【獣医師監修】犬にも発達障害がある?特徴や見分け方、対処法について解説します!

2022.05.18

【獣医師監修】犬にも発達障害がある?特徴や見分け方、対処法について解説します!

犬にも発達障害があることをご存知でしょうか。 長時間の散歩やドッグランなどで疲れるまで遊び、家に帰っても休むことがなく歩き回っている子はいませんか? また、こだわりが強く、他の犬や人にまったく興味を持たない子もいるかもしれません。 もしかしたらその特徴は、発達障害の症状かもしれません。 この記事では、発達障害がある犬の行動、発達障害の見分け方、対処法について詳しく解説していきま

【目次】
1.犬にも発達障害があるのか
 1-1.注意欠陥多動性障害(ADHD)
 1-2.アスペルガー症候群(ASD)
 1-3.学習障害(LD)

2.犬の発達障害の症状
 2-1.ADHDの特徴①落ち着きがない
 2-2.ADHDの特徴②集中力がない
 2-3.ADHDの特徴③空気が読めない
 2-4.ADHDの特徴④極端に活発的
 2-5.ADHDの特徴⑤自咬症
 2-6.ASDの特徴①犬や人とコミュニケーションをとらない
 2-7.ASDの特徴➁表情が乏しい
 2-8.ASDの特徴③音に敏感
 2-9.ASDの特徴④こだわりが強い

3.犬の発達障害としつけ不足の違い
 3-1.注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合
 3-2.アスペルガー症候群(ASD)の場合
 3-2.学習障害(LD)の場合

4.愛犬が発達障害の疑いがあるときは
 4-1.獣医師に相談
 4-2.なるべく運動をさせてあげる

5.まとめ

犬にも発達障害があるのか

犬の発達障害

近年、発達障害についての認知が広がってきました。
発達障害とは、生まれつき脳機能の発達に偏りがあり、日常生活を送る中で困ったことが出てくることをいいます。
発達障害についての研究が進むなかで、
犬にはどのような発達障害があるのでしょうか。
順番に見ていきましょう。

◆注意欠陥多動性障害(ADHD)

発達障害の一つである「注意欠陥多動性障害(ADHD)」を持つ犬は一定数存在しています。

主な特徴は落ち着きがなく、注意力が散漫なことです。

ADHDの場合、動物病院を受診すると、ADHDに効く薬が処方されます。
その薬を投薬し、多動などADHD特有の行動の改善が見られたら、薬が効いたということなのでADHDと診断されるようです。

◆アスペルガー症候群(ASD)

発達障害には「アスペルガー症候群(ASD)」という障害もありますが、ASDの特徴がみられる犬はADHDと比べて少ないようです。
ただ、症例の報告が極めて少ないだけで、他の犬との交流ができなかったり、一つの物事に執着する様子がみられたりする犬はASDである可能性があります。

こちらは専用の薬もないため、動物病院で診断されるのは難しいようです。

◆学習障害(LD)

「学習障害(LD)」とは、人間でいうと読みや書き、計算などある特定の分野で知能の遅れが見られることは指します。
響きは似ていますが知的障害とはまったく異なる障害です。
知的障害は言葉やルールを覚えることなど全体的に知能の遅れが見られます。
犬の場合、この学習障害はほとんど症例がないようです。

人間の場合は、専用のテストなどを受けることで学習障害と診断されますが、犬はテストを受けることができないので、ASD同様、診断されることは難しいでしょう。


犬の発達障害の症状

では次に、発達障害を持っている可能性がある犬の行動について一つずつ見ていきましょう。
学習障害(LD)については極めて症例数が少ないため、今回は、注意欠陥多動性障害(ADHD)とアスペルガー症候群(ASD)の症状について解説します。
発達障害の症状は犬によって様々あり、全てを紹介することは難しいので、一例のみご紹介していきます。

◆ADHDの特徴①落ち着きがない

目に入ったものは意味もなくすべて口の中に入れたり、ドッグランではいろいろな犬を追いかけたりといった行動が見られます。

とくにADHDの特徴としては、意味もなく行動するというところが、障害のない犬との大きな違いです。
子犬の頃は、注意力散漫な部分がどの犬でも見られますが、2歳を過ぎてもそわそわと落ち着かず、意味のない行動が多い場合には注意が必要です。

