやホームセンターに足を運べば当たり前のように販売していますが、実は最近始まったわけではありません、

実は鳴く虫が商品化された歴史は古く、江戸時代の中期には「虫売り」が商売として成立していました。

鳴く虫をカゴに入れて鳴き声を楽しむ風流は、平安時代にはすでに貴族階層に流行していました。
貴族がマツムシやスズムシを捕らえてかごに入れて宮中に献上する「虫選び」や、捕らえた虫を庭に放して鳴き声を楽しむ「野放ち」や、 野に出て鳴き声を聴く「虫聞き」などの盛んに行われていました。

つまり、スズムシはく昔から人々に愛されていたのです。
蛍が光ると「初夏」
セミの鳴き声が聞こえると「夏」
スズムシが鳴くと「秋」

季節の移り変わりを虫たちの鳴き声などで感じる人も多いと思いますが、実は世界共通ではありません。

欧米人は虫の鳴き声を雑音として聞いてしまうらしく、私たち日本人のように風情を感じていません。

なぜこんな違いが出てしまうのかには理由があります。
人間の脳は左右で機能が違い、左脳で言語をつかさどり、右脳で雑音の処理をしていますが、なんと日本人は例外的に虫の声をはじめ自然界の音を言葉と同様に左脳で聞いているそうです!

◆スズムシの特徴

スズムシは基本的に夜行性で、草むらなどの陰になっている場所に潜み、夜になると鳴き始めます。季節が変わり涼しくなると昼間でも鳴くようになります。

オスはメスにくらべて羽の幅が広いのが特長でこの羽をすりあわせて美しい声で鳴きます。
実は鳴くのはオスだけでして、メスは鳴きません。
ただ、メスと一緒に飼育するとオスの鳴き声が良くなるといわれています。

スズムシはよくコオロギとよく間違われますが、ちゃんと見比べるとその違いは明確です。

コオロギはずんぐりした身体つきをした種類が多いのですが、スズムシはスリムな身体に、大きな羽を持っています。

◆鳴き声

スズムシの鳴き声はどちらでしょう!
①「チンチロリン」と鳴く
②「リーン、リーン」と鳴く

正解は、②番の「リーン、リーン」と鳴く!
ちなみに①番はマツムシです。

実は、古くはスズムシのことを「マツムシ」、マツムシのことを「スズムシ」と呼ばれていた時代があったようです。
※昔も今もスズムシはスズムシ、マツムシはマツムシという説もあり。

◆寿命

残念ながらスズムシの寿命は短く、卵から孵化してから寿命が尽きるまで約4ヶ月程度しかありません。
鳴くようになるのは成虫になってからで約1~2ヶ月ほどと短いですが、それが季節の移り変わりを楽しませてくれているのでしょう。

寿命が短いのはとても残念ですが、オスとメス同じケースで育てている場合は、
高確率で卵を産みます。毎年卵を産ませて育て、 何年にもわたって続けて飼育できることは良いことでしょう。

◆入手方法

1.野生のスズムシを捕まえる

スズムシは「森」、「林」、「河川敷の草が生い茂った所」、「草むら」にいることが多く、
ススキやネザサなどが生えている場所に生息しています。

日中は身を潜めているため見つけ出すことがとても難しいので、
夜に鳴いているスズムシを狙って捕まえるのがオススメです。

2.ペットショップで購入

ホームセンターやペットショップでも販売しています。

3.インターネット

最近ではインターネットのECサイトでもよく見ます。
成虫だけではなく、卵や幼虫の状態でも入手できます。

4.知人に聞く

スズムシの繁殖は簡単なので、うまく育てている人が譲ってくれるかもしれません。


スズムシの飼育方法

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飼育方法はとても簡単で、子供にも楽しく扱いやすい昆虫です。
スズムシの飼育に必要なものや飼育方法、注意点をご紹介していきます。

◆必要なもの

・ゲージ

大きさは30cmサイズの飼育ケースであれば20匹程度を一緒に飼うことができます。
透明なプラスチック容器や水槽を使って、山や川を意識したレイアウトを作成するのも楽しみの一つです。

・土や流木、竹炭

床土の深さは2~5cmくらいで、スズムシ用の土も市販されています。
土は園芸用の「赤土玉(小粒)」がオススメです。

スズムシは本来、昼間は物陰でじっとしているので、流木や木片を入れ隠れられる場所を用意してあげましょう。黒くて垂直なものを好むので、竹炭がオススメです。

・エサ、エサ台

エサは昔からきゅうり、ナスが定番といわれています。
串やエサ台で食べやすいようにしてあげましょう。

キャベツもエサには最適で、調理では捨ててしまうキャベツの外葉を5cmぐらいの大きさに切って与えましょう。キャベツは腐りにくいので食べきるまで数日から1週間放っておいても大丈夫です。

注意したい点がスズムシはタンパク質が不足すると共食いが始まります。
共食い防止のため、カツオ節や煮干し、ジャコなど、タンパク質を含むエサも与えてあげましょう。カビが生えないように、少量与えて食べきったらまたエサをあげるように注意してください。

・グリーンオアシス

グリーンオアシスとは「乾燥苔」のことです。
グリーンオアシスは乾燥を防止する働きがあり湿度を調整してくれます。

スズムシのように体が小さく鳴く虫は、乾燥した状態が2~3日続いてしまうと、体内の水分が発散されてしまい致命的になることも少なくありません。
苔は水をたっぷり蓄えられるため、忙しいときや水やりを忘れてしまった時に便利です。
ケース内の見栄えも良くなるので、ケージの中にぜひ入れてみてください。

