1.犬にじゃがいもを与えても良い?
1-1.じゃがいもに含まれる主な成分
1-2.期待できる効果は
1-3.犬がじゃがいもを与えるデメリット
2.じゃがいもの与え方
2-1.芽や皮は取り除く
2-2.加熱をする
2-3.味付けしないで与える
2-4.おすすめのじゃがいもレシピ
3.じゃがいもを与える時の注意点は?
3-1.犬にじゃがいもを与える際の適量
3-2.アレルギーの可能性はゼロではない
3-3.じゃがいも以外の「いも類」は?
【掲載:2021.06.07 更新:2022.09.12】
犬にじゃがいもを与えても良い?
じゃがいもは、犬に与えても良い食材の一つです!ただし、もちろん与え方には注意点があります。
人間が食べる場合も、「芽を取らなくてはいけない」というのは世間一般に浸透している常識ですよね。そこには天然毒素が存在するので、愛犬に与える場合にも注意が必要となります。与え方についての詳細は後述しますので、最後までしっかりチェックしてくださいね。
まずは、じゃがいもにどのような栄養分があるのか、そして、じゃがいもがもつメリットとデメリットについて紹介していきましょう。
◆じゃがいもに含まれる主な成分
犬が生きていくために必要とされる5大要素として、炭水化物・タンパク質・ミネラル・ビタミン・脂肪が挙げられます。
じゃがいもにはこの内、炭水化物(でんぷん・食物繊維)、ビタミン(ビタミンB1・B6・Cなど)、ミネラル(カリウム・マグネシウムなど)が豊富に含まれているのです。
しかも、豊富なビタミンCがでんぷんに包まれているため、加熱してもビタミンCの損失が少ないという、嬉しい特徴ももっています。
健康的な身体づくりをサポートしてくれる成分が盛沢山のじゃがいも。
愛犬に与えることで、どのような効果が実際に期待できるのかをチェックしていきましょう。
◆期待できる効果
◎エネルギー源となるデンプンが主成分!
じゃがいもの主成分は炭水化物のデンプンであり、これは犬にとってエネルギーの元となります。
デンプンが消化酵素によって、単糖類(ブドウ糖)に分解されて体内に吸収され、犬の活動に必要なエネルギー源となるのです。
また、フードのかさ増しとしても優秀な食材で小腹を満たす効果が期待でき、アレルギーの原因となりにくいため、ドッグフードの材料としてもよく使用されているのです。
◎腸内環境を整える食物繊維!
じゃがいもに含まれる繊維質は、犬の腸内の消化酵素では分解されません。水分を含んで便のかさを増し、柔らかさを調節してくれるので、便秘・下痢の予防に役立ってくれるのです。
また、分解されない繊維質の一部は腸内細菌の栄養源となります。犬の腸内環境を整える働きをしてくれる食材として、とても優秀だということが分かりますね。
◎ビタミンCの補給ができる!
じゃがいもはビタミンCを豊富に含んでいます。「畑のりんご」とも、言われているのをご存知ですか?
通常、ビタミンCは熱に弱いので、加熱することで壊れやすいです。しかしジャガイモに含まれるビタミンCは、デンプンに守られています。このため、茹でる・蒸すなどして加熱しても、損なわれないという大きなメリットを持っているのです。
犬は体内でビタミンCを生成できるため、食事からビタミンCを与える必要は基本的にないのですが、老齢犬となってくると、身体の機能が低下してきます。このような場合、じゃがいもでビタミンCを補うことが有効的ですね。
◎余分な塩分を排出するカリウム!
ミネラルの一つであるカリウムは、ナトリウムとバランスをとりながら細胞を正常な状態に保ちます。また、血圧を調整するなどの役割も果たしています。
じゃがいもに含まれるカリウムには、体内に摂りすぎた塩分を体外に排出する作用があるのです。
ただし、愛犬が腎臓病を患っている場合は、カリウムの制限が必要な場合があります。腎臓に心配のある個体に対しては、まずは獣医師へ相談してから与えるように注意してください。
◆犬がじゃがいもを与えるデメリット
●生のデンプンは消化できない!
じゃがいもは、犬が消化しやすい炭水化物だといわれていますが、それは加熱した場合に限ったことなのです。
デンプンに熱が加わってアルファ化することで、初めて犬がデンプンを消化できるようになります。生のままのデンプンを消化できなかったという、実験データも実際にあるようです。
このため、犬にじゃがいもを与える際には加熱する工程が必要不可欠となります。与え方については後述しますので、詳しくはそちらをしっかりチェックしてくださいね。
●血糖値をアップしやすい食材!
前述したように、加熱したデンプンには犬が消化しやすいというメリットがあります。しかしその反面、血糖値を上げやすいという側面がデメリットとして存在します。
愛犬が糖尿病を患っている、またはその心配がある、糖質制限をしている、といった場合には、じゃがいもを与えるのを避けた方が良いでしょう。
●下痢・嘔吐を起こす毒素がある!
