1.老犬がゴハンを食べなくなったら
2.寝たきりの老犬に必要なカロリー
2-1.老犬はカロリーオーバーに注意
2-2.カロリー計算の方法
3.犬に流動食を与えるメリット
3-1.流動食のメリット①飲み込む力が衰えた愛犬に
3-2.流動食のメリット②消化が良い
3-3.流動食のメリット③水分補給になる
3-4.流動食のメリット④病中・病後の犬にもおすすめ
4.犬の流動食の作り方
4-1.流老犬に必要な栄養
4-2.いつものドライフードで
4-3.手作り食
5.犬への流動食の与え方
5-1.流動食に必要な道具
5-2.食前の準備
5-3.犬の姿勢
5-4.口の端から流し込む
5-5.与えるスピード
5-6.胃に流し込む
5-7.食べ終えたら
【掲載:2020.10.22 更新:2022.10.03】
老犬がゴハンを食べなくなったら
老犬でも、ゴハンを食べなくなる理由は複数あります。
病気が原因の場合もあるので、飼い主さんが自己判断せず、まずは獣医師さんに相談しましょう。
病気以外で老犬がフードを食べなくなる理由は、
- 消化器官が衰え、食が細くなった
- 嗅覚が衰え、食べ物の匂いを感じなくなった
- 筋力が低下して、食べる姿勢が辛い
- 歯が悪くなった
などが考えられます。
嗅覚が衰えている場合には、フードを温めて匂いを強くしてあげると、食べるようになることがあります。
筋力が低下している場合には、頭を下げて食べることが辛くなるので、愛犬の体格にあった食器台を用意してあげるとよいでしょう。
歯が悪くなっている場合には、獣医師さんに相談して、処置をしてもらいましょう。
寝たきりの老犬に必要なカロリー
◆老犬はカロリーオーバーに注意
寝たきりの老犬でも、肥満は心臓など体に負担をかけ、重大な病気につながることもあります。
適正な体重を維持するためには、必要なカロリーに見合った量のフードを与えなくてはなりません。
老犬になると、若いころに比べて必要なカロリーが約20%減ると言われています。
改めて、愛犬に必要なカロリーを計算しておきましょう。
ただし、計算で得られる数値は、あくまで計算上の必要カロリーです。
フードの適量は愛犬の体質、その日の体調や気温などによって変化していくので、愛犬の様子を観察しながら調節しましょう。
◆カロリー計算の方法
安静時に必要なエネルギー量(RER)を計算して、これを基に、実際に1日に必要なエネルギー量(DER)を算出します。
RERを計算するには、適正体重を知る必要があります。
適正体重は、犬種や個々の体格によって1頭1頭異なるので、あらかじめ動物病院で教えてもらっておきましょう。
RER=70×【適正体重(kg)】^0.75
RERの計算は「^0.75」(0.75乗)の部分が難しいので、電卓を使うとよいでしょう。
【適正体重(kg)】を3回かけ、次に「ルートボタン」(√)を2回続けて押し、最後に70をかけた値がRERです。
DER=【状況による数値】×RER
「状況による数値」とは、年齢や避妊・去勢手術をしているかいないかなどで決まる数値です。
老犬では、1.4となります。
犬に流動食を与えるメリット
◆流動食のメリット①飲み込む力が衰えた愛犬に
老犬は、嚥下能力(飲み込む力)が衰えます。
そのため、固形のフードでは上手く呑み込めず、食べづらそうにしたり吐き戻してしまったりします。
流動食は柔らかく、飲み込む力が衰えていても飲み込みやすいです。
◆流動食のメリット②消化が良い
ペースト状になっているので消化が良く、消化器官の弱った老犬でも消化しやすいです。
◆流動食のメリット③水分補給になる
流動食は水分を多く含むので、普段あまり水を飲まない子の水分補給にもなります。
◆流動食のメリット④病中・病後の犬にもおすすめ
病気の愛犬や病後の回復期にある愛犬で食欲がない子にも、流動食がおすすめです。
特に、口の中にできものがあるなど、普通のフードでは痛みなどがあり食べづらい子には、流動食を与えてあげるとよいでしょう。
流動食を与える際は、獣医師さんと相談のうえ、指示に従ってください。
犬の流動食の作り方
◆老犬に必要な栄養
食欲が落ちてきたり、痩せてきたりした老犬には、高カロリーで高栄養のフードが必要です。
消化に良く、高タンパク質、少量で脂肪やビタミンが十分に摂れるものがよいでしょう。
タンパク質は、植物性のものより、動物性たんぱく質の方がおすすめです。
積極的に取り入れたい栄養素は、
- 動物性タンパク質:筋肉の維持に
- オメガ-3脂肪酸:認知症予防、被毛・皮膚の健康に
- コンドロイチン、グルコサミン:関節に
- プロバイオティクス(生きた善玉菌)、プレバイオティクス(善玉菌の餌となるオリゴ糖や食物繊維):お腹の調子を整える
です。
◆いつものドライフードで
- ドライフードは、人肌程度のお湯でふやかしておく
- フードに少量のぬるま湯を加え、ミキサーで滑らかにする
- ぬるま湯を少しずつ足して、与えやすい硬さに調節する
- シリンジに流動食を入れる
※ドライフードをミル(コーヒーミルなど)で、粉状にするとふやかしやすい
※2 水分は、多すぎると与える量が増えて犬の負担になるが、少なすぎると与えづらいため、愛犬の様子を見ながら調節する
※3 水分が多すぎると下痢をする子もいるので注意
◆犬の手作り食
- 肉や、加熱に強い野菜を煮込んでスープを作る
- ぬるま湯を足しながら、ミキサーでなめらかなペースト状にする
犬への流動食の与え方