◆スズムシの住み家をつくろう

  1. ゲージやケースの準備
  2. 土や流木は天日干し
  3. 水槽にスズムシ用マットまたは、天日干しした土を敷きつめます。
  4. 霧吹きで水分を加える。
  5. グリーンオアシスに水分を加え設置します。
  6. 隠れ家やレイアウトを整えましょう!
  7. 水分補給のための水飲み場や餌台を設置しましょう。
  8. スズムシを放しましょう。

スズムシを飼う際の注意点

スズムシの習性や特徴をもとに飼う際の注意点をまとめます。

◆日光消毒

土と流木はゲージに入れる前に5~6時間ほど日光消毒をします。新聞紙に土をひき、天日干しをしましょう。面倒な方は園芸用の赤玉土を買ってくるのがお手軽です。

◆土の入れ替え

土が糞で汚れる、またカビが生えてきたら土をすべて交換しましょう。

◆霧吹き

グリーンオアシスはすでに紹介しましたが、スズムシにとって湿気は必要です。
土や流木には、霧吹きで水分をこまめに含ませましょう。

◆直射日光を避ける

スズ虫は、暗い場所を好む夜行性の昆虫です。直射日光の当たらない、涼しいところにゲージを置いて飼いましょう。時間によって直射日光が当たってしまう場所があったりするので、家の中で直射日光が当たる場所は把握し、避けるようにしましょう。

◆タンパク質を与える

スズムシは雑食性の昆虫ですので、色々なものを食べます。弱いものは強いものに食べられてしまうのが自然の摂理です。
スズムシの場合、オスよりもメスの方が強い生き物と言われています。
産卵期になると栄養を補給するため通常の餌では栄養が足りず、メスがオスを食べてしまうことがあるようです

完璧に共食いを防ぐことは難しいですが、タンパク質を与えることで栄養満点にしてあげましょう。

◆殺虫剤・蚊取り線香

部屋にゴキブリが出てきたら殺虫剤を使うことがあると思いますが、スズムシを飼う際は使用を控えましょう。
殺虫剤を使った際に、ゲージや手に殺虫剤の成分がついてしまう可能性が高いです。
殺虫剤の成分で簡単にスズムシが全滅してしまうので注意しましょう。
蚊取り線香も同じく注意が必要です。

◆スズムシの天敵

どんな生物にも「天敵」はつきもので、スズムシも例外ではありません。

スズムシの天敵は同じく秋の代名詞のコオロギなのです。
コオロギはスズムシを捕食してしまうので、一緒に飼ってはいけません。
野生から捕まえてくる際は、コオロギとスズムシを間違わないように注意しましょう。

また、アリや蜘蛛も天敵です。スズムシに比べサイズが小さい生き物ですが
コオロギ同様、スズムシを捕食してしまいます。
飼育ケースの蓋をする前に木綿などの布をかけて、その上から蓋をかぶせるとアリの侵入を防ぐようにしましょう。

スズムシ自体も小さいうちは隙間をくぐって脱走してしまうので、木綿などの布をかけることは効果的です。また、ダニの予防にもなります。


産卵の話

スズムシの寿命は短く、鳴き声を楽しめる期間は約1~2ヶ月と秋には寿命が尽きてしまうスズムシですが、彼らの命のつながりが絶たれる訳ではありません。

オスとメスを一緒に飼っている場合、高確率で死ぬ前に卵を産み付けてくれます。
卵は真っ白で細長く、3mm程度の大きさです。
なんと1匹のメスが100~300個卵を産むといわれています。

◆卵のかえし方

スズムシは卵で冬を越し、翌年の初夏(気温が24~25℃の頃)に孵化します。
自然界と同じように卵を冬の眠りから覚ますのには寒さに当ててやることが必要なので、暖かい室内での保存は避け、風が当たる物置な中などに保存しましょう。
卵は乾燥に強く、産卵後春まで全く水をやらなくても平気です。
土がカラカラに乾いていても卵はちゃんと生きています。

桜の花の咲く頃が水やりのタイミングです。
土が上から下まで黒く湿った状態になるようたっぷりと水をやり、以後時々水を補給して土が乾かないようにします。びしょびしょになって水が浮いたりするようでは水をやりすぎなので注意しましょう。

最初の水やりから約30~40日、5月の半ばを過ぎると、スズムシが孵化します。

孵化したばかりは真っ白な色をしていますが数時間で黒色に変わっていきます。
スズムシの子は2mmくらいしかありませんので、よく注意をして観察してください。
幼虫が孵化したら、脱皮するときの足場のために画用紙などの厚手の紙をじゃばら状に3~4cm幅に交互に折ったものかまたは流木や板だけを入れた新しい容器に移します。
孵化したらすぐに成虫と同じようにエサを与えてあげてください。

スズムシは約1週間ごとに脱皮を繰り返します。はじめは数ミリだった体調も2センチほどになります。

上手に育てて、再び綺麗な音色で「リーン、リーン」と鳴いたときには感動すること間違いなし!


まとめ

ここまでスズムシのことをご紹介してきましたが、またあの鳴き声を聴きたくなってしまいました。
1年中飼える昆虫ではないのが残念ですが、秋の到来を楽しませてくれるのがスズムシです。

音色が聞けるのは1~2ヶ月ですが、産卵から孵化、成虫まで1年中育てることができる昆虫です。
うまく卵をかえせば、前の年の10倍まで数が増えます。
是非、育てたスズムシが成長し鳴き声を聴くという感動的なエピソードを体験してみてください。



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