ミニチュアシュナウザーはどんな毛の構造をしている?
まずは、ミニチュアシュナウザーの被毛がどんな構造なのか、見ていきましょう。
◆被毛の層が2つに分かれている「ダブルコート」
犬の被毛は、「シングルコート」「ダブルコート」の2種に分けられます。
これらの違いは、「2層になっているかどうか」「換毛期で抜けるかどうか」です。
ダブルコートは、硬めのオーバーコートで外の刺激から体を守り、ふわふわの柔らかな毛質のアンダーコートで体温をコントロールすることができます。
保温効果の高いアンダーコートは、暑い時期には密集度をなくし、すっきりしないと暑くなります。
通気性を持たせるためにボリュームがいらなくなるため、「生え変わり」で不要な毛が抜け落ちていきます。
それが「換毛期」と呼ばれる時期ですが、単層で構成されているシングルコートにはそれがありません。
ミニチュアシュナウザーは、このうちダブルコートと呼ばれる被毛構造です。
◆ワイヤーっぽい被毛が特徴的
ミニチュアシュナウザーは長毛種でボリュームがあり、一見、「ふわっ」「フサフサ」といった印象ですよね。
でも、ダブルコートの被毛構造のオーバーコート(表面の被毛)の方は、少し硬めのワイヤーのような毛質。
手に触れると、ちょっとばかり硬い毛質であることが分かるでしょう。
◆ダブルコートなのに抜け毛があまりない
ダブルコートの犬種は、換毛期になると、部屋に舞う抜け毛が悩みのタネと感じる飼い主さんが多いかと思います。
換毛期は、ワンちゃん達が快適になるための欠かせないものですが、抜け毛がたくさん落ちることで、掃除も大変ですよね。
ミニチュアシュナウザーはダブルコートですが、換毛期がないと言われています。
そのため、一般的なダブルコートの犬種と違って、抜け毛量は少なめです。
◆アレルギーが少ない犬種
犬を飼う上でネックになるのが、犬の被毛が原因で起こるアレルギーでしょう。
アレルギーになると「咳が止まらない」「くしゃみが頻繁」「目がかゆい」「皮膚が赤くなる」「呼吸が苦しい」など、軽めから重めまで、人間の体には厳しい症状が起こります。
アレルギーの原因となる物質の主なものが、犬の抜け毛に付着するフケや皮脂、唾液など。
体じゅう「毛」で覆われている犬の毛は抜けるので、それに触れることで人間がアレルギー症状を起こすのです。
犬と暮らす環境では抜け毛との付き合いが日常的のため、アレルギーがあると分かったら一緒の空間にいるのは難しくなります。
犬から出るアレルギーが拒否反応を起こしてしまうので、「犬好き」という気持ちだけでは、なかなか飼うことができません。
そんななか、「抜け毛が少ない」言われている犬種は、アレルギーに悩む人はもちろん、これから発症するかもしれないリスクを踏まえて、人気があります。
ミニチュアシュナウザーは、抜け毛が少なめの犬種なので、アレルギーが心配な人たちの選択肢として挙げられるケースが多いようです。
ミニチュアシュナウザーのお手入れ方法について
抜け毛が少ないと聞くと、「長毛種なのにケアしなくてもいいの?」と思うかもしれません。
しかし、「ケアが不要」ということではなく、イメージ的には「抜け毛がそんなにない=お手入れがしやすい」と考えた方がいいでしょう。
換毛期や日常的に抜け毛が多い犬種と比べると、抜け毛が少ないワンちゃんは格段にお手入れが楽になるかと思います。
ミニチュアシュナウザーも、毛の構造から抜け毛が少なめでケアしやすいです。
しかし、被毛のお手入れが「ゼロ」になることはなく、どんなワンちゃんも頻度や労力に差はあれ、被毛対策は必要です。
どんなお手入れをすべきなのでしょうか?