じゃがいもの芽には、ソラニン・チャコニンという毒素が含まれています。人間がこれを食べた場合、吐き気・下痢・嘔吐・腹痛・頭痛・目まいなどの中毒症状を起こすことがあり、これは犬にとっても同じことです。犬の場合、吐き気(嘔吐)や下痢などの体調不良を招く可能性があります。
じゃがいもの芽は、人用・犬用に限らず、きちんと取り除くことが重要です。
じゃがいもの与え方
犬にとっても健康的な食材といえるじゃがいも。しかし、与え方を誤っては逆効果です。与える際のポイント・注意点をしっかり覚えておきましょう。
◆芽や皮は取り除く
デメリットの項目で紹介したように、じゃがいもの芽にはソラニンやチャコニンといった天然毒素が含まれています。芽を取らずにそのまま与えると、愛犬が中毒症状を起こす危険性があるのです。人の場合もそうですが、犬にじゃがいもを与える場合も、必ず芽や皮をしっかり取り除きましょう。
◆加熱をする
こちらも前述したように、生のデンプンを犬は消化できません。犬がデンプンを消化しやすくするために、じゃがいもを与える際には必ず加熱調理してから与えることが大切です。
尚、皮は消化しにくいため、きちんと剥きましょう。皮を与えたい場合は、細かく刻んでからにしてくださいね。
◆味付けしないで与える
じゃがいもに限ったことではありませんが、犬に人の食材を与える場合、味付けをすることはNGです。もちろん、人用の食事を愛犬に与えるのも控えるべきでしょう。
犬と人では味覚に違いがあり、必要な栄養素も異なります。塩分過多や肥満を招く恐れがあるため、味付けした食材を愛犬に与えることは厳禁ですよ。
◆おすすめのじゃがいもレシピ
★デコレーション可能!スポンジケーキ
・小麦粉(強力粉)…35g
・卵…L2個
・プレーンヨーグルト(1~2時間水切り要)…100g
・じゃがいも(皮、芽、緑色部分を取り除く)…約170g
【作り方】
①じゃがいもを茹でて裏ごしする。
②卵白と卵黄に分けて、卵白をツノが立つまで泡立て、卵黄を加えて更に泡立てる。
③小麦粉を加えて切るように混ぜて、型に流し入れる。
④オーブンを180℃に予熱して20分間焼き、冷めるまで待つ。完全に冷めてから型から取り出す。
⑤スポンジ上部を平行に切り落として、全体にヨーグルトを塗る。
これでスポンジケーキ土台の完成です。あとはお好みでデコレーションができます。
茹でて裏ごししたじゃがいもを少量残しておけば、マジパンのように利用することも可能です。黒練りごまやスキムミルク、かぼちゃや人参などの食材を利用すれば、カラフルで可愛い人形も作れちゃいますよ。季節の野菜などで彩るのもおすすめです!
犬用ケーキの作り方はネット上でもレシピが盛沢山ですし、詳しく解説されているものも多いので、是非、色々な情報を集めてみてください。
★じゃがいもクッキー
・じゃがいも…50g
・小麦粉…20g
・チーズ…少量
・お好みではちみつ…少量
【作り方】
①じゃがいもをラップで包んで、レンジで柔らかくしてからマッシャーで潰す。
②そこに小麦粉・チーズを混ぜてよく混ぜる。はちみつを入れる場合はここで投入する。
③生地を適当な大きさに丸めて平らにしたり、クッキー型を利用して型取りする。
④180℃のオーブンで約20分焼き、冷えたら完成。
チーズやはちみつではなく、犬にとって害のない食材を選んで混ぜ込むことも可能です。オーブンによって焼き具合に違いが出ますので、様子をみながら時間を調整してくださいね。
生地を薄めに形成して、フライパンにオリーブオイルを敷いてから焼けば、犬用いも餅のようなできあがりにもなります。硬めの食感が苦手なワンちゃんには、この方法を試してみください。
じゃがいもを与える時の注意点は?