◆流動食の必要な道具
シリンジ
流動食や水を入れて、愛犬の口の中に流し込むためにシリンジを利用します。
中型犬~大型犬であれば、ハチミツやドレッシング用の空容器を使うと与えやすいです。
シリンジは、犬専用のものがあり、ネット通販などで販売されています。
ハチミツなどの空容器は、100円ショップでも購入できます。
ペットシーツ
流動食は、口からこぼれやすいです。
タオルなどを、口元や前胸に添えてあげましょう。
介護は長くなることもあります。
タオルは洗濯が必要で、飼い主さんの負担になることも。
ペットシーツは使い捨て出来るので、便利です。
汚れふきシート
こぼれた流動食で、口の周りが汚れます。
食後に口の周りを拭くための汚れふきシートも、用意しましょう。
体から出るべたつきやニオイをしっかり拭き取り、植物由来の高保湿成分で被毛の乾燥やパサつきを防ぎます。
舐めても安心で、顔周りにも使えるので、口の周りの汚れを拭き取るのにピッタリの商品です。
寝たきりでシャンプーできない時に全身を拭いたり、おむつ交換時のニオイや汚れを落としたりすることもできるので、老犬の介護をする際には常備しておくとよいかもしれません。
◆食前の準備
食前には、寝返りを打たせたり、体をマッサージしたりして、筋肉をほぐして体を温めてあげましょう。
飼い主さんの人差し指に塗った流動食を、口の中に入れて舌の上に乗せてあげると、口の準備運動になります。
愛犬が舌をぺろぺろと動かせば、準備ができています。
「ゴハンだよ」など、声をかけてあげながらフードを与え始めましょう。
◆犬の姿勢
流動食を与えるときには、犬の上半身を少し起こして、頭を少し高くしてあげましょう。
フードが口から喉、胃へと自然に落ちていきます。
横になったまま与えると、食事が喉や食道に詰まることがあり、顎だけを上に向けた状態で与えると、食べ物が誤って気管に入る「誤嚥」が起きる危険性があります。
誤嚥すると、誤嚥性肺炎を発症することがあり危険です。
フセのできる愛犬は、膝の上でフセをさせましょう。
寝たきりの愛犬は、クッションや丸めた毛布などにもたれさせると良いでしょう。
◆口の端から流し込む
愛犬の顎にタオルなどを当てて顔を支えながら、シリンジの先端を口の端に入れて、少しずつ流し込みます。
シリンジの先は、犬歯の後ろから口先へ向けて入れましょう。
フードを口に含んだら、喉を優しくさすります。
◆与えるスピード
一口分の量を、ゆっくり流し込みます。
食べ終えるまでに時間のかかる子もいるので、焦ることなく、急がずに、ゆっくりと与えましょう。
一方で、食事の時間が長くなると愛犬が疲れてしまうので、できれば短時間で効率的に与えたいところです。
必要な物は事前に準備して、手元に置いておきましょう。
◆胃に流し込む
飲み込む力が衰えているので、流動食が口の中に残っていたり、飲み込んでも食道に引っかかっていたりすることがあります。
フードが胃に送られるのを助けるために、食事中に時々、水を少し飲ませましょう。
流動食→水→流動食→水…と繰り返すとよいでしょう。
◆食べ終えたら
老犬は免疫力が落ちているため、口の中を汚れたままにすると歯周病の原因となります。
歯周病は、他の病気の原因になることもあるので注意が必要です。
食べ終えたら、水で口を湿らせて口の中をガーゼや歯ブラシできれいにしてあげましょう。
口の周りもきれいに拭いてあげた後、20~30分、頭を高くした姿勢を保って様子を見ます。
この時、体をマッサージしてあげてもいいでしょう。
おすすめの犬の流動食
◆カロリーエースプラス 犬用流動食 85g×24缶
離乳期や産前産後・病中病後・シニア期の栄養補給に適しています。<総合栄養食>
離乳期や産前産後・病中病後・シニア期の栄養補給に適した総合栄養食です。
高タンパク、高カロリーのとろみのあるスープ状のフードで、飲むことで栄養を補給することができます。
口コミでも、「小型の缶なので、いつも新鮮なものを与えられるのがよかった」、「栄養がぎゅっと詰まっていて吸収がよく、体力回復に最適」と好評です。
◆わんわんカロリー
やさしい流動食、濃厚なおいしい味わい、 超小型犬、小型犬に与えやすい飲みきりサイズ
1パック25gと、超小型犬・小型犬に与えやすい食べきりサイズの流動食です。
濃厚なおいしい味わいで、食欲の衰えた愛犬でも食欲がそそられるでしょう。
口コミでも、「食の細った愛犬も食いつきよく食べてくれた」、「老衰が進んだ愛犬がよろこんで食べた」など、食いつきの良さで高評価を得ています。
犬の流動食に関するまとめ
老犬が食べなくなる理由は複数あり、病気の場合もあるので、まずは獣医師さんに相談しましょう。
老化による身体機能の衰えが原因で食べなくなっている場合には、原因に合わせて食べやすくする工夫をしてあげるとよいでしょう。
流動食は、寝たきりになったなど、飲み込む力が衰えてしまった愛犬のほか、病中・病後の子にもおすすめです。
流動食を与える際には、誤嚥や喉にフードが詰まることを防ぐため、頭を少し高くした姿勢を取らせます。
食べ終えるのに時間がかかる子もいるので、焦らず、急ぐことなく、ゆっくりと与えましょう。
老犬の介護は、飼い主さんも愛犬も大変な面がたくさんあります。
飼い主さんも愛犬も大変になり過ぎない工夫をしたり、市販のフードを活用したりしましょう。
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