犬のヒゲは大切!その役割とは?カットはしてもいい?

2024.02.23

犬のヒゲは大切!その役割とは?カットはしてもいい?

猫のひげは重要なもの、という話を聞いたことのある方は多いでしょう。猫にとってひげは、大切な役割をもつ、無くてはならない存在だといえます。しかし犬の場合、ひげには猫と同じような重要性はあるのでしょうか?最近ではトリミングでカットを希望する飼い主さんも多いですよね。今回は、そんな犬のひげに注目してみましょう。役割とは何か、切ってもよいものなのか、猫のひげとの違いはどこなのか、しっかりチェックしていきましょう。

【掲載:2021.03.15  更新:2023.01.20】

犬のひげの仕組み

犬のひげ

ヒゲは犬や猫に限らず、さまざまな哺乳類・動物にみられるものです。中でも特に、猫のヒゲについて研究が進められています。
猫のヒゲは、別名「触毛」とも呼ばれています。通常の体毛よりも2倍程太く、また通常の3倍も深く体内に埋め込まれているそうですよ。このヒゲの根元には感覚受容器が豊富に存在しており、人間の毛幅のわずか1/2000程度の動きを検知できるといわれているのです。
ヒゲの根元には、血液で満たされている環状洞と呼ばれる器官があり、ヒゲの振動を増幅して近くに分布している知覚神経へと信号を伝えています。このことから、ヒゲはとても敏感で重要な機能をもつ感覚器官であることが分かりますよね。
犬のひげの形態に関しても、その機能はヒゲを持つ他の動物・小動物と共通することが、いくつかの調査において確認されています。猫にとってヒゲが大切な存在であるように、犬にとっても必要なものであることは間違いないでしょう。それでは、実際にどのような機能をもっているのかみていきましょう。

◆根元に神経がある

ヒゲの根元には神経が集中しています。血液の袋の中に浮いたような構造をしているのです。神経が集中していることから、何かが触れると刺激をキャッチする仕組みとなっており、伝わった刺激は脳に伝達されるというわけです。愛犬の口元を触ると、ピクッと反応したり、嫌がって顔を背けたりするでしょう。

◆筋肉につながっている

ヒゲは筋肉にも繋がっています。そのため、犬は自分のヒゲを自由に動かすことができるのです。
犬が何かに近づくときは、まずヒゲを動かす小さな筋肉が、わずかにヒゲを前方へ動かすそうですよ。犬の視力はあまりよくありません。視界が鮮明でないため、ヒゲを用いて危険な物がないかどうかを手探りしている状態に似ているかもしれませんね。

◆人間の指紋のようなもの

犬の顔の横に位置しているヒゲの生え方には、実は個体差があります。人間に例えると、それは指紋のようなものだといえるでしょう。


犬のひげの役割とは

犬のヒゲがもつ主な役割は、以下の通りです。

  • 空気の流れ・気流を読み、獲物の匂いを察知する。
  • 上毛(目の上のヒゲ)に何かが当たると反射的に目を閉じる。
  • 獲物に触れ、振動で生死を判断する。
  • 障害物を感知し、道幅などの情報を得る。
  • 気分・感情を表している。

◆外部センサーの役割がある

ヒゲは重要な「触覚受容器」になり、触れたものを察知するためのセンサーとして活躍している器官です。
本来であれば獲物、障害物などの情報を得るために、ヒゲをフル活用していたのです。現代においても、周囲の情報を得るために活躍している器官だといえます。

◆特に高齢犬にとって大切な感覚器官

犬もシニア期にはいると加齢により、視覚・聴覚などの機能低下がみられるようになります。この感覚器官の衰えを補助する意味でも、ヒゲには大きな役割があるといえるでしょう。ヒゲが不足している感覚器の部分を、助けてくれるわけですね。このため、シニア犬のヒゲを切ってしまうと、悪影響を及ぼす場合もあるので覚えておきましょう。