紹介してきたように、芽を取り除くこと、加熱すること、味付けをしないことは必須です。それに加えて、血糖値が上がりやすいという点にも注意が必要なのです。そのため、与える量には十分気を付けなくてはいけません。
与える際の適量を、しっかり覚えておきましょう。
◆犬にじゃがいもを与える際の適量
以下の量を目安として、犬にじゃがいもを与えましょう。
尚、愛犬が適正体重を上回っている場合は、現体重ではなくて適正体重に基づいた摂取可能量を与える必要があります。また、個体差もありますので、あくまでも目安の量として参考にしてください。
- 超小型犬(体重2kg程度) → 1日あたり49g(中1/2個)
- 小型犬(体重3~5kg程度) → 67~98g(中1/2~1個)
- 中型犬(体重6~15kg程度) → 113~225g(中1~2個)
- 大型犬(体重20~30kg程度) → 279~378g(中2・1/3~3個)
上記目安量は、主食に総合栄養食であるドッグフードを与えている場合の、トッピング・おやつとして考えられた量で算出されたものです。
トッピング・おやつとして食べる量は、1日の摂取カロリーの2割以下に抑えること、その分ドッグフードの量を減らすことを念頭に置きましょう。
手作りフードとして与える場合は、栄養バランス・与える量に対して別途計算が必要となります。
◆アレルギーの可能性はゼロではない
「アレルギーの元となりにくい」と言われるじゃがいもですが、まれにアレルギー症状を発症する個体もいます。
このため初めて与える際には、少量からスタートすることが必要です。どの食材にもいえることですが、まずは少量を与えて時間をおき、愛犬に異常がみられないか必ずチェックしましょう。
また、かぼちゃにアレルギーのある個体の場合、交差反応を起こすことがあるようです。愛犬が該当するのであれば、じゃがいもを与えることも控えた方がよいかもしれません。
◆じゃがいも以外の「いも類」は?
与え方に注意すれば犬に与えてもOKなじゃがいも。それでは他のいも類はどうなのでしょうか?
代表的ないも類である三種についてチェックしていきましょう。
さつまいも
糖質と食物繊維が豊富なさつまいもは、じゃがいも同様、加熱して犬に与えることのできる食材です。
柔らかくて甘いため、薬・サプリメントを包んで与えるのにも利用できます。他にも、ビタミンA・カルシウムなども含んでいるので犬の健康にも優しいですね。ただし、太りやすい食材でもあるので、与えすぎには注意してください。
里芋
こちらもじゃがいも同様、加熱して犬に与えることができます。
里芋に含まれるネバネバには粘膜を保護する作用あるので、免疫力を高める効果や、肝機能・腎機能を高める効果が期待できるといわれています。
食物繊維・カリウム・ビタミンC・ビタミンBなど多くの栄養素を含んでいますが、皮の周りにはシュウ酸カルシウム結晶が含まれますので、生で食べると中毒症状を起こす危険性があります。
山芋(とろろいも)
食物繊維・アミラーゼ・アルギニン・カリウム・ビタミンC・ビタミンBなど、山芋にも多くの栄養素が含まれています。
しかし、里芋同様に皮の周りにはシュウ酸カルシウムが含まれているので、与え方には注意が必要でしょう。
人間もそうですが、山芋に含まれている成分によって、口の周りや皮膚などに付着すると痒みを感じるケースがあります。皮膚疾患やアレルギーの出やすい個体にとっては、避けた方が無難な食材だといえるでしょう。またシュウ酸・カリウムが、腎臓・尿路へ負担をかけることがあるので、腎疾患・尿路疾患を抱える子にも注意が必要です。
体調を崩した場合の対処方法は?
いくらじゃがいもが数々のメリットのある食材だとしても、愛犬の身体の状態によってはうまく消化できなかったり、体調不良を招く場合もあります。
持病がある場合は医師に相談してから与えることが必須ですし、愛犬の体調が思わしくない時にはじゃがいもを与えることは避けましょう。アレルギーの可能性もゼロではありません。
なんらかの異常が愛犬に見られた場合は、じゃがいもを与えるのを一旦中止し、できるだけ早く動物病院を受診しましょう。
◆腎臓病の犬には更なる注意を!
前述したように、腎臓病を抱える愛犬にじゃがいもを与える場合は注意が必要です。
「リン」を制限した食事管理が必要な腎臓病の犬にとって、じゃがいもはリンが少なくて消化しやすいために、おすすめの食材だとも言われています。低リン食材として腎臓病サポートフードに使われるケースも実際にありますし、食物繊維も豊富なので整腸効果も期待できます。
しかし、カリウムが多く含まれていることを見逃してはいけないのです。
腎臓機能の低下時は、カリウムが上手く排出されず高カリウム血症を引き起こす可能性があります。
愛犬が腎臓病の場合、またはその心配がある場合は、必ずかかりつけの動物病院に相談して許可をもらってからじゃがいもを与えてくださいね。
まとめ
加熱することで、犬にとって消化しやすい炭水化物となるじゃがいも。愛犬のエネルギー源として、整腸効果をもたらす存在としても、栄養価の高いメリットの多い食材だといえるでしょう。正しい与え方をすることで、愛犬の健康をしっかりサポートしてくれますよ!
ただし、腎臓病・糖尿病などの病気をもつ個体にとっては、獣医師の指示を仰ぐ必要があります。
飼い主さんが正しい知識を持つことで、愛犬との健康的な毎日を守っていきましょう。
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