ペットロス解消には「泣く」ことが大事! 感涙療法士認定講座を受講してきました

2017.05.01

ペットロス解消には「泣く」ことが大事! 感涙療法士認定講座を受講してきました

愛犬や愛猫との別れは、とても辛いものです。悲しくて泣き暮らしているうちに、なぜかとても心が落ち着くことはありませんか? 涙にはなにか、特別な力があるのではないか……。そう考えた私は、感涙療法士認定講座を受講してきました。涙には、やはり素晴らしい力があったのです。

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なぜ、一番泣く人は一番早く立ち直るのだろう?

「ペットロス」とは、愛犬、愛猫などの伴侶動物を失ってしまった後に感じる深い悲しみのことです。ペットロスからなかなか立ち直ることができず長引くと、うつ病などに移行してしまうこともあります。悲嘆に暮れる人がペットロスなどの深い悲しみ(grief)から立ち直れるようにそばで支援することを、「グリーフケア」といいます。
愛玩動物飼養管理士の資格を持っている私は、愛犬や愛猫を亡くし、ペットロスに陥っている人の相談に乗ることがよくあります。一番泣いて、一番がっくりしている息子さんや娘さんはその後、割とケロッと立ち直ります。しかし、お父様やお母様などは気丈そうに見えて、2、3か月後に仕事や家事ができないほど心身のバランスを崩すケースを頻繁に目にし、いつも不思議だと思っていました。

ペットロス
愛犬ハナが亡くなったとき、3か月後くらいにいきなり精神のバランスを崩したのは、亡くなった直後にはあまり泣かなかった母でした

「涙には、人の心を癒す不思議な力があるのではないか?」「涙をグリーフケアに生かすことはできないだろうか」と調べていると、「感涙療法士(かんるいりょうほうし)」(http://www.kanruiryohoshi.com/)という資格があることを知りました。早速、感涙療法士認定講座を受講してきたのでご報告します。


「情動の涙」を流すことができるのは人間だけ

感涙療法士認定講座ではまず、脳ストレスのコントロールに効果的な「セロトニン」研究の第一人者である脳医学者の有田秀穂・東邦大学医学部教授が自ら行う、涙の効用やメカニズムについての授業を受けます。この授業は本当に素晴らしいものでした。
涙には、結膜を潤して眼の乾燥を防ぐ「基礎分泌の涙」、眼に異物が入ったときに結膜を守るために流される「反射の涙」、そして悲しみや感動などで感情が高ぶったときに流される「情動の涙」があります。このうち、「情動の涙」(emotional tear)を流すことができるのは人間だけです。赤ん坊や子どもは不快感や悔しさ、怒りなどのストレスを周りに伝えるために涙を流しますが、精神的に成長すると「感動的な映画を見て泣く」「悲しいニュースを見て泣く」など、自分に生じたことではないのに感動や共感で泣いてしまうことがあります。この、「情動の涙」が流れると、脳はその涙を積極的に活用しようと動き出すのです。


「情動の涙」のストレス解消効果は科学的に立証されています

内臓や血管の機能をコントロールする自律神経系(以下、自律神経)には、交感神経と副交感神経があります。自律神経のバランスが崩れると、心身に不調があらわれます。人がストレスを感じるのは、自律神経の一つである交感神経がはたらき、緊張状態が続いているからです。ストレスや緊張を軽減するには、体の疲れやダメージを回復させて心もリラックスさせる副交感神経に切り替える必要があります。
そして、有田秀穂教授の研究から、感動や共感で泣く「情動の涙」が流れると脈拍が落ち着き、自律神経が「ストレスの交感神経」よりも「人の心身を癒す副交感神経」が優位になることが明らかになりました。人は「思いっきり感動や共感の涙を流す」ことで副交感神経が優位になり、自分の力で精神状態を安定させることができるのです。


「涙活」で心身のバランスを保つことができます

次に、感涙療法士である「なみだ先生」吉田英史さんの授業を受けました。

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涙活について語る吉田英史さん

感涙療法士とは、1か月に2~3分だけでも能動的に涙を流すことでストレスを解消・発散する健康法「涙活」(るいかつ)を指導する資格です。効果的な涙活を行うためには、「自分の感動、泣きのツボ」を探すことが最も重要とのこと。家族や仲間の絆、ペットの話など、自分には何が響くのかを明らかにすることが肝心です。
次に、心の中に溜まっているものを吐き出すことが大切です。吉田さんが提唱するのは賽銭箱ならぬ「涙(るい)千箱」。ティッシュの空き箱などで良いので箱を作り、「伴侶動物を失って辛い」「眠りが浅くなってしまった」など、自分の悩みをメモに書いて入れるのです。こうすることで自分の現在の精神状態や悩みなどを客観視することができます。

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自分の悩みを書いて涙千箱に入れます

「涙活」をペットロスに生かすには

「泣く子どもより、泣かない親御さんのほうがペットロスをこじらせることが多いのです。どのようにすればいいでしょうか?」と質問をしてみました。吉田さんは「お母さんは“私がしっかりしなくちゃ”、お父さんは“男が泣くものではない”と考えてしまうことが多いのです。特に中年以降の男性にその傾向が強いといえます。お父さん、お母さんだって、男だって、みんな泣いていいんです。いえ、泣くべきなんです。僕はその場をつくるためにこの仕事をしています」と答えてくださいました。
伴侶動物を失って、ペットロスに陥ったら……。「感動、共感の涙」が一番の薬です。自分が今までに一番感動した映画を見るのは、気分転換にもなりますし、そこで感動や共感の涙を流すことが涙活になります。感動作と話題の映画を見るのもいいでしょう。私のおすすめは、少年の成長と犬の一生を細やかに描いた「マイ・ドッグ・スキップ」です。

そして、ブログでも、ノートでもいいですから、伴侶動物の思い出をどんどん書いてみてください。書いて、改めて認識することで、気持ちが落ち着きます。
吉田さんの「感涙教室」などを実際に体験するのもいいでしょう。涙のメカニズムなどを知って科学的に納得しつつ、感涙療法士の資格も取りたい方には感涙療法士認定講座の受講を、「涙活」をほかの参加者と共有し、共感力を高めたい方には感涙教室をおすすめします。

ペットロスに悩まれている皆様に、心の平安が訪れることを祈っています。

<取材協力>
感涙療法士 http://www.kanruiryohoshi.com/
なみだ先生~感涙教室~ http://www.tearsteacher.com/



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石原 美紀子

石原 美紀子

青山学院大学卒業後、出版社勤務を経て独立。犬の訓練をドッグトレーニングサロンで学びながら、愛玩動物飼養管理士1級、ペット栄養管理士の資格を取得。著書に「ドッグ・セレクションベスト200」、「室内犬の気持ちがわかる本」(ともに日本文芸社)、「犬からの素敵な贈りもの」(出版社:インフォレスト) など。愛犬はトイ・プードルとオーストラリアン・ラブラドゥードル。

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