【獣医師監修】狂犬病の予防接種の前に知っておきたい! ワクチンの副作用と対策について解説!

2022.03.28

【獣医師監修】狂犬病の予防接種の前に知っておきたい! ワクチンの副作用と対策について解説!

狂犬病ワクチンの予防接種のお知らせがきた愛犬家のみなさん! 実はワクチンに副作用があることをご存知ですか? ・いつもなんとなく打ってもらっていた・・・ ・副作用が起きたらどうしよう・・・ という方も多いと思います。 そこでこの記事ではそんなワクチンの副作用に関する疑問を、 動物感染症の研究者の観点から解決します。 実は副作用を防げる簡単で効果的な方法があるんです。 狂犬病の予防接種へ向かわれる前に、ぜひご一読を!

【掲載:2021.04.15  更新:2022.03.28】

狂犬病ワクチンについて

ワクチン

◆ワクチンの効果

狂犬病ワクチンは、狂犬病を防ぐためのワクチンです。

どうやって防ぐのかというと、接種した犬の中で、狂犬病ウイルスに対する抗体というウイルスをやっつけてくれる物質を作らせて防ぎます。

この抗体を作る仕組みを免疫といいます。
ワクチンは免疫を犬の体の中で働かせて、狂犬病を防いでくれます。

◆ワクチンの接種時期

狂犬病ワクチンの予防接種時期は、法律で定められています。

「狂犬病予防法」(昭和25年法律第247号)という法律のもと、
生後91日以上の犬の飼い主は毎年4月から6月までの間に1度、狂犬病ワクチンの予防接種を受けさせなければなりません。

毎年春に予防接種のハガキが来るのもこのためですね。

ちなみに、混合ワクチンと合わせて接種する場合は、狂犬病ワクチンを接種してから1週間以上タイミングをずらして接種することになっています。

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狂犬病とは、人間に感染することもあり、発病するとほぼ100%が死亡するという恐ろしい感染症のことです。 発病した場合、精神錯乱や麻痺、呼吸困難などの症状が認められ、更には死に至ります。 日本では1956年を最後に発生していませんが、世界では約5万人が毎年命を落としており、海外渡航の際には注意が必要です。 狂犬病予防法では、飼い犬に対して狂犬病ワクチンの予防接種を行う事が義務として定められています。 狂犬病ワクチンには元気の消失や、アナフィラキシー症状などの副作用もありますが、接種は義務であるため何らかの理由で接種出来ない場合は獣医師による証明が必要です。 狂犬病について、もっと詳しく確認してみましょう。

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狂犬病ワクチンの必要性

なぜ、わざわざ法律で予防接種が義務付けられているのかというと、
狂犬病がとてつもなく恐ろしい病気だからです。

狂犬病は、「犬」という字が入っているため犬の病気と思われる方が多いかもしれませんが、
実は人を含めた哺乳類の動物全般が発症する恐れのある感染症です。
狂犬病に感染した動物に噛まれたり引っ掻かれたりすると、狂犬病ウイルスが体内に侵入し、そのウイルスが脳に到達すると狂犬病を発症してしまいます。
発症すると、全身の関節痛や水を怖がるといった症状が出ます。
有効な治療法は現在も見つかっておらず、一旦発症してしまうとほぼ100%死亡する、大変恐ろしい病気です。

日本では、過去に狂犬病は存在しましたが、犬への予防接種が普及したことで対策が進み、
昭和33年以降発生が認められていません。
しかし、海外では現在も毎年5万人以上が狂犬病によって死亡しています。

そのため、狂犬病ワクチンは愛犬を守ると同時に、私たち人を守るためにも必要なのです。

しかし、世の中の全てのワクチンには、切っても切り離せない「副作用」というものがあります。

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「狂犬病」はTVやニュースなどで取り上げられる事もあるため、皆さんも一度は耳にしたことのある言葉なのではないでしょうか。でも、狂犬病とは一体どんな病気なのか、どのような症状が出てしまうのか、人間にも移ってしまうのかなど、詳しく知っている方は意外と少ないと思います。 今回は、狂犬病や予防接種の必要性についてご説明していきますので、知らない方だけでなく知っている方もおさらいの意味を込めて今一度目を通してくださいね!