◆ADHDの特徴②集中力がない

何か一つのことに集中してトレーニングや遊びなどをすることができない犬がいます。

例えば、クリッカートレーニングを集中してできない犬がこれに当てはまります。
クリッカートレーニングとは、押すと音が鳴るクリッカーと呼ばれる道具を使用して行うトレーニングです。
音が鳴るとご褒美のおやつがもらえるという簡単なルールなので、大抵の犬はすぐにルールを覚え、トレーニングを行うことができます。
しかしADHDである可能性が高い犬は、一つのことに集中することが苦手なので、何度クリッカートレーニングを行っても覚えられず、すぐに飽きてしまうという傾向にあります。

◆ADHDの特徴③空気が読めない

ADHDの特徴をもつ犬は、他の犬とトラブルになりやすい傾向にあります。

特にドッグランなどでは、犬と遊ぶときに、興奮しすぎて加減が分からず、強めに噛んでしまったり、嫌がっている犬をしつこく追いかけたりといった行動が見られることがあります。
度々、他の犬とトラブルになっている場合には、ADHDの症状を疑いましょう。

◆ADHDの特徴④極端に活発的

運動が大好きで、どんなに疲れるような運動をしても、家に帰るとウロウロと動き回ったり、走り回ったりする犬がいます。

この場合、特徴の一つである「過活動」を疑いましょう。
常に活発に動き回り運動量が多いため、通常のご飯の量では足らず、痩せてしまう犬もいるようです。

◆ADHDの特徴⑤自咬症

ADHDの可能性がある犬は「興奮しやすい」という特徴も持っています。
そのため感情のコントロールができず、興奮のあまり自分のしっぽや足を噛んで傷つけてしまう犬もいるようです。
あまりにも自咬がひどい場合には、動物病院を受診し、獣医さんに相談してみてください。

◆ASDの特徴①犬や人とコミュニケーションをとらない

他の犬や人、そして飼い主ともコミュニケーションをとろうとしないという特徴があります。
ドッグランに連れて行っても一匹で遊んでいたり、人と関わりを持とうとしなかったりする場合は、ASDの可能性があります。

◆ASDの特徴➁表情が乏しい

犬には人間と同じように表情があります。
嬉しいときには笑っているような顔をして、悲しいときには落ち込んでいるような顔をします。
ASDの犬はこういった表情の変化があまり見られず、常に無表情のことが多いようです。

◆ASDの特徴③音に敏感

犬は、人と比べて4倍以上聴力が優れていることがわかっています。
人間より音に敏感な犬ですが、ASDの特徴をもつ犬は、普通の犬以上に音に敏感に反応するようです。

小さな音でも敏感に反応し、吠えることが辞められない犬もいます。

◆ASDの特徴④こだわりが強い

人間でもASDの方はこだわりが強いといわれていて、犬にも同じ特徴があります。
遊ぶときには、必ず同じおもちゃでしか遊ばなかったり、散歩はいつも同じコースを行きたがったり、日常生活の中でも様々なこだわりの強さが見えてきた場合、ASDかもしれません。
トレーニングで改善することは難しい可能性があるため、獣医や訓練士に相談してみてはいかがでしょうか。


犬の発達障害としつけ不足の違い

落ち着きがない、他の人や犬を怖がるなどの発達障害の特徴は、一見するとしつけ不足や経験不足によるものだと思われます。
愛犬の問題行動が、しつけ・経験不足が原因なのか、発達障害によるものなのか、見分けるポイントをご紹介します。

◆注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合

ADHDの特徴の中で、他の犬との違いが一番わかりやすいのは「集中力の欠如」です。

【犬の発達障害の症状】の項目でもご紹介しましたが、クリッカートレーニングなど、犬が簡単にルールを覚えることができるトレーニングを実際にやってみましょう。
全然集中力がなく、トレーニング中にすぐに他のことを始めてしまうようであれば要注意です。