犬と猫のひげの違い

トイプードル

同じような機能をもつ犬と猫のヒゲですが、犬の場合、猫のヒゲと比べると機能的な退化がみられます。
猫にとってのヒゲは、平衡感覚を保ったり、気象レーダーのようなアンテナの役割をもつ、とても発達した重要器官となりますが、犬の場合はそうではありません。
犬は野生時代の頃から現代に至って、家犬としての生活をすることがほとんどの状態となりました。環境の変化に伴い名残はあるにしても、ヒゲがもつ機能力は低下してきているとも考えられるでしょう。
また犬の場合、視覚や嗅覚でヒゲの役割をカバーできることから、猫のようにヒゲが無くては生活ができないというわけではないのです。
そして実は、ヒゲの生える位置にも違いがあります。犬のひげは、目の上・口吻の上部・顔の横・顎下に生えていますよね。猫の場合は犬と同じ顔回りの他、前足の手根部後面にも生えているのです。


犬のひげは切ってもいいのか

プードルのひげ

犬には適応能力もあり、前述したように視覚や嗅覚がその機能をカバーすることができます。このことから、ヒゲがなくても通常通りの生活を送ることは可能なのです。
しかし、感覚機能であり、れっきとした役割もあることから、むやみにヒゲを切る必要はないでしょう。
切ってはいけないわけではありませんが、外見上の問題以外にヒゲを切る理由はほぼないのです。
愛犬のヒゲをカットするかどうかは、飼い主さんの考え方次第といったところでしょう。

◆犬のひげを切る目的

前述したように、ヒゲを切る目的としてあげられるのは、見た目を整えるためという理由であることがほとんどでしょう。外見上・美容の意味合いが大きく、口元をスッキリさせたり、可愛く見せたいといった場合に、飼い主さんはカットを希望すると思います。
愛犬のカットスタイルにも左右されますが、ぬいぐるみのように丸みを帯びた可愛い雰囲気にしたい!と考えている場合は、ヒゲを短く揃えた方が理想に近くなるでしょう。
反対に、愛犬に自然な雰囲気を保って欲しい飼い主さんは、そのままヒゲを残すことが多いそうです。

◆デメリット

ヒゲのカットはほとんどの場合、外見上の希望を叶えるためのものです。犬はヒゲを切っても生活に困ることはありませんが、情報をキャッチしたり、感情を伝えるためにも活用される感覚器官である、ということはを忘れてはいけません。
特に高齢犬であれば、ヒゲを残しておくことが推奨されます。
どうしてもトリミングなどでカットしたい場合には、感覚器としてのヒゲを部分的に残してあげるとよいかもしれませんね。

◆カットの方法

トリミングサロンでヒゲのカットをしてもらう家庭も多いですが、中には自宅で愛犬のカットをしたいという飼い主さんもいるでしょう。
自宅でヒゲをカットするときは、できるだけ小さいハサミを用意するとよいでしょう。
まず、利き手と反対側の手で愛犬の顔をしっかりと安定させますヒゲは根元の皮膚が盛り上がっているので、その場所を避けつつ、なるべく根元に近い部分をカットしましょう。
ただし、犬の毛根は他の被毛と比べて、2~3倍程深い部分に埋まっていて神経と繋がっています。ヒゲに触れられると反射的に動いたり、嫌がって暴れる個体も少なくないので、充分注意してくださいね。
カット方法はネット記事でもさまざま紹介されていますので、その解説を参考にしてみるのもよいでしょう。

そしてヒゲのカットのしやすさは、犬種によっても異なります。
例えば被毛がフワフワしている犬種の場合、被毛とヒゲとの区別がつきにくい場合があるでしょう。トイプードルなどが愛犬の場合は、家庭でカットするのは中々大変かもしれません。
いずれにしろ、仕上がりの問題に限らず、自宅のカットでは怪我をさせてしまう可能性があるということを、頭に入れておいてください。可能な限り、トリマーさんにお願いすることがおすすめです。


犬のひげは抜けるのか

頑丈に生えていそうな犬のヒゲですが、加齢やストレスなどによって、抜けることがあります。また換毛期もありますので、そのタイミングで抜けるケースもあるでしょう。
被毛とヒゲの違いに対して疑問を持つ方もいますよね。併せてヒゲの生えかわりに関しても紹介していきましょう。