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狂犬病ワクチンの副作用

SNSを見ると、「ワクチンの副作用が出た」という投稿を見ることがあります。

このような投稿やお話を聞くと、

「予防接種が必要なことはわかっているけれど、万が一のことがあったら・・・」、「副作用ってどんなことが起こるの?」、「もし副作用が出たら、どうしたらいいの?」
と不安になる方も多いのではないでしょうか。

そこで、狂犬病ワクチンの副作用について、ご紹介します。

◆なぜ起きるのか

ワクチンによる副作用が起きる原因は、大きく2つに分けられます。

アレルギー反応

狂犬病ワクチンを作るとき、血清やカゼインという物質が必要になります。

これら材料に含まれるタンパク質にアレルギー反応を起こしてしまうことで、副作用が発現することが知られています。

ワクチンの投与量

狂犬病ワクチンは他の動物用医薬品と異なり、犬の体重や体格、年齢に関わらず1頭分(1.0 cc)を接種することになっています。
なぜなら、1頭分のワクチンを接種しないと十分な効果が見込まれないからです。

つまり、ドーベルマンもチワワも、1歳の子犬も14歳の老犬も、接種される狂犬病ワクチンの量は同じなのです。

2008年の調査では、狂犬病ワクチンによる副作用は1歳未満の子犬と10歳以上の老犬で多く発生することがわかっています。

よって、子犬や老犬はワクチンによる副作用が発生するリスクが比較的高いといえます。

では実際に、狂犬病ワクチンの副作用はどれくらい起きているのでしょうか?

◆どのくらい起きているのか

狂犬病ワクチンの重大な副作用が発生した場合、獣医師は国へ報告する義務があります。
また国は、どのような報告が上がってきたかを公表しています。

それらを元にした2008年の調査では、
狂犬病ワクチンの副作用の発生率は 0.0006 %と報告されています。
この確率は他の犬用ワクチンよりも低い数字ですから、狂犬病ワクチンによる副作用は比較的起こりづらいことがわかります。

しかし、少なからず副作用が起きているのもまた事実です。
次からは、どのような症状があるのかについてご紹介します。

◆どんな症状があるのか

狂犬病ワクチンの副作用は、症状と発症までの時間で、
即時型、遅延型の2種類に分けられます。

即時型

ワクチン接種から30分〜半日以内に起きることが多い副作用で、アナフィラキシーショックともよばれます。

症状として

    ・興奮し、よだれをたらす(ショック症状)
    ・嘔吐や脱糞、放尿
    ・肝臓や腸の血管からの出血
    ・血圧低下
    ・虚脱(ぐったりする)
    ・呼吸困難
    ・チアノーゼ(口の中や舌が紫がかる)

などがあり、急速に発現し重症化します。

点滴や注射によってショック症状を抑える、アレルギー反応を抑えるなどの緊急治療が必要で、
適切な処置がなされないとそのまま死亡してしまうことも多いです。

遅延型

ワクチン接種から半日〜3日の間に起きることが多い副作用で、

    ・顔面の腫れ
    ・身体の痙攣
    ・元気がない
    ・蕁麻疹
    ・下痢

などが症状として見られます。

即時型と比べ遅延型は症状の進行が穏やかです。

症状が出た場合、アレルギー反応を抑える薬を投与し治療し、そのまま回復することがほとんどです。
しかし、発見や治療が遅れると重体となり命に危険が及ぶこともあります。

ここまでをまとめると、狂犬病ワクチンの副作用は、

・起きる可能性はかなり低い
・原因はワクチンに含まれる材料であることが多い
・小型犬や老犬で起こりやすい
・症状には、重症化しやすく急速に発現する即時型と、ゆっくり発現する遅延型がある

と言えます。

次に、この中で特に怖い、即時型の副作用「アナフィラキシーショック」についてご紹介します。


アナフィラキシーショックとは

狂犬病

アナフィラキシーショックとは、全身にアレルギー反応が引き起こされ、
血圧低下や意識障害など生命に危険が及ぶ重い反応のことをいいます。
ワクチンなどの医薬品のほか、虫刺されや食べ物などにより引き起こされることがあります。

