1.ドッグフードをふやかして与えるのはいつまで?
1-1.基本的に生後3か月頃まで
1-2.老犬や病気療養中の犬にもおすすめ
2.ドッグフードをふやかすメリット
2-1.消化吸収が良くなる
2-2.喉に詰まらせる危険性が無くなる
2-3.硬いものが食べづらい犬でも食べられる
2-4.ご飯から水分を摂ることができる
2-5.食欲がない時にも食べられる
2-6.満腹感が得られる
2-7.胃捻転の予防
3.ドッグフードをふやかすデメリット
3-1.歯石がつきやすくなる
3-2.顎の力が弱くなる
4.ドッグフードをふやかす時の注意点
4-1.熱湯は使わない
4-2.冷たい水は使わない
4-3.ミネラルウォーターは使わない
4-4.ふやかした時のぬるま湯も一緒に
4-5.作り置きはしない
5.ドッグフードのふやかし方
5-1.ぬるま湯でふやかす
5-2.砕いたフードをぬるま湯でふやかす
5-3.電子レンジでふやかす
6.子犬のご飯の回数、量は?
6-1.子犬のご飯の回数
6-2.子犬のご飯の量
6-3.子犬に必要なカロリー
6-4.獣医のチェックを受ける
ドッグフードをふやかして与えるのはいつまで?
2ヶ月齢くらいの子犬を迎える飼い主さんは、ペットショップやブリーダーさんで、ドライフードをふやかしたものを与えるように教わることが多いでしょう。
では、ご飯をふやかして与えるのはいつまででしょうか?
◆基本的に生後3か月頃まで
子犬の場合、ドライフードをふやかして与える時期は、個体差はありますが、生後3~4ヶ月ごろまでです。
これは、生後3ヶ月ごろには乳歯が生えそろうからです。
ただし、ふやかしていないドライフードに切り替えるのは、徐々に行う必要があります。
1週間ずつ、少しずつ硬いフードに慣らしていくようにして、1ヶ月を目安に、完全にドライフードに切り替えます。
◆老犬や病気療養中の犬にもおすすめ
老犬は、歯周病や歯肉炎でフードを上手く噛むことができなかったり、飲み込む力が弱ってむせたり吐いたりするようになったりします。
また、消化機能が低下したり、食欲が落ちたりする子もいます。
ご飯をふやかすと柔らかくなるので、硬いドライフードが食べづらくなったシニア犬や、歯周病など口の中に問題を抱えた犬にもおすすめです。
また、お湯でふやかすと匂いが強くなるので、嗜好性が増し、食欲の落ちている病気療養中の犬も食べてくれるようになることがあります。
ドッグフードをふやかすメリット
ドッグフードをふやかして与えるメリットについて、ご紹介します。
◆消化吸収が良くなる
子犬の消化器官は、未熟です。
成犬と同じ硬いフードを与えても、十分に消化吸収することができません。
野生のオオカミなど肉食動物の多くは、親が食べたものを吐き戻して離乳期の子どもに与えます。
ドッグフードをふやかして与えるのは、「未消化感」に似せるためなのです。
柔らかくすることで消化吸収がしやすくなるので、消化器官の未熟な子犬だけでなく、消化器官が弱って軟便や便秘になっている犬にもおすすめです。
◆喉に詰まらせる危険性が無くなる
ドライフードを一気に食べると、喉に詰まらせる危険があります。
しかし、ふやかしたご飯なら、その心配はありません。
◆硬いものが食べづらい犬でも食べられる
成犬の80%以上が歯周病になっていると言われています。
歯周病や口内炎など、口の中に問題を抱えていると、硬いドライフードは食べづらく、食べることを嫌がるようになることもあります。
特に、シニア犬は、歯周病などのほか、消化器官も弱ってくるので、ふやかしたご飯が良いことが多いです。
◆ご飯から水分を摂ることができる
ドライフードの水分含有量は、おおむね10%またはそれ以下です。
そのため、十分に水を飲まなければなりませんが、犬によってはあまり水を飲まない子もいます。
ご飯をふやかすときに水分を追加するので、食事で水を補給することができます。
水をあまり飲まない子や便秘気味の子には、ご飯をふやかして与えるとよいでしょう。
◆食欲がない時にも食べられる
犬は、味覚より匂いで「美味しさ」を感じていると言われています。
ふやかすとドライフードの匂いが増して、犬の食欲を刺激します。
病気や夏バテなどで食欲がない時に、ご飯をふやかすと食べてくれることがあります。
◆満腹感が得られる
ふやかすと水分で膨れるため、かさ増しされて満腹感が得られます。
ダイエット中の子におすすめです。
◆胃捻転の予防
犬の身体は、ゲップなどで胃の中の空気を外に出すのが苦手な構造をしています。
そのため、胃が大量のガスで膨れ上がってねじれてしまって、血流が悪くなったり周辺の臓器を圧迫したりする「胃捻転」という病気になることがあります。
ドライフードは、発泡製法で作られているため、粒の中には空気がたくさん含まれています。
ご飯をふやかすと、お湯が粒の中に浸透することで空気が外に押し出されるので、胃の中に無駄な空気が溜まることを予防できます。
胃捻転は、子犬だけではなく、成犬でもなる可能性があります。
ドッグフードをふやかすデメリット
ふやかしたご飯を与え続けると、デメリットが生じることがあります。
◆歯石がつきやすくなる
ドライフードには、噛むことで歯石がつきにくくなる効果があります。
しかし、ふやかしたフードは歯につきやすく、歯垢のもとになります。
犬の場合、歯垢は2~3日で歯石になると言われています。
ふやかしたご飯を与える場合は、毎日の歯磨きをきちんと行いましょう。
◆顎の力が弱くなる
毎日、ふやかしたご飯を与えると、フードを噛むことが無くなるため顎の力が弱くなっていきます。
ふやかしたご飯を健康な成犬に日常的に与えるのは、避けましょう。
ドッグフードをふやかす時の注意点
◆熱湯は使わない
ご飯をふやかすときには、熱湯は使わないようにしましょう。
熱いお湯を使えば早くふやかすことができますが、熱に弱いミネラルやビタミンといった栄養素が破壊される恐れがあります。
ふやかす時間は長くなりますが、水またはぬるま湯でふやかしましょう。
白湯(一度沸騰させたお湯を40℃ほどに冷ましたもの)であれば、問題ありません。
◆冷たい水は使わない
冷たく冷やしたお水も、使わないようにしましょう。
冷たいお水は、犬のお腹を冷やしてしまい、下痢や腹痛を起こす原因になります。
◆ミネラルウォーターは使わない
ご飯をふやかすお湯や水には、ミネラルウォーターを使わないようにしましょう。
犬は、人間ほどミネラルを必要としません。
ミネラルウォーターを使って、ミネラルの摂りすぎになると、尿路結石などの病気の原因になります。
◆ふやかした時のぬるま湯も一緒に
ご飯をふやかすのに使ったぬるま湯は、捨てないで一緒に与えましょう。
ふやかした時のお湯には、ドッグフードに含まれる水溶性の栄養素が溶けだしています。
また、お湯を一緒に与えれば、いっそう水分を補給することにもなります。
◆作り置きはしない
ふやかしたご飯には多量の水が含まれているので、雑菌が繁殖しやすいです。
作り置きをしたものや、食べ残しを保存したものを与えるのは、絶対に止めましょう。
手間はかかりますが、必ず1回分のフードをふやかして与え、食べ残しはすぐに捨ててください。
ドッグフードのふやかし方
ドッグフードの正しいふやかし方を、ご紹介します。
ふやかし方の基本は、「熱湯ではなく30~40℃のぬるま湯で、1回分だけふやかす」です。
◆ぬるま湯でふやかす
一度沸騰させたお湯を、30~40℃まで冷まして白湯にします。
1回分のドライフードを器に入れ、フードがひたひたに浸かる程度の白湯を加えて、ラップをかけます。
そのまま、15~30分置きます。
冷ましてから、食べさせましょう。
◆砕いたフードをぬるま湯でふやかす
ミキサーやフードプロセッサーで、1回分のドライフードを砕きます
ビニール袋に入れて麺棒で叩いて砕くこともできます。
砕いたフードを器に入れて、フードがひたひたに浸かる程度の白湯(30~40℃)を加えて、ラップをかけます。
そのまま、15分置きます。
◆電子レンジでふやかす
電磁波を気にする方もいますが、海外のマウスを使った実験では、電子レンジ調理をしたものと普通に調理したもののどちらを与えても、健康状態に差が出なかったという報告があります。
それでも気になる方は、上記2つのどちらかの方法でふやかしてあげてください。
1回分のドッグフードを電子レンジ対応の器に入れて、フードがひたひたに浸かる程度の水を加えて、ラップをかけます。
600Wの電子レンジであれば、20秒温めます。
冷ましてから、食べさせましょう。
子犬のご飯の回数、量は?