◆被毛とひげの違い

被毛は、皮膚の奥深くに毛根があり、一つの毛穴から複数の毛が密集して生えています。毛の成長期には、毛母細胞が盛んに分裂することで、角質化して伸びてきます。
その後は、毛母細胞が死んで成長が止まる→、新しい毛母細胞が生まれて新しい毛を生成する→古い毛が脱毛する、といったサイクルで進んでいくのです。
一方ヒゲは、普通の被毛より2倍以上太く、3倍も深い体内の部分に埋め込まれています。

◆定期的に生え変わる

犬のヒゲは本来、1年に2回程度の頻度で抜け変わるそうです。この時期は自然とヒゲが抜け落ちるため、愛犬が痛みを感じることはないでしょう。
ヒゲの抜け変わりは、徐々に抜けていき少しずつ新しいヒゲが伸びる仕組みとなっているため、一気にヒゲが抜けた場合は病気の可能性が考えられるでしょう。注意点として覚えておき、日頃から愛犬をしっかり観察しておいてくださいね。
皮膚病やニキビダニなどが原因で、ヒゲ・口元の被毛が大量に抜け落ちるケースもあります。愛犬が痒がっていたり、毛穴に腫れなどの症状がみられる場合は、一度動物病院を受診して獣医さんに相談しましょう。

◆無理に抜いてはいけない

犬のヒゲを、無理矢理抜くことは絶対にしないでください。ヒゲの根元には神経・血管が集中しているため、痛覚があります。無理やり抜くと、愛犬が痛みを感じてしまいます。また、毛穴からの出血や患部が化膿するリスクもあるので、NG行為だといえるでしょう。


犬のひげが枝毛や白髪になる理由

柴犬のヒゲ

犬のヒゲのトラブルとして、枝毛や白髪などが挙げられます。人間にとっても悩みの種とたなる、この枝毛・白髪ですが、実は犬のヒゲにも起こる問題です。それぞれ、詳しく紹介していきましょう。

◆枝毛

愛犬がヒゲ周辺の皮膚を強い力で掻きむしったりしてしまうと、ヒゲが折れたり、ちぎれたりしてしまいます。これが枝毛が発生する状況の原因となるのです。ただ、ヒゲに枝毛があったとしても大丈夫です。特に心配する必要はないでしょう。
しかし、愛犬にあまりにも頻繁にヒゲの周りを掻くような行動がみられるようであれば、耳ダニ・皮膚炎などの病気を発症している可能性があります。気になる様子がみられるのであれば、一度動物病院を受診しましょう。

◆白髪

犬のヒゲには元々、茶色や黒などのさまざまな毛色の種類があるのです。黒いヒゲの中に、白いヒゲが混ざって生えていることももちろんあります。
しかし、元々は違う色だったヒゲが歳を重ねていく内に白髪のようになった場合は、老化が原因だと考えられます。ただ人間と一緒で、これも自然現象なので問題はありません。
もしも愛犬のヒゲが白髪になるだけでなく、カールするように曲がってきた場合は、タンパク質などの栄養不足の可能性もでてきます。栄養バランスが崩れてしまうと、血行不良を起こし、白髪の原因ともなりますので、日頃から愛犬に与える食事内容に注意し、栄養バランスがしっかりとれるよう気を付けてあげましょう。


まとめ

人間にとってはヒゲときくと男性がイメージされるかもしれませんが、犬にとっては性別に限らず、感覚器官としての役割をもつ体の一部です。
愛犬の状態・状況によっては、ヒゲのカットがすすめられない場合もある、ということを忘れないでくださいね。
とはいえ、ヒゲのカットには外見を整えられるというメリットもありますので、愛犬の健康状態や年齢に特に問題がなければカットするのも一つの方法です。
愛犬のことをしっかり理解し、飼い主さんが適切な判断をしってくださいね。



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壱子

壱子

子供の頃から犬が大好きです。現在はキャバリア4匹と賑やかな生活をしています。愛犬家の皆さんに役立つ情報を紹介しつつ、私自身も更に知識を深めていけたら思っています。よろしくお願いいたします!


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