◆日常的なケアの基本は「ブラッシング」
ミニチュアシュナウザーの被毛を健康に保つには、まずは「ブラッシング」をしっかりと行いましょう。
・ブラッシングの頻度はどのくらいが適切か
ブラッシングは日常的に行いたいものですが、「毎日やればいいの?」「週に数回程度でもOK?」と頻度に悩む人も多いかもしれません。
ミニチュアシュナウザーは、長い毛の持ち主で毛玉ができやすいことから、できれば毎日してあげるのが理想です。
・ブラッシングにおすすめのグッズ
毛の絡まりやもつれをほぐすのにぴったりなのが、細い針金が大量についている「スリッカーブラシ」です。
ただ、針金で尖った先端のため、力を入れてやるのはNG。
皮膚が傷つかないように、優しく「被毛」をほぐすように、被毛を整えてあげましょう。
また、先端に丸いピンがついた「ピンブラシ」は、毛並みを揃える意味では長毛種のワンちゃんには嬉しいグッズと言えるでしょう。
そのほか、ホコリを取ったり毛艶をアップさせたりできる「獣毛ブラシ」、粗い目で毛の流れが整う「コーム」など、犬用のブラッシングアイテムはたくさんあります。
目的に合わせて、いくつかを使い分け、上手にブラッシングをしてあげましょう。
・毛玉ができないためには日々のお手入れが重要
ミニチュアシュナウザーの被毛は伸びて長くなると、絡まりやすくなります。
もつれたままの被毛を放っておくと、周辺の毛を巻き込んで硬い「毛玉」になることも。
フェルト状の毛玉は空気をこもらせてしまい、皮膚炎のリスクを高めます。
日常的にブラッシングで、毛が絡まないようにしましょう。
・マッサージ効果で皮膚の健康を促進
ブラッシングのメインの目的が「抜け毛を取り除くこと」ですが、ブラシを皮膚にあてると皮膚への適度な刺激になり、マッサージ効果もあります。
血流が良くなり、皮膚が健康へと導かれ、ブラッシングをすることで結果的に美しい被毛が生まれる…、そんなプラスの効果が期待できるでしょう。
・皮膚&被毛を清潔にする効果もある
ブラッシングをすると、被毛に絡まったホコリやゴミの除去もできます。
皮脂やゴミが溜まると、汚れからニオイが発生するかもしれないので、ブラッシングで小さなホコリや汚れを取れば、体が清潔に保てますね。
◆被毛ケアと皮膚病防止を兼ねた「シャンプー」
室内で暮らしていると極端に汚れることがないため、しょっちゅうシャンプーはしなくてもOKです。
ただ、散歩に行って外の汚れも付くので、月1回程度はシャンプーしてあげたいものです。
シャンプーと言えば「ニオイをやわらげる」というイメージがあるかもしれませんが抜け毛対策にもなります。
皮膚を清潔に保って皮膚病対策、そして抜け毛対策とダブルの効果が期待できるでしょう。
◆お手入れは愛犬の病気を防ぐために必要
ミニチュアシュナウザーは抜け毛が少ないので、被毛ケアを怠りがちになるかもしれません。
抜け毛はそれほど多くはないものの、長毛のミニチュアシュナウザーは毛が伸びていくうえ、抜けた毛が落ちにくい特徴があります。
視覚的には「抜け毛が少ないな」と思えても、実際には「抜けた毛が体に残ったまま」のことも多いのです。
ブラッシングやシャンプーなどで、適切に取り除いてあげることができればあまり問題ありませんが、抜けた毛が溜まっていると「通気性が悪い・蒸れる」と皮膚への影響が起こります。
皮膚炎になると、ワンちゃん自身は「痒いな」「痛いな」「イライラするな」と、ストレスの毎日を過ごさなければなりません。
また、本来、ボリュームがあって美しい被毛にも変化が起こり、せっかくのかわいい外見が損なわれてしまうことも…。
愛犬の皮膚の病気を防ぐとともに、可愛らしい見た目をキープするために、抜け毛対策は必要なものです。
ミニチュアシュナウザーはカットした方がいい?
