狼犬って狼なの?犬なの?狼犬の飼い方やしつけ方法などをご紹介!

2022.10.27

狼犬って狼なの?犬なの?狼犬の飼い方やしつけ方法などをご紹介!

「狼犬」と呼ばれる犬種が存在することを知っていますか? 狼犬は『ウルフドッグ』とも呼ばれ、家畜化された狼と、シベリアン・ハスキーやジャーマン・シェパード・ドッグが掛け合わされて生まれた大型犬の一種です。 それって狼じゃないの?実際に飼えるの? そんな疑問を解決しながら、「狼犬」の魅力と実際の飼い方についてご紹介します!

【目次】
1.狼犬とは?

2.狼犬の歴史
 2-1.犬の祖先は狼?

3.狼犬の種類
 3-1.狼犬の種類①サーロス・ウルフホンド
 3-2.狼犬の種類②チェコスロバキアン・狼犬

4.狼犬の特徴
 4-1.狼犬の特徴①体格
 4-2.狼犬の特徴②毛色
 4-3.狼犬の特徴③寿命

5.狼犬の性格と魅力
 5-1.狼犬の性格
 5-2.狼犬の魅力

6.狼犬の飼い方
 6-1.そもそも日本で飼えるの?
 6-2.狼犬の飼い方①適切な飼育環境
 6-3.狼犬の飼い方②エサについて
 6-4.狼犬を飼う際の注意点

7.狼犬のしつけの仕方

8.狼犬のしつけ方<3つのポイント>
 8-1.狼犬のしつけ方①信頼関係を築く
 8-2.狼犬のしつけ方②社会性
 8-3.狼犬のしつけ方③周囲に注意

9.まとめ

【掲載:2020.10.21  更新:2021.08.20】

狼犬とは?

狼犬とは、シベリアン・ハスキーやジャーマン・シェパード・ドッグなどの犬と狼を交配させた犬種を指します。英語圏では「ウルフドッグ」「ウルフハイブリッド」と呼ばれています。

中でも、狼の血統を75%以上受け継いでいる個体は「ハイパーセント」と言い、狼犬の愛好家の中では特に人気があります。

日本では、狼犬をカナダなどから輸入した雑種とみなされているため、JKC(ジャパンケンネルクラブ)には狼犬は犬種登録されていません。

狼犬


狼犬の歴史

◆犬の祖先は狼?

現代の犬は、生物分類学上では「イエイヌ」に分類されます。
イエイヌはタイリクオオカミの血筋を引いており、そこからさらに分岐した動物であることが明らかになっています。タイリクオオカミから枝分かれした、イエイヌ以外のタイリクオオカミは約30種も存在し、様々なオオカミが存在します。
その中でイエイヌが誕生するというのは、突然変異であり、何らかの影響がなければ現在の犬は存在していなかったかもしれません。

イエイヌの「イエ」とは、家畜化されたという意味で”人間と共に生きる”ということから付けられたようです。イヌになる前、オオカミと人類に何らかの接触があったと確認できるのは、最も古くておよそ40万年前と言われています。


狼犬の種類

狼犬は犬の種類となっていますが、日本で一般的にみられる狼犬は正式に犬種として認められていません。
狼犬として認められているのは「サーロス・ウルフホンド」と「チェコスロバキアン・狼犬」のみです。

ただし、現在国内で飼育されている狼犬はアラスカやカナダなどから輸入されたものが大半で、交雑種であるため、非公認の犬種となります。

公認されている2種類の狼犬の特徴は次のようになります。

◆狼犬の種類①サーロス・ウルフホンド

オランダのサールロース氏が作り出したこの犬種は、オスの体長は65~75cm、メスは60~70cmで頑丈な身体つきであり、かなり長い四肢をもちます。
毛色はウルフグレーと呼ばれる特徴的な獣色やホワイト、クリーミーホワイトがあります。

古代犬種の優れた能力を取り戻すために狼とジャーマン・シェパード・ドッグの交配によって生まれ、狼の血を4分の1引く犬を元に交配が続けられました。その姿は狼と犬の中間とされているものの、狼の特性を多く引き継いでいる犬種です。

であるとされています。

◆狼犬の種類②チェコスロバキアン・狼犬

旧チェコスロバキアで、人間のお手伝いをすることを目的として誕生した犬種です。しっかりとした身体つきで、体長は60~65cmくらいで長方形に見えます。特徴的な明るい色のマスクで、身体はグレーからシルバーグレーです。体型や歩き方、毛色などが狼に似ています。