ただし、集中力が続かないことは、子犬の頃にはよく見られます。
何に対しても好奇心旺盛で、色々なものが気になって、そわそわと落ち着きがないのが子犬の特徴です。
犬が十分に成熟した頃にトレーニングを試してみて、集中力があるかどうか様子を見てみましょう。

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今回は、そんなクリッカートレーニングについて、トレーニング方法やメリット、注意点など幅広くご紹介いたします。

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また、犬に発達障害があるかどうかを一度のトレーニングで見分けることは困難です。
繰り返しトレーニングを行うことで、犬が成長できているかどうか長い目で見ていくことも重要になります。

なおADHDの場合、動物病院で診断をしてもらうことが可能です。
ADHD用の薬を服用してみて、犬の心拍数や呼吸数の変化や、日常生活での動きの変化などを見て、ADHDかどうか診断することができるようです。
症例数が少ないので、一つの動物病院では診断してもらえない場合もあります。
なかなか診断してもらえないようであれば、セカンドオピニオンを積極的に考えてみてはいかがでしょうか。

◆アスペルガー症候群(ASD)の場合

ASDの特徴として、「他の犬や人とコミュニケーションをとろうとしない」というものがあります。
小さい頃からの経験不足によって、犬や人が怖いのか、それともASDの特徴なのか、判断が難しいかと思います。
ASDの場合は、長く一緒に暮らしている飼い主でさえ、コミュニケーションをとらず、怖がる犬もいるようです。

飼い主とのコミュニケーションをとれているかどうかで、ASDを持っているか判断することができます。

◆学習障害(LD)の場合

LDは飼い主でも獣医でも、判断することは難しいようです。
LDの特徴は、ある特定の分野で、知能の遅れが見られることです。
犬の場合、運動が苦手な犬や、トレーニングが苦手な犬がいても、その犬の個性や性格として受け取られ、LDと断定することは難しいでしょう。


愛犬が発達障害の疑いがあるときは

犬の発達障害の疑い

最後に、もし愛犬が発達障害だと分かった場合、飼い主さんができる対処法をご紹介します。

◆獣医師に相談

多動や異常なほどの興奮など、日常生活を送ることに支障が出ているようであれば、動物病院を受診して、投薬をすることを検討しましょう。
ADHDの場合、専用の薬を与えることで、過度な興奮や多動などを抑え、飼い主さんにも犬にもプラスになることがあります。

投薬をするほど日常生活で困ることはない場合でも、トレーニング方法や普段の接し方などを見直すだけで、改善することもあります。
一度、獣医師に相談し、愛犬との適切な接し方を相談してみてはいかがでしょうか。

飼い主さんと犬が暮らしやすくなり、また周りの人や動物にも危害を加えないためにも、投薬や日々の接し方の見直しはぜひ取り入れるようにしてください。

◆なるべく運動をさせてあげる

発達障害のある犬は、なるべく運動をさせてあげることでストレスを溜めないように注意してあげましょう。

特に多動や、異常な興奮などADHDの症状が見られる犬には、運動することが不可欠です。
身体を動かすことができず、ストレスを溜めてしまうと、自咬や、飼い主を噛むなどの問題行動に発展する可能性があります。
なるべく広い場所で、好きなように運動できる時間を作るようにしましょう。

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大きな犬も家の広さに余裕があれば室内犬として暮らせるので、家族と一緒に家のなかで過ごすことがメインとなっているケースも多いかもしれません。 そこで問題になるのが愛犬の運動不足です。

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まとめ

愛犬に発達障害の特徴が見られたら、飼い主さんは戸惑い、今後どのように暮らしていけばいいのか非常に不安に感じると思います。
特に、多動や異常な興奮などが見られた場合、周りに迷惑をかけてしまうのではないかと不安になってしまいますよね。
普通の犬と何か違うなと感じたら、ぜひ一度動物病院を受診してみてはいかがでしょうか。

発達障害の有無に関わらず、愛犬にたくさんの愛情を注ぐことは、犬を飼育するうえで一番重要なことです。
発達障害を病気だと決めつけずに、その犬の個性として受けとめて欲しいと思います。



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