これは、体の中でアレルギー反応を引き起こす物質(アレルゲン)に対し、
免疫が過剰に応答することで起こります。

本来、病気から身を守るために働くはずの免疫がアレルゲンに対し反応しすぎてしまい、
自分の体をも傷つけてしまうのです。

「スズメバチに2回刺されると危ない」と聞いたことはありませんか? 
これもアナフィラキシーショックが起きるケースの一つです。
一度体がスズメバチの毒を記憶すると、次に刺された時に免疫が過剰に反応し、
アナフィラキシーショックを起こしてしまいます。

このように、ワクチンの効果をもたらすのも、副作用をもたらすのも、ともに免疫というしくみによるので、
ワクチンと副作用は切っても切れない関係にあるのです。

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狂犬病ワクチンの副作用の予防法

注射

では、狂犬病ワクチンの副作用からどのように愛犬を守れば良いのでしょうか。

実は、誰でもできる予防法がいくつかあるのです。
今回は4つの予防法をご紹介します。

◆午前中に接種する

狂犬病ワクチンの副作用として特に危険な即時型の症状は、
ワクチン接種から半日以内に起きることがほとんどです。

そのため、午前中にワクチン接種を受けることで、万が一副作用が発現したとしても、
まだ動物病院が営業している夕方のうちに連れて行き、すぐに治療ができるようにしておくことが大切です。

◆接種後1日間は安静にする

ワクチン接種後すぐに激しい運動をすると、体温が上がり、免疫機能が活発化されるため、
副作用が出やすくなったり、悪化しやすくなったりすることがあるようです。

少なくとも1日間は、お散歩をひかえめにする、お風呂には入れない
というようなことに気をつけ、安静にしてあげましょう。

◆様子を見守る

当たり前のようでもっとも重要な予防法です。

ワクチン接種後、普段と違う様子を愛犬が示していたら、
すぐに動物病院でかかりつけの獣医師に診てもらいましょう。

愛犬の普段の元気な様子を知っているのは、他ならぬあなた自身です。
すなわち、ワクチンによる副作用の症状をもっとも早くに発見し、
適切な治療をさせてあげられるのも、あなたなのです。

いつも以上に、注意深く見守ってあげましょう。

◆獣医師に相談する

・持病を抱えており、薬を服用している
・過去にワクチンによる副作用を経験したことがある

このような犬への狂犬病ワクチン接種は、副作用のリスクが高まります。

そのような場合は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。
アレルゲンが含まれない狂犬病ワクチンに種類を変更してくれたり、
場合によっては「狂犬病予防注射猶予証明書」というものを発行し、
狂犬病ワクチンの予防接種を1年間猶予してくれたりすることがあります。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、狂犬病ワクチンの予防接種で起こりうる副作用についてご紹介しました。

さまざまな副作用の症状がありますが、予防接種後は安静にしてよく見守り、
何か普段と違うことがあればすぐに適切な治療を施せるようにすることが何よりの予防策です。

逆に、現状、一度狂犬病になってしまうと治療する方法はありません。
日本国内での発生はみられていませんが、海外から国内に狂犬病が持ち込まれることはありうることで、蔓延する可能性もないとは言えません。

健康で幸せなペットライフを過ごすためにも、副作用に対する理解を深めるとともに、適切な予防接種を心掛けましょう。

※こちらの記事は、獣医師監修のもと掲載しております※
●記事監修
drogura__large  コジマ動物病院 獣医師

ペットの専門店コジマに併設する動物病院。全国に15医院を展開。内科、外科、整形外科、外科手術、アニマルドッグ(健康診断)など、幅広くペットの診療を行っている。

動物病院事業本部長である小椋功獣医師は、麻布大学獣医学部獣医学科卒で、現在は株式会社コジマ常務取締役も務める。小児内科、外科に関しては30年以上の経歴を持ち、幼齢動物の予防医療や店舗内での管理も自らの経験で手掛けている。
https://pets-kojima.com/hospital/

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