ミニチュアシュナウザーの被毛は、放っておくと伸び続けます。
伸びたままにすると、本来は「ふわっと」しているのに、「もじゃもじゃ」という表現がぴったりかもしれません。
それに伸びた部分には汚れが付きやすくなるので、衛生の観点から見てもよくないですよね。
ミニチュアシュナウザーは、定期的にカットが必要な犬種と言えるでしょう。
◆自分でカットしても大丈夫…?
ペットサロンに定期的に行くと、それだけ金銭的な負担を覚悟しなくてはいけません。
そこで、自分でカットをチャレンジしたいと考える飼い主さんもいるでしょう。
しかし、犬の被毛のカットはとても難しいものです。
見よう見まねで簡単にできるものではないですし、さらに全身の被毛をカットすると結構な時間がかかります。
犬は「何をされているんだろう」「この体勢は勘弁」とストレスになるでしょう。
「犬の毛を切るのに慣れていない飼い主さん」、そして「切られる時間をストレスに感じるワンちゃん」と、二つの要因が重なって、なかなかスムーズにいかないケースが多いかと思います。
しかも、不慣れな手つきで、ミニチュアシュナウザーの顔周りの被毛を尖ったハサミでカットするのは、危険ですよね。
1~2か月に1度程度のタイミングで、ペットサロンにトリミングをお任せする方が安心と言えるでしょう。
◆部分的なカットは飼い主さんでもできる
全身のカットは高度な技術も必要なので、プロにお任せすると安心なうえ、仕上がりが綺麗です。
トリミングが終わると、さらにかわいい愛犬になることでしょう。
ただ、足の裏を見て肉球の間から毛が伸びてきた時、お尻の周りの毛など、部分的な箇所は、飼い主さんでもカットできるようにするといいかもしれませんね。
特に、肉球裏の伸びた被毛は、フローリングで滑ってケガのリスクにも繋がります。
市販のワンちゃん用のバリカン、先端があまり尖っていないハサミなどを使い、慎重に優しく短時間で切ってあげましょう。
◆人気のカットスタイル
ミニチュアシュナウザーのように、長い毛が伸びていく犬種は、いろいろなカットスタイルが楽しめるのが醍醐味です。
昔から多くの飼い主さんに好まれている定番スタイルなのが「シュナウザーカット」です。
ミニチュアシュナウザーのトレードマークとなる目の上の眉毛と口ひげを残してカットします。
ふさふさした口ひげが残るので、ミニチュアシュナウザーらしさが見られるスタイルです。
そして、眉毛やひげを短めにしつつ、顔に丸みをもたせる「テディベアカット」も人気です。
ふだんは四角で角ばった印象のミニチュアシュナウザーが、まん丸でぬいぐるみみたいになるでしょう。
また、頭上の毛だけを残してモヒカンみたいにする「モヒカンカット」は、ちょっとワイルド系に仕上げたいときに選ばれるようです。
ミニチュアシュナウザーの大きな特徴となる顔周りの被毛がなくなり、すっきり感が出ます。
カッコいい印象になって、ふだんは可愛らしいミニチュアシュナウザーのイメチェンにもなりそうですね。
そのほか、「体のどこの毛を残すか・切るか」の組み合わせにより、いろんなカットスタイルが楽しめるでしょう。
まとめ
ミニチュアシュナウザーは、抜け毛が少なめと言われていることから、お手入れのしやすさやアレルギーの起こりにくさで、「我が家に迎えたい」と考えている人も多いかもしれません。
しかし、抜け毛は少ないとは言え、被毛を美しくキープするためには、ブラッシングやシャンプー、定期的なカットは欠かせません。
抜け毛対策をまったくしなければ、見た目に影響するのはもちろんですが、皮膚の病気にも繋がります。
愛犬の見た目の可愛さを保ちつつ、被毛の健康対策として、飼い主さんができるケアをしっかりやってあげましょう。
また、部分的なカットは自宅でもできますが、技術が必要な全身カットはプロに任せるという人も多いです。
プロならではの素敵なスタイルに仕上がるかと思いますので、どんなスタイルにするか楽しんでみてくださいね。
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