1955年にジャーマン・シェパード・ドッグと、カルパチアンウルフの交配によって誕生した狼犬種で、その見た目は狼にそっくりであり、正しいしつけを行うことできれば、小さな子供や他の犬とも仲良く暮らすことができるとされています。


狼犬の特徴

◆狼犬の特徴①体格

狼犬の大きさは、交配に関わった犬種や個体によって異なりますが、平均体重は40kg~70kg、体高は60cm~80cm前後であることが多いようです。個体によっては、超大型犬に分類されるほど大きくなることも少なくありません。
顔は細長く、立ち耳、聴覚と嗅覚は他の犬種よりも優れています。

ジャーマン・シェパード・ドッグやシベリアン・ハスキーなどと比較すると痩せて見えますが、体毛の密集度が高いためです。寒さにも強いです。

◆狼犬の特徴②毛色

狼犬の毛色や毛質に関しても個体差があります。しかし、狼犬の交配に深く関わったジャーマン・シェパード・ドッグやハスキー、もしくは狼の外見に似た毛色や毛質に偏ることが多いようです。

正式に狼犬の犬種として認められているチェコスロバキアン・狼犬の毛色に関しては、特徴的な明るいマスクを伴う黄色味がかったグレーからシルバーグレー、明るいマスクを伴うダーク・グレー。頸の下面、前胸には明るい被毛があることが定められています。

◆狼犬の特徴③寿命

日本で飼育されている狼犬の寿命は10年~12年程度です。
しかし、国内の狼犬はカナダから輸入される雑種犬なので、狼犬としての正確な寿命ははっきりしていません。正式な狼犬の寿命は、アメリカのデータによると8年前後と言われています。


狼犬の性格と魅力

h3 id=”5-1″ class=”headlineEntrySub”>◆狼犬の性格

狼犬は狼の野生的な気質があるので、視覚、嗅覚が鋭く強い警戒心を持っています。
敵から身を守るため常に慎重で、神経はとても過敏です。そのため、内向的で神経質な一面を持つことも。用心深いため、環境の変化に敏感に反応することもありますが、野生で生き抜くための本能が働くことで、環境への順応が早い個体も見られます。
一方で犬の特性も兼ね添えているので、家族には愛情深く優しく接し、飼い主に甘えるかわいい一面もあります。

狼犬は、狼の野生気質がいつ出るかわからないという特性があります。気質の強さには個体差があるので、家庭で飼う他の動物や子供との同居は注意が必要です。

◆狼犬の魅力

狼犬は、愛情深く優しい性格の個体が多いとされています。凶暴なイメージがある狼の血を引き継ぐ狼犬ですが、一度仲間であると認めた相手に対しての愛情や信頼は、他の犬種と比べてもはるかに強いものであると言われるほどです。

正しい主従関係、信頼関係を築くことができれば、相手が小さな子供や他の動物であっても、身をていして守ろうとするなどの行動も見られます。


狼犬の飼い方

ここまでお読みいただければわかるように、狼犬を飼うには非常に大変なことがわかります。そうなると、「本当に飼えるの?」といった疑問や「どこで購入するの?」と思う方も少なくないでしょう。

そこで、狼犬を飼うにはどうすれば良いのかをご説明します。

◆そもそも日本で飼えるの?

狼犬は特定動物に指定されているため、飼育するためには各自治体の許可が必要です。
地域によっては「特定犬種」に該当する場合がありますので、飼育する際には各自治体の条例を確認しましょう。

購入するには、狼犬専門のブリーダーから購入するか、輸入代行業者に依頼して海外から輸入をするという方法になります。
とても賢く独立性が強いので、ブリーダーやトレーナーのような熟練者でなければ、完全にしつけることは難しい犬種です。理想とされる1日の運動量も多いので、飼育には充分な敷地面積と設備が必要になります。

飼育頭数もペットとして改良された他の犬種と比べると非常に少なく、日本国内だとわずか500頭前後です。

◆狼犬の飼い方①適切な飼育環境

野生の血が強い狼犬は運動量がかなり多いので、広い庭や1日に2~3時間以上の散歩が必要になります。存分に走り回るためには、1頭当たりで30平方メートル以上の敷地が必要のようです。また、狼犬は並外れた跳躍力があるので低い柵は簡単に跳び超えてしまいます。柵は2~3m以上の高さで設置しなくてはなりません。