◆子犬のご飯の回数
子犬の消化器官は、未発達です。
このため、1度にたくさんの量を食べさせると、消化不良を起こす可能性があります。
したがって、1日に与える回数を成犬よりも増やさなくてはなりません。
成犬のゴハンの回数は1日2回ですが、子犬のご飯の回数の目安は、生後2ヶ月ごろは1日4回、3~5ヶ月齢は1日3回です。
また、子犬は低血糖になりやすいので、ご飯が不足しないよう気を付けなければなりません。
チワワやトイプードル(特にティーカッププードル)など超小型犬の場合、生後3~4ヶ月ごろでも1日4回程度が良いケースがあります。
ご飯の回数が適切かどうかは、便の状態を見て判断しましょう。
便が緩くなるようなら、1回のフード量が多くて消化不良を起こしていると考えられます。
ウサギの便のような小さくて硬い塊状の便の場合は、ご飯や水分が足りていません。
◆子犬のご飯の量
子犬は、急激に成長するため、生涯で最も摂取カロリーを必要とします。
去勢・避妊手術をしたから、太りやすい犬種だから、サイズが大きくなると嫌だからなどの理由で、ご飯を少量に抑えるのはよくありません。
生後1歳ごろまでは、肥満になることを恐れるより、骨や筋肉、体の組織が健全に発育するようにサポートしましょう。
与えるご飯の量は、ドライフードのパッケージに書かれている月齢と体重別の給与量を参考にします。
◆子犬に必要なカロリー
子犬に必要なカロリーは、月齢や体重だけではなく、季節や生活環境によっても異なります。
夏は、体力の消耗を抑えるために活動量が減り、エネルギーの消費量も減ります。
そのため、必要な摂取カロリーも減少します。
冬は、体温を上げるためにエネルギーを多く必要とするので、必要な摂取カロリーは増えます。
長時間の散歩や、「犬の保育園」などで過ごして活動が豊富だった場合、消費したエネルギーが多いため、必要なカロリーも増えます。
状況に合わせて判断して、子犬のご飯の量を調節してあげましょう。
一般に、犬に必要なカロリーは、体重あたりの体表面積に比例すると言われています。
通常、小型犬の方が体重あたりの体表面積が広いため、大型犬より栄養価の高いフードが必要になります。
◆獣医のチェックを受ける
犬に必要なカロリーの計算式は、計算方法が複雑で、小型犬か大型犬かによっても計算方法が異なります。
計算式にとらわれず、ドッグフードのパッケージに表示された給与量を参考にしてご飯の量を決めましょう。
ワクチン接種の時や、フィラリアやノミ・ダニの予防薬を貰いに行くついでに、獣医さんに体重や体格が適正かどうかを、こまめにチェックしてもらうとよいでしょう。
犬のご飯のふやかし方に関するまとめ
子犬は、消化機能が未発達なので、硬いドライフードを与えると消化不良を起こします。
そのため、子犬にはふやかしたドライフードを与える必要があります。
生後3ヶ月ごろには乳歯が生えそろうので、生後3~4ヶ月ごろまでふやかしたご飯を与えましょう。
ご飯のふやかし方の基本は、「熱湯ではなく30~40℃のぬるま湯で、1回分だけふやかす」です。
また、生後2ヶ月ごろまでは1日4回、3~5ヶ月ごろには1日3回を目安に、ご飯を与えましょう。
ご飯の量が適切かどうか、ワクチン接種の時などを活用して、獣医さんのチェックをこまめに受け、子犬の健康な成長をサポートしてあげましょう。
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