1.熱中症になりやすい犬
1-1.子犬・シニア犬
1-2.短頭種の犬
1-3.寒い地方原産の犬
1-4.肥満の犬
1-5.持病のある犬
1-6.脚が短い犬
1-7.洋犬の長毛種
3.犬が熱中症になった時のサイン
3-1.犬が熱中症になった時のサイン
3-2.冷たい床や壁を探して頻繁に移動する
3-3.急激な体温の上昇
3-4.食欲不振
3-5.ぐったりして起き上がれない
4.犬が熱中症になったら
4-1.犬の熱中症の症状
4-2.熱中症の応急処置
5.暑い時に犬にしてあげられる熱中症対策【室内編】
5-1.室温を下げる
5-2.湿度を下げる
5-3.日陰を作る
5-4.新鮮な飲み水を
5-5.冷却グッズを使う
5-6.手近なもので「ひんやりアイテム」を
6.暑い時に犬にしてあげられる熱中症対策【屋外編】
6-1.犬小屋は日陰で風通しの良い場所に
6-2.飲み水をたっぷり
6-3.散歩は早朝・日没後に
6-4.車内に置いていかない
6-5.冷却グッズで快適に
【掲載:2020.06.17 更新:2022.06.24】
熱中症になりやすい犬
犬はもともと、寒さに強く、暑さに弱い動物なので、夏の暑さには注意が必要です。
中でも、次に挙げる犬は、暑さに弱く、熱中症になるリスクが高いので、気をつけてあげましょう。
◆子犬・シニア犬
生まれたばかりの子犬は、まだ体温調節機能が整っていません。
また、シニア犬は、加齢によって体温調節機能が低下している場合があります。
◆短頭種の犬
犬は、皮膚に汗腺を持っておらず、口を開けて「はあはあ」と呼吸をすること(パンティング)で、唾液を蒸発させて体温を調節しています。
ブルドッグやフレンチブルドッグ、パグ、シーズーなど「短頭種」と言われるマズル(鼻口部)が短い犬種は、鼻孔が小さく気道が短いため、呼吸による体温調節が苦手です。
◆寒い地方原産の犬
シベリアンハスキーやサモエドなど寒い地方が原産の犬種は、寒さに耐えるための分厚い被毛を持っている分、特に暑さを苦手とします。
◆肥満の犬
脂肪には、熱を貯める性質があります。
脂肪の厚い肥満の犬は、体内に熱がこもりやすく、暑さが苦手です。
◆持病のある犬
心臓病や呼吸器、腎臓疾患など持病のある犬は、病気によって血液の循環機能や水分の排出機能が低下したり、呼吸がしにくくなったりしていることがあります。
犬は、呼吸をすることで唾液を蒸発させて体温調節をしているので、これらの機能が低下すると、体温調節が難しくなります。
◆脚が短い犬
犬は、地面との距離が近いため、人間の体感よりも高い気温の場所で活動しています。
小型犬、特にミニチュアダックスフンドなど脚の短い犬種は、地面との距離が特に近くなるので、より暑い環境で過ごすことになります。
◆洋犬の長毛種
ゴールデンレトリバー、マルチーズ、プードルなど、長毛の犬種は、例えるなら夏場に毛皮を着ているようなものなので、体温調節が非常に苦手と言われます。
犬の熱中症危険ゾーン
犬の適温は、人間の適温とは異なるので、注意が必要です。
犬にとっての適温は、人間が少し肌寒く感じるくらいです。
日陰や家の中にいても、風通しが悪かったり、湿度が高かったりすると、熱中症になる危険性があります。
近年の研究で、犬の熱中症の発症率が増えるのは、気温22℃以上、湿度60%以上が一つの目安となるとなることが分かってきました。
犬の熱中症対策は、4月~5月から必要ということです。
犬が熱中症になった時のサイン
犬は、暑さに弱く、熱中症になるリスクが高い動物です。
熱中症は、命にかかわることもあるので、熱中症になりかけている時点でケアをしてあげましょう。
次に挙げるような状態が見られたら、熱中症になりかけているかもしれません。
◆息づかいが荒い
犬は、口を開けて「はあはあ」と呼吸をすることで、体温調節をしています。
犬が激しいパンティングをしている時は、体温が上がりすぎている可能性があります。
◆冷たい床や壁を探して頻繁に移動する
犬は、基本的に自分で冷たい床や壁など涼しい場所を探して過ごしています。
しかし、頻繁に移動するようなら、体温が上がりすぎている可能性があります。
◆急激な体温の上昇
体温が急激に上がっている場合、熱中症になりかけている可能性があります。
耳やお腹を触ると熱い場合には、注意が必要です。
◆食欲不振
他の病気でも食欲がなくなることがありますが、夏場の食欲不振は、熱中症の可能性があります。
◆ぐったりして起き上がれない
犬は寝ていることが多いので分かりにくいですが、ぐったりしている場合には気をつけてあげましょう。
起き上がれない様子が見られたら、熱中症かもしれません。
◆ふらふら歩く
歩くときにふらつきが見られたら、熱中症を疑いましょう。
犬が熱中症になったら
◆犬の熱中症の症状
犬が熱中症になった場合に見られる症状は、以下のとおりです。
これらの症状がみられる場合には、熱中症が重症化しています。
後述の応急処置をしてから、動物病院に連れていきましょう。
- 大量によだれが出る
- 口の中や目の粘膜が充血する
- 嘔吐・下痢
- 意識を失う
- けいれん
◆熱中症の応急処置
愛犬の具合が悪くなったら、すぐにでも動物病院に連れていきたくなりますが、病院に着くまでに時間が経ってしまいます。
さらなる悪化を防ぐためには、まず応急処置を行って、その後、すみやかに動物病院に連れていきましょう。
(1)すぐに風通しが良く、涼しい場所にうつして、扇風機を当てて換気を十分に行います。
(2)水を飲むようであれば、飲ませてあげましょう。
(3)口の中のよだれをぬぐってあげます。
(4)冷たい水に身体全体を浸してあげましょう。
ただし、氷水は急激に冷えすぎるので、使わないようにします。
大型犬などで浸しにくい場合には、体全体に水をかけたり、冷たい水で濡らしたタオルをかけたりして、全身を冷やしてあげましょう。
(5)意識がない場合、犬の頭を氷で包みます。
(6)体温が39.5℃以下に下がったら、冷やすのをやめます。
暑い時に犬にしてあげられる熱中症対策【室内編】
◆室温を下げる
犬にとっての夏の適温は25℃~28℃と言われていますが、エアコンや部屋の広さ、犬種によっても異なります。
人間が快適だと感じる温度で、かつ犬がパンティングをしないような環境を整えてあげましょう。
冷房を効かせすぎると体調を崩してしまうこともあるので、あまり強くかけすぎないようにします。
犬も、人と同じで、外気温との差は5℃までが負担が少ないとされています。
また、冷気は下の方に溜まるため、低い位置で過ごしている犬にとって効きすぎになることもあるので注意しましょう。
扇風機やサーキュレーターを使って、空気を循環させるとよいでしょう。
◆湿度を下げる
湿度が高くなると、気温があまり高くなくても、熱中症のリスクが高まります。
換気をしたり、エアコンの除湿機能を使ったりして、湿度を60%以下、できれば50%まで下げましょう。
◆日陰を作る
カーテンを閉めたり、すだれを使ったりして、直射日光が入らないようにしましょう。
窓の外にアサガオやゴーヤなどのツル性の植物を植えて、「グリーンカーテン」を作ってあげるのもおすすめです。
◆新鮮な飲み水を
熱中症対策には、水分補給が大切です。
いつでも新鮮なお水をたっぷり用意しておきましょう。
ヤギミルクやささみの茹で汁などを凍らせたものを飲み水に入れておくと、水を飲んでくれやすくなります。
◆冷却グッズを使う
大理石やアルミニウム製のマットは、犬の体温を吸収して放熱してくれます。
また、冷却ジェルを使ったマットもおすすめですが、噛み癖のある犬の場合、食い破ってしまうことがあるので注意が必要です。
◆手近なもので「ひんやりアイテム」を
【ペットボトル】
水を入れたペットボトルを凍らせたものは、手近な「ひんやりアイテム」として重宝します。
氷がとけた後の水は冷水として、飲み水にもなります。
500mLのものなら、靴下に入れたりタオルで包んだりすると、枕代わりになります。
2Lのものを数本並べて、扇風機やサーキュレーターの風を当てると、涼感を得られます。
ペットボトルをかじってしまう子には、金属製の湯たんぽに氷水を入れたものがよいでしょう。
万が一の停電時にも、側に寄って涼むことができるので、お留守番の時には用意しておくことをおすすめします。
【保冷剤】
ケーキなどについてくる小さな保冷材も、部分的な冷却におすすめです。
超小型犬なら氷枕代わりになりますし、バンダナやハンカチで包んで首に巻いてあげてもいいでしょう。
また、アルミプレートの縁に置いてあげると、冷感が増します。
暑い時に犬にしてあげられる熱中症対策【屋外編】
◆犬小屋は日陰で風通しの良い場所に
屋外で飼育している場合には、日陰で風通しの良い場所に犬小屋を設置しましょう。
可能であれば、土や芝生の上に居られるようにしてあげるとよいでしょう。
◆飲み水をたっぷり
屋外で飼育している場合や、お散歩の時などには、たっぷりと水を飲めるようにしておきましょう。
ドッグランなどでは、遊びに夢中になって水分補給を忘れてしまうこともあるので、飼い主さんがしっかりと管理してあげてください。
屋外飼育の場合、日陰に水を張った犬用プールやタライを置いてあげるのもいいでしょう。
水を飲むことも、中に入って遊ぶこともできるのでおすすめです。
◆散歩は早朝・日没後に
犬の生活圏は地面に近いので、地面からの照り返しの熱をじかに受けます。
また、熱くなったアスファルトで肉球をやけどすることもあるので、散歩は早朝や日没後に行くようにしましょう。
◆車内に置いていかない
窓を開けていたり、サンシェードをつけていたりしても、夏の車内温度は、エアコンを切ってから急激に上昇します。
ドアを閉めてから5分後には10℃上昇し、車内温度が25℃だった場合38℃近くになります。
さらに1時間後には、50℃以上になります。
たとえ短時間でも、犬を車内に置き去りにしてはいけません。
◆冷却グッズで快適に
水で濡らすと冷たくなる冷却ジェルを使ったペット用のベストやバンダナなどを活用しましょう。
保冷剤を入れられるスカーフやバンダナもおすすめです。
暑い日の犬の熱中症対策に関するまとめ
犬の熱中症のリスクが高まるのは気温22℃以上、湿度60%以上ということが、近年の研究で分かってきました。
短頭種や寒い地域原産の犬種、子犬やシニア犬、持病のある犬などは、特に暑さに弱いので、注意が必要です。
犬と人では快適な温度が異なるので、人が快適で、かつ犬がパンティングをしないような環境を整えるようにしましょう。
エアコンだけではなく、冷却ジェルを使ったマットやアルミ素材のプレートなど、冷却グッズを併用するとよいでしょう。
室温や湿度が分かる見守りカメラや、スマホで外出先から操作できるエアコンなどを導入するのもおすすめです。
いろいろな暑さ対策グッズを活用して、犬を熱中症から守ってあげましょう。
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