また、運動をすることで消費するエネルギー量も多いため、同じ体格の他の犬種と比べてもエサの量が多く必要になることが考えられます。狼犬を家に迎えることを検討するには、狼犬を運動させるための時間が確保できるか、経済的に余裕があるかなどを十分考える必要があります。

◆狼犬の飼い方②エサについて

狼犬は体が大きく食事量が多いので、エサ代は毎月20万~30万円程度かかると言われています。
主食は鹿肉や羊肉などの生肉ですが、ドッグフードで大丈夫です。しかし狼犬は体質が肉食寄りのため、個体によってはドッグフードを消化しにくい犬もいます。
運動量の多い狼犬には、カルシウムの配合率が高めのドッグフードが適しています。肥満になると股関節や脊椎などの病気になりやすいので、低コレステロールで栄養バランスがとれるエサを用意してあげましょう。

◆狼犬を飼う際の注意点

小型犬や中型犬とは比にならない力があり、牙も鋭くなっています。
狼犬の性格でも述べましたが、警戒心や野性味もあることから飼いやすい犬種ではないことを理解しておく必要があります。
しかし、このような性格から、飼い主さんを仲間、リーダーと認めていれば、むやみに人間を襲うことはありません。ただ、犬よりも自立心が強く、自分で物事を考えて行動することがあるため、飼い主の思い通りにならない場合もあります。

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狼犬のしつけの仕方

走る狼犬

狼の血が入っているため、狼犬を飼うのであればしっかりとした厳しいしつけを行うことが重要です。普段から時間をかけて十分なコミュニケーションを図り、強いリーダーシップを示すことが大切です。
信頼関係が崩れると攻撃的な行動を取ることも…

警戒心が強い一面があるので、トラブル防止のためにも散歩中は、周囲の人や犬と一定の距離感をとってあげてくださいね。


狼犬のしつけ方<3つのポイント>

狼犬はしつけが難しく根気が必要です。犬のしつけの経験が豊富な中級者、上級者向けの犬と言われているので、初心者にはおすすめできません。それでも狼犬を飼いたい場合は、飼い主さんに的確なアドバイスをくれるトレーナーさんと共に、繰り返ししつけることも大切です。

◆狼犬のしつけ方①信頼関係を築く

野生の血が濃い狼犬と暮らすためには、飼い主さんと信頼関係をしっかり築き、関係性をはっきりさせておく必要があります。狼犬は集団で行動し、リーダーに従いながら生きてきました。飼い主さんが狼犬にとっての信頼できるリーダーになることが良好な生活を送るカギになります。

◆狼犬のしつけ方②社会性

警戒心が強く内向的な狼犬には、子犬期のうちに社会性を身に着けさせることが大切です。生後3週~16週の間に多くの人や犬に関わらせ、社会化訓練を行いましょう。

◆狼犬のしつけ方③周囲に注意

狼犬はほかの犬や車などからは一定の距離を保ちながら散歩させてください。
神経過敏で、警戒心もある狼犬は、散歩中に他の犬や人に向かって吠えることも少なくありません。力も強いので飼い主さんが引っ張られて、制止できなくなることもあります。飛びかかったり、咬みついたりする可能性が高い犬種なので、散歩する時は十分注意しましょう。


まとめ

狼犬の凛としたたたずまいやキリッとした目、飼い主さんに従順な姿は、非常に魅力的です。
しかし、珍しい犬種だから、かっこいいからと安易に入手すると、後々しつけに困ったり、経済的に行き詰まったり、十分に管理が行き届かず事故に繋がってしまう可能性もあります。
飼育を検討する場合には、前述したことを踏まえ、飼うための注意点を理解しましょう。

ペットとしては上級者向けと言える、野生味に溢れた狼犬。
ほかの犬よりも注意が必要で、飼育が大変なことは事実です。
狼犬は一度信頼関係を築ければ、生涯最良のパートナーとして寄り添ってくれる魅力的な犬です。
希少な犬なので、狼犬を家族として迎えたいと考えている方は、狼犬の特性を理解し、しっかりと情報収集されることをおすすめします。



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笹本 雅

笹本 雅

犬が好きです。小型犬でも大型犬でもとにかく犬が大好きです。これから犬種についてや豆知識や健康についてなど、幅広いワンちゃんについての情報をご提供していきます。犬好きの方にぜひとも見ていただいてご意見いただければと